「你好(ニーハオ)」と「谢谢(シェシェ)」しか中国語を話せなくても何とかなる!?海外の同人イベント参加経験ゼロの筆者による、台湾&上海の同人イベント弾丸参加レポート!➁(台湾FF〜上海上陸編)
海外の同人イベント参加経験ゼロの筆者による、台湾&上海の同人イベント弾丸参加レポート➁
海外の同人イベント参加経験ゼロの筆者が、台北と上海の各同人イベントに弾丸参加してきた体験レポート。本日はその第2回をお届けします。
○台北(8月18日)
・『Fancy Frontier 開拓動漫祭41』(即売会イベント)←今ココ○上海(8月19日~20日)
・『魅知幻想博覧会2023星虹澄空』(即売会イベント)※一部サークル出展者として参加
・『幻奏盛宴コンサート 2023上海場』(コンサートイベント)
・『東深見演壇 2023上海場』(フォーラムイベント)
・『第十一回上海THONLY東方露明境』(ライブイベント)
前回の記事に続き、今回は台湾FF〜上海上陸までのレポート記事になります。
それではご覧ください。
もう人しか見えない
会場に入った瞬間、僕の目に飛び込んできたもの――それはとんでもない熱気の渦に包まれた、暴力的ともいえる怒濤の人混みでした。
よく夏の花火大会や冬の初詣などで現地レポーターが「身動きができないほどの人だかり」ですとか、「前にも後ろにも身動きができないほどの群衆」といった表現をすることがありますが、そんなレベルではありません。
明らかに会場のキャパシティーはとっくに飽和しているにも関わらず、入口からは絶えず参加者たちがドバドバと湯水のように押し寄せてくる状態ですから、自分が行きたい方向があったとしても、人波にもまれて別の方向へとさらわれてしまいます。会場内の冷房もまるで追いついておらず、「コミケ雲」が発生した2013年のコミックマーケット84をはじめとする、コロナ禍前までの往時の同人即売会を彷彿させる過酷な戦場と化していました。
初参加でありながら、このような鉄火場の会場を撮影・取材するのは明らかに無理難題なのですが、ここまで来た以上は引き下がるわけにはいきません。大混雑の中もみくちゃにされながらも、会場内を一回りして下見を終えたところで、上條さんと館外に設置されたインフォメーションセンターに向かいます。会場内の撮影許可をもらうためです【※】。
【※】今回の取材では、事前に編集部サイドから各イベントに対して撮影許可の申請などを行っていなかったため、基本的にその場で直接現地スタッフと交渉をした上で許可を得ていく取材スタイルでした。当然、僕はまったく中国語を話すことができないため、上條さんをはじめとするサポーターの方々が通訳として間に入っていただき、交渉を行ってくれました。
上條さんが中国語でスタッフに交渉し始めてしばらくすると、撮影許可が無事におりたようで、メディアパスを貸与していただくことになりました。
その際にいくつか注意点を言われたのですが、その中の1つに「えっちなものは基本、写さないようにすること」というものがありました。ここだけ聞くと「なんだ、簡単じゃん」と思われる方も多いかと思いますが、実はこれがとんでもなく大変なのです。
というのも、台湾の法律的に成人向けの同人作品であっても、日本と違って性器にモザイクや黒塗りといった修正を行う必要は基本的にございません。ですので、会場内には当然そういったものがわんさか溢れておりまして、その……あとはもう言わなくても分かりますよね? そういうことです。ここはFancy Frontierでもあるのです。
ともあれ、運営から許可をいただけたので撮影に挑んだのですが、とにかく会場内の人混みがすごすぎて、会場全面の写真を撮ろうにも人の頭部しか写すことしかできません。仕方なくカメラを天に突き上げるような形で写真を撮ろうとしますが、今度はどすけべえっちポスターたちがそれを許してくれません。たとえば、こんな風に。
このように様々な障壁に阻まれてしまって、なかなか思うように撮影できなかったのですが、かろうじてモザイクをほとんど入れることなく会場内の様子が分かる写真が撮れたのがこの1枚。
いかがでしょうか? これらの写真から、イベント現地の雰囲気を少しでも感じ取っていただけると嬉しいです。
雲霞の海を泳いで
さて、ここからは個別にいくつかのブースをピックアップして紹介していこうと思います。
最初に会場内の企業ブースエリアから。
東方ジャンルからは、人気イラストレーター・藤ちょこ先生のイラストをもとに製作された、フリュー株式会社の博麗霊夢1/7スケールフィギュアの巨大ポスターがとりわけ会場内で大きな存在感を放っていました。その場に立ち止まってQRコードを読み取り、商品の詳細を確認する人たちも多く見られました。
続いて同人ブースエリアに移ります。
東方の二次創作関係で出展しているサークルは全体の母数から比較すると少なかったのですが、それでもいくつかの東方同人サークルを見つけることができましたので、その一部を紹介します。
まずは台湾で活動をされているイラストレーター、秋橘さん。新刊のイラスト本では、西行寺幽々子にちなんだ桜の木肌のような質感の表紙を用いるなど、非常に雰囲気のある作品を多数頒布していました。
余談ですが、僕はこのタイミングで初めて「海外同人即売会で作品を購入する」という実績解除に成功しました。
お買い物の仕方はとても簡単です。欲しい作品を指さして、google翻訳で「请给我一个这个(これを1つください)」と表示させたスマホの画面を見せればOK。あとは値札に書かれている金額分のお金を手渡せば完了です。
幸い、サークルの方は簡単な日本語でしたら通じる方でしたので、とてもスムーズに行うことができました。拙い中国語で「谢谢 (ありがとうごございます)」と僕が言うと、「ありがとうございました」と向こうから日本語で返ってきて、なんというか、すごくホッとした自分がいたのを覚えています。
