
ニコ動のランキングを見て「幻想入り」動画を見て、1日が終わっていたあの時が一番幸せだったのかもしれない――野田クリスタルの「おれのニコ動マイリスが火を吹くぜ」
野田クリスタルの「おれのニコ動マイリスが火を吹くぜ」第四回

どうも、野田レコメンドです。
最近、忙しいです。もう無理っすね。休みはない。あのとき、ニコニコを見てた野田青年に教えてあげたいっすわ、この状況。
忙しくなってみて、『ニコ動のランキング見て1日終わっていたあの時が一番幸せだったかもしれない』って思います。戻りたい。
とはいえ、絶対に今の状況のほうがいいはずなんだ、とは思うんですよね。複雑な気分ですよ。あのころからすると、いまの忙しさはほんと考えられないっす。労働時間、ちょうど1000倍ぐらいになってます。ちょうど1000倍。どんだけ働いてなかったんだ俺。
もし、昔の自分に伝えられるなら、暇なうちにもっと気合い入れてニコニコ見といたほうがいいぞ、と言いたい。いま暇な人も、その時間を大切にしたほうがいいと思います。気合い入れて暇をやってほしい。
幻想郷入りならではの面 白みが出てると思います
「あ~~~幻想郷に行ってしまいたい!」ということで、今回は”幻想入り“がテーマです。
幻想入りは、東方Project以外の作品のキャラクターが出てきたりもします。そのため、そういう作品画像やリンクは直接ご紹介できないですが、当時のニコニコの雰囲気を皆さんと思い出したいな……と思って、今回はこのタグについてお話させてもらいます。
最初にお話したいのは、前の東方ステーションでもちらっと話した『ブッダとイエス幻想郷へ行く』っていうシリーズです。
編註:こちらの作品につきましては、誌面でのURL掲載はできないものとなります。ご了承ください
これは『聖☆おにいさん』っていう漫画の、ブッダとイエスが幻想入りしたらどうなるんだろう、から始まったお話なんですけども。これはね、バカクソ面白いっす。
クロスオーバーだから、本来人に勧めるのは難しいんですが、でも、本当に「作者何者!?」ってみんな思った作品でした。これ見るだけで、仏教とかキリスト教とかについて、めちゃめちゃ勉強になります。改めて、東方シリーズは宗教の話なんだなってつくづく思いました。この人は、多分そういう目線で見たと思うんですよね、東方を。

中身の紹介します。裸の大将で、「あれそうだったんかい!」ってなる気持ちあるじゃないですか。お話の最初でそれに近いことが起きて、ブッダと神奈子が最初に会ったときがそれなんです。それ以前に、神奈子とブッダは会ってるらしいんですよ。その……タケミ、なんとかって。実際の神様として。
そこで、「なんで幻想郷にいるんだ!?」って驚いてから、神奈子は早苗に、「このブッダとかイエスを見習ってほしい」って思うんですけど、早苗にとっての神様は神奈子だから信じないんですよ。
でも、同じ宗教家として、早苗はすごいブッダにいろんな質問するんですよ。「お肉食べていいですか?」とか、「お酒飲んでいいですか?」とか質問するんですけど、それに完璧に返すんですよブッダが。本当にブッダなんじゃないか?っていうぐらい。
ブッダが言いそうなこと言うんですよ!「人からもらったものは食べられます。でも目の前で調理されたものは食べられないです」とか、本当にすごい宗教に詳しい。マジで。
本当に仏教のお手本みたいな。そう、お手本みたいな。本当にブッダがいたらこんな対応すんじゃねえかな、という。仏対応。
で、ユーザー側にも向けられた一言がある。調子乗ってる妖怪とかがいて、それがブッダとイエスによって諭されて、見てるこっちも気持ちいい思いする、みたいなのを繰り返すんです。でも、途中でイエスが言ったのは、「僕はただ、分からせたいんじゃなくて友達になりたいんだ」って。「あっ……俺も心汚れてたな……」って。
見返してやってほしい、みたいな期待があったんですよ。「それは違うんだよ」って言って、本当にこの人イエスなんじゃないか?って。
異世界転生的に、ちょっと格好良いの見せてほしいみたいな期待があるじゃないですか。でもそうじゃなくて、友達になりたいだけなんだと。友達にはなってくんですよ。その……霖之助とかは途中で気付くんですよ。「あ、この人ブッダだ」みたいな。でも「向こうが自分をブッダだと言わずに対等に付き合ってくれてるなら、こっちもそうしよう」って言って友達になる。
でもやっぱり振り回されるんですよ、神様としての力が強すぎて。
たとえば、どんな振り回されが発生するかといえば……、全部使ったものが「神様の使ったもの」になっちゃう。全部聖遺物になっちゃうんです! 霖之助は何の道具か分かるじゃないですか、能力で。能力で見たら、「この茶碗はこの世界が滅んでも存在している」っていう。
なんか、あの漫画の中にありそうなオチが本当に幻想入りしたっていう。
幻想郷入りならではの面白みが出てると思います。幻想入りだからこそ面白い。
今でも更新待ってます
そして2本目の動画を紹介したいんですが、これは未完です。
でも、いまでも僕は待っています。たった4つの動画、第4話で終わってしまった10年ぐらい前の動画で、『志々雄真実が幻想入り』っていうのがあるんです。
編註:こちらの作品についても、誌面でのURL掲載はできないものとなります。ご了承ください。
志々雄真実のラストって、地獄に落ちて終わるじゃないですか。で、地獄の大王を俺が倒してやると言って終わってくんですけども、その地獄が旧地獄だった、っていう話なんですよ。

