東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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リポート
2025/12/19

「これまで」と「これから」が交差するナイトセッション。「紅楼Jazz2025」ライブレポート(後編)

『紅楼Jazz2025』ライブレポート後編

 皆さんこんにちは、灯花と申します!

 普段は東方Projectの二次小説を書いていますが、ここ東方我楽多叢誌では、コラム記事レポート記事を書かせていただいています。

 今回の記事は、10月11日(土)に大阪ALWAYS梅田で開催された、東方ジャズオンリーイベント『紅楼Jazz2025』のライブレポート記事の後編となります。

 ※前編はこちら→「これまで」と「これから」が交差するナイトセッション。「紅楼Jazz2025」ライブレポート(前編)(前編)

 今年で11年目を迎えた、紅楼夢のプレイベントとして長く愛されている『紅楼Jazz』。

 今回も大いに盛り上がった大阪の夜を、たっぷりお届けしていきます!



文/灯花
写真/るぅく
編集/土露団子・西河紅葉

 

ベテランバンドにも変化の時?「ついったー東方部」

 紅楼Jazzのホストバンド「ついったー東方部」。

 卒業してしまったsakiさんに代わって、今年はドラムにGUCCHIさんが参加する形に。

 一体どんなアレンジをするのか、胸が高鳴ります!

 

♩原曲:東方妖々夢

 アクトの頭を飾るのはスウィングのリズムがしっかり効いたアレンジ。

 桜の花びらのように降り積もるハイハットに渋いサックスのリード。

 The・Jazzといって差し支えないでしょう。流石というしかありません。

「まさか万博のプレイベントを任されるとは」というtanigonさんの冗談混じりなMCも健在。客席とのコミュニケーションを取りつつ、「宣伝がてらに」と次の曲へ。

 

♩原曲:ヴワル魔法図書館

「ダンマクカグラ」に収録された1曲で、そのためにshort ver.を録りおろしたそう。

 ベースのアルペジオが重厚な本棚がずらりと並ぶ様子を想起させ、その間をピアノのように駆け回る小悪魔たち。

 各楽器の掛け合いで、思いもよらぬお客さんが現れたような、そんな図書館のある日を表すアレンジに聴こえました。

 

♩『Ghost on the hills』 原曲:夜じゃなくてもお化けはいるから

「shibayan records」の東方ボサノヴァから1曲。

 可愛らしい明るいメロディも、このバンドにかかれば一気にジェントルでお洒落な雰囲気に。

 ここのクロウさんのオーボエのリードメロディは音数も多いのに、クッキリ聞こえてかっこいいです。

 

♩原曲:どうせなら命を懸けて謎を解け

 この曲の裏話として、「東方錦上京 〜 Fossilized Wonders.」 の体験版頒布から最速バンドアレンジとしてYouTubeに公開したものの、その直後に「未公開に限る」というルールが課された東方アレンジコンテストが発表されてしまったとのこと。

 ヒロイックなリードがサックスと見事にマッチ。疾走感のある曲調に、各々のソロにも力が入ります。

 

♩原曲:ハルトマンの妖怪少女

「少し冷まそか」とtanigonさんの一言で始まったのは、ゆったりとしたハルトマンのアレンジ。

 あえて四拍子に落としたイントロと情感たっぷりのサックスが、ロックグラスの氷のように、会場を口当たりよく冷やしてくれます。

 

♩原曲:少女秘封倶楽部

 毎アルバムのノルマである秘封曲。低いピアノのアルペジオとバスドラムの上を颯爽と歩くサックスの音色が、路地裏を見つけて胸膨らませる秘封倶楽部の二人を思わせます。

「僕らが弾くと何でもパワー系になるねん」とのことでしたが、秘封倶楽部はこれくらいパワフルでも良い気がします(笑)

 

♩原曲:紅楼

 前曲の余韻を浚うようなサックスのソロで始まるのは、ついったー東方部の定番ナンバー。

 1音1ビート丁寧に紡がれるメロディはエンディングを告げるものでありながら、安心感と満足感を与えてくれます。

 僕はこの曲のラストのメドレーが本当に好きで、ことあるごとに配信を見返してます。

 ホストバンドの名に恥じぬ、全曲正統派ジャズの堂々たる演奏。MCでは度々体力不足を心配する節もありましたが、衰えを知らない熱い時間でした。

 

梅田Alwaysはフードが充実!

お待ちかねのセッションタイム!

 紅楼Jazzのフィナーレを飾るのは、3バンド混成のセッションタイム!

