東方同人誌へのアツい想いがここに!頂いた「東方同人誌レビュー」全部まとめました その②
東方同人誌レビューの中から“特にアツい一文を”掲載
6月に行いました「東方同人誌レビュー募集」企画。本当にたくさんの反響をいただきました!
編集部に届いたレビューの件数は53件! 前回募集した東方アレンジレビューに引き続き、本当にたくさんのレビューを送っていただきました。
今回も、
オススメ頂いた東方同人誌の情報はすべて、
“レビュー文で特にアツいと思った一文を添えて”掲載をさせていただきます!
さらに、中でもよりすぐりのレビューについては、数件、全文掲載させていただく形にいたしました!
同人誌名/制作者(制作サークル)
※レビューとともに作品情報リンクをご投稿いただいたものは、タイトルに直接リンクを貼らせていただいておりますいただいたレビュー文の中で、特にアツかった一文(抜粋)
――レビュー投稿者のお名前
という形で掲載させていただきます。
レビューまとめは、今後数回に分けて掲載させていただきます。今回の掲載分に載っていないレビュー文は、次回以降掲載させていただきます。
過去のまとめ
東方同人誌へのアツい想いがここに!「東方同人誌レビュー」まとめ その②
クローズクロニクルクローゼット / マイナス(まいとびみんと)
かわいい蓮メリ、かっこいい蓮メリ、美しい蓮メリが見られるおすすめの一冊です。
本がクローゼットのように開くのは感動です。イラスト集でありながら漫画でもあるので、ひとつ扉を開けるたびに感動しますよ!
ーティルさん
雪月風花 / すずしろ(はつはる七日)
一言言えるのはかわいい〜むしろこれ一言で十分なほどかわいい〜本です! たくさんのすずしろさんのかわいい〜東方の女の子が見られます。
ーティルさん
霧雨のお嬢さん合同 / パルピテリア
この合同誌はタイトル通り、霧雨魔理沙を題材にし、参加者7人それぞれの視点で、未だはっきりと明らかにされていない彼女の生い立ちを描いた1冊となってます。
まだ彼女が幼いとき、人里の実家(霧雨店)で暮らしていたころに始まり、実家を飛び出して瘴気漂う魔法の森で見つけた廃屋(後の霧雨魔法店)に棲み始めたとき、夢を追いかけつつ生きる上でのやり取り、そして、ほとんど未開発の森で奮闘する少女に対する、彼女の素性を把握している人里の大人たちの対応がこれまた良いのですよ。
(物でたとえるなら、心に少し黒い靄がかかる感じに)私が一番気に入っている話は、
勘当されてから数十年後、成長した彼女が久々に実家に訪れる冒頭から始まり
実家内で”似た者”によるやり取りを見て、あぁこういう関係も良いなぁと……
このレビューを観覧しているあなたは”霧雨のお嬢さん”を愛していますか?ー恋色さん
うつつのゆめ上下巻再録本 / 人比良(四面楚歌) ほた。(いよかん。)
東方の同人誌で初めて読んだときの感動が強く記憶に残ってるもの。
幻想郷と秘封の絡み、ほた。さんのかわいく迫力ある挿絵の演出、各章ごとの違う感動や文章から繰り広げられるバトルアクション、 強いオールスター感。秘封好き、また東方好きにはたまらないです。全部がほんとにすごい、好き。
ー睦傘☔️ゟさん
秘封倶楽部 詞彩集成 / 皮、inuatama、tama(発行サークル:!ふぐり)
小説の同人誌というものは、得てして手を出しづらいものです。
表紙だけではどんな作品なのか分からないし、読むのにも時間がかかります。その分、良い作品に出会ったときの嬉しさはほかに代えがたいものがあります。
今回レビューさせていただくのは、表紙にキャラクターが描かれていないという、同人小説の中で最も食指を伸ばしにくいタイプの本です。当然、挿絵もありません。しかし、その中には素晴らしい物語が隠されています。万人受けはしないかもしれませんが、多くの人に読んでもらいたい作品です。
※ここから作品のネタバレを含みます
1.inuatama『新世界にて』
描写が非常に秀逸な作品です。横丁に差し込む夕日は美しく、脳裏にありありと浮かびます。ゾワッとするようなホラー的描写も、メリーの焦燥感をとてもよく表しています。
物語冒頭と終盤のつながりに気づいたときは、「してやられた!」と思いました。何度も読み返したくなる、巧みに練られた美しい作品です。
2.tama『I really really really…』
