東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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リポート
2025/12/18

「これまで」と「これから」が交差するナイトセッション。「紅楼Jazz2025」ライブレポート(前編)

『紅楼Jazz2025』ライブレポート前編

 皆さんこんにちは、灯花と申します!

 普段は東方Projectの二次小説を書いていますが、ここ東方我楽多叢誌では、コラム記事やレポート記事を書かせていただいています。

匂いで楽しむ推し活のススメ ~東方推し香水のセカイ~

匂いで楽しむ推し活のススメ

 今回の記事は、10月11日(土)に大阪ALWAYS梅田で開催された、東方ジャズオンリーイベント『紅楼Jazz2025』のライブレポートとなります。

 今年で11年目を迎えた、紅楼夢のプレイベントとして長く愛されている『紅楼Jazz』。

 今回も大いに盛り上がった大阪の夜を、前後編の2回にわたってお届けしていきます!



文/灯花
写真/るぅく
編集/土露団子・西河紅葉

 

配信に救われた今年の紅楼Jazz

 東方ライブイベントは、一年前の『紅楼Jazz2024』が初めての参加でした。

 東方ライブとしても、またJazzライブとしても初めての体験で、京都の山奥からウキウキで出てきたのをよく覚えています。

「東方」という共通言語で繋がった、熱意ある圧巻のライブ。それが昨年僕が感じた『紅楼Jazz』でした。

ジャズ初心者でもOK!昼から楽しむ音楽のひととき「紅楼Jazz」ライブレポート(前編)

『紅楼Jazz2024』ライブレポート前半

 あれから早1年。生活圏が京都から東京へと移った僕は、物理的にも精神的にも、紅楼夢が遠いものに感じていました。

 それでも、あの日聞いたスウィングのリズムが忘れられず、ライブ会場に向けて大阪行きの昼行便バスに乗り込みました。

 ……が。

 今年の紅楼夢は大阪万博2025の最終週と大被り。さらに東名高速道路では、足柄ICまでに交通事故が3つも発生し大渋滞。

 その結果、バスの中で開演時間を迎えてしまう、まさかの事態に陥ってしまいましたが、そこは懐が深い紅楼Jazz。

 私のような参加者を想定していたのか(?)、今年もYoutubeの同時配信があったおかげで、冒頭の演奏を見逃すことなく楽しむことができました!

 主催・運営の皆さん、本当にありがとうございました!!

 さて、実際にこの映像を見ていただくと分かると思いますが、実は「紅楼Jazz」のYoutube配信、カメラワークが凝っていて、各演者さんの演奏風景をしっかりと見ることができます。

 時おり配信運営されている方のお茶目が発動したり、コメント欄に過去の「紅楼Jazz」の演者さんが現れたりと、配信にしかない楽しみも随所にあります。

 まだ未視聴の方は、今回のライブレポート記事と合わせて、ぜひ一度ご視聴してみてください!

▲開演から30分ほど遅れての現地入り
▲会場内は満員の観客たちで埋め尽くされていました

 

いよいよ開幕!

 オープニングMCは「Re:volte」のsaoriさんと、執行部のお二人(tanigonさん、O太さん)。

 「今年は準備があるのでミックスピザを頼んでほしい」「配信の投げ銭は5万円ほしい」と冗談混じりにお願いを挟みつつ、「紅楼Jazz2025」は幕を開けました。

▲こうして飲食を共にしながらゆっくり音楽を楽しめるのも、紅楼Jazzの醍醐味

 

Jazzはセカイをめぐる「Unity-Gain」

 Kawaii Jazzを提唱する現在3人編成のバンドサークル、「Unity-Gain」。

 人手不足を「弾ける楽器の数」でカバーするパワフルな方々。準備の時点でJazzらしからぬ琉球サウンドが聞こえてきますが、本日の楽器セットは如何に…?

 

♩『Awakening4』

 Unity-Gainの看板「スチールパン」とピアノの導くイントロの後、なんとレミリア様が沖縄の伝統楽器「三線」を弾き出す衝撃映像からスタート。

 シンコペーションの効いたアルペジオがボサノヴァを感じさせる意外な組み合わせ。

 昨年はマンダリンを弾いていたitEdokeさん、撥弦楽器なら何でも弾けるのでは?

