東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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コラム
2025/10/01

いざ当日、マナーを守って楽しもう!――もう怖くない「東方同人誌即売会」参加のススメ

会場内での一般的な注意事項や、参加者同士の交流についてのマナーなど、同人イベントを楽しむコツをレクチャー【後編】

いざ当日! 会場内での一般的な注意事項

 早朝来場が御法度であることは先ほど述べましたが、それ以外にも会場内では色々な注意事項があります。

 入場がスムーズとなるよう、カタログや入場チケットページなどは、待機列に並んでいるうちに準備しておきましょう。1人のロスはわずかかもしれませんが、それが100人1000人となると大きな渋滞に繋がります。

 会場内は大変混雑します(特に開場直後)。小さな子供や、身体の不自由な方も参加しています。絶対に走ってはいけませんし、スマートフォンや買い物リストなどに集中しながら移動するのも事故のもととなりますので控えましょう。

 

持ってみたい!最後尾札

 サークルの購入待ち列が伸びると「最後尾札」と呼ばれる紙が掲げられることがあります。スタッフやサークルの列整理担当が持っていることもありますが、基本的には最後尾に並んでいる人が持っているので、その列に並びたいときは持っている人に「札、持ちます!」と声をかけて、最後尾札を受け取って並びましょう。自分の後ろに人が並んだら、ぜひその人に最後尾札を渡してあげてください。

▲最近は即売会に来るのが初めてで、こういった札を持つルールを知らない人も多いです。なので、その際には優しく札を渡したり、持ってもらうようにお願いしたりしてみてくださいね。

 さらに列が伸びて、通路や他のサークルスペースを塞いでしまう可能性が出てくると、列を分断して別の場所に並ばせることがあります。その際、分断された列の最後尾には「途中札」という札が渡されます。途中札はそこが列の途中であることを示すので、並びたいときはそこではなく、別の場所に並んでいる最後尾を探さなければなりません。大体すぐ近くにありますが、大混雑しているときには最後尾は遙か彼方ということもしばしば……。

 列の管理・整理は原則サークルの人が対応していますが、不慣れなサークルだと対処が上手くいかないこともあります。特に頒布物の種類が多いサークルは進みが遅いことも多いのですが、そこはお互い様の精神で。(後回しにして他のサークルに行くという手もありますが、当然戻ってきた時には完売なんてこともあります。同人誌即売会は一期一会……)

 また、通路や消防設備の付近は立ち止まり禁止です。床への座り込みも転倒や非常時の避難の邪魔となるので止めましょう。

 

迷子、体調不良……困ったときはスタッフに声をかけよう

 友人や家族などと参加する場合、特に小さな子供は万一はぐれたときに備えて迷子札などをつけるようにしてください。また、お子様には迷ったときはすぐにスタッフに相談するようによく言い聞かせておきましょう。昔と違って、携帯の電波は大体入りますが、電池の消耗も激しいので過信は禁物です。

 運営スタッフは、大規模イベントでは「STAFFスタッフ」と書かれた帽子など分かりやすい目印をつけています。中小規模イベントでも「スタッフ証」という名札や腕章をつけていることがほとんどです。スタッフは参加者対応のほか、列の整理など会場内の秩序を保つために奮闘しています。スタッフの指示には従うようにしてください。

 自分や同行者の体調に異変を感じたときは、無理をせずすぐに休憩しましょう。会場内を歩きながら体調が回復することはまずありません。

 特に夏場は熱中症の可能性もあり、対応が遅れると非常に危険です。それでなくても、水分と塩分の補給はこまめに行ってください。「喉が渇いた」と思った時点で身体は軽く脱水しているというくらいの気持ちで、一度にたくさんを飲むより頻繁に飲む方が効果的だと言われています。

「強い頭痛や吐き気がする」「歩けなく・立てなくなった」ときには、遠慮せず周囲のスタッフに申し出てください安全な場所で休憩させてもらえますし、万一症状が悪化したら救急車を手配してもらえます。

