2023年 上海開催東方ライブ 上海THONLY 第11届『东方露明境』レポート ~中国東方音楽サークルファンの、最も熱い一日(後編)~
2023年 上海開催東方ライブ 上海THONLY 第11届 东方露明境レポート
4年ぶりの開催となった、中国の東方音楽サークルファン待望のライブイベント『上海THONLY 第11届 东方露明境』。
6時間にもおよぶ、ほぼ休憩なしのぶっ通しライブイベントもいよいよ折り返しに差しかかった。
後編でも引き続き、熱気に包まれる会場の様子をお届けしていこう。
→前編はこちら。
2023年 上海開催東方ライブ 上海THONLY 第11届『东方露明境』レポート ~中国東方音楽サークルファンの、最も熱い一日(前編)~
2023年 上海開催東方ライブ 上海THONLY 第11届 东方露明境レポート
文/ohka
編集/土露団子
act.7 フーリンキャットマーク
上海初公開、フーリンキャットマークの登場だ!
まずは『ダイヤモンドレートシティ』。
上海の夜、19時のParty night。
おしゃれで可愛くてポップで、少しレトロ。
少し様子見だったフロアも、曲が鳴り終わった瞬間には大歓声!
おしゃれで可愛いは全世界共通言語なのだ。
谷高マークさんの「南京東路、ビューティフル、メニーピープル。コミケ?」で、会場が笑いに包まれる。
いつもと変わらぬ様子に、思わずほっこりしてしまう。
そんな中で始まった次曲『ロングロングロンド』。
サビで三拍となる本曲は、ライブ慣れしている日本人でもちょっと戸惑うが、フロアも頑張ってついていく。
ここいる観客たちは、楽しむための姿勢が圧倒的に強い。
最後はきれいにリズムが揃い、一体感が生まれる。感動に心が湧く。
3曲目『あたしまにあ』。おしゃれで可愛いの洪水が次々と押し寄せてくる。
これらの曲を聴きながら、上海フランス租界のレトロなカフェで気だるいティータイムを過ごしたいものだ。
曲が終わると、観客から歓声とともに日本語で「最高!」の声が上がる。その声に、こちらまでなんだか嬉しくなる。
ここでサプライズ、本イベント主催の氧気(ヨウキ)さんが登場。
氧気さんは先日ご結婚されており、そのリクエストということで『Baby prayer』が流れ始める。
末長く幸せに結婚生活を送ってほしい、という気持ちで演奏される一曲。
会場一帯が幸せな空気に包まれていく。
そんな中で、とどめと言わんばかりに繰り出されるラスト曲『女の子ダイヤル』。
「この東方アレンジがすごい! 2020-2021」で『この東方アレンジが超すごい!賞』を獲った名曲だ。
本誌でもレビューされた本曲、可愛いが過ぎる。
「『女の子ダイヤル』は東方アレンジの未来を拓くのか」東方アレンジ楽曲レビュー『女の子ダイヤル』/フーリンキャットマーク
東方アレンジ楽曲レビュー『女の子ダイヤル』
可愛いものに目がない中国東方ファンたちである。
フーリンキャットマークが、その心をがっちり掴んだことは疑いないだろう。
しかし勿論、中国も負けていない。
筆者イチオシのサークル、 瘋帽子茶會(Mad hatter Tea)だ!
act.8 瘋帽子茶會(Mad hatter Tea)
darkxixinさんの登場に、再びフロアから歓声があがる。
まずは2023年の新譜から『幻夢のワルツ~Valzer da sogno』。
瞬間、衝撃を受けた。とんでもない歌唱力!
高く、強く、長く、そして何より美しく歌声が響く。
歌い終わり、MCに入る。なにやら「Habanella」と仰っている。
そしておそらく、フロアに「手拍子を入れてね」とお願いしているようだ。
――マジですか?
筆者の期待に違わず、朗々と『Habanella』を歌い始める。
本日2回目のガッツポーズが出た。
もう、最高。
オペラ調アレンジではあるが、聞けばすぐに原曲「輝く針の小人族 ~ Little Princess」を思い浮かべる本曲。
曲の終わりに近づくにつれて、次第にBPMが上がっていく難曲である。
この難曲をライブで、しかも配布音源を超える力量で歌うdarkxixinさん。
どんどん速度が上がる本曲、筆者のように何回も聴き込んでいないと手拍子は難しいだろう。
だが、フロアも負けじと頑張って食らいついてくる。凄い!
その一体感に、感動して少し涙が滲んでしまった。
続いて、盟友とも言えるサークル「幻想诗篇(Xanadu Canto)」の核弹阿茶さんの登場に、フロアからまたもや大歓声があがる。
なんと今回のライブで唯一のコスプレ、旧作ゆうかりんでの登場だ。
スラッとしたイケメンの核弹阿茶さんにぴったりの出で立ちだ。
darkxixinさんと核弹阿茶さんのコンビプレイで『无何有之乡』が流れ始める。
二胡って、立って弾けるものなのか……。
そして当然、演奏のレベルが凄まじく高い。
darkxixinさんの伸びのある高音があるからこそ、核弹阿茶さんの二胡と綺麗に調和するのだろう。
darkxixinさんが退場し、幻想诗篇(Xanadu Canto)さんへ!
act.9 Xanadu Canto
「竹取飛翔 ~ Lunatic_Princess」から『慷慨高歌』。
美しい民族楽器のアレンジ、心に響かない訳がない。
しかもこれは竹取飛翔アレンジ、「えーりんえーりん!」の大合唱が巻き起こる。
これは中国でもお約束ということか。
フロアの一体感も最高潮に高まる。
続く次曲では、まさかの『東方獣王園 〜 Unfinished Dream of All Living Ghost.』に登場する孫美天のテーマ曲「タイニーシャングリラ」から『释厄』!
