東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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コラム
2023/03/28

“派生しやすさ”が、コミュニティを渡り新たな流行を生み出していく。あなたはどこで東方動画を観ていますか?「東方動画から考える動画という作品形態」

第12回東方発表会より、発表で使用されたスライドを掲載

 東方の二次創作は同人誌や音楽アレンジだけではありません。原作のキャラクターや設定を元に「考察」を深める、という楽しみ方があります。原作だけではなく、二次創作や東方にまつわるさまざまな情報を元に、新たな観点や解釈を導き出したりすることもあります。

「東方発表会」は、東方に関する考察発表、関連する巡礼先の紹介、おすすめ同人作品の紹介、好きなキャラの推薦・詳説、自分自身の東方二次に纏わる創作論まで……東方にまつわる内容であればなんでも発表OKの、東方プレゼンイベントです。

第12回東方発表会開催概要 ー https://twipla.jp/events/526502

 2023年1月7日開催の「第12回東方発表会」で公開されたスライドを、発表者のご許可をいただいて掲載いたします。

※掲載に際し、発表時の内容から編集や情報更新が入っております。

 

東方動画から考える動画という作品形態――考察の前に

今回の東方発表会では「東方動画から考える動画という作品形態」という発表をしました。

なお、この発表は第14回東方ニコ童祭の生放送企画で個人として放送した「ニコニコ動画と東方動画を考察する」の内容を再編集したものです。この記事での掲載にあたって一部編集しているので、東方ニコ童祭版とも東方発表会版とも異なる部分があります。

ニコニコ動画と東方動画を考察する(外部サイト)

ということで、この発表は自分語りから始まります。

 

私の視聴履歴・投稿履歴

この「東方のプレゼン発表イベント」というのが、第10回東方ニコ童祭の生放送企画「上海考察会2018」であり、その発表が「月の民の東方紺珠伝」の初演です。

稀神サグメの本当の目的は何だったのか?“月の都の遺産”について考察する 「月の民の東方紺珠伝 The Mystery of “Legacy of Lunatic Kingdom.”」

 

最高再生数の東方動画で見るニコニコ動画

ここだけでも色々考察出来ることはありますが、この発表では派生動画に注目します。

 

東方に限らず、いろいろな人気動画の元動画や派生動画、そしてコンテンツツリー構造を調べてみても面白いかもしれません。

 

 

派生しやすさの変化

ここから、動画の派生について考えていきます。

以上、前半のまとめでした。

 

東方動画を投稿できる場所

ここからは動画を投稿できる場所と投稿される東方動画について考えていきます。

ある程度東方動画がある場所だけ例示したので、探せばまだまだあると思います。

 

この発表の冒頭で話しましたが、全ての動画を把握しているわけではないので、一部の動画ジャンルの話とはズレていたり説明が無かったりするかもしれません。

 

とにかく多様な動画があるので気になったらタグ検索して動画を見てみてください。私のnoteの記事「ニコニコ動画の楽しみ方/動画の探し方」も参考にどうぞ。

ニコニコ動画の楽しみ方/動画の探し方(外部リンク)

 

ゆっくり関連の動画は多いですが、私は海外ユーザーの動画を見ることが多いです。

私の投稿動画は、一部だけ伸びています。コメント欄から察するに、伸びているものは海外ユーザーの影響が大きいようです。

 

どんな動画があるか気になったら2018年~2022年の「东方华灯宴」や「2023东方新春宴」あたりを見てみてください。

中国の同人における東方については、東方我楽多叢誌の過去の記事も参考になるかもしれません。

東方我楽多叢誌の「中国」タグがついた記事

 

動画を見るために使うというより、他のものを見るついでに東方動画が流れてくる、という使い方になることが多いかもしれません。

 

音楽に合わせた動画が流行する様子は、ニコニコ動画での『チルノのパーフェクトさんすう教室』の踊ってみた動画の流行や、同じ曲を使った「東方一発ネタ動画」の流行と近い性質があると私は思っています。

 

もちろん投稿スタイルはそれぞれあると思うので、あくまで私のスタンスです。

 

私の偏見から始まり私的な話で終わりましたが、発表したスライドはこれで終わりです。

 

おまけ――「じゃぱにーずごぶりん!」の流行系統樹

これはスライド発表とは別に、調べていくうちに楽しくなってしまったので作ったものです。

ということで2枚の画像にまとめたので紹介していきます。

 

発表で説明した創作コミュニティを枠で表し、創作コミュニティを飛び越える様子を図にしました。

始めは同人の東方ジャンル内での派生ですが、2011年にニコニコ動画の東方カテゴリに派生後、約10年後の2021年11月にYouTubeの海外コミュニティに派生して「JAPANESE GOBLIN」というミームを形成しています。

海外への派生とは別派生として、Twitterには白上フブキ氏が歌ってみた動画を投稿されています。

 

2021年11月にYouTubeの海外コミュニティでミームとなった「JAPANESE GOBLIN」は、同時期の2021年11月にグローバル版がリリースされ海外でも人気のソーシャルゲーム「ブルーアーカイブ」の曲『Unwelcome School』とマッシュアップされます。

そんな中で、白上フブキ氏の歌が使われた動画がYouTubeに投稿されます。その後の繋がりは分からなかったのですが、同じ元音源で作ったマッシュアップの曲を使った動画がTikTokで投稿され、音声引用による派生動画が増えていきました。

特に海外ユーザーに派生する時やTikTokに派生する時には、文脈の消失により曲名などの扱われ方が変わるなどして新しい派生になっています。

さらに詳細に調べた内容はnoteに書いたので参考にどうぞ。もし気になる流行があったら、このように派生の過程を調べると面白いかもしれません。

『ジャパニーズゴブリン』という「砕月アレンジ」「白上フブキ」「Unwelcome School」の要素を持つ曲がTikTokで流行っていたので徹底的に調べたら、さらにいろいろな要素が関わっていた話(外部リンク)

 

ということで、この発表や記事を通して東方動画やその派生に対する理解や興味を深めたり、実際に色々な動画を見たり投稿したりするきっかけになれば幸いです。

 

【追記】23/03/29 0:39 このスライドの初出時期に関する、冒頭のテキストを追記いたしました。

 

東方Project情報・評論系オンリーイベント『Re:幻想郷フォーラム2023』2023年6月25日に開催。参加サークル募集中!

2019年の開催から4年ぶりに、『幻想郷フォーラム』が復活します!

開催は2023年6月25日、愛知県・ポートメッセなごやです。東方名華祭との同時開催となります。

現在参加サークルを募集中です。募集締切は2023年5月10日まで。詳細は公式サイトをご覧ください。

公式サイト https://gensokyoforum.info/

Twitter https://twitter.com/gensou_forum

“派生しやすさ”が、コミュニティを渡り新たな流行を生み出していく。あなたはどこで東方動画を観ていますか?「東方動画から考える動画という作品形態」 おわり

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