
知らない人も、大好きな人も。遊べば東方がもっと好きになる。心からオススメできる大傑作――『幻想少女大戦』レビュー
『幻想少女大戦』一万字越えレビュー

『幻想少女大戦』。
2008年に同人サークル『さんぼん堂』によって開発が開始。そして紆余曲折の果てに今年2025年の10月21日にSteam版のリリースが予定されている、東方Project二次創作SRPGです。
こちらのSteam版から、本作は英語にも対応。つまり、Steamへの進出と同時に世界への進出も果たしたのです。
そんな非常にめでたい門出を迎えようとしている『幻想少女大戦』とは、一体どのようなゲームなのか。その説明を一言で済ませるのであれば、「東方二次創作としてもSRPGとしても、圧倒的なクオリティとボリュームを誇る『とんでもなく面白いゲーム』」、となります。
かえって安っぽい言い方なのは承知の上ですが、正直に言ってそれ以上の表現がちょっと思いつきません。大袈裟ではなく、それほどの作品だと思います。
端的に申し上げて、私はこの作品が好きです。本当に、大好きなんです。1人でも多くの東方Projectのファンの方々に、この素敵なゲームをプレイして欲しい。1人でも多くの東方Projectに興味を持っている方々に、奇跡のような二次創作ゲームがあることを知って欲しい。そう強く思った私は、東方我楽多叢誌という場をお借りして、幻想少女大戦の紹介を書かせていただこうと決意した次第です。
ここまでの前置きが長くなってしまい恐縮ですが、当ページでは大きく以下の3つのテーマに分けて、本作の魅力をお伝えさせて頂こうと思います。
①『幻想少女大戦』とはどのようなゲームなのか
②東方二次創作としての魅力
③SRPGとしての魅力
それでは、どうか最後までお付き合い頂ければ幸いです。
幻想少女が交差する王道熱血シュミレーションRPG――①『幻想少女大戦』とは
本作『幻想少女大戦』は「多数の東方Projectのキャラクターと物語が交差する王道熱血SRPG」です。
仲間キャラクターとして、70人を超える人妖が集結。数奇な巡り合わせを経て同じ舞台に集った数多の幻想少女たちは、幻想郷を襲う数々の異変に立ち向かうこととなります。
たとえば、紅の吸血鬼が気まぐれにもたらした紅霧異変。
たとえば、冥界の亡霊が西行妖の下で眠る少女に思いを馳せて巻き起こした春雪異変。
たとえば、真実の月を取り戻すべく繰り広げられた永夜異変。
そう、これらはそれぞれ東方Projectの原作ゲーム作品である『東方紅魔郷』『妖々夢』そして『永夜抄』で描かれた異変にほかなりません。つまり本作では、原作のいくつかのストーリーを紡いだ一本の長編シナリオとして、独自の解釈も加えながらも巧みに接続・再構築した物語が語られるのです。もちろん、題材となっているのはこの3作品だけではありません。
幾多の異変を乗り越える中で出会った人妖たちが、また新たな異変に挑む。言わば東方Project作品の夢のクロスオーバーとでも言うべき超大作、それこそが『幻想少女大戦』なのです。
おそらく今この記事を読んでくださっている方々の多くは、すでに東方Projectについてある程度以上にお詳しいかもしれません。自分お気に入りの子が本作に登場するのかは気になるところだと思いますので、ここで参戦作品について明記させて頂きます。
【 整数作品 】
紅魔郷
妖々夢
永夜抄
花映塚
風神録
地霊殿
星蓮船
【 小数点作品 】
萃夢想
緋想天
非想天則
ダブルスポイラー
(その他、妖精大戦争や文花帖のスペルカードやBGM等も登場している)
【 書籍 】
三月精
香霖堂
鈴奈庵
儚月抄
【 その他 】
東方幻想郷、東方怪綺談から一部の人物が登場
以上の作品からは、思い浮かぶ大半のメインキャラクターが仲間ユニットとして使用可能だと思って頂いて差し支えありません(【その他】の作品は除きます)。
身体能力的には常人と変わらない貸本屋の愛しきトラブルメーカーこと小鈴ちゃんなどもメンバーに加わります。通常のユニットとは異なるとある形ではありますが、しっかり戦闘にも参加してもらうことが可能です。
ただし、神霊廟以降に登場した人物は一部シーンで存在を仄めかされる程度であること、また、それらの作品はストーリーそのものを全て取り扱っているわけではない点については、ご注意いただければと思います。
概要はこの辺りにして、いよいよ『幻想少女大戦』の魅力をご紹介します。
