東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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リポート
2024/11/27

ジャズ初心者でもOK!昼から楽しむ音楽のひととき「紅楼Jazz」ライブレポート(前編)

『紅楼Jazz2024』ライブレポート前半

 皆さんこんにちは、灯花と申します!

 普段は東方で同人小説を書いていたり、こないだは推し香水の記事を書かせていたただきました。

 今回の記事は、東方ジャズアレンジサークル「ついったー東方部」が主催するジャズオンリーのライブイベント紅楼Jazz」のライブレポートです。

 2014年から始まり、今年で10年目を迎えるこのイベントは、ライブイベントの中ではかなり歴史のあるイベントとなっています。

 そんな「紅楼Jazz」に今回初めて参加した私が、ライブ前半の模様についてお伝えいたします。

文/灯花
写真/るぅく
編集/土露団子・西河紅葉

 

ぼくと東方イベント、そしてジャズ

 ぼくは関西生まれ、紅楼夢育ち。紅楼夢とは、今年の10月6日の開催で20回目を迎えた、関西最大規模の即売会です。

 「紅楼Jazz」は紅楼夢の前日イベントとして毎年開催されており、いつもは仕事に追われて参加する機会に恵まれませんでしたが、今回は運良く参加することができました。

▲「紅楼JAZZ2024」のフライヤー ※公式HPより引用

 一方でぼくが知っている「JAZZ」と言えば、お店のBGM程度。往年のナンバーさえ「聞けば思い出せるかも…」といった状態。

 そんな素人でも、頭に「東方」と付けば、不思議と興味が湧くもの。魔法の言葉に導かれ、ぼくは梅田のライブバー「梅田ALWAYS」に足を向けたのでした。

▲今回のライブイベント会場「梅田ALWAYS」

 皆さんは、ライブハウスと言えばどんなのを思い浮かべますか? 少し段差があるステージと、ステージ柵のついた空間が出てくるのはぼくがロック好きだからでしょうか。

「紅楼Jazz」の会場である「梅田ALWAYS」は、JR大阪駅から徒歩15分程度。雰囲気のある黒い半月アーケードの階段を降りると、沢山のフライヤーがお出迎え。

▲ライブハウスっぽいな〜、と思いつつ入店。
▲後ろの棚には、沢山のお酒と磨かれたグラスが並んでおり、その横にミキサーが鎮座しています。調理器具ではなく、音響機材の方。

 入ってすぐ目につくのは、なんと年季の入ったバーカウンター。フロアにはカフェバーのようにテーブルとイスが組まれ、最奥がステージになっています。

 グランドピアノやドラムの置かれたステージは客席と完全に地続きで、最前の席との距離は、30cmもありません。

 そして目を引くのは、フロアに掲げられた大きな2つのモニター。

 この会場には配信用カメラが複数完備されており、見えにくい後方席でも映像とともに演奏を楽しむことができる優れモノです。

 バーとライブハウスが渾然一体となった独特な空間が本日の会場です。

 

開場

 例年の「紅楼Jazz」は夜の開催でしたが、今年は昼開催。11時半、開場と同時に続々と一般参加者が入場してきます。

 客層は昨今の東方即売会と変わらず、学生さんからベテランの東方オタクまで。海外から来られた方もちらほらと居ます。

 紅楼夢にしては珍しい晴れということもあって、半袖シャツのラフな格好が多い印象。格式張ってなくていいですね。

▲ステージ上にはたくさんの楽器が所狭しと並んでいます

 席は先述の通りテーブルごとに分かれているので、少人数で参加する場合は相席が前提です。席が埋まると、店員さんがドリンクオーダーを取りに来てくれます。

 ドリンクメニューはソフトドリンクを始めとして、各種アルコールはもちろん、ノンアルコールカクテルまで揃ってます。

 アルコール片手にジャズが聴けるなんてぼくも大人になったもんだな……。迷いに迷って、ぼくはジンバックにしました。美味しいね。

 開演の10分前にはフロアも超満員。それもそのはず。なんと事前予約の時点で満席だったそう。なんとか全員座れるよう、スタッフさんたちがイスを追加で手配してくださいました。

