東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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インタビュー
2019/11/27

最初は「夢幻創世記」だった!?ZUNさんが名付けた「博麗神社例大祭」、原作者がオンリーイベントに参加してくれる意味

鈴木龍道氏、JYUNYA氏、ビートまりお氏による「博麗神社例大祭」初期、東方コミュニティ黎明期鼎談「第2回」

スペース数は煩悩の数(たまたま)

ビートまりお:
 ちゃんと第一回目スペース数108にしてくださいね。煩悩の数って、俺覚えてるんで。

龍道:
 すごいよね、あれ。本当に108だったんだよね。

ビートまりお:
 「50なわけねえじゃん!」ってずっと思ってたから。何回でも言うけど。

ーー普通に集めてたら50より全然来ちゃった、って感じなんですか?

龍道:
 そうですね。

ビートまりお:
 だから、配置担当すげえ頑張ったっていう話はよく聞く。

龍道:
 もう、泣きながらやっていただいて。チラシも一回目で、4種類。結局、いろんな人に少しでも気に留めてほしいから、チラシも絵柄も全部変えてました。

JYUNYA:
 雨水【※】さんのが一番印象深いな、俺は。すごい人気あったもん。とにかくイラストをいっぱい描いていたし。

【※】 雨水。サークル「みょふ~会」。「東方サッカー」でのイラスト及び必殺技ムービーなどを担当。近年はオリジナルゲーム作品「四季の狂剣」を製作・完成させている。最新の東方二次創作ゲームは「日陰サバイバン」。

ーー東方で一番最初期に二次イラストを描いた人の内の一人じゃないか、ってよく言われていますよね。

ビートまりお:
 そうなの!?

JYUNYA:
 当時、バリバリ描いてらして。だから、この人が描いた、後の東方サッカーとかすごかったよね。

龍道:
 これ、裏面もあるよ。

JYUNYA:
 かわいい~。

「夢幻創世記」って誰が考えたの?

ビートまりお:
 これ割と有名な話題だけどさ、イベントの名前変わったじゃん。どのタイミングだったの? 俺が覚えているのは、「夢幻創世記」の後に“東方鮮心街とうほうせんしんがい”が存在したんだけど。


龍道:

 存在した。でも、名前だけあってチラシはなかった。あれ、ないと思う。

ビートまりお:
 これが、ZUNさん「ダッセエよ何あれ」つって。

龍道:
 ZUNさんに言われて、「すいません変えます」ってなって。

例大祭命名に関するZUNさんのインタビューはコチラ

ビートまりお:
 ZUNさんが「これで行けば?」って。だって、ZUNさんが決めたんでしょ?

龍道:
 「博麗神社例大祭」はもうZUNさんに、「何かお名前をいただけないでしょうか」って確か自分がお願いしたと思う。

ビートまりお:
 メールかなんかで。

龍道:
 そうそう。そしたら、「じゃあ、このお名前使ってください」っていただいて。最初、自分もまだ知識が浅く「例大祭」って意味がわからなくて。後から、ググったら「いいのかこの名前……?」「いいのか本当に?」みたいな(笑)。

JYUNYA:
 分かる!(笑)

龍道:
 「博麗神社の例大祭だよ!?」みたいな。

ビートまりお:
 確かに、大層な名前だよね。

JYUNYA:
 ここで例大祭ってなると、他の神社一切出ないってことになるから(笑)。

ビートまりお:
 完全にね、汚染されてる。Google汚染を最初にやっちゃってる。

JYUNYA:
 日本一有名な神主だからね。

龍道:
 そうそう(笑)。

ビートまりお:
 この名前は誰が決めたの? 「夢幻創世記」って。

龍道:
 あぁ~! 俺だよ(笑)。

ビートまりお:
 何をもってこれになったの?これはこれで別に、悪くないんだよ。

龍道:
 単純に、自分が東方やったときのイメージで、夢とか幻想とかそういうものが強くて。そういう本がいっぱい出るようなイベントになりますようにってことで、その名前にしたんだけど。

JYUNYA:
 創世記ね。いい名前だとは思うけどね。

龍道:
 ただ、最終的にこれ「ドラえもんの映画のタイトルっぽいね?」って言われて(笑)。

一同:
 あぁ~!

龍道:
 それを聞いちゃって「この名前もう絶対無理」ってなって……。

ーーそもそもオンリーイベントに、ジャンルを作った人、一次創作者がいるっていうのが珍しいですよね。それはどういう経緯でZUNさんに出ていただくという形になったんですか?