「東方Project作品・夢のクロスオーバー」――②東方二次創作としての魅力
多数の異変の顛末が描かれることとなる『幻想少女大戦』。そんな本作においても物語のすべての始まりは、やはり幻想郷を包み込む赤い霧こと紅霧異変でした。
博麗霊夢や霧雨魔理沙が異変の調査を進め、解決を目指して紅魔館に臨む。分かりやすく言えば紅魔郷編ですね。
このような原作を踏襲したストーリー展開は、東方Projectを知らない人にとっては非常に親切かつ新鮮である一方で、ファンの方からしたら「これまで幾度となく原作や二次創作で見てきたストーリーが繰り返されるのだろうか」と不安になってしまうかもしれません。しかし実際にゲームを始めれば、その懸念はすぐに払拭されることでしょう。
なにせその紅魔郷編の第1話、すなわち幻想少女大戦の最初のステージで、まさかの人物が顔を出すのですから。
害をもたらす紅霧から人間たちを守るために、助力を求めて博麗神社に駆け付けた半獣、上白沢慧音。霊夢にとっても慧音にとってもこの瞬間が初対面でしたが、これ以降、この2人は良き仲間として様々な異変を戦い抜くことになるのでした。
一方その頃、霧雨 魔理沙。彼女はひょんなことから森の中で河童の河城にとりと知り合い、白狼天狗である犬走椛に立ち向かっていたりします。

当然ながら、慧音、にとり、椛は紅魔郷の登場人物ではありませんし、魔理沙側に至っては画面がほぼ風神録です。少なくとも原作のお話がそのまま再現されていくのではないということが、この光景からも伝わるのではないかと思います。
『幻想少女大戦』の世界だからこその出会いと絆。こういったシーンは枚挙に暇がありません。
そして時にはプレイヤーはもちろん、彼女たち自身でさえ、まったく予想できなかった繋がりが生じることもあるのかもしれません。
物語とは、その世界に生きる者たちが紡いでいくもの。故に、役者が揃えば揃うほど、本来あったはずの運命の糸はほつれていくことになります。
その果てに何が待っているのかは、ぜひご自身の目で確かめてください。
作品紹介テキストでの表現を引用するなら、本作は「複数の原作のシナリオを独自の解釈と共に接続、そして再構築した物語」であり、そしてだからこそ、ただの原作の再演では終わらない「東方Project作品の夢のクロスオーバー」なのです。
東方Projectに触れたことがない人ならば純粋にその物語を、一方で東方Projectのファンならばそのストーリーがなぜ、どのように変化をしていくのかを楽しめる。あらゆるプレイヤーを楽しませてくれる懐の深いシナリオは、間違いなく『幻想少女大戦』の大きな魅力のひとつです。
最後に、ストーリー面での補足をひとつ。
東方二次創作と言えばぶっ飛んだギャグからシリアスまで、実に様々な作品が存在する世界ですが、本作は「東方Projectの世界観や登場人物を大切にしつつ、時にコメディ、時にシリアス」といった塩梅の雰囲気となっています。
激戦を共にした仲間同士の微笑ましいやり取りもありますし、
その一方で、胸や目頭を熱くさせる展開も目白押し。
ゆるさもアツさも。すべてひっくるめた幻想郷の世界での物語が真摯に描かれており(良い、悪いの話とは別ですが)キャラ崩壊と感じられる類のギャグなどは一切無いと思っていただいて結構です。
ほのぼのとした掛け合いから熱血の弾幕勝負まで楽しめるその物語は、単純に読み物としてめちゃくちゃ面白くて楽しいものになっています。
全員が存在感を発揮し続ける、夢のようなテキスト量――②東方二次創作としての魅力
この作品を語る上で外せない要素は山ほどあるのですが、その中のひとつとしてテキスト量はかなり早めに挙げられるものだと思われます。控えめに言って、何かがおかしいことになっているとしか言いようがない文量です。それは単純にメインストーリーが大ボリュームだから……というだけの意味ではありません。
ゲーム序盤、第2話『人里への来訪者』のお話です。ここでは紅魔郷編の最初の強敵としてルーミアが人間の里に登場し、その場に居合わせた魂魄妖夢と共闘することになります。
高い機動力と攻撃力を持つ妖夢は非常に頼れる存在で、もちろんルーミアにも戦闘を仕掛けるのですが……
その際、刃よりも先に言葉を交わす、ルーミアと妖夢の両名。以下はその一部抜粋となります。