 イントロ後のMCは、メンバー紹介とちょっとしたご報告。

 なんと、長らく海外に出ていたDrのalpsさんが帰国。次回より、めでたく4人編成に戻ることに。

 果たしてコスプレ率は下がるのか、乞うご期待。

 ところでJazz成分はここまでとのことなんですが…、まだ始まったばかりですよ?

 

♩『Origin in Ruins』 原曲:天空のグリニッジ

 原始的なパーカッションのリズムの上をピアノの風が優しく撫でていく、そこは崩壊した世界。

 間に覗く重厚なベースが、無秩序に覆い茂る緑を纏ったグリニッジの煉瓦造りを思わせる、とてもオシャレな1曲でした。

 

♩『The Chimera engine』 原曲:恋色マスタースパーク

「東方界隈ではアリスがよく魔理沙をキメラにしているので…」とitEdokeさんが作曲したアングラでダークなマスパアレンジ。

 繰り返される呪文のようなイントロが印象的なアレンジでした。果たしてアリスの狂気混じりの悲願は達成されたのでしょうか…。

 

♩『Cottony Dreamy Euphoria』 原曲:永遠の春眠、宇宙を飛ぶ不思議な巫女

 今年の秋季例大祭の新譜ジャケットであるドレミーをモチーフに、春っぽい優しくてKawaiiなアレンジ。柔らかいスチールパンの音色が、ゆったりとした曲調によく似合いますね。

O太さんによると、眠たげで春っぽい色をした、別ジャンルのあるキャラソンからオマージュがあるとのこと。皆さんわかりましたか?

 

♩『五里六中、羽音ふたつ』 原曲:ルーンネイトエルフ、おてんば恋娘

 霧中を大妖精とチルノが飛び泳ぐ湖畔を思い起こさせる、掴みどころのない十一拍子のアレンジ。

 練習中に六拍子のリフを乗せるitEdokeさんの悪ノリから端を発したとのことですが、パーカッションを叩き分ける96木さんの演奏が見事で、リズムをロストせずに走り切る御三方の実力たるや。

 演奏後には客席から感嘆の声が漏れていました。

 

♩『Maidful Chrono Ronde』 原曲:メイドと血の懐中時計、フラワリングナイト、月時計 〜 ルナ・ダイアル

 最後は咲夜曲3つのかっこいいところを全部詰めこんだ激アツアレンジ。

 素早く捌かれるスチールパンの響きは、凛としながら愛らしい咲夜さんのイメージによく合います。

 今年も、情景を感じさせる「セカイ系Jazz」で会場を温めたUnity-Gainの御三方。

 特に最後の曲は「ドラムがいて完成する曲」とのことだったので、是非4人になったUnity-gainで聞ける機会が楽しみです!

 

サークル歴2年のベテラン集団⁉︎ 「MASH幻樂団」

 お次は東方系ライブ初登場、去年の9月に活動を始めたばかりの期待の新星サークル「MASH幻樂団」。

 Jazzの中でもジプシージャズを得意とする、弦楽器中心の5人組。

 バイオリンのruriさんはジプシージャズを広めるためにどうすればいいか、と行きつけの美容師さんに相談したところ、「じゃあ東方をやればいいよ!」と激推しされて始めたとのこと。

 ギターの加賀美さんも東方のファンだったこともあり、1週間後には”幻”樂団が発足……と、活動もスピーディだったそうです。

 今回はバイオリン、ギター、コントラバスのトリオ編成での出演。さて、一体どんな演奏を見せてくれるのでしょう。

 

♩原曲:ラストリモート

 挨拶がわりの1曲目は、神秘的なイントロから始まるこの曲。

 情熱的なギターとコントラバスの伴奏、滑らかなバイオリンのビブラートが、会場に草原の風を運んできてくれるよう。

 緊張感が高まった後の壮大なサビに、伴奏を細かくしてスピード感を出すなど、ジプシージャズの特徴を活かしたアレンジに仕上がっていました。

 