 セッションタイムとは、「コードとメロディがあれば何でもできる」ジャズミュージシャンたちによる、リハなしのガチンコ勝負。

 まさに、ジャズライブならではの醍醐味です!

 

♩『それポーク?いやチキン』 原曲:セラフィックチキン

 Gt.加賀美さん、Ba.杉本さん、Sax.crowさん、Dr.GUCCHIさんと、実質MASH幻樂団v.s.ついったー東方部の編成が奏でる、Unity-Gainのファンクな新曲。

 一発目のワンフレーズから完成度高く、思わず拍手が溢れます。

 ソロ回しでビートが一瞬つまるも、着地は完璧。会場からは歓声が上がりました。

 

♩『Border of life』 ※「ついったー東方部」より

 Pi.O太さん、Ba.2416さん、Dr.96木さんに、バイオリンのruriさんが参加……と思いきや、急遽ピアノを連弾に変更すると、tanigonさんから無茶振りが飛ぶ事態に。さらに……

Saori「会場にピアニストの方はいらっしゃいませんか〜?」

tanigon「金髪!見覚えがあるよ。出てきてくださーい」

??「こんにちはー、ニートでーす‼︎」

 というわけで、東京から駆けつけたアクティブなNeetこと、紅維流星さんが突如参戦し、O太さんの横に並ぶことに。こういったサプライズはライブの醍醐味ですね。

 いつもはサックスがリードのついったー東方部さんのアレンジ作品ですが、ruriさんのしなやかなバイオリンの音色に変わると一段と華やかになり、新鮮な印象がありました。

 ピアノソロはたっぷり二人分の連弾ならではの仕様、途中紅維さんがO太さんを押し除ける微笑ましい一幕も。

「(ドラム)できるかわかんない」とボヤいていた96木さんも、いざ演奏が始まるとカホンとシンバルでダイナミックにビートを刻み始めます。

 キメのストップが噛み合わなさそうなところも、機転機転を利かせてうまく締め直すなど、スキルフルなシーンも盛り沢山。心地よい空間がその場を包み込みます。

 

♩『Bad Apple‼︎』

 最後はMASH幻楽団からの挑戦状、有名アレンジのジプシージャズver.!

「最後お祭りで行こう」とtanigonさんが呼び出したのは、Ba.2416さん、Dr.GUCCHIさんにPa.96木さん、リードはruriさん、crowさんと大所帯。そして……

tanigon「流星さん東京から車で来たのに、運転してないらしい。……ということは運転した奴がいる」

tanigon「しかも(車に)管楽器が積んであったらしいねん……いるぞ、出てこい!」

 と、名指しされて会場後方からサックス担いで登場したのは、「Accord on codes」のキノ爺さん。

 3人のリードの協奏だけでもアツいのに、GUCCHIさんのドラムと96木さんの皮系楽器の掛け合いと繋ぎが完璧で、会場は大盛り上がり!

 途中から紅維さんも参加して、まさに「フィナーレ」にふさわしい、楽しい演奏でした。

「ソロは短めに!」と釘を刺されてはいたものの、9分間たっぷりと聞かせていただきました!

 

新しい「紅楼Jazz」、いつもの「紅楼Jazz」

 今年も、お洒落にアツく盛り上がった「紅楼Jazz2025」。

 中でもMASH幻楽団の「ジプシージャズ」が激烈な印象を残してきました。

 Unity-Gainが4人での活動を再始動すると発表したり、ついったー東方部にも新メンバーが加入したり、何かと“新しいこと”が立て続けに起きたイベントでした。

 その一方で、過去に「紅楼Jazz」やバンドに参加していた仲間たちが、飛び入りで参加したり、配信でコメントしたり、様子を訊ねたりと、“いつもの”安心感もありました。

 長く続いてきた「東方」と「Jazz」がつながる「紅楼Jazz」という場で、この日「これまで」と「これから」が交差したのではないかと感じました。

 この「変わり続けるけど懐かしい場所」を見守っていきたいと感じさせる、素敵な夜でした。

 スタンディングのライブよりゆったりと、美味しいお酒と食事を楽しみながら、翌日の即売会に想いを馳せる夜を過ごしたい方は、是非一度参加されることをオススメします!

 この記事が少しでも「紅楼Jazz」に興味を持つきっかけになれたら幸いです!ありがとうございました!

 

「これまで」と「これから」が交差するナイトセッション。「紅楼Jazz2025」ライブレポート(後編) おわり