冒頭は、私たちがよく知るオーソドックスな秘封倶楽部に見えます。しかし、中盤から雰囲気がガラッと変わり、倫理観と道徳を置き去りにしたおぞましいストーリーが展開されていきます。ヘビーな内容に比して文体は軽快かつ物語もテンポが良く、吐き気を催しながらもどんどん読み進めてしまいます。
終盤にかけて物語の重さは増していきますが、クライマックスはそれらに比べてあまりにもあっさりとしていて、非常に後味が悪い。
人を選ぶものであるとは思いますが、こんなお話はふたつとしてありません。傑作です。最後の段落を読み終わったときの衝撃を、多くの人に味わってほしいと思います。
3.皮『月灰圏 花底』
3作の中で、最も秘封倶楽部が冒険しているお話。
軽快な秘封倶楽部のふたりと、堅物の映姫が対照的で面白い。イマイチ噛み合っていない会話は、東方原作を見ているような気持ちにさせてくれます。
そして何より、クライマックスのシーンが爽やかで気持ちいい! 異変はすっきり解決され、清々しい読後感です。
秘封倶楽部の冒険譚を読みたいという方にオススメです。
三者三様の秘封倶楽部を味わえる、とても贅沢な一冊に仕上がっています。
ー醤さん
「災いを運ぶ妖怪」という運命に抗おうとする永江衣玖とその周囲の人妖を描いた歴史物語です。
時は天正十二年、三英傑が世代交代を迎える激動の時代。舞台は大友・竜造寺両家が激しくぶつかり合う九州。阿蘇の噴火を告げにとある集落へ出向いた衣玖さんは、凶兆であるがゆえに、警告を受けた村人たちに撃たれ、捕まってしまいます。人間に関わること、そして何より「凶兆としての自分」の在り方に絶望する衣玖さん。
しかし瀕死の彼女は巡り巡ってたどり着いた黒木の地で領主の娘・柏(ハク)と出会います。柏と親交を深め、その純粋な心に触れた衣玖さんは徐々に心を開き、人間への、そして自身への希望を取り戻していきます。ですがそのとき、黒木の地には戦乱の影が近づいていました。何もかもを飲み込み翻弄する、歴史の大波が……
この作品は歴史物語だけあって実在の人物も登場し、彼らと東方キャラとの交流が細やかに描かれています。運命に苦しむ竜宮の使い、家と父の在り方に悩む少女。厭世の不死人と、重責を担う若武者。友を求める鬼と、鬼と呼ばれた老将。一筋縄ではいかない悩みや、のっぴきならない事情を抱えた人妖ばかりです。彼ら彼女らが互いの交流の中で、戦禍の中で、何を考え、行動したのか。そして歴史の潮流は彼らをどこへ導いたのか。緻密な心理描写と確かな歴史的背景、そして濃密な文章によって、それらが深いリアリティをもって表現されています。
超越者である妖怪でさえも飲み込む時勢において、ふとした瞬間に妖怪たちが見せる脆さや人間くささは、彼女らが本当にそこで生きていたかのような説得力を与えてくれます。その脆さを踏まえてなされた選択を知れば、思わずその先の幸福を願わずにはいられないものです。
本作品には上記の通り、3組の人妖が登場します。それぞれの選択と結末を対比しながら読んでみるのも、面白いかもしれません。特に彼らが見た景色と、その色に注目。随所で挟まれる「色即是空 空即是色」と作品タイトルの意味が分かるようになると思います。タイトルはこれで合っています、書き間違いじゃないんです。
歴史と東方世界の交差する濃密な物語。綿密な調査に裏打ちされた説得力のあるストーリー。ぜひじっくりと、腰を据えて読んでみてください。
ーくろいひとさん
東方Project非公式DataBook2019 / 胡玉(胡玉書厨)
Unofficial、つまり非公式ということ。『なんだ、所詮は非公式の解説書か』と思った方もいるだろう。それなら公式の求聞史紀や神主の解説もある外來韋編でいいじゃないかと思うかもしれない。
たとえば公式書籍だけで全キャラクターを調べるとしよう。
紅魔郷から花映塚は求聞史紀、風神録から神霊廟は求聞口授、ほかにも文花帖や文果真報なども用意しなければならない。そう、非常に手間と時間がかかってしまうのだ。つまりこれは受験生ならば誰もがほしい、要点だけを的確にまとめたノート。それと一緒なのだ。
たとえば紅美鈴を例にあげよう。種族や能力、気質などを取り上げ、キャラクターの説明。そのあとに中国呼びや、読み間違いのくれないみすずなどの二次設定。続くコラムでは紅魔館のモデルになったであろうものの解説、美鈴の服装や名前の由来であろう人物。スペルカード『ゼラギネラ9』の由来など、細かい解説がなされている。