そこから幻想入りしてって、最初はやっぱ「わ、地獄や」と。
志々雄真実自身も、行ったろうじゃないか、と。言うんですけど、やっぱ曲者だらけじゃないですか、地底のやつらは。だからちょっと振り回されちゃうっていう。志々雄真実が。それがめちゃめちゃ面白いんですよね。たとえば、お空にだいぶ振り回されてますね。あとは……こいしかな?
そんな志々雄が、キャラクターの把握を『るろうに剣心』のキャラクターを例えに出すんですが、ここ面白いっすね。「お空、お前夷腕坊じゃねえか」と。この「夷腕坊だった」って気分はめっちゃ面白いですね。
でもこれ、4話で終わってしまってるんですよ……。めっちゃ気になるんですよラスト。星熊勇儀と最後戦うんじゃないか?で終わってるんですよ。「やめてくれよそこで終わるの! 気になって仕方ねえよ!」と思って。
今でも更新待ってます。
東方二次創作の中でトップクラスの名作だと思います
編集さんからは今回もエッチなやつあるんですかと振られましたが、今回はありません。エッチな幻想入りだと、この前の記事で話した『東方男娘録』をぜひ見てください!
野田クリスタルの「おれのニコ動マイリスが火を吹くぜ」――吉本の縦社会に疲れた時や、1日食費1000円の時に見ていた動画をレコメンドします
今回はぜひ、エッチじゃないけど変わり種の幻想入りを紹介させてください。なんと、ニコ動じゃない。マイリスが火を吹かない!
『東方先代録』っていう小説があって。ニコ動にもそれを元に動画作られたりしてて、一応、ニコ動にもそれを元に作られた動画がありますね。
でも俺、今でも小説で読むんですよ。勇気が欲しくて。
始まりとしては、現世で多分死んだのか分かんないですけど、その魂が幻想郷の女子に入るんです。
昔の記憶はないけども、自分がこうやって幻想入りしていることの自覚はあるんですよ。で、「じゃあこれからどうしようかな」ってなったときに、小さいときに少年なら誰しも思ったことがある「修行」をしてみたい、と思うんですよ。そしてその果てに、霊夢の先代の巫女になるんですね。
この幻想入りした魂の人は、漫画とかが大好きすぎて、色んな影響を受けてるんですよね。で、実際にそこから力を得てるんです。漫画の名言とかが自分の中に、要は言霊みたいな力があるんですよ。
主人公は、その、口下手なんですよ。だから、漫画からどうしても引用しちゃうんすよ。言葉を。「立て、立つんだ」とか。そういう言葉がどうしても出ちゃうので、自然と。でも、幻想郷に住んでる人たちはその漫画のこと知らないから、「なんて素晴らしいことを言うんだ」ってなるんですよ。
それが、幻想郷にとてつもなく影響を与えてくんですよ。言葉ひとつで。なんか、「ビートルズ」の曲を誰も知らない世界でビートルズの曲を弾いたら感動されてメジャーに、みたいな感じの映画ありましたよね。そんな感じです。
超面白いですよ。マジで。「うわっ!」ってなります本当に。実際の原作リスペクトがすごくて、物事自体は原作通り進んでるんですけど、その先代巫女がいるせいで、ちょっと変わるんですよ。それぞれのストーリーが。それがね、すごい面白いですね。
先代巫女は東方Projectの知識があるんですよ。だからそれゆえに、問題が起きてしまったりとかもあるし。これはね、東方二次創作の中でトップクラスの名作だと思います。作品を思い返すと、主人公の言った言葉が頭をよぎったりしますからね、実際。「立て、立つんだ」みたいなものが、一個一個蘇ってくる。
『覚悟のススメ』からの引用で、「覚悟完了」ってありますよね。それをね、今でも言うようにしてます。M-1の前でも「覚悟完了」って。めちゃめちゃ大舞台の前にそれを言う。『覚悟のススメ』から知ろうよって話なんですけど、なぜか、それを先代録から知っちゃったんですよね、僕は。
でも、この小説にはそういう作者が好きな言葉が詰まっていて、それが僕に届いて、すごく励まされて。
だからM-1でも、どの舞台でも、「覚悟完了」っすね。
ニコ動のランキングを見て「幻想入り」動画を見て、1日が終わっていたあの時が一番幸せだったのかもしれない――野田クリスタルの「おれのニコ動マイリスが火を吹くぜ」 おわり