 それ以外でも困ったことがあれば、気軽にスタッフに相談しましょう。歩いているスタッフが見当たらなければ本部スペースにいけば必ずスタッフが常駐しています。

 

会場は基本的に撮影禁止――コスプレ撮影は登録が必要なことも

 イベントによってはコスプレがOKな場合もあり、写真撮影の出来る広場を用意していることもあります。コスプレしている人(コスプレイヤー)の撮影には会場内で登録が必要な場合もありますので、公式サイトの注意書きやカタログをよく確認しましょう。

 コスプレイヤーを撮影する際は、必ず一声掛けて、許可を得てからにしましょう。無断で撮影するのは盗撮行為となり、NGです。会場中にコスプレイヤーさんが闊歩しているので、さながら遊園地やディズニーランドのような気分になって写真を撮りたくなってしまうかもしれませんが、彼らはあくまで「個人」の表現者です。勝手な撮影はご法度ですよ。

 もちろん、写真をSNSにアップロードする場合にも「SNSにあげてもいいですか」と許可を取りましょう。撮影の許可と、それをSNSなどのインターネットへアップロードする許可は別です。顔が写った写真をアップロードされるのを嫌がる人がいるということを忘れないでください。

「コスプレをやってみたい!」という方もいるかもしれませんが、イベントに不慣れなうちは少し様子をみて、イベントの流れが分かってからの方が良いかもしれません。コスプレ参加は、通常の一般参加にプラスしてさまざまな準備が必要となるため、初回からはあまりオススメしません。

 最後に重要なことですが、ほとんどのイベントで会場内は撮影禁止です。会場風景や列の様子なども特別な場合を除き撮影NGです。コスプレ広場で撮影できるのは例外ケースだと認識しておいてください。

 

サークル参加者と交流するときに

 サークルは、自分の出展場所(スペースといいます)の卓上に頒布物【※】を陳列しています。値札がついていることが多いですが、ついていないときは聞いてみるのも失礼にはあたりません。

【※】二次創作系の同人誌即売会では、サークル活動は商売ではなくファン活動なのだという意を込め、販売品のことを「頒布物」といいます。

 気になるときは、スペースにいる人に「中身を見てもいいですか」と、一声掛けてから手に取ったり、立ち読みしてみましょう。その際「見本誌」と書かれたものがあればそれを、なければ一番上に置かれた本を手に取るのがマナーです。読み終わったあとは、買う場合も買わない場合も一言御礼を添えるとGoodです。

 なお、フリーマーケットと違って「値切り行為」は非常に嫌われています。頒布物は自らが情熱を注いで創った作品であり、値切られるのはその気持ちを否定されたように感じるためです。

 

ピッタリ買えるように小銭をたくさん用意しよう

 作品を買うときは、出来るだけお釣りの出ないようにお金を出すのが良しとされます。特に、イベント開場直後はサークル側が準備している小銭が足りないこともありますので、そのために小銭を多めに持ってくることが推奨されています。持ち物のところで「100円、500円硬貨、1000円札を多めに用意するようにしてください」と述べたのはこのためですね。

 電子マネー等は対応していないサークルが大半です。一方で、後半・終盤になると小銭が溢れているサークルも出てきますので、高額紙幣も受け付けてくれる(なんなら歓迎してくれる)サークルも増えてきます。「一万円札でも大丈夫ですか?」なんて声掛けがあったりすると、お互いに優しく対応できるかもしれませんね。

 

僕は知っていても、相手は僕を知らないかも――サークル参加者と交流するときのマナー

 サークルスペースに座っている人は、サークル主(作者)の可能性が高いですが、別人(売り子)の可能性もあります。もし作者の方に感想を伝えたいときは、まずはひとこと作者か確認してみるといいでしょう。親切なサークルだと名札をかけていることもあります。

