東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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コラム
2020/07/14

稀神サグメの本当の目的は何だったのか?“月の都の遺産”について考察する 「月の民の東方紺珠伝 The Mystery of “Legacy of Lunatic Kingdom.”」

東方発表会オンラインより、発表で使用されたスライドを掲載

 東方の二次創作は同人誌や音楽アレンジだけではありません。
 原作のキャラクターや設定を元に、「考察」を深める、という楽しみ方もあります。原作だけではなく、二次創作や東方に纏わる様々な情報を元に、新たな観点や解釈を導き出したりすることもあります。

 「東方発表会」は、東方に関する考察発表、関連する巡礼先の紹介、おすすめ同人作品の紹介、好きなキャラの推薦・詳説、自分自身の東方二次に纏わる創作論まで………東方にまつわる内容であれば、なんでも発表OKの、東方プレゼンイベントです。

 4月25,26日に行われた「東方発表会オンライン(第0回:発表再演企画)」。そちらで公開されたスライドを、発表者の方のご許可を頂きまして掲載していきます。
 7月23,24日には、「第1回東方発表会オンライン」の開催も予定されています。

 【7/23・24】第1回東方発表会オンライン ー https://twipla.jp/events/448981

東方にまつわる様々な観点の発表をしたい / 見たい / 聴いてみたい! 7月23・24日開催「第1回東方発表会オンライン」・スライド発表「東方発表会について」

 今回掲載するのは、3Gmさんの「月の民の東方紺珠伝 The Mystery of “Legacy of Lunatic Kingdom.”」です。東方紺珠伝の少々複雑なストーリーを、図を交えて解説しています。

 

前書き

 2015年の5月10日に体験版、8月14日に製品版が頒布され、今年で5周年となる東方紺珠伝。
 今でもなお多くのファンがいる作品である一方で、複雑な設定やストーリーなどによりなかなか理解が難しい作品だと思います。このスライドでは私なりに東方紺珠伝の関係する原作設定とストーリーの流れを解説し、レガシーとは何か東方紺珠伝とは何かを考察していきます。

 なおこのスライドは以下のURLでも公開しています。別のエピソードでは過去の発表スライドも公開しています。

https://seiga.nicovideo.jp/watch/mg475551

 

The Mystery of "Legacy of Lunatic Kingdom."

 申し遅れましたが、私3Gmと申します。以前「神様アイドル えびす☆えいか」のスライドを掲載させて頂きました。今回の東方発表会オンラインでは私の好きな要素が詰まった稀神サグメ様そして月の民に関する発表をしました。

 スライド下部にありますが、この発表は第10回東方ニコ童祭の生放送企画「上海考察会2018 ~ Lotus Land Presentation」が初演であり、今回東方発表会オンラインで一部修正して再演したものになります。
 ちなみに今年の7月3日~7月5日には第12回東方ニコ童祭が開催予定です。

 

 スライドはこのような構成となっております。それではまず目標を見ていきましょう。

 

 

月の裏表と月の都

地上と同じように月も結界で隔たれていることを図の左右で対比しています。

 

 この地形図のより鮮明な画像は出典のURLからどうぞ。

https://www.gsi.go.jp/chirijoho/chirijoho41003.html

 

 

東方紺珠伝までの作戦の流れ

 純狐といえば「嫦娥よ。見てるか!?」のセリフが有名ですが、このルートではこのセリフはありません。

 

 ここまでの話の流れを見ていくと、二つ疑問点が出てきます。

 

 omake.txtに「純狐もまた、月の都を攻めあぐねていた」とありますがその理由は書いてありません。

 

 生命力で封殺されている状況でのイーグルラヴィの移動方法についても疑問が出てきます。
 この二つの疑問点はサグメの能力を説明したあとで考察していきます。

 

口に出すと事態を逆転させる程度の能力

 この能力は、東方紺珠伝4面ボスで月の民である「稀神サグメ」の能力です。複雑な能力なので、どう解釈するか、話題にあがることも多いかと思います。
 私は、原作の描写とキャラ設定の説明から、次のスライドのように“三つの要素”に分解して考えました。