もちろん正しいという保証はない。何が元になり、参考になっているのか。それは神主にしか分からない。だが、ひとつの可能性、参考として知っておく分には損はないだろう。
ー星クーガさん
茨歌仙の後日談を描いた二次創作。
『私に会いたいと第1話から延々ラブコールを送っていたくせに、会えたら即座に封印して黒歴史扱いとかそりゃないだろ』との右腕さんの台詞の通り、華扇と右腕のやり取りをもっと見たかっただけに、こうして同人誌で読めたのが本当に嬉しかった。
この本のおかげで私の中では茨歌仙は全51話です。
ー読至朗さん
貴方と閉める檻のなか / なぎと(げるまにうむ)
この同人誌は私が生まれて初めて参加した例大祭(即売会も初めて)で出会ったものです。
すごく繊細な絵であり、どこか暗い雰囲気でかつ自分の一番好きなキャラクターの幽々子様が表紙だったので即買いしました。
家に帰って読んでみて衝撃を受けたのを今でも忘れられません。あまりにも自分の好みの絵と内容だったのでビックリしました。
絵と本の内容がすごくマッチしている素晴らしい作品です。
ー南無三さん
恋する組長 / ルナティック少年院
乙女のすれ違いをメインテーマに添えたラブストーリー!
千年の時を越え二人の運命は再び交わる!
手掛けるはルナティック少年院の奇才、悪餓鬼氏!
果たして組長の思いは伝わるのか!
笑いあり涙あり、悪餓鬼節炸裂の傑作!
心が荒んだ大人も無邪気な子供も、未だにナイトメアダイアリーがクリアできない私も楽しめる作品です!
ー花映塚は整数タイトルなんだ…誰がなんと言おうと…さん
いつの間にか幻想郷に現れた、次世代のヤマビコ。玄鳥廻向と書いてつばくらえこうと名乗る彼女は、奉られた電波塔から生まれ、「他人の主張を拡散する程度の能力」で幻想郷の外と中の電波を返す中継となっていた。
SNSの投稿は、小さな呟きが大きな反響を呼ぶこともある。外の世界ではなんてことのない日常だけれど、幻想郷ではその響きは「ヤマビコの仕業」と考えられる。響子にそっくりな姿をした玄鳥は、幻想郷に小さな波紋を起こした。それは人妖たちにエコーし、やがて異変と呼ばれるほどに大きな影響を及ぼした。というのが今作の概要。
短編ながら、映画を見ているような没入感があり、作者の膨大な知識から練られた緻密な前半部や、配られたすべての伏線が最後の最後でまとまり、とても重いながら花火のような美しい終わりを迎える瞬間は、人生ではじめて素晴らしい小説を読んだときのようなきらめく興奮と感動を与えてくれる。言い表せないような感情の深いところにある、琴線と呼ばれるようなものに、思い切りぶつかってくる。
私はこの作品の作者が大好きで、深い感銘を受けていた。少なからず自創作などにも影響があり、過去作品を簡単に入手できないのが悲しくてたまらないくらいにこの人の作品が好きだった。
ある日、Twitterとpixivに投稿された「エコーチェンバー」のサンプルを見て、恋に落ちたような心情になった。高揚とワクワクと楽しさが入り雑じった、なんとも言えないむず痒い感触に。その感覚は間違いではなく、実際にとても素敵な内容だった。たちまちに一番のお気に入りになり、何度も何度も繰り返し読み込んだ。細やかな表情や、立ち位置の変遷。セリフの細部に至るまでを覚えるほどに読み込んだ。一回一回の見返しが新しい発見をもたらして、とても幸せになった。ラストの終わり方が一番好きなシーンだった。まさに熱病に侵されていた。好きなものを食べるときのように楽しむことができる。今この文章を書くために読んでも、目頭が熱くなるようなほどに感動した。
本当に「短い短い映画」のようだと思う。だから、しっかりした深い映画が好きな人や、そういう類いの小説が好きな人には、一度は読んでほしい。
ー双葉使用さん
この作品は黒谷ヤマメの恋模様を描いた作品になります。
始終和やかな雰囲気で話は進みますが3章のお空の言葉に心を打たれました。
そして最終章ここですべての答えが出ます。
勇儀のセリフ、ヤマメの質問するときのコマ割り、そしてルビ……ぜひ一度読んでいただきたい、広まってほしいです。
ー丸丸さん
ルーミアがとってもかわいいです!
