東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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チルノでもワカル!おえかきのハナシ「フリルの話~前編~」 #チルワカおえかき

イラストレーター粗茶さんのおえかき講座

 こんにちは、粗茶です。7月、夏休みですね。そろそろ梅雨も開け外は猛暑がえげつない状態になってきました。こんな時こそ涼しい屋内でおえかきです。

 前回は、色のお話をざっくりとしました。欲しいイメージを表現するために、色って大事なんですよね。ちなみに粗茶は基本的に最後の調整を色でどうにかすることが多いです。色、とても大事。

 さて今回は、フリルの話をしようと思います。お待たせいたしました。

 そもそも「フリルって何?」から「どうしてフリルは難しいのか」「フリルがあるとどうして絵が上手に見えやすいのか」そんな感じのお話をしようと思います。

 なんでもそうですが、理論を頭に入れて、実際にやってみるのが上達への近道です。算数で答えだけ教えられても、改めて自分で計算しようとした時に出来ないことが多いですよね。

 おえかきも同じです。感覚でわかる方は感覚でやってしまっても良いと思いますが、でも知識に裏打ちされた技術は強いんです。本当に感覚だけで絵を描いて大成している人は少ないです。「ふーんそうなんだ」くらいでいいので、覚えておいてくださいね。

 今回も「わからん!」がちょっとだけ、ひとによっては劇的に「ワカル!」に変わるかもしれない、そんなおハナシのための下準備です。

 

そもそもフリルってなんだ

 フリルといえば? と聞かれたら、「なんか袖とかスカートについてるなみなみのもの」くらいの印象の方、多いのではないでしょうか。

 当講座は「当たり前」の解説が目的なので当たり前のことから話します。フリルは、布です。

 服とかマントとか、身体にまとうものは基本的に布でできています。布……もっと分解すると、糸が縦と横に織られたものですね。例外はありますが、基本はコレです。

 この布をさまざまなルールで折ったり寄せたりして作るのがフリルです。

 一番基本的なフリルの構造はこんな感じ。昔ツイートした画像そのまま置いときますね。

ちなみにフリルの理屈を覚えるとスカートやマントも上手く描けるようになります。だって、すべて布ですから。

 

フリルってむずかしい?

「フリルって描くのが難しい!」というおハナシをよく聞きます。なんか形状が複雑ですもんね、わかります。苦手な人から見たら「手」と同じくらい、書きづらくてイヤなんじゃないでしょうか。

 でも基本を覚えれば、実はフリルってそこまで難しくないです。もちろん美しいフリルを描くのは難しいですが、それなりの形までだったら、とても簡単なんです。

 覚えておくと良いコツが3つあります。

①フリルには基本ラインと支点がある

②フリルには山と谷がある

③フリルには裏と表がある

この3つを抑えればそれなりのフリルが描けます。

 

フリルには基本ラインと支点がある

 フリルは(面)布と、それを支える点から出来ています。フリルの作り方にもよりますが、基本的な点の説明として今回はスカートの下についているフリルで解説しましょう。

 フリルには基本となるラインと、支点があります。この支点から出ている線がフリルの描き方講座でよく言われる「八の字形に線をひけ」の正体です。

 この支点はフリルの作り方で大きく変わるので、現実の衣装ではどんなフリルがあるのかを調べてみるのも面白いのでおすすめです。

 

②フリルには山と谷がある

 山は手前に来るところ、谷は奥にある部分です。ここの段差を上手く描けるとフリルがフリルらしくなります。

 

③フリルには裏と表がある

 キャラクターの奥に見えているスカートの裏側のフリルを書こうとするときは、先ほど話した山と谷が逆になります。

 この裏表を理解していないと騙し絵のように見えてしまうことがあります。がんばって描いたのにそうなったら勿体無いですよね。

 

フリルがあると絵が上手く見える?

 フリルがあると絵が上手く見える気がする!! ……ここ、気になりますよね。実際にその印象は間違っていません。そう見えるのにはちゃんとした理由があります。

 ちょっと難しいハナシですが「情報量」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。

 書き込みや線の数が多かったり、色の種類を増やしたりテクスチャなどを使ったりして、一枚のイラストがもつ要素が多くすると、なんだかいい絵に見える気がします。これは絵の「情報量」が増えたから感じることで、情報量が多い絵からは受ける”圧力”の大きさが違います。

 もちろん多ければ多いほど良いというわけではありませんが、スカートなどの面積が多い東方キャラの場合フリルがあると、画面にメリハリとリズムが生まれやすくなり、一枚の絵を見ている時間が長くなりやすいのです。ひいては、印象に残りやすくなるわけですね。

 百聞は一見にしかずです。見比べてみましょう。1枚目はフリルが少ないレミリア。

2枚目はフリル盛り盛りなレミリア。

 どうでしょうか。印象がぜんぜん違いますよね。2枚目の方が「長く見ていたくなる」と思いませんか? これが「情報量を増やす」ということです。

 この「情報量」というお話はこれからも色んなところに出てくると思います。なので、ちょっと覚えておいてもらえるとうれしいです。

 がんばって描いたらすべて報われる……というわけではありませんが、情報量が多い部分≒フリルがあると、しっかり描いている、がんばって書いていることがわかりやすくなりますよ!

 

まとめ

 ①フリルはそもそも布

 ②理屈を知ればそこまで難しくない

 ③フリルがあると絵がワンランクアップする(かもしれない)

 

次回は

 今回はフリルの考え方のお話でした。次回は実践編、よりすぐに使えるフリルの描き方のおハナシをしていこうと思います。

 

余談ですが――現在「博麗神社例大祭キッズイラコン」募集中です

 毎年開催されている「キッズイラストコンクール」。もう今回で6回目です。粗茶は今年も審査員として参加していますので、これを読んでいる小中学生の方はぜひ参加してください! くわしくはこちら。

 これまでの5回分の受賞作品が、よみうりランドでのぼりになっていたりもしていますね。開催期間が8月半ばまで期間が伸びていますので、行ける方はぜひ遊びに行ってみてきてください。

 この夏も東方が熱い! それではまた次回お会いしましょう~。

 

チルノでもワカル!おえかきのハナシ「フリルの話~前編~」 #チルワカおえかき おわり

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