 

 ここから私なりに感覚的な部分を減らし論理的に解釈したのが次のスライドです。

 

 BがAの三倍起こりやすいとしたら、AがBの三倍起こりやすくなることを逆転としています。ただし絶対に起きない事象は逆転しようがないため絶対に起きないままです。
 東方紺珠伝では主人公の力を試したのは、主人公が生命の星計画を失敗させる事象が絶対に起きない事象ではないことを確認するためです。
 三つの要素に着目して東方紺珠伝のストーリーでの能力の発動を見てみましょう。

 

 まず一つ目の話した相手が誰なのかということです。
 主人公に関しては東方紺珠伝までの作戦の流れのスライドで説明したので、ドレミーに関して能力の発動を見ていきましょう。

 

 次に二つ目の話した内容が何なのかということです。omake.txtからこの二つが推測されます。

 

 そして三つ目のどう事態が逆の方向に進み始めたかということです。
 このようにどちらも失敗することになりました。

 

 ではなぜ命じたことで失敗させてしまうサグメが命じたのでしょうか。 これが三つ目の疑問点です。

 

 それではこの三つの疑問点を考察していきましょう。

 

純狐が攻めあぐねていた理由

 この疑問点に対しては、クラウンピースと妖精たち、純狐、ヘカーティア・ラピスラズリについて、それぞれ考察していきます。

 

 東方Projectにおける穢れの概念の定義は複雑ですが、ここでは定義の話は省き性質に着目していきます。

 

 このような状況だったため、純狐は妖精たちに「もし、月の都から出てくる者があったら、何をしても良い」と言ったと考えられます。

 

 純狐が行き方を知らないことは、今まで繰り返し月の都を襲っていながらも、復讐を成し遂げることができなかった理由にもなります。

 

 ヘカーティアの持つ強さゆえにこのような状況になっていたことは、疑問に残ります。

 

 月の都のレベルを超えていると記述されたヘカーティアと違い、強大な力を持つと記述される嫦娥と能力の説明しかされてない純狐に関しては、強弱関係は不明です。なのでこのような作戦をとっていたと考えることができます。
 この考え方をすれば、エキストラステージ名や最後のスペルカードにもつながってきます。

 

月の都からの移動方法・サグメが命じて失敗した理由

 綿月豊姫の能力に関する記述から、夢の月の都から地上の移動はできる可能性があります。

 

 あくまで私が考察した場合の話ですが、これらの理由は無いとしました。そして私は次のように考えました。

 

 このように作戦が失敗するように仕向けていた理屈は通るのですが、

 

そこで私はこう考えました。

 

サグメの本当の目的ー月の都の遺産とは

 このように考えた上で原作の記述を見ていきましょう。

 

 ここまで東方紺珠伝までの話でしたが、東方紺珠伝の後はどうなったのでしょう。

 

 つまり、東方紺珠伝は「永琳の罪に対しての物語」だと考えました。ここで最初に立てた目標を考えます。

 

 ここで目標となる解答は出ましたがもう少し考えてみます。

 

 こう考えると、紺珠の薬が必要と考えた永琳と、無くても問題ないと考えた月の民側との、認識の差の理由となります。

 

 このスライドは私なりの解釈が含まれていますが、このようなサグメと純狐の持つ敵対関係が私はとてつもなく好きです。サグ純。

 

 それでは改めて最初に立てた目標を考えてみましょう。

 

これで私の考察は終わりなのですが、あと少しだけスライドが続きます。

 

最後に

 

 最後になりますが、スライド作成で参考にさせていただいた方々、この発表の初演及び再演で関わった方々には改めて感謝申し上げます。

 

【2023/04/03追記】冒頭、東方紺珠伝製品版のリリース日付を修正

 

稀神サグメの本当の目的は何だったのか?“月の都の遺産”について考察する 「月の民の東方紺珠伝 The Mystery of “Legacy of Lunatic Kingdom.”」 おわり

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