間違いなく世界最速であろう。
原曲に二胡が入るので、まさにうってつけ。
上海の夜に響く美しい二胡の音色。
我を忘れて聞き入ってしまった。
演奏が終わって核弹阿茶さんが去ろうとすると、フロアから「茶哥牛逼!(茶兄さんくっそ最高!)」コールの嵐。本当に愛されている。
ここからはラストに向けて、日本のサークル3連続。
まずははにーぽけっとだ!
act.10 はにーぽけっと
「上海紅茶館 ~ Chinese Tea」「明治十七年の上海アリス」から『門前愛パラダイム』。
気持ちいいくらいストレートな中国楽曲で先制攻撃。
フロアを一気にはにーぽけっとの世界に塗り替える。
あきさんの「大家开心吗!?(みんな楽しんでる!?)」に、フロアからは「开心!!!(最高!!!)」の声。
フロアのペンライトは、はにぽけテーマカラーの黄色へ。
TsubakiのN-apoleonさんが通訳に入るが、やしーさんの軽妙なトークで
「もしかして、通訳なくても通じてる?」というフロアとのコミュニケーションぶり。
あまりにもフロア練度が高い。
続く2曲目は『招け!豪徳寺!』。
1000人以上の東方ファンによる「にゃーにゃーにゃーにゃー」コールはまさに圧巻!
そのまま『ユメクイ未来』『透明不純物』とコールアンドレスポンスをいれながら、アップテンポな曲でフロアの熱気を繋いでいく。
あきさんも「みんなの声が大きくて、うれしい!」と喜びを声に出す。
そしてサプライズ!
TUMENECOからYukinaさんが登壇し、コラボ曲『約束のStarry Night』『星空カフェテラス』を歌唱!
美しいツインボーカルの秘封曲からしか得られない栄養が、中国東方ファンの臓腑に染み渡っていくのだった。
続けてトリ前、TUMENECOのステージだ!
Act.11 TUMENECO
早速、フロアから「TUMENECO大好き!」のコール。
海外に日本語でこのようなコールが出来るファンがいる。すごいことだ。
1曲目は『ひとつよがりの逃避行』。
ずっと早い曲が続いているが、観客たちの熱気が衰えない。
ペンライトを激しく振り続けている。
やったことのある人にしかわからないかもしれないが、何曲も腕を振り続けるのは激しく体力と腕の耐久値を消耗する。
これぞ、広い中国全土から上海に集まった1000人を越える猛者たちの気合の現れと言えよう。
TUMENECOらしく『セレクト』『サテライトは浮かぶ恋の夢を見るか?』とコズミックな秘封曲が続く。
フロアもうっとりと聴き入っている。
中国の東方ファンの中でも、秘封にはすこし特別な愛があると感じた。
そして最後は当然、『星を廻せ月より速く』!
待ってましたとばかりの大歓声!
フロアも、となりのお兄さんも、サビを歌う。
日本語で歌っている。
フロアではペンライトの星が廻っている。
上海の夜に廻る赤と青の星々に、ただただ見入っていた。
そして、ついに本日の大トリ、森羅万象がステージに上がる!
act.12 森羅万象
フロアからは本日最大の大声量で「森罗万象!!!(森羅万象)」コール!
まずは『カリスマ煉獄天神』。
いわずもがなとばかりに、フロアから合唱と合いの手が入る。
曲の大サビ「愛してくれますか?」でフロアも狂喜。
わかる、わかるぞ。
曲が終わって「谢谢!」の挨拶に、再び大歓声が上がる。
これまではペンライトを振っていたフロアで、 ついに縦乗りジャンプが始まる。
抑えきれない感情の発露だ。
僅かな転換時間以外に休憩時間なしのライブも6時間を超え、酸欠も不思議ではないこのフロアだ。
森羅万象への愛が、皆を突き動かしている。
3曲目『無意識レクイエム』。
息つく暇もない、大人気曲の乱れ打ちだ。
イントロが流れただけで二階席が揺れるほどの熱狂。
体感的にはあっという間だったが、演者からの「最後の曲です」の言葉に、フロアからは「今来たばっかり!」との返答。
この文化も完全に中国に根付いているようだ。
そんな中で始まったラスト曲は『三妖精SAY YA!!!』。
フロアに残ったすべての生命力を絞り出せとばかりに。
フロアに、上海に、中国全土にはちきれんばかりの声が響き渡る。
「「「は!は!は!は!」」」
「「「それ!それ!それ!それ!」」」
「「「は!は!は!は!」」」
「「「そいや!そいや!そいや!そいや!」」」
アンコール
休み無しで6時間以上経過しているにも関わらず、間髪入れないアンコール。
中国東方ファンの皆さん、一体どんな体力をしているんだ。
まずは、中国サークルの皆さんが登壇。
続いて日本のサークルの皆さんが登壇して、ご挨拶。
最後のアンコール曲は、中国サークル中心に全員参加の『万華千鳥』!
最後に記念撮影で終了。
フロアからはひときわ大きな「東方最強!!!」「東方大好き!!!」が途切れることなく響き渡るのだった。
ライブは無事終幕。時計を見ると、閉会予定を1時間ほど延長しての21時だった。
フロアの熱気に完全に蒸し上げられた筆者は、かつてない満足感とともに会場出口に向かった。
会場出口では名残惜しそうに、帰路につく大勢の中国東方ファンによる「紅楼 〜 Eastern Dream…」の大合唱が行われていた。
こうして夢のような一日は、紅霧異変の夜明けのように幕を閉じたのだった――。
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