「この場に自分のような異国の人間がいてもいいんだ」という安堵感もそうですし、同じ”東方が好き”という者同士が国という垣根を超えて互いに言葉を交わして通じ合えたことに、心の底から嬉しく思えました。
続いてチルノの同人漫画を頒布していたサークル「修修咻ACG」さん。
上條さんを交えながら詳しくお話を伺うと、実はこのチルノの同人漫画は「天之風SP」という別のサークルを主催するご友人さんからお願いされて、委託頒布しているとのこと。しかもそのご友人さんは台湾ではなく、中国本土に在住している方でもありました。
繁体字と簡体字とで違いはありますが、中国語という同じ漢字圏の中で密な交流が行われていることを知り、東方Projectのグローバル化を改めて実感した瞬間でもありました。
一方で、日本から参加している方も複数いらっしゃいました。
東京アクティブNEETsさんやTAMUSICさんといった、日本の東方音楽サークルが多数ブース展開していました。
また、東方漫画サークルにおいても日本から参戦している作家さんがいらっしゃいました。
以前、東方我楽多叢誌のこちらの記事でも登場した「Reverse Noise」主催のやむっさんと、「あかぎれ堂」主催の逢魔刻壱さん。
お二人ともこれまでに何度もこの即売会に参加しているようで、非常に慣れた様子で手際よく購入者を捌いていたのが印象的でした。
さて、館外に出ますと開けた場所に飲食スペースがありまして、ここではコスプレイヤーさんたちの撮影会場となっていました。もちろんここに東方のコスプレをしているレイヤーさんもいらっしゃったので、上條さんとともにその場で許諾を得ながら撮影していきました。
上條さんが気になって尋ねたところ、台湾において東方のコスプレを行う方の多くは、商業寄りの本格的なコスプレ活動というよりかは、ファン同士の交流を目的としてコスプレ活動するケースが多いそうです。
曰く、”ニコニコや文化祭に近いノリ”とのことで、3枚目のような兄弟同士や、4枚目5枚目のように仲の良い友達同士でコスプレし合う様子からも、その雰囲気を垣間見ることができます。
本当はもう少し会場に長居したかったのですが、そろそろ上海行きの飛行機便が近づいてきたので、会場を後にして松山空港へと移動します。
コラム:えっちブックの購入について
入管インフレイム
あたりが暗くなり始めた午後5時半。台北を飛び立ち、急ぎ上海へと向かいます。
到着予定時刻は午後7時だったのですが、航路上に積乱雲が発生していたのか、大きく迂回して飛行したため、上海の虹橋空港には1時間ほど遅れて着陸しました。
空港到着後は入国審査のゲート前に設置された臨時入国カードに必要事項を記載して、あとはそのカードとパスポートを審査官に見せて入国するだけだったのですが、ここにきてまたしてもトラブルが発生します。
今回の旅程を改めてお伝えすると、8月17日に日本を出発して同日17日~18日を台北、18~21日を上海で過ごして日本へ帰国するスケジュールになっています。
上海での滞在時間は、トランジットビザ免除条件の144時間以内ではあるのですが、旅程上の滞在日数は目的地である台北が1日、対する経由地である上海が3日と、本来の目的地よりも経由地での滞在日数が3倍ほど長いことを不審に思ったのか、突然複数の審査員に囲まれて1人別室へと連れていかれ、そこで中国語と英語を交えながら詰問される事態に。
僕は中国語を一切話せませんし、英語も学生時代に取得した英検3級で止まってしまっているものですから、審査員からの質問に答えるのも大変です。
「Please speak slowly.」「Please tell me again.」を何度も繰り返しながら、身振り手振りで必死に中卒程度の英語で説明をすること小一時間。ようやく誤解(?)が解けたのか、その場から解放してもらい、無事上海へと入ることができました。
ですので、この記事を読んでもし来年に上海の東方同人イベントに合わせて渡航を考えている方がいましたら、今回の僕のように止むに止まれぬ事情がある場合を除いては、経由地での滞在日数が目的地の滞在日数を上回らないようにスケジュールを調整するか、事前に中国のビザを発行してもらってからの渡航をオススメします【※】。
※同日、中国のビザを取得した状態で上海に入国したohkaさんは、このような事態にはならなかったそうです。
その日はホテルに到着して遅い夕食を口にした後、ベッドで泥のように眠りました。
第2回はここまでになります。
次回はいよいよ上海THOの様子と、上海コンサートまでをレポートします。
※今回記事に取り上げた旅程
8月17日
午後11時半 FF会場内へ
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取材
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午後2時半 FF会場発
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午後3時半 台北・松山空港着
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午後5時半 台湾出発
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午後8時 上海・虹橋空港着
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入国審査で拘束
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午後10時 ホテル着
「你好(ニーハオ)」と「谢谢(シェシェ)」しか中国語を話せなくても何とかなる!?海外の同人イベント参加経験ゼロの筆者による、台湾&上海の同人イベント弾丸参加レポート!➁(台湾FF〜上海上陸編) おわり