東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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音楽評
2019/10/30

東方アレンジCDレビュー 「epitaph[エピタフ]」/豚乙女

チケ蔵の東方アレンジCDレビュー

 

ーー進化し続ける豚乙女の今聞いてほしい一枚!!ーー

 

 豚乙女は、

  • ・ベースのコンプ(白熊)
  • ・ヴォーカルのランコ(人)
  • ・キーボードのパプリカ(猫)
  • ・イラスト&デザインのランコの姉(兎)

 の4人で活動する、今年でサークル活動10年目になる老舗東方アレンジバンド音楽サークルですなんで名前の横に動物が表記されているかはライブに来たらわかるぞ)

 

 ロックポップス系の音楽をメインとするバンドですが、特筆すべき強みは、ベースのコンプ氏のメロディー。和風かつアクセントがあり巧みで、思わず口ずさんだり鼻歌で歌いたくなるような、キャッチーなサウンドを生み出しています。

 そして、心のドロドロとしたエゴを、さながら鈍器のようにして力強く殴りつけるような歌声から、春の暖かい日差しに優しく包まれるような、優しさに溢れる歌声まで表現できるヴォーカリスト、ランコ氏の歌唱力。

 その2つが合わさって、ハードロックからバラードまで多彩な曲を、とてつもないクオリティーで仕上げるバンド、それが豚乙女です。

 

 豚乙女をこれから知りたいという人には、何せリリースしているCDの数が多すぎるので(約70枚以上)「ベスト盤の”豚BEST”1、2、3、4(それでも4枚出ている)を買っておけば大体わかる」と紹介したいところ。ですが、それを差し置いてもなぜ”epitaph[エピタフ]”を紹介したいのか。それはBEST盤4作品と同じぐらい高品質な内容だからに他なりません。

 

 そんな “epitaph[エピタフ]”の中でも特に聴いて欲しい2曲を紹介します!

 1曲目はトラック3『桃色ファイブスター』

 この曲は、東方妖々夢4面道中曲「天空の花の都」のアレンジなのですが、メロディーのアレンジの仕方が非常に面白い。原曲では出だしの静かに入ってくるメロの部分を、大胆にサビに持ってきているのが特徴的です。

 サビのメロディーの雰囲気に合わせて、全体的にしっとりめな曲になりがちになことが多い「天空の花の都」のアレンジ。この曲は、そんな従来の曲とは全く違った印象を受けます。『桃色ファイブスター』は、満開の桜吹雪が綺麗で楽しくて、思わず駆け出し踊りだしてしまうような印象の曲。

 少女のように楽しげで、春の訪れに心を躍らせているような、ランコ氏の朗らかさが歌声でも伝わってくる。聞いていると、一緒に踊り出したくなるようなアッパーな曲となっています。まさに天空の花の都ファン必聴の1曲です。

 

 もう1曲はトラック8『春の雪』。個人的には、今年リリースされた東方アレンジの中でメガヒットな1曲です。

 原曲の「無何有の郷 ~ Deep Mountain」は、東方妖々夢の一面道中曲。春雪異変の解決に乗り出すその最初、長く長く冷たく寂しい雪とその風景に侘び寂びを感じさせる、印象的なメロディーの気持ちよさ。その原曲の流れを綺麗に残しつつ、力強いヴォーカルが全力で力一杯駆け出していく、格好良いスタイルで歌いあげる。豚乙女の、王道にして自身の持ち味を最大限に活かしたアレンジが、この1曲に表現されています。

 『春の雪』は、 “epitaph[エピタフ]”がリリースされる数ヶ月前、2019年のニコニコ超会議ライブでいち早く披露されています。その時コンプ氏が語ったのは、この曲の歌詞は、ヒトリエのwowaka氏が亡くなった事を知った日に書き上げたというエピソード。

 過去に一緒にライブをした事があるwowaka氏の事を想いつつ後ろ髪を引かれながらも、渡されたバトンを強く握り、力強く全力で駆け出し振り切るような疾走感と力強さを感じる曲調です。

 所々「サヨナラも言わず サヨナラも言えず」や「積もることも叶わずに頬を伝った涙」という歌詞に当時のコンプ氏の心中が語られているかもしれません。

 しかし、コンプ氏は「だからといって、この曲を聴くときにしんみりしたり哀しい気持ちになって聴く必要はない」とそのエピソードを締め括っていました。

 実際その通りで、『春の雪』を演奏した彼らのパフォーマンスは力強く、とても生き生きとしていました。

 今を楽しく元気に生きる事が、wowaka氏にできる最大限の良い事なんだ。僕らに伝えてくれているようで、僕個人の中でこの曲は、大変前向きになれる曲だと思っています。

 そんな豚乙女というバンドの思いが詰まったepitaph(墓石に刻まれた詩)をぜひ聴いていただきたい!

 

【作品情報】

アルバム名:epitaph[エピタフ]
  http://butaotome.com/2019/rei/

サークル名:豚乙女
  http://butaotome.com

委託、配信先情報

ショップ委託:
【メロンブックス】
【とらのあな】
【あきばお~】
【アニメイト】
【グレップ】
【AKIBA-HOBBY】 

配信:
【itunes】
【GooglePlaymusic】
【Booth】

サークルYoutubeチャンネル:
  https://www.youtube.com/channel/UCliG2TPBFMc6zweohklZxFQ

サークルtwitter:
豚乙女公式 @butaotome
コンプ @butaotome_comp
ランコ @butaotome_ranko
ランコの姉 @rankoane
パプリカ @paprika_buta

Weiboアカウント:
ランコの姉(豚乙女公式みたいなものです)
  RANKO的姐姐_豚乙女_jp