海外からのおたより:圧倒的ボリュームと洗練されたクオリティのダンジョン探索RPG『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-』レビュー
ゲームレビュー『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-(Touhou GensoWanderer -Reloaded-)』
東方我楽多叢誌は、日本語版以外に英語版・中国語版・韓国語版を有志のご協力により展開しています。
本日は、海外版に寄せられたゲームレビュー記事を日本語版にも掲載いたします!
今回ご紹介する翻訳記事は、今から1年ほど前に海外の有志たちによって寄稿された『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-(TOUHOU Genso Wanderer – Reloaded -)』のゲームレビュー評になります!
『TOUHOU Genso Wanderer – Reloaded -(不思議の幻想郷TOD -RELOADED-)』は同人サークル「AQUASTYLE」が制作した、東方二次創作ローグライクゲーム/ダンジョンRPG。2016年12月22日にPS4及びPSVitaにてDL版とパッケージ版が同時販売されたのを皮切りに、翌年の2017年12月28日にはNintendo SwitchにてDL版が配信、さらにその翌年の2018年7月19日にNintendo Switchにてパッケージ版が販売、同年2018年10月26日にはSteam版(PC)が配信されるなど、幅広い機種に対応する形で国内のみならず海外でも多くの人々にプレイされているタイトルの一つです。
そんな、なかなか日本には伝わってこない海の向こう側の東方ファンコミュニティによる”アツ”い記事を、今回も余すことなくたっぷりお届けします!
※一部日本語的に難解な表現などもありますが、できるだけ原文と翻訳者のニュアンスを尊重するかたちで編集を入れております。何卒ご容赦くださいませ。
『TOUHOU Genso Wanderer – Reloaded -(不思議の幻想郷TOD -RELOADED-)』とは?
『TOUHOU Genso Wanderer – Reloaded -(不思議の幻想郷TOD -RELOADED-)』は、プレイするたびにダンジョンの配置やアイテム、敵、お金などが変化するローグライクRPGです!
この作品は、2014年に発売された『不思議の幻想郷3』の再リリース作品『不思議の幻想郷 -THE TOWER OF DESIRE-』の完全版で、Steamからは2018年10月26日に発売されました【※】。開発・発売はAQUASTYLE、翻訳はNIS Americaが担当しています。AQUASTYLEが開発を担当していることもあり、アップデートを重ねるごとにゲームとしての整合性は向上しています。
【※】Steam版はこちら→『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-』ストアページ
また、東方オリジナル楽曲の様々なアレンジや、開発チームによるオリジナル楽曲も用意されています。『不思議の幻想郷 -THE TOWER OF DESIRE-』は、Playstation Award of 2017のインディーズ&デベロッパー部門を受賞し、PS JPNストアでは『東方紅輝心(Adventure of Scarlet Curiosity)』や『東方スカイアリーナ・幻想郷空戦姫-MATSURI-CLIMAX(Touhou Sky Arena -Matsuri- Climax)』と並んで5つ星を獲得しました。
物語は、主人公の博麗霊夢が訪れた香霖堂で起こった異変を中心に展開します。闇の力によって取り憑かれた店主の森近霖之助は、香霖堂を繁栄させるため、新たに得た能力で幻想郷の人口を複製して異変を起こすと脅します。
自身の計画を邪魔立てする霊夢を排除するため彼は襲いかかりますが、霊夢は間一髪で逃れることに成功します。霊夢が神社に向かう途中、泥沼に沈みかけていた物部布都を見つけ、救出します。助け出された布都は、幻想郷が闇の力に覆われる計画を阻止するため、闇の霖之助を倒す霊夢の旅に加わります!
ゲームプレイについて
「ローグライク」とはRPGのバリエーションのひとつで、ダンジョンごとにレイアウトがランダム化され、見つけるアイテムも毎回変わります。一般的にターン制で、プレイヤーが移動や行動(攻撃やスペルカードの使用など)をするたびに、敵にもターンが回ってきて行動することになります。つまり、あなたが何もしなければ、敵も何もしません!
