『最高の60分の体験を得ることができるCDをご存知ですか。』 東方アレンジCDレビュー「東方泡沫天獄」/IOSYS
東方アレンジCDレビュー
東方アレンジで最高の60分の体験を得ることができるCDをご存知ですか。
みなさま人それぞれ、好きなサークル、好きなCDはあるとは思います。が、これだけはまじで東方のおたくにとっては、完全にパーフェクトなので紹介させてください。エクスペリエンスを体験せよ。
(ぜひYoutubeの再生ボタンを押してから以下のレビューをお楽しみください)
「知っているのかにとり?!」
本作のリリースは2008年冬コミ、時期的には例大祭で緋想天が、夏コミで地霊殿が出た年で、爆発的に東方が人気になったと言っていい年かもしれません。そういった意味でも、”バブル”をテーマにしたタイトルは、今思えばかなり的を射ています。
一般的に人間のおたくにおける痛さの最大瞬間風速はだいたい15~17歳で訪れると言われており、まさにこの時期は自分がそのタイミングを迎えていました。
その当時は当然ながら財布も芳しくなく、即売会の時期が終わる度に今はなき魚町銀天街地下のメロブに通い、それぞれ担当するサークルのCDを買い、ご学友とシェアするのが青春でした(そんな青春で大丈夫か?)。その時に出会ったのがこのCDです。
もちろん大御所イオシスのCDはそれ以前から聴いていましたが、このCDだけは当時と、そして今も、再生ボタンを押すだけで特別な最高の60分にいざなってくれます。
ミュージカルのようにストーリーが展開していき、魔理沙とにとりがライブ会場で緋想天と地霊殿のやつらに揉まれ、なんやかんや、てんやわんやしていく様子が描かれています。
「地球のみなさま、あけましておめでとうございます」
今回この作品をご紹介しようと思った理由ですが、思い出補正、電波のトガリ具合で手放しに褒めているのではなく
「楽曲の質」「(独自の解釈を含む)世界観」「通して聞くことの意味(曲順の構成)」「そのサークルにしかできないこと」「東方project愛」…を足して評価したときに、本作品にまさる音楽体験はないと思ったからです。
そんなスゲエ作品がどういったものなのかは下記に紹介します。
「あれか? 今 不景気だから… 余計にああいう よくわからんのが流行るのか…?」
CDをトレイに入れ、再生ボタン押した瞬間の異質さには皆もお気づきになることでしょう。CDの注意事項とお知らせが始まります。ウソだろ。親切!!!(ニッコリ)
魔理沙ちゃんとにとりちゃんが、ザ正月ソング(春の○?)を口ずさみながら謎の2人組が、CDの再生にあたっての注意事項・お知らせを丁寧に教えてくれます。謎の2人組が誰なのかはTr.14で判明しますが…
用法用量を守らず過度にリピートしすぎると社会的な健康を失う恐れについても言及してくれます。助かるなあ!!!(ニッコリ)
私はリピートしすぎたので有頂天変のどのアレンジを聞いてもAメロが「何をされてもいいわ 気持ちがいいなら」にしか聞こえなくなる深刻な副作用を負いました。気をつけようね。
“本CDには、過去の作品に見られたようないわゆるガチ曲といった真面目な作風の作品は
一曲も、ありません。”
構成は、第1幕から第4幕までのミュージカル?があり、それらの間に登場人物たちを中心とした曲(天子、衣玖、さとり、にとり、魔理沙、燐、綿月姉妹)と、モリヤ一家の○○教室(なにこれ?)を挟む形でストーリーが展開していきます。
これがおもしろいことに、ロック、ポップ、クラブ、フォークソング?なので収録曲のバランスがいいです。電波CDとは言いつつも、単体の曲はしっかり聴ける構成になっていて、意外とお母さんに聞かれても大丈夫なCDです。(Tr.2 有頂天マゾヒスティックの「らめえええええ!」以外は…)
また、CM的に幕間に入ってくる、モリヤ一家のお料理・ガーデニング・株式投資教室というすべて1分ちょいのネイティブフェイス・神さびた古戦場のアレンジは、乾いた台詞の掛け合いと、軽くて可愛い曲調がなんだか癖になります。
“みんなで作って食べるカレー、おいしいね”
“そうね 豚汁作ってたはずなんだけどね いつの間にかね…”
そして、私、原作への感情 デカ男と致しましては、アルバム最後の曲Tr.15 温泉賛歌が、地霊殿のタイトル曲とスタッフロール曲のアレンジなのがいいんですよね!!! 気が利いている。
