「ネットから新たに生まれる東方二次創作、そして広がるファン活動」 募集企画より全文掲載!楔さんより頂いた東方同人誌レビュー『手乗りぐると一日のはじまり』/あまつぶ(いたちごっこ)
楔さんより頂いたレビュー全文公開
6月に募集しました「東方同人誌レビュー募集」企画。本当に沢山の反響をいただきました!編集部に届いたレビューの数は、なんと55件!ご投稿いただいた皆様、本当に有難うございました!
元々、いただいたものの中から1件を選出してご掲載させていただく予定でした。ですが「コレほどの量、1件だけ掲載するのは申し訳ない!この熱い想いに応えたい!」と、編集部内での想いが高まり、オススメいただいた東方アレンジの情報は全て“レビュー文で特にアツいと思った一文を添えて”掲載をさせていただきます!
レビューまとめはこちら
東方同人誌へのアツい想いがここに!頂いた「東方同人誌レビュー」全部まとめました その①
さらに、中でもよりすぐりのレビューについては、全文掲載させていただく形にいたしました!
今回は、楔さんよりいただきました「『手乗りぐると一日のはじまり』/あまつぶ(いたちごっこ)」のレビューを掲載いたします。ぜひ御覧ください!
※掲載にあたり、一部編集部のほうで東方我楽多叢誌編集レギュレーションにのっとった構成・編集を行っております。
あなたのお部屋を舞台にした一冊はいかが? ちっちゃいリグルとごしゅじんの朝のひと時を描く『手乗りぐると一日のはじまり』
このたび紹介させていただくのは『手乗りぐると一日のはじまり』。おそらく東方の同人誌を好む方でも、知っている方はかなり限られているのではないでしょうか。
2019年6月に開催されたリグル・ナイトバグオンリー即売会「東方蛍光祭3」にて、サークルいたちごっこより頒布された一冊。サークルいたちごっこは、この蛍光祭3が初めてのサークル参加となりました。同じ年の第六回博麗神社秋季例大祭にもサークル参加されています。
手乗りぐるって、何なのさ?
さて、同人誌の内容紹介の前に、まずはお手元のパソコンなりスマホなりで「手乗りぐる」でWEB検索してみてください。
手のひらに乗っかるサイズのちっちゃいリグルが検索に引っかかるはずです。素晴らしい可愛さです。一家にひとり欲しくなります。
(今年6月に開催されたオンライン交流会「東方蛍光祭~あなたのおうちでひと休み~」にてイメージキャラとして採用されていたキャラでもあります。このイベントは東方我楽多叢誌でも紹介されました)
この、本来幻想郷にいるはずのリグルとは一味違う「手乗りぐる」が描かれるのが、本作の魅力になります。
手乗りぐると一緒に、暮らしてみたいと思いませんか?
舞台は、どこにでもあるような普通の部屋。そう、幻想郷が舞台ではないと思われます。皆さんの住んでいるかも知れない、近代的な普通の部屋です。
そこで、普通の人と同じように生活する手乗りぐる。家族の「ごしゅじん」と、ルン……もとい「〇んば」と一緒に暮らしています。
その「生活する様子」がとってもとっても可愛らしいのです。というのも、彼女は手のひらサイズの手乗りぐる。洗面所に顔を洗いに行くだけでも、自分の何倍もの大きさの洗面台によじ登って洗いに行くことになります。手乗りぐるはいつも事も無げに、ある時は小さいがゆえのハプニングに見舞われながらもなんだかんだと乗り切りながら、そんなミニチュアサイズの生活をこなしています。実はできる子なのかもしれません。
そして、そんなちっちゃい手乗りぐるが、自分からすると大きな部屋の中であちこちと動きまわり生活している様子がとっても可愛らしい。この「生活感のある可愛らしさ」が、本作の肝と言ってもいいと思います。顔を洗ったあとに頭の触角をタオルで拭いている様子など、何気ない仕草からも可愛さが感じ取れます。
また、手乗りぐるの生活の特徴として、彼女が家事手伝いをしていることと、お菓子が大好きなこと、そして料理をはじめとして、ごしゅじんの手伝いをよくしていることが挙げられます。
本作でも、ごしゅじんと一緒に料理して、一緒に朝食を食べる手乗りぐるの様子が描かれます。料理の様子がわかりやすく、かつ手乗りぐるのリアクションが面白いので、読んでいて楽しいです。
同時にこの料理シーンはレシピにもなっているので、手乗りぐると同じメニューを食べてみたいという方も安心してチャレンジできると思います……でも同人誌を片手に料理すると本が汚れる恐れがあるので、改めてレシピをメモするなどしたほうが良いと思われます。
