東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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小説
2026/05/19

【東方ニコレクションSSコンテスト選集】めそふ《30年》

めそふ

テーマ

「春」

「東方ニコレクションSSコンテスト」について

 2026年3月18日から4月5日にかけて開催された「東方ニコレクション」内企画「東方SSコンテスト」。今回は「春」「ニコニコ」「30年」の3つがテーマとして設けられ、参加者たちはそれぞれ好きなテーマを選び、SS作品を執筆しました。

 投稿作品数は、フォーム部門・Xポスト部門をあわせて150作品以上にのぼり、多くの東方ファンから応募が寄せられる盛況ぶりとなりました。

【東方ニコレクション・結果発表】東方ショートストーリーコンテスト受賞者発表!

受賞作品を掲載した本と朗読CDを5月4日例大祭で頒布いたします

 ▲受賞結果については、こちらの記事にて公開されています。

 そして今回、受賞作品全11作を順次掲載していきます。

 今回掲載するSS作者はめそふさん、作品のテーマは「30年」です。

 それでは、どうぞ!

 

作者:めそふ テーマ:30年

 「30歳になったら結婚しようって約束するくだり、よく見るじゃないですか」

 

 「そうなの?」

 

 「よく見ますよ。漫画とかで」

 

 「私、あんまり漫画読まないもの。美鈴って、年中外に居る割には、意外とインドアの趣味よね」

 

 「別に好きで外に居る訳じゃないですからね。仕事ですから。そういう咲夜さんはアクティブ過ぎるんですよ」

 

 「それで? 30歳の誕生日前日に片方が死ぬとかいうオチ?」

 

 「私が言うのも何ですけど、咲夜さんって人の心とかあるんですか。そんな理不尽過ぎるオチ、あまりにも理不尽すぎて多分逆に誰も書かないですよ。ってそうじゃなくて、ちゃんと30歳になって結婚とかするんですよ。大体の話は」

 

 「30歳ってなんか思ったより歳がいってるような印象じゃない? そういうロマンス系の話って共感し易いように20代までを対象にしてる気がするんだけど、何でそんな微妙なラインの歳なの?」

 

 「いや、別に30歳ってそんな微妙ですかね? 人間からしても20代なんて人生を決めるには若すぎるって思うんじゃないですか? 年齢による成長と焦りが丁度良くなったバランスが30歳で、そこが決め手だと思うんですよ……なんかまた話が逸れてませんか?」

 

 「で、その30歳の約束がなんだっていうのよ。私、まだその半分の歳ですらないわよ」

 

 「あんま適当言ってると、もう話してあげませんよ」

 

 「わかったから。ちゃんと聞きますわ」

 

 「……はい。じゃあ話しますけど、その約束をするのって大体、30手前でほんともうすぐで実質プロポーズっていう話だったり、またまた逆に、学生の時とかに約束をしてから、ずっとその約束を覚えたまま生活するとか、そういう感じで相手の事を想いながら生きるとかそういう話なんですよ。だからなんか微笑ましさもあるし、ドキドキするしでなんか良いなって思うんですよ」

 

 「うん、はい。なるほどね。なんか思ったより乙女なのね。格闘技やってる癖に、肉弾戦が好みの癖にさ、なんかちょっと意外だわ。ガッカリもする気持ちもあれば、逆にエロい感じもあるわね」

 

 「なんか咲夜さんからエロいとか聞きたくないです。瀟洒はどこ行ったんですか、全く」

 

 「最近落としたのよね、それ。今じゃど天然メイドって巷で有名らしいわよ」

 

 「友人関係が良くないんじゃないですか? 咲夜さんが一緒にいる人間って良くも悪くも異常者じゃないですか。もっと普通の人間と関わった方がいいですよ」

 

 「うーん、最早普通の人間みたいな人が美鈴じゃない? 何というか良識あり過ぎるし、漫画好きだし」

 

 「そう言われると否定出来ない……ってとにかく、そういう30歳の約束っていいですよね!って話です。咲夜さんにも読んで欲しいんですよ。面白いから感想言い合いたいんです」

 

 「じゃあ30歳になったら読むわ。あと500年くらい経ったらかしらね」

 

 「なんか言ってる事おかしいですよ、それ」

 

 「自分の時間を遅らせれば余裕ですわ。だから私ってあんまり自分の年齢覚えてないのよね」

 

 「つまり、私のおすすめ読んでくれないって事ですよね?」

 

 「だって、人から薦められた本ってなんか読まなくない?」

 

 「そんな酷い断り方するならもう結婚してあげませんからね」

 

 「え、ちょっとそれは無し。ごめんなさい、ほんとやり過ぎました。30歳とか嘘だから、もうほんと、あと30分くらいしたら結婚しようよー」