龍道:
 ごめんなさい、うろ覚えでしかしゃべれないんですけど、もう何も考えずに、例大祭を開きたいと思うので、認めてくださいか何かを送ったのかな。それで、何かしらご連絡をとり合って、「もしよろしければ出ていただけませんでしょうか」みたいな話をして。

ーーでは、直接会いに行って、という感じで。

龍道:
 いや、メールですね。あと、当日イベント用に、ZUNさんが確か、妖々夢の何か持って来てくれていたのかな。

JYUNYA:
 妖々夢の特別版! あった。スコアアタックの。しかも、チューンしてあるんだよ、イベント用に。当時、今と違って、って言い方はあれだけど、体験版専用の何かだったりとか、イベント用の何かって特別チューン版を出していたんですよ。だから、今だったら体験版と正規ってそんなに差はないけど、昔は体験版は特別だった。

ーースコアアタック版にしか入っていない曲が有りましたからね、「妖々跋扈 ~ Speed Fox!」。

JYUNYA:
 そうそう。あと表情が違うとか。俺ね、それやりに行こうとしたら結構いろんな人がやっていたんだよね。全然やれないから見てた。

龍道:
 それ、自分も結局遊べなかったな。

JYUNYA:
 今思うと、すごい惜しかったなと(笑)。

龍道:
 俺、なんであのデータこっそり残しておかなかったかな!

ビートまりお:
 それ思うわ~(笑)。

龍道:
 ちゃんと消したんだけどさ。「ちゃんと消します」っていう約束をして、お貸しいただいて。で、当日消したけど。もったいなかったな……。

ビートまりお:
 「もう一回くれ」って言ったらくれるよ。

龍道:
 いや、俺が欲しいよあれ。

ーー今残っていたら、相当大変なことですからね(笑)。

龍道:
 きっと、ZUNさんのハードディスクのどっかのどっかのどっかぐらいに。

JYUNYA:
 ちょっと話それるんですけど、前にやったデジゲー博で「弾幕アマノジャク ゴールドラッシュ」【※】を出したときに、あれ見て「うわ、昔の例大祭ってこういうことやってたな」っていうのがあって。イベント版を出すっていうことにちょっとワクワクしたっていう。

【※】「 弾幕アマノジャク ゴールドラッシュ」。2014年開催の同人・インディーズゲーム展示頒布イベント「デジゲー博」に上海アリス幻樂団が出展した際に公開されたスコアアタック専用特別版ゲーム。非売品。振るだけで周囲の敵弾を小判に変える打ち出の小槌(本物)を装備し、小判を回収しまくることでスコアを稼ぐ。神主曰く「売り物にならないネタゲームつくるの楽しいです」。

龍道:
 楽しいよね。お祭りだよね。お祭りは素敵。

ビートまりおの「きっかけ」

ーー少し話が戻ってしまうのですが、ビートまりおさんがこの例大祭を知って、そもそも東方をするきっかけになって「これじゃ足りないだろ」と思うきっかけになったのは、どういう経緯があるんですか?

ビートまりお:
 岩手の大学時代、まだ研究室の1年だったときに、4年の先輩が「シューティング好きだったらこの同人ゲームおすすめだよ」って「秋霜玉」を薦めてくれて。「うぉ~、めちゃ曲カッコいいし、すげえおもしれえじゃん」ってドハマリしちゃって、それでZUNさんを知って。そこからZUNさんが紅魔郷の体験版を出すってことを知って、更にZUNさんを追っかけていったって感じですね。だから、自分の中でZUNさんは、ずーっと『めちゃくちゃ良い曲と、めちゃくちゃすげえ弾幕シューティングを作る人』で。それで追っかけていった感じですね。

ーーで、その例大祭があるよってなったときに、岩手にお住まいだったわけじゃないですか。そこで、「行こう」となったのは、「これしかない」という感じだったんですか?

ビートまりお:
 本当は、サークル参加したかったんですよ。2003年のコミケで『STG×STG』【※1】っていう東方アレンジを収録したCDは出していたので。その後に出したのが『東方ストライク【※2】

【※1】「STG×STG」。COOL&CREATE製作のSTG音楽アレンジCD。コミックマーケット65(2003/12/30)にて頒布。東方アレンジは「弾・幕・結・界」「東方紅茶館「STG-FOP」」が収録。
【※2】「東方ストライク」。COOL&CREATE製作の東方アレンジCD。コミックマーケット67(2004/12/30)にて頒布。「疾走あんさんぶる」、「最終鬼畜妹フランドール・S」、インスト版の「Help me, ERINNNNNN!!」などが収録。

龍道:
 すごい、本当に持ってきたんだ。

JYUNYA:
 この頃のCOOL&CREATEがね、一番好き。

一同:
 (爆笑)

ビートまりお:
 わかる、わかる(笑)

龍道:
 お互いぶっこむな! 殺意しかない(笑)

JYUNYA:
 俺ね、「これ出します」ってなったときに、Skypeで「こっそり俺に制作中のくれない」って。

ビートまりお:
 なんか、「BGMとして聴くと制作捗るんだよ」とか言われて。

JYUNYA:
 COOL&CREATEのBGM、アガるんだよ! 映像作ってるときは。……いや、今も!