前述の通り、『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-』はローグライクゲームです。一部のダンジョンには独自のルールや条件があり、進行によって基本ルールが変更されることがあります。
▲ダンジョンの例
ゲームはターンベースです。自分のターン中に、「移動」「アイテムの回収や使用」「攻撃」「スペルカードの使用」など、いくつかの行動のいずれかを実行することができます。行動するとプレイヤーのターンが終わり、移動可能なすべての敵のターンが開始されます。
ダンジョンに潜っている間、プレイヤーは戦闘に備えてキャラクターの「体力(HP)」と「満腹度」の2つを管理する必要があります。ターン経過と共に満腹度のゲージは減少し、満腹度の値が0になると、毎ターンごと体力が1ずつ減るようになります。地面に落ちている食べ物を食べたり、またはいくつかの薬を飲むことによって満腹度を回復することができます。
また、このゲームに登場するキャラクターたちは「弾幕」を使用することができ、その効果は各キャラクターによって異なります。弾幕は使用するたびに「P」を消費し、弾幕の種類ごとに消費量も異なります。使用すると自動的にターンが経過するので、適切な場面で慎重に使用しましょう!
キャラクターイラストの下には「パワー」ゲージが表示されています。「パワー」は、攻撃や弾幕で与えるダメージの大きさを示すもので、薬や装備品などで増加させることができます。
基本的には地面に落ちている装備を拾ってキャラクターを強化し、敵を撃退する必要があります。ゲームには「武器」、「防具」、「お守り」の3種類の装備があります。武器は敵に対するダメージを増加させ、防具は敵から受けるダメージを減少させ、お守りはその両方に関与します。
これだけだと大したことなさそうですが、これらの装備の真価は「印」にあります。この印は装備に特別な能力を与え、冒険を助けてくれます。例えば、特定の敵タイプへのダメージ増加、特定の攻撃から受けるダメージ軽減、ステータス異常に対する耐性などなど!
黄色の印や緑色の印など、複数の種類の印が存在し、別スロットにセットすることができます。ただし、黄色い印は外すことができず、緑の印は取り外しできるものの同種の印が複数ない限り効果を発揮しません。試行錯誤しながら、冒険に最適な装備を見つけましょう。
また、道中では様々な薬を拾うことができます。それらを飲んだり敵に投げつけたりすることで戦いを有利に運ぶことができます。
ですが、油断は禁物です! 敵もまた、ユニークな手法を用います! 装備を解除してきたり、デバフを付与したり、スペルカードを使ってくる敵もいます! どんなに用意周到でも、常に注意して慎重に行動しましょう。
その後、ストーリーを進めていくと「河城にとり特製・物質融合生成装置」、略して「にとフュージョン(Nito Fusion)」が使用できるようになります! にとフュージョンは、ゲームの核たる要素の一つです。欲しいものや必要なものを手に入れるために、素材を作ったり、組み合わせたり、分解することができます。にとフュージョンに必要な「にとポ(Nito Points)」は拾ったり、アイテムを解体したときに入手できます。
使用する機会はたくさんありますが、基本的には以下の機能を使用することになります。装備品・お札を他のアイテムと組み合わせて強化する「合成」、複数のアイテムを組み合わせて新しいアイテムを作る「調合」、複数のアイテムを組み合わせて新しい装備品を作る「錬成」、アイテムを分解して素材を取り出す「分解」です。高難易度になると、「鑑定」と「融合」の2つの高度機能がアンロックされます。
▲にとフュージョンの例
鑑定はにとフュージョンのオプションで、にとポを支払うと未知のアイテム(通常は素潜りダンジョンで分かりますが)を識別できます。ですが、鑑定が行われるたびに、次の鑑定のコストが徐々に上昇します。
薬やスキマなど、アイテムにどのような印が付与されているのか知りたい場合に使いますが、コストが上昇するため、使い過ぎには注意しないといけません。
サイドストーリーや高難易度ダンジョン、仕様について
プレイヤーがメインストーリーを1つ終えるごとに、より難易度の高いダンジョンやサイドストーリーが開放されます! これらのダンジョンには、メインストーリーには登場しない特殊な仕様なども、ダンジョンのコアギミックとして存在することがあります。