全体を通した物語のナビゲーターが、にとまりなのも同じ理由で二重丸です。地霊殿をクリア重視プレイだと必ずお世話になる二人組なのでは。未プレイのひとは今すぐ地霊殿を買ってください。かすりを断続的に行うことでアイテム自動回収が可能です。
Tr.12 ハートフルネコロマンサーはス○ラーのパロディですよねこれ。
「この幻想郷には何バブルが?」
このCDは是非通して聴いていただきたい。が、このアルバムでもっとも注目したい、特筆したい、くやしくも大好きな曲Tr.14 第4幕「月から降るアンセム」について…。
第1幕からてんやわんやしたストーリーは続いてきましたが、このTr.14で大団円を迎えます。一番盛り上がっている現場に自分がいるような錯覚に陥ります。助けてくれ。
第1~3幕で登場したキャラクターたちが「幻想郷とは!?」と説く掛け合いがあり、それがなかなかの鳥肌モノなのですが…そう!!!その”幻想郷アンセム”の原曲に、妖怪宇宙旅行(東方儚月抄)を用いているセンスに感服します。ボーカルアレンジがあんまりねえんじゃ。
その妖怪宇宙旅行の原曲メロディはそのままに、儚月抄のストーリーにも触れつつ、この電波ミュージカル東方泡沫天獄の最終幕をもってキャラクターそれぞれに「幻想郷」を崇め説かせる…。マジでこれだけは絶対に他では得られない最高の東方音楽体験です。
…せっかくの最高の音楽体験なのに、良い余韻も残る中の後半2分でしょーもない漫談が始まるのがすまんがワイらのイオシスなんや。ここで魔理沙とにとりがいよいよ呆れ返るのに、めちゃくちゃ感情移入しちゃってグッと心を掴まれてしまいます。
“その後悔と違うよ! ボヤージュでしょ!“
“航海ね くだらね~~~~~”
この音楽体験だけは本当に聴いてもらうしかないので言えることはなにもないんですが、センスがいいんです。ほんとに…
「ほんとの実力それほどでもない 人徳も無い 胸も無い」
Tr.6 第2幕「そのDJは地底を震わせ」は、非常にかっこいいuno(Roughsketch)さんのサウンドに、DJさとりのエモーショナルで悲痛なMCが入っているものです。
が、「声さえ入っていなければ神曲なのに…」などとぬかすイキリおたくクンに朗報として、イオシスの地霊殿インスト中心クラブアレンジCD「Quality Underground」に、トラックのみで収録されておりますのでそちらもチェック!
天獄シリーズとしてはこのあと「東方銀晶天獄」「東方紫雨天獄」と続きますが、特に本作とは直接的なつながりはなく、どちらかというとガチ曲が印象的なCDです。
聴くフェス系だと、聴く万博として2015年に「GENSOKYO DEMPA EXPO」もリリースされているのでこちらもおすすめです。
東方泡沫天獄をひとんちの居間で勝手に爆音で再生するオフ会があったら呼んでください。セリフの部分は全部そらで言えると思います。
【編集部より】
こちらのレビューは、さいこさんから東方我楽多叢誌に投稿して頂いたレビューです。
つい、東方二次創作作品(本・CD問わず)についてのアツいレビュー書いちゃった…という人は、下記のプレスリリース宛にお送り頂ければ読ませていただきます!(全ての文章の掲載や、お返事を確約するものではありません)
https://touhougarakuta.com/news/press
【作品情報】
アルバム名:東方泡沫天獄
https://www.iosysos.com/discographyportal.php?cdno=IO-0149
サークル名:IOSYS
https://www.iosysos.com/
サークルtwitter:
IOSYS公式 @IOSYS_OS
入手先情報
サークル通販:
IOSYS SHOP
ショップ委託:
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サークルYoutubeチャンネル:
https://www.youtube.com/iosyshaitenai
(サークルチャンネル)
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