龍道:
 フォロー遅い!(笑)

ビートまりお:
 この頃のCOOL&CREATEが好きだった人は、「なんでビートまりお歌い始めたんだ」って言ってる。

龍道:
 本当に!?

ビートまりお:
 うん。「最初に歌わなきゃ、こういうカッコいいインストずっと作ってたのに!」って。

JYUNYA:
 俺もそれはちょっと言った。でも、まりおさん歌うめえなと思ったのは、ラグナロクオンラインのCD出したときにおまけで歌ってて、「こいつ歌うめえ」って(笑)

ーー隠しトラックでしたよね、確か。

ビートまりお:
 隠しといえば隠し。ラグナロクオンラインのときは完全に。

JYUNYA:
 うめえなーって思って、その後に「東方ストライク」で「レザマリでもつらくないっ!」かな?何か、最初に歌って。

ビートまりお:
 そうそう。それが初めて。まだ、全然ボーカル曲自体も少なくて。そもそも、当時、同人音楽でボーカルものをやるのがハードルが結構高くて。

【コラム】東方ボーカルへのハードル

COOL&CREATEは勝ち組だった

ーー一回目の参加者の男女比って、どんな感じでしたか?

龍道:
 8割男性だったよね。

ビートまりお:
 コスプレも全員女装だしね。

ーーサークルにも女性は居なかったですか?

龍道:
 わからない……いたとは思う。

JYUNYA:
 俺は見た覚えはない。

龍道:
 1割いたかどうか。

ビートまりお:
 サークル側は結構いそうなイメージだけどね。

JYUNYA:
 ソフトはまずゼロだとして……。

龍道:
 (笑)

ビートまりお:
 初回のカタログ見せて。

第一回博麗神社例大祭のカタログ。裏は併催されていたTYPE-MOONオンリー「魔術師の絆」のカタログ表紙になっている。

ーー絵師さんというか漫画家さんに女性がちょっといて。それで1割切るぐらいでしょうか。

龍道:
 うん。

ビートまりお:
 そう考えると、今はだいぶ増えたな。

ーーその割合って、五回目ぐらいまでは変わらずですか? 参加者でいうと。一般参加は2割ぐらい女性でした?

龍道:
 最初の頃は1割かな……。女性が増えたのって、ビッグサイト以降じゃないのかな。「東方コスプレは女装しかいない」というのが、やっぱり。

JYUNYA:
 四回目ぐらいまでは定番だったね。

龍道:
 そうそうそう。

ーー最近のイベントに東方古文書会というのがあって。この前、そこに第一回のコスプレイヤーさんが来ていたんですよ。六枚しか存在しないというコスプレ参加証を持って来ていて。

龍道:
 凄い!

ビートまりお:
 六人しかいなかったんですか?

ーー六人しかいなかった、って本人はおっしゃってました。

JYUNYA:
 でも「08」って書いてるよ。

ーーTwitterで、3番を持っている人が現れたりして。なんか、ドラゴンボールみたいだなって(笑)

JYUNYA:
 集めたくなるね。

龍道:
 全員集まればワンチャンあるじゃん。

ーーその方曰く、例大祭の時も男性しかいなかったし、その前のコミケで初めて東方の女装コスプレをやったけど、そもそも自分たち以外に東方のコスプレが誰もいなかったはずって仰ってました。

龍道:
 でしょうね。

ビートまりお:
 本当に男しかいなかったもんね、コスプレイヤー。

ーーとなると、あまねさんがいるCOOL&CREATEは勝ち組だったのでは。

ビートまりお:
 そうかもしれない。パチュリーの。確かに。言われてみれば。

ーー言われなくても勝ち組じゃないですか(笑)。

(第3回へつづく)

最初は「夢幻創世記」だった!?ZUNさんが名付けた「博麗神社例大祭」、原作者がオンリーイベントに参加してくれる意味 おわり

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