このゲームには多くのサブストーリーが用意されており、メインストーリーの進行状況に応じてそれぞれのストーリーがアンロックされます。これらのサブストーリーは短編で、主人公やパートナー、場所、ダンジョンの仕組みがまったく異なりますが、メインストーリーでは触れられない、より壮大な世界観とストーリーを体験することができます。
一度サブストーリーを開始すると、メニューの博麗神社に戻ることでいつでも進行状況を保存することができますが、そのサブストーリーを終えるまで、所持品、にとポ、お金、倉庫は本編の進行状況に引き継がれず、共有されません。サイドストーリーを終えると、アイテムや装備品などの新しいにとフュージョンのレシピを手に入れることができ、ストーリーの主人公に限定されることなく、アンロックしたキャラクターでサイドストーリーを進めることができます。
『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-』には高難易度ダンジョンも存在します。高難易度ダンジョンとは、一度足を踏み入れると様々な特殊なギミックが働く特別なダンジョンです。その仕組みはダンジョンによって異なり、味方がいない、正体不明のアイテムがある、特殊能力を持った敵が出現する、ターン数が非常に限られている、複数のボスが出現する、など様々です。
これらのダンジョンはトリッキーであり、プレイヤーがクリアを目指すのであれば、より深いゲーム知識が必要となります。高難易度ダンジョンの顕著な例は素潜りダンジョンで、ダンジョン内で発見されるアイテムはすべて正体不明となります。しかし、これらのダンジョンでの努力が無駄になることはありません。時には強力な限定装備など、非常にユニークなアイテムを手に入れることができます!
一部の高難易度ダンジョンは一般装備だけでは攻略が難しいので、にとフュージョンの最後のオプションである「融合」の話をしましょう。融合はストーリーを十分に進めた後にアンロックされる、にとフュージョン最後の機能です。融合では武器を組み合わせ、黄色の印を別の武器に移すことができます。ベースとなる装備も最大レベルでなければ使用できませんが、合成に使用する素材はどのレベルでも構いません。
また、ベース装備は素材のステータスと経験値の一部を獲得し、装備のレベル上限を10増加させます。多くのにとポを必要としますが、その分非常に強力な装備を手に入れることができます。加えて、融合はベース装備の黄色の印をさらに向上させることもできます。合成と同様に、融合できるのは同種の装備のみです。武器と武器、防具と防具、お守りとお守りを融合させることができます。
▲高難易度ダンジョンの例
融合はゲームプレイにおけるやり込み要素にあたります。強力な装備を作るにはそれだけ大量の素材が必要となりますが、だからこそやりがいのあるシステムでもあります!
▲融合機能の例
最終的な評価
プレイスタイルに合った装備やアイテムなどの選択肢が非常に広く、開放的です。ストーリーも非常に濃密で、複数のサイドストーリーにつながっており、サブダンジョンは好奇心をくすぐられます。ゲームのグラフィック、キャラクターの声、音楽も素晴らしく、ストーリーとうまく結びついているように感じます。ゲームプレイに関する意見は様々で、序盤は慣れれば簡単ですが、後半のダンジョンでは難易度にばらつきがあります。
ゲーム中に散りばめられた数多くのオマージュやジョークは魅力的です。このゲームにはさまざまなプレイアブルキャラクターの拡張DLCが用意されており、各キャラクターたちによる多様なゲームプレイを体験することができます。これらのDLCには、新キャラクターとともに別のサイドストーリーが収録されています。
このようなわけで、『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-』を一度プレイしてみることをお勧めします。この素晴らしいローグライクな世界観を簡単にプレイできますし、さらにプレイしたい人にはたくさんの難易度が用意されているのですから!
外部リンク、ウェブサイト等
The official site with NISAAmerisa :
https://nisamerica.com/games/touhou-genso-wanderer-reloaded/
The game’s steam link :
https://store.steampowered.com/app/931500/Touhou_Genso_Wanderer_Reloaded/