東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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音楽評
2020/07/16

「このアルバムは、東方と過ごした時間がそのまま詰まったタイムカプセルのような存在です」 募集企画より全文掲載!もちあきさんより頂いた東方アレンジ音楽レビュー「弾奏結界 幻葬旋律曲 Necromanza」/dBu music

東方アレンジ音楽レビュー「弾奏結界 幻葬旋律曲 Necromanza」/どぶウサギ(dBu music)

 前回の東方ステーションで発表ました、「東方アレンジ音楽レビュー募集」企画。本当に沢山の反響を頂きました!

 編集部に届いたレビューの件数は、なんと66+3!ご投稿頂いた皆様、本当に有難うございました!

 元々、頂いたものの中から1件を選出してご掲載させて頂く予定でした。ですが、「コレほどの量、1件だけ掲載するのは申し訳ない!この熱い思いを応えたい!」と、編集部内での思いが高まり、オススメ頂いた東方アレンジの情報は全て“レビュー文で特にアツいと思った一文を添えて”掲載をさせて頂きます! 

レビューまとめはこちら
皆さんのアツい思いが集まりました!頂いた「東方アレンジ音楽レビュー」全部まとめました その①
皆さんのアツい思いが集まりました!頂いた「東方アレンジ音楽レビュー」全部まとめました その②
皆さんのアツい思いが集まりました!頂いた「東方アレンジ音楽レビュー」全部まとめました その③

 さらに、中でもよりすぐりのレビューについては、全文掲載させて頂く形に致しました! 

 今回は、もちあきさんより頂きました「弾奏結界 幻葬旋律曲 Necromanza」/どぶウサギ(dBu music)のレビューを掲載いたします。ぜひ御覧ください!

 こちらの投稿が、今回の募集企画にご投稿頂いた東方アレンジレビュー、最後の掲載になります。改めまして、ご投稿頂いた皆様、本当に有難うございました!

 

「弾奏結界 幻葬旋律曲 Necromanza」/どぶウサギ(dBu music)

 幻葬旋律曲クロスフェード

 

 自分が初めて買った東方同人アレンジCDです。

 このCDを買った当時は、いわゆるニコニコ動画全盛期の時代で、Keyの「AIR」の「鳥の詩」や、京アニの「ハルヒ」「らき☆すた」、「ひぐらしの鳴く頃に」などで大いに盛り上がっていたのをよく憶えています。

 当時のニコニコは転載が多く無法地帯とよく言われていましたが、転機となったのは、100万再生を達成した「らき☆すた」の大人気OP曲動画「もってけ!セーラーふく」の権利者削除でしたね。「もってけ!セーラーふく」はOPだけでなく、MADなどでも大いに引用される大人気曲でしたが、権利者削除でOP動画だけでなくMAD動画も軒並み消されてしまい、ニコニコに権利者削除難民が大量に発生しました。

 私もそのときの権利者削除難民の一人で、お気に入りの動画の権利者削除に戦々恐々としながら、みんなで、

「どこかに、権利者削除されないコンテンツはないのか!?」

と、ニコニコの出来たばかりのネットの海を漂流したものです。

 

 そのときに、私を含めた難民たちの間で、

「あるジャンルは、権利者削除されないらしいぞ」

という噂が広がっていました。
 それはイオシスさんの、ジャンルを超えた知名度を誇る有名な動画「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」の、元ネタのジャンル。「東方project」でした。

 

 安住の地を見つけた私たち権利者削除難民たちは、早速「東方project」で大いに遊び始めました。MAD動画から始まり、アニメOPパロ、東方手書き劇場などなど…。(当時は「手書き」と「手描き」どちらが正しいのか、などの他愛もないことで言い争ってたりしました。)

 当時の私を含む権利者削除難民のニコ厨たちは、東方の原作とか同人とかいうものを知らない、というか全く意識していませんでした。なんかおしゃれなフリル服の金髪のお姉さんがゴジラと戦ってたり、ゴスロリ服の可愛い子同士でイチャイチャしたりと、よくはわからないけど、今まで触れたものにはない魅力がたくさん詰まったジャンルだなぁ、と思っていました。

 私は特に東方手書き劇場にハマッて、ひたすらそれを観ていました。絵とキャラもそうなんですが、動画に流れてくる曲が最高に良いんですよね。

 当時の私はコスプレというものすら殆ど知らない初心なニコ厨でしたから、東方の、常識にとらわれないファッションの女の子たちと東方の曲の組み合わせは、まさに電子カクテルのショットグラスでした。寝る間を惜しんで東方のMADや手書き劇場を観ていましたね。

 そうしていると、やはり東方の先輩たちから「東方の原作の事も知ってみようよ」、という話になってくるわけですよね。

 

 しかし、同人とか言われてもさっぱりわかりません。

 

 まず同人ってなによ? 同人ショップ?なんか変な魔導書でも売ってんの?

 先輩たちの誘導に従って、通販(金沢のグレップさん)で東方紅魔郷と一緒に買った、自分にとって始めての同人CD、それがこのどぶウサギさんの

「幻葬旋律曲」

です。

 

 私とこのアルバムとの共同生活が始まりました。

 私は通販で買った「蓬莱人形」から「大空魔術」までの曲と、この曲をニコニコ直販で買った3000円ぐらいの電池式のMPIOの音楽プレイヤーに入れ、外で出歩くときは常にこの曲を聴いてました。家で勉強するときも、掃除機をかけているときもかけていました。

 

 そしてこのアルバムの曲を聴きながら、

「東方の幻想郷とは一体、どういうところなんだろう?」

と、思いを馳せていました。

 

 

 自分にとってこのアルバムは、音楽としてどうこうというというよりも、当時自分の周りにあったニコニコ動画のフロンティアと、東方という安住の地を得て笑顔になった仲間のニコ厨たちと、東方の先輩たちと過ごした時間がそのまま詰まったタイムカプセルのような存在です。

 

 そして時間が経ち、かつてニコ厨難民だったときの仲間たちや、応援していた東方作家さんたちも今は少なくなりました。

 腰の人こと「人肉係長」や、コミニュケーションブレイクダンスの「モグモグフヨード」氏などなど。

 しかし、私が初めて買った東方同人誌「ひとまとめ」の「たこ/アンニュイ赤蛸」さんは今も元気に東方の同人誌を出してくれていますし、

 そして何より、「幻葬旋律曲」の「どぶウサギ」さんは何と「ナズーリングラード」という東方二次創作ゲームまで出してくれています。

 

 今回このような思い出を語る場所があると聞いて、棚の奥に大事にしまってあるこのCDを、三世代は代替わりしているノートパソコンにインストールして聞いてみましたが、本当に東方と、このアルバムに出会えてよかったなぁ、と、そう思いました。

 

 

 

【作品情報】

アルバム名:弾奏結界 幻葬旋律曲 Necromanza
http://www.dobuusagi.com/cd_info/index.htm

サークル名:dBu Music
http://www.dobuusagi.com/

代表者twitter:
@dobuusagi

委託、配信先情報

ダウンロード配信:
  【DLSite】

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