♩原曲:ハルトマンの妖怪少女

 打楽器のない編成なのに緩急の弾き分けが見事で、サビはしっとりとさせつつも、特徴的な変拍子は、コントラバスのクリック音も相まって緊張感のある仕上がり。

 ソロも技量を感じさせて聞き応えがあるアレンジでした。

 

♩原曲:亡き王女のセプテッド

 バイオリンの静かで優雅なメロディと、軽快なギターの伴奏が曲調の早いフラメンコを思わせるような、力強くダンサブルな1曲。

 加賀美さんのギターソロではruriさんの掛け声も飛んでいました。

 

♩原曲:真夜中のフェアリーダンス

 正確に刻まれるコントラバスのリズムに、素早く高低に変化するメロディ。

 異国の森の夜に、光が舞う妖精のパーティを思わせるバイオリンの響きが、会場をグッと引き込んでいました。

 

♩『都落ち』 ※MASH弦楽団オリジナル曲

 スラップが心地よい軽やかなリズムと仄かな寂寥感あるメロディが、草原を走る馬車から見える風景を思いこさせるオリジナル曲。

 オッフェンバックっぽい一節を挟みつつ、終盤になると突然スピードアップ!

 加速するリズムに客席は盛り上がり、手拍子を送る人も見られました。

 

♩『Friend like me‼︎』 ※「アラジンと魔法のランプ」より

 夏に発表されたディスニーのジプシージャズアレンジアルバムから一曲。

 原曲が結構ジャジーなだけあって、アレンジの相性は抜群。マカフェリギターの独特のサウンドが魔人ジーニーのイメージによく合いますね。

 

♩原曲:幽霊楽団

 弦楽器でまとまった幽霊楽団ですが、3人とは思えないほど音が豊か。サビに入ったときに上がるテンポが、原作のひりつきとワクワク感を思い出させてくれます。

 ルナサのバイオリンは鬱の音ですが、ruriさんのバイオリンは速弾きの安定感もあってとても陽気な印象で、楽しげなアレンジでした。

 

♩原曲:U.N.オーエンは彼女なのか?

 開幕の五拍子に中盤のトリルと難所が多いこの曲も、BPMを一切落とさずに疾走感マシマシで突っ切る超技巧演奏。

 終わって開口一番「今の曲難しいね」と苦笑いするruriさんでしたが、お見事です。

 ここから加賀美さんがギターをアメリカの楽器「バンジョー」に持ち替え、一層イケイケな楽曲が披露されます。

 

♩『Tiger rag』 ※MASH弦楽団オリジナル曲

 開幕から、今までの何よりハイテンポな演奏を繰り広げ、会場を驚かせていきます。

 杉山さんのコントラバスソロも、こんなに早く弾けるんだ!と驚きがありました。

 各楽器の掛け合いが追いかけっこしているような、コミカルな印象の曲でテンションが上がりますね。

 

♩『チルノのパーフェクトさんすう教室』 原曲:おてんば恋娘

 ピチカートから始まるユニークなイントロは、この場の誰もが聴いたことのあるIOSYSの『チルパ』!

「なんだ、原曲じゃないのか」と言われることもあるとかないとか(笑)

 その完成度の高さに、会場全体が思わずクラップで答えます。

▲このCメロの加賀美さんの楽しそうな顔を見てほしい。楽しいのが一番。

 

♩原曲:感情の摩天楼

 僕がここまでジプシージャズを浴びて、一番聴いてみたいなと思っていたアレンジが登場。苦難に満ちた聖の長い旅を思わせる部分やメロディアスなサビが、裏打ちの効いた伴奏にあっていてノレる一曲に仕上がっていました。

 オリジナルも含めて11曲も披露してくださった御三方の演奏に、tanigonさんも「(東方を提案した)美容師に投げ銭したい」と大喜び。

 頒布されてるCDには、もう一人のギタリスト・吉原圭亮さん、2枚目のCDからは「ガチタンバリン奏者」大石竜輔さんも参加されて、さらに迫力ある演奏になってます!

 デモ音源がYoutubeに上がっているので、こちらも要チェックです!

(後編につづく)

「これまで」と「これから」が交差するナイトセッション。「紅楼Jazz2025」ライブレポート(前編) おわり