ゲーム評
2019/12/18
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東方二次創作ゲームレビュー#03 史上最低のパチュリー再誕!ネタと悪