妖夢だけではなく、ほかのユニットで攻めた時も同様にルーミアとの会話が発生します。初めて遊んだ当時の私は「こういう会話テキストがあるのはキャラのことをより深く知ることができてうれしいな」と思ったものですが、まあ、まさかここから先のほぼ全てのステージで、全キャラクターにこのような会話が用意され続けているとは微塵も思っていませんでした。
原作で絡みのある二人はもちろん……
公式では接点はおろか台詞も持たない中ボス同士でもお喋りをしてくれます。
このゲーム、本当に最初から最後までずっとこうなんです。
概要でお話しした通りプレイアブルキャラクターは70人を超える本作な訳ですが、それでも当たり前みたいにほぼ毎ステージのように全キャラクターごとの専用掛け合いが仕込まれています。
「なにもここまでやらなくても……!」と思わずにはいられません。
しかし、本当に驚くべきはその質の高さ。
「この人とこの人があの場面で出会ったら、どんなことを話すのだろう?」これはクロスオーバーの魅力にもつながります。その期待に応えてくれる会話のひとつひとつが楽しく東方二次創作であり、物語と各々の人物像を煌びやかに彩ってくれるのです。
闇の妖怪と正体不明の妖怪、夢の対決。
本来ならあり得なかったはずの、河童と吸血鬼の邂逅。
相手が何者であろうと変わらず炸裂する、閻魔の説教。

戦闘アニメ中も、特定状況でしか発されない専用台詞の雨あられ。特定の組み合わせによる連携攻撃や……
仲間同士で戯れに行われる、弾幕勝負の一幕でのやり取り。
はたまた、いつもの光景からの……
パチュリーの魔法を回避しながらの、どこか思わせぶりな魔理沙の台詞などなど。
さらにはステージ内のイベントマスに止まった時の反応まで何故か全キャラ分用意されていたりもします。このへんはちょっともうやり過ぎの域を超えていて純粋に意味がわかりません。
また、ゲーム本編外のライブラリでは、各人物の原作や二次創作での扱いについてかなり詳細に記された幻想郷縁起や、用語解説までもが完備と来ています。
とにかく、テキスト面での作りこみが常軌を逸しています。そのため、メインストーリー上でも上記のような寄り道会話でも、誰一人として加入してそれっきりで殆ど顔を見せなくなる、ということが一切ありません。
キャラクター一人ひとり、霊夢や魔理沙たちとの出会いから丁寧にていねいに描かれ、最後まで存在感を発揮し続ける本作。東方に詳しくなかった人でも、本作をプレイするだけで幻想郷に住む彼女たちのことを自然と好きになってしまうことでしょう。
もちろん、すでに東方が好きな人にとっても、こうした魅力的で膨大な幻想少女たちの掛け合い、人物・用語の解説を読むだけでも濃厚に楽しめるゲームであることを、心からお約束します。
200曲を超える名アレンジBGM――②東方二次創作としての魅力
東方Projectと言えばZUN氏が手掛ける名曲の数々も大きな魅力のひとつ。二次創作である本作においても多数のアレンジBGMが登場するのですが、その曲数はなんと、200を優に超えています。
秀逸なアレンジ曲たちが、各キャラクターのテーマとして、特定のステージ専用曲として……次々と湯水のようにあふれ出ては惜しげもなく、同時に“ここぞ”という場面で使われていくのは、ファンからすればそれだけで至福の体験となるのではないでしょうか。
いわゆる『秘封曲』までもがイベントやステージのBGMとして随所に散りばめられているのだから、本当に隙がありません。胸を締め付ける切ないイベント曲から熱いアレンジが施されたバトルミュージックまで、心震わせること間違いなしの名曲ばかりです。
▲Steam版のリリースとともに、これまでにリリースされたサウンドトラック集をまとめたデジタルサウンドトラックもリリースが決定しています。BGMにハマってしまった人はぜひ。
幅広いプレイヤーが楽しめる難易度設計&チュートリアル――③SRPGとしての魅力
この場で深くは語りませんが、本作『幻想少女大戦』はそのタイトルやゲーム画面からも察せられる通り、特にシステム面で『スーパーロボット大戦』シリーズの影響を非常に強く受けております。

そのため『スパロボ』について詳しい人であれば、本作のゲームシステムにも早く馴染める、というのは確かです。そうでなくともSRPGというジャンル自体に苦手意識があったり、不安を覚える人も多くいらっしゃると思います。
しかしスパロボやSRPGをプレイしたことがない人もご安心ください。ゲーム開始時に4段階から難易度を選ぶことができるのですが、難易度NORMALはまさしく「SRPGを初めてプレイする人」向けにていねいなバランス調整が施されています。