 作者の方に声を掛ける際は「列が伸びているなど忙しいタイミングは避ける」「感想はできるだけ簡潔に」「世間話や自分の話を長々しない」といったことに注意しましょう。あなたにとってサークル主はよく知っている人かもしれませんが、サークル主にとってあなたはよく知らない人になります。特に異性のサークル主と話をするときは一層注意しましょう。

 普段から交流があるなど親密な関係であっても「大声にならない」「後ろに列が出来たら切り上げる」「スペースからはみ出して他のサークルに迷惑をかけない」といったことに注意してください。あなたのせいで、サークル主が周辺のサークルから不快に思われるかもしれません。

▲後ろに列ができている時に長くサークル主と喋りすぎてしまうと、周りに迷惑がかかっちゃうかも。「なんだ、それなら言ってよ!僕との仲じゃん!」……なーんて思うかもですが、サークル主からすると、あなたとそんなに仲良くないつもりかもしれないし、仲が良かったとしても「ちょっと迷惑かかってるのでどいてね!」なんて言葉、伝えづらいのです。みんなが参加者なので、みんなで気をつけましょう。

 もし差し入れを渡したいというとき、それは「市販の未開封品」で「賞味期限が長く」「暑さなどでダメにならないもの」にしましょう。ネタに走り過ぎたものや、暑さですぐに溶けてしまうものなど、せっかく渡すものなのに、気持ちが伝わらなければ勿体ないですよね。サークルによっては、Xなどで事前に「差し入れはお断りしています」と告知している場合もありますので、十分に確認しましょう。

 サークルによっては、スケッチブック(スケブ)を持参することでサイン代わりの絵を描いてもらえることがあります。これはあくまでもサークル側の善意のサービスなので、お願いするときは少なくとも新作があれば購入した上で、断られたときはさっと諦めましょう。大規模イベントよりは中・小規模イベントの方が、サークルの人も余裕があるので受けてもらいやすい傾向があります。

 一方で、とても残念な話ですが、色紙は最近オークションサイトなどに転売される悪質なケースが増えたこともあり、一律的にNGとしているサークルも多くなってきています。こうした参加者同士の交流の文化は同人誌即売会の醍醐味ですので、永く残ってほしいなと思います。

 即売会におけるすべては、人間同士のコミュニケーションです。同じものが好きな人≒同人どうしだと思いすぎて、「同じものが好きならこれだってわかってくれるはず!」なんて思い込みが行き過ぎてしまうこともあるかもしれません。

 そんなときには改めて、同人誌即売会に「お客様」はいない、みんな参加者であることを思い出してください。あなたもこのイベントを創り上げる一員ですから、より楽しいイベントになるように心がけましょう。

 

宴のあとは……

「イベントは、家に帰り着くまでがイベント」です。体力を消耗していることが多いので、事故などに巻き込まれないよう、気を抜かずに帰りましょう。

 サークル主(作者)は、自分の作品をどんな風に感じてもらえたか感想に飢えていますので、本やCD、ゲームの感想などをXなどに投稿すると、(直接反応はしないまでも)とても喜んでくれます。作者が次の作品を作るためのモチベーションとなりますので、良かった作品、心を動かされた作品はぜひ感想を書いてみてください。

感想は、だれかの活力になる――東方アレンジの感想の書き方・伝え方

東方アレンジの感想の書き方・伝え方【後編】

 

同人誌即売会を楽しもう!

 注意しなければならないことが多いな、と思った人も多いかもしれません。ですが、それもこれも、みんなでイベントを楽しむためのものです。

 同人誌即売会は「個人」が開いているものが多く、それだけに規模も雰囲気も見所も、千差万別です。もし「参加してみたら楽しかった」なら、ほかのイベントの参加も検討してみてください。

 同人誌即売会では、みなさまのご来場をいつでも大歓迎しております。

【ミニコラム】イベントQ&A

いざ当日、マナーを守って楽しもう!――もう怖くない「東方同人誌即売会」参加のススメ おわり

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