手乗りぐるとの出会い ネットから新たに生まれる東方二次創作、そして広がるファン活動
そんな手乗りぐると家族の生活の様子が描かれた同人誌、この一冊の中に、手乗りぐるの魅力がぎゅっと詰め込まれています。
しかしなぜ、東方の同人誌として本作が生まれたのか? と、ここであえて語らせていただきたい。現代の外の世界が舞台の東方同人誌は他にもあることでしょう、しかしその中でもこの「手乗りぐると一日のはじまり」には、独特の背景がある。
それは、手乗りぐるが「Twitter文化から生み出された作品」だからです。
手乗りぐるまとめモーメントその1
https://twitter.com/i/events/1000646408112824320手乗りぐるまとめモーメントその2
https://twitter.com/i/events/1134092468683599872あまつぶさんのTwitterアカウント、pixivアカウント
https://twitter.com/marx_hshs
https://www.pixiv.net/users/34113126
2018年、突如としてTwitter上に現れた手乗りぐる。なんだこれは、とリグル愛好家たちが見守る中、あまつぶさんは着々とTwitter上に手乗りぐるのイラストをアップしていきました。
その内容は、手のひらサイズの手乗りぐるがごしゅじんとともに生活したり、〇ンバを相手に奮闘したり、美味しいお菓子を堪能したりというもの。
こうした、私たちの生活に近い距離で感じられる手乗りぐるの様子が、手のひらの上――スマホからでも見られるTwitter上で、かなりの更新ペースで繰り広げられました。こんな子が自分の家にもひとりいたら、と――そういう夢が、一連のイラスト群に込められていると思います。
手乗りぐるは、そんな手のひらの上で楽しめる、自分たちのすぐ近くにあるネット文化、Twitter文化、クリエイター文化があったからこそ生まれた、そして親しまれてきた作品なのです。
今更語るまでもなく、オタク文化とネット文化、そして東方とネット文化は、密接な関係にあります。
WEB上と同人誌上の双方で展開された作品群というのは他にもあります。きっと筆者が知らない作品もたくさんあることでしょう。
その中においては「そのWEB上だからこそ生み出される、世界を広げられる」という作品もあります。
手乗りぐるもまた、そんな作品のひとつです。
WEB上から始まり、広がっていく活動というものは昨今、様々な種類があります。
SNSや動画サービスの発展に伴い、それぞれの場所に応じたファン活動、交流が繰り広げられています。
創作する側にとっての活動の選択肢が広がったということでもあり、視聴する側もまた、それらを楽しみ、応援する手段が増えたということでもあります。
そんな、WEB上のサービスが充実してきた今だからこそ――WEBを利用した上で、そこから同人誌という活動に繋がることは、創作者にとってなんの不思議もないのではないか。同人誌頒布という活動の入り口は、今も広がっており、これからも広がり続けるのではないか。
そして、読者の我々もまた――Twitterやpixivなどそれぞれの場所で作品を楽しませてもらっている我々は、WEBサービスから支援するのと同じ感覚で同人誌や同人グッズを手に取っても良いのではないかと、そこからさらに交流の輪を広げていっても良いのではないかと、そう思うのです。
少し同人誌の内容から離れてしまいましたが、ここで締めとさせていただきます。
最後に、その手乗りぐる作品も寄稿されているWEB合同誌「蛍光祭マガジン」を紹介させていただきます。
こちらは無料で公開されているリグルオンリー合同誌となります。あまつぶさんは現在公開されている2019年秋号、2020年冬号、春号、夏号、秋号の全てに参加されています。もちろん、手乗りぐる以外のリグル作品もたくさん掲載されていますので、皆さんぜひご覧ください。
蛍光祭マガジン
http://keikousai.info/kikaku01.html
(主催:東方蛍光祭準備会 代表:長閑さん)
【作品情報】
作品名:手乗りぐると一日のはじまり
サークル名:いたちごっこ
https://www.pixiv.net/users/34113126
https://marx-hshs.booth.pm/作者:あまつぶ
@marx_hshs委託情報:BOOTH
https://booth.pm/ja/items/1601408