 ぼくと相席したグループはなんとはるばる中国からいらっしゃったとのこと。他にも海外からの参加者も見られ、非常に熱を感じました。

 MCのサークル「Re:Volte」のsaoriさんとサークル「舞々」のにしじままいさんからイベントの紹介や諸注意がアナウンスされ、いよいよ12時。開演のお時間です。

▲お二人のレイマリコスも可愛かったです

 

ジャズで世界一周? Unity-Gainさん

 開場時からステージ中央に据えられた謎の楽器「スチールパン」。

 こちらをリード楽器としてKawaii Jazzを制作されているサークル。それが今回のトップバッター、Unity-Gainさんです。

 スチパンの奏でる不思議な響きのイントロ。重なったピアノが弾き継いだと思ったら……さっきまでスチパンを演奏していたはずの咲夜さんが、いつの間にか小太鼓を抱えてません?

 トルコの打楽器「ダラブッカ」の小気味いい打音が変拍子を描き出すと、メロディもアラビアンに転調。一瞬のうちに気持ちが中東へ飛びました。

 拍手の後にピアノのO太さんの「こんば…違…、こんにちは〜」でひと笑い。「新譜が間に合わなかったお詫びに、今日はほぼ新曲です!」という同人らしいワードが飛び出したところで、2曲目へ。

 

♩「pasaporte al infierno」原曲:霊知の太陽信仰 ~ Nuclear Fusion

「おもしろパーカッションセット(by O太さん)」から繰り出されるラテンのビートで、今度は太陽の降り注ぐ南アフリカへ。

 力強いピアノのメロディとコンガの打音が、燦々と降り注ぐ地底の太陽を彷彿とさせます。

 アレンジを担当されたパーカッションの96木さんは「地霊殿ラテン化計画」を目論んでいるらしいので、今後のアレンジにも注目ですね。

 

♩「雨と陽だまり」原曲:神は恵みの雨を降らす ~ Sylphid Dream

 再びスチパンについた咲夜さんの横に、ベースを弾いてた諏訪子ちゃん(itEdokeさん)が登場。取り出したのはスペイン発祥の「マンドリン」。

 スチールパンとマンドリン、ピアノのメロディが守矢神社の三柱のようにぴったりと寄り添っていて癒される一曲でした。

 

♩「雪解水流る」原曲:魔法の笠地蔵

 今度は日本に戻って日本らしい曲を、とのこと。名作ゲーム「ひぐらしのなく頃に」にインスパイアを受けた一曲で、ピアノソロでは某鳥の詩みたいなフレーズも聞こえたり聞こえなかったり……? 

 アドリブの遊び心もライブならではですね。

 曲紹介で噛みまくったO太さんが、配信テロップで「雪解けおじさん」といじられる一幕も。

 ここからは「ついったー東方部」のsakiちゃんさんをゲストに、グッとJazzらしい曲を二曲披露。

 

♩「旧約と幽体」原曲:バーオールドアダム

 軽快なswingパートとフワフワとしたシンセパートが交互に訪れる、個人的に好きな曲。

 オシレーターが効いたシンセに合わせて、程よく酔いが回ってきた体をゆらゆら。

 音源で聴く時もお酒欲しくなっちゃう。

 

♩「招かない猫の1日」原曲:妖異達の通り雨・大吉キトゥン

 スチールパンの丸くて可愛らしい音が、陽だまりをお散歩するミケちゃんの足取りのよう。伴奏の優しさも相まって、まさにKawaii Jazz。

 最後に向かって走り出すようなビート変化も、気まぐれな猫らしさが感じられました。

 人手不足に起因してとにかくいろんな楽器が出てくるので、ライブ映えする一席でした。

 

スタッフさん大忙し

 演奏中でも追加オーダー可能なこのライブ。ドリンクやフードの注文がひっきりなしに飛び交っていました。

 中々動線も取りづらい会場で、スタッフさんも提供に精一杯頑張っておられました。

 ぼくもこのタイミングでドリンクをおかわり。

 今度はレモンの酸味が効いたジンフィズにしました。おつまみのチーズクラッカーも量が多くて満足。

(後編につづく)

 

ジャズ初心者でもOK!昼から楽しむ音楽のひととき「紅楼Jazz」ライブレポート(前編) おわり