実際、私も本作を触るまでスパロボを遊んだことは一切ありませんでした。しかし、プレイ中に疑問に思ったことはゲーム内マニュアルにだいたい書いてありましたし、これだけ覚えておけばOK!というレベルで重要なことは本編中でもしっかり解説してくれるため「スパロボについて知らないと不利だな」なんて思うことは、私はまったくありませんでした。
逆に、SRPGの経験者であれば、ひとつ上の難易度であるNORMAL+を選ぶのも良いでしょう。自信があるのなら、HARD、あるいはLUNATICに挑戦するという楽しみ方もできます。
最高難易度では、敵側が「精神コマンド」と呼ばれる特殊能力をバンバン活用してきたり、MAP上の敵の配置やAIが強化されていたりなど、歯が欠けそうになるくらいの噛み応えが楽しめます。
あらゆる人が、等しく楽しめるように。本作の難易度調整は、その実現に向けて妥協なく尽力されていると思います。
遊びであり、真剣勝負であり、対話でもある。弾幕勝負をSRPGに見事に落とし込んだバトル――③SRPGとしての魅力
本作におけるバトルは、基本的に原作同様、弾幕による勝負を行っているという世界観となっています。
幻想郷だからこそ成立したそれは、遊びであり、真剣勝負であり、対話でもあります。それは本作『幻想少女大戦』でも変わらず、世界観の根幹を築いているのです。
東方Projectたらしめる概念のひとつである「スペルカード」も存在し、それは『幻想少女大戦』においてはSRPGのシステムとしても落とし込まれています。
本作の多くのボスは、一度体力を削り切ってもそれだけで決着とはなりません。
力が爆ぜるような音と共に、名付けられたとっておきの弾幕が満を持して放たれます。式神、八雲藍が放つその弾幕は……
スペルカード、式弾「アルティメットブディスト」!
原作での弾幕を彷彿とさせる形を持つ特殊な領域。この緑色のマスはステータスの増減を始めとして、スペルカードごとに実に様々な影響を戦場にもたらします。
例えばこちら、美鈴が展開した彩符「彩光風鈴」は、美鈴自身の被ダメージを大きく軽減する効果を持っています。

ほかにも、こちらの行動を封じてくるものや、技を撃つのに必要なMPの消費量を激増させてくるものなど、スペルカードの効果は多種多様にして、とても厄介です。
しかしこちらも好き勝手にやられてばかりではありません。ステージ攻略中に入手できる霊撃を使用することで、スペルカードマスを1ターンに限り吹き飛ばすことができるのです。

次々と繰り出されるスペルカード。それを無効化する貴重な霊撃をいつ、どこで使うか。原作STG作品の空気感をそのまま他ジャンルに落とし込んだかのようなシステムは、見事というほかありません。
東方二次創作として秀逸な表現であると同時にバトルにメリハリや戦略性を生んでいるこのスペルカードシステムは、東方Projectの世界観を最大限に尊重しつつ、全力でSRPGとして描いた本作の象徴とも言えます。
愛はすべてを超越する。お気に入りの子を幻想郷最強に育てよう――③SRPGとしての魅力
「バトルでお気に入りの子を活躍させたい」。
もはや人のサガと言っても過言ではないであろうその想いは、二次創作ゲームならば尚のことでしょう。『幻想少女大戦』ではステージをクリアするごとに得られるExポイントというポイントが、この願いを実現してくれます。
これを用いることで任意のユニットの全ステータスを底上げできるのですが、重要な点としてこのExポイント、非常に希少なものとなっています。メンバーにバランス良く配分して全体の強化を図るのも育成の方針としてアリですが、特にお気に入りの子がいるのであれば、その子にExポイントをすべて贈ってあげるのも選択肢です。
その子が誰であろうが、貴方の愛に応えてくれるかのように、幻想郷のエースとして獅子奮迅の活躍を果たしてくれることでしょう。
ストーリー、バトル、演出。全てがヒートアップし続ける幻想郷冒険譚
いろいろ並べてしまいましたが、伝えたいのはとにかくシンプルにSRPGとしてメチャクチャ楽しいゲームということなんです。
進めれば進めるほど、加速度的に盛り上がるストーリー。
それに伴うように充実する編成や戦術、そして育成の選択肢。新たな装備アイテムも続々登場。
そして戦略を大きく変える新システム。
果てには新たなメンバーの加入や成長によって、たった一手で戦況を変えうる、無双の一指しを打つことすら可能になることもあります。
戦闘アニメもどんどんド派手になっていき、とにかく遊べば遊ぶほど面白くなるという素晴らしきゲーム体験を、頭で、目で、そして耳で味わえることでしょう。
最後まで面白くなり続ける、ファンタジーでドリームな弾幕SRPG。それをぜひとも皆さんに体感して欲しいという私の個人的な願いと共に、『幻想少女大戦』の紹介を締めさせていただきます。
知らない人は、東方を好きになる。好きな人は、もっと東方を好きになる。心からオススメできる傑作
一本の長編SRPGとしての圧倒的な作りこみとボリューム。
東方二次創作として、大事に、本当に大事に描かれた幻想郷の世界観とその住人たち。
そして『東方Project』×『スパロボ』という題材でありそれらへの最大限の敬意を示しながら、その両方を知らなくとも何の支障もなく楽しめる驚異的な敷居の低さ。および、それを実現した数々の配慮。
同時に、数多の名アレンジBGMをバックに織りなされる、東方Projectの二次創作であることを活かし切ったストーリーとバトル。
すべてが、ここにあります。
本作は東方Projectが好きな人はもちろん、少し気になっている人、 あるいはまったく知らない人にすら、心からオススメしたい名作です。
それだけのものを、さんぼん堂の人たちは10年以上の歳月をかけて作り上げ、磨き続け、そして今、ついにオンラインゲームストアの最大手であるSteamに降り立とうとしています。その事実を心からうれしく思いますが、それは単純にこのゲームのファンだからというだけではありません。
現在このような記事を書かせて頂いている私ですが、実は『幻想少女大戦』に出会うまで、東方Projectのことを殆ど何も知りませんでした。ところが、本作に魂を焼かれ、幻想郷に強烈な興味を持った私は、気が付けば読める限りの原作書籍を読み耽り、遊べる限りの原作ゲームに熱中していたのです。

その後、東方をある程度知り、そして再びプレイし直した『幻想少女大戦』には、語り切れないほどの東方Projectへのリスペクトが随所に込められていたこと、東方の世界の魅力が全身全霊で描かれている作品であることを私に教えてくれました。
東方を知っている私と、知らなかった私。2つの視点で『幻想少女大戦』を見ることができた私の立場から、胸を張って最後にお伝えさせてください。
東方を知らない人が、東方を好きになる。
東方が好きな人は、もっと東方を好きになる。
『幻想少女大戦』は、きっとそういう作品だということを。
そんな素晴らしい名作を多くの人に遊んでもらえる環境が整ったことは、決して小さい出来事ではないと思います。Steamへの進出、そして英語版への翻訳も成し遂げたこの機会に、ぜひあなたも『幻想少女大戦』という名の素晴らしい東方二次創作SRPGを遊んでみてください。
この記事をここまで読んでくださったあなたがその魅力に触れてくださるのであれば、私にとって、それ以上の幸せはありません。
【ミニコラム】昔の「幻想少女大戦」を触ったことがある人へ――だいぶ変わってるよ!(バージョン違いの話)
本当の最後の最後に『幻想少女大戦』のバージョン(販売ハード等)についてお伝えさせてください。なお、「かなり昔にこのゲームをやったことがある(気がする)」という人は、必ずこの項目を最後まで読んでみて欲しいです。
現在『幻想少女大戦』をプレイするのであれば、以下の2つが選択肢になると思います。
・NintendoSwitch™版(2022年3月31日リリース DL販売のみ)
・Steam版(2025年10月21日リリース DL販売のみ 英語に対応)
https://store.steampowered.com/app/3575980/__DREAM_OF_THE_STRAY_DREAMER/
現在公開されている体験版の内容からすると、Steam版の内容はNintendo Switch版をベースに、英語翻訳版を追加したもののようです。日本語でプレイするユーザーは、SwitchかPC(Steam)か、どちらか遊びたい方で購入すると良いでしょう。
さて、実はこの2つにはサブタイトルを含んだ正式タイトルがあり、どちらも同じく『幻想少女大戦 – DREAM OF THE STRAY DREAMER –』となっております。
しかし、その前身とも言える『幻想少女大戦コンプリートボックス』が2019年にPC用としてDLsite.com等でリリースされており、当記事におけるスクリーンショットもこの作品のものを使わせて頂いております。
Steam版の元になったNintendo Switch版の、さらに元となったバージョンが、このDLsite版ということになります。前身と言えど内容はほぼ同じではあるのですが、一部細かい差異もあります。その中にはこのバージョン独自の魅力もあるにはあるのですが、Windows11での動作が保証されていないため、今後のことも考えるとPCで遊ぶ場合はSteam版が安定の選択肢になるでしょう。
さらに遡れば『幻想少女大戦』はもともと4つの作品からなる分割作品であり、それらの最初の統合版が『コンプリートボックス』の副題を持っているのもその経緯に由来します。
こちらはその1作目である『幻想少女大戦 紅』で、4作すべて今でもDLsite.comでダウンロード購入が可能です。
ただしコンプリートボックス版(およびその移植であるDREAM OF THE STRAY DREAMER版)は、元となった4作をただ1本にまとめた訳ではなく、まずUIそのものが1から作り直しとなっています。
私は分割版も含めてプレイしておりますが、コンプリート版はオリジナル版に比べて極めてテンポ良く、快適に遊べるようになっています。加えて多数の追加要素や遊びやすくするための綿密なバランス調整が行われている他、一桁では収まらないほどの追加ステージもあります。

なにを言いたいかといえば、このように長い時間を経て進化し続けたゲームであるため「はるか昔に紅だけやったことがあるけど、難しすぎてやめてしまった」「分割版を最後までクリアしたから統合版は触ってない」……といった人も、この機会にSteam版やSwitch版を触ってほしい、ということです。
『幻想少女大戦』という作品が辿り着いた夢の果ての向こう側、その完成度を是非とも味わって欲しい。一人のプレイヤーとして、そう強く思います。
それでは改めて、最後の最後まで読んで頂いたこと、心よりお礼申し上げます。
『幻想少女大戦 – DREAM OF THE STRAY DREAMER -』待望のSteam版、2025年10月21日に発売!
『幻想少女大戦 – DREAM OF THE STRAY DREAMER – 』Steam版 2025年10月21日発売!
▼Steamストアページはこちら
https://store.steampowered.com/app/3575980/__DREAM_OF_THE_STRAY_DREAMER/
▼好評配信中のNintendo Switch™版はこちら
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000050232
■「Steam Next Fes」にて体験版配信中!
さまざまなタイトルの体験版が遊べるオンラインイベント「Steam Next Fes」に『幻想少女大戦 – DREAM OF THE STRAY DREAMER – 』が参加中!
『幻想少女大戦 – DREAM OF THE STRAY DREAMER -』の壮大な物語、その幕開けとなる3つのエピソードを遊びながら、本編さながらのプレイ感を体験できます。
▼体験版配信ページはこちら(【ゲームをインストール】をクリック!)
https://store.steampowered.com/app/3972200/__DREAM_OF_THE_STRAY_DREAMER__Demo/
■2025年10月19日(日)開催・東京「第十二回博麗神社秋季例大祭」にプレイアブル出展!
今週末の日曜日、10月19日に日本の東京ビッグサイトで開催される「第十二回博麗神社秋季例大祭」に『幻想少女大戦 – DREAM OF THE STRAY DREMER – 』のプレイアブルブースが出展します!
企業ブース「141 Play,Doujin! 例大祭出張所」にて、『幻想少女大戦 – DREAM OF THE STRAY DREMER – 』のステッカーを無料配布します。
さらに、その場でプレイしてくれた方には特製のA4クリアファイルをプレゼント! まだプレイしたことない人も、しっかり遊んだ人も、ぜひ一度ブースにお越しください。