この漫画はおそらくアナログ画材で描かれ、絵柄にはレトロな味わいがあります。
トーンは少なく、色の濃淡(たとえばパチュリーの髪色)、光や影のかかりはペン画によって表されるという細やかな描き込みを嬉しく思います。画面効果や背景も手描きです。それによって人の目には煩雑でなく、捉えやすい範囲で情景の温かみが伝わってくるのです。
そして何より、セリフも手書きなのです。フォントなし、という作品はなかなかお目にかかれないです。しかし文字も作者の手書きとなるとそれも作品のひとつとして感じるのだから不思議なものです。視覚全体の調和性が高まるのです。これはなかなか真似できません。
web(おそらく原本スキャン)ではスミの濃淡なども分かりますが、印刷された本は綺麗に黒が出ています。黒はお話の中で効果的に使われていますので、これは良いことと思います。
この実本は東方同人界でありがちなB5より小さいA5(コミックサイズ)で制作されているのですが、とても読みやすいです。なので私は描き込みと読みやすさのバランスの参考のひとつにしております。
お話のほうは東方紅魔郷でルーミアが出てくる前、アリスとパチュリーの二人の魔女に森で拾った『十字架』についてレクチャアを受けるというものになります。必然的に基督教の聖人について取り扱うわけですが、それをルーミアという妖怪がどう解釈するのか、という視点で読者はこの上ない『喉越し』を覚えるのではないでしょうか。
しかし何より先に目に付くのはルーミアたちの振る舞いのかわいらしさ、一つひとつの丁寧な描写なのです。
有難くもweb公開されているもので、「ルミノールのほとぼり」で検索すればすぐに読むことができるでしょう。しかし比較すると印刷されたもののほうがずっと良いと感じるので、印刷物というものはよく分かりません。
ーFifiruuさん
僕は彼女を愛することにした / 道草、鳩、yamato 他(発行サークル:ながめ。)
私は中でも「【第八九訓】ジンセイなんてご都合主義だらけ」と「大きな大きな賢将」が特に好きです。
「【第八九訓】ジンセイなんてこ都合主義だらけ」のほうは雛霖で、前に雛霖のシリアス展開を読んでいた私の興味を惹きつけました。
シリアス展開も好きなのですが、やはりハッピーエンドも好きということで考察もはかどりギャグも丁度良い感じで美味しかったです。
「大きな大きな賢将」はオトナズーリンと言うだけでも嬉しいのに、すごくよく考えられた話だと思いました。この合同誌は圧巻でした。私も作品を作ってみようと思った本でした。
ーマスクメロンさん
7年前の同人誌ですがpixivで全編再録公開されています。
この作品は今回の企画趣旨と通じるところがあると思い推薦させていただきます。紅魔館の頭脳と呼ばれるパチュリーなら本の知識も素晴らしいだろう、と慧音先生から寺小屋での読み聞かせの依頼を受けます。
元来の引きこもりであるパチュリーは躊躇しますが色々あり依頼を引き受けたのですが、人前の朗読に慣れていないパチュリーは上手く読み聞かせすることができません。
大人なパチュリーはそのまま帰宅しようとするのですが、その時レミリアに発破をかけられます。「面白い話なんだろ!面白く伝えるだけだろ!アナタは良くても本が泣くぞ!!!」
この言葉を受けパチュリーは……
自分の好きなものを他の人に伝え、感想を言い合ったり考察したり盛り上がる体験は皆さん経験があると思いますし、とても素晴らしいものです。
そんな喜び、楽しさをストーリーに昇華し、オチまで心温まる優しく素敵な物語です。
レミリアの「自分の好きなもので楽しんでもらえるのは嬉しいものじゃない」というセリフに深い感銘を受け、Twitterで感想をつぶやいたりオススメ同人誌を積極的に他人にすすめる原動力となり、今でも色々な機会に読み返す作品です。
ーネコジルさん
今回はここまで。レビューまとめは、今後も数回に分けて掲載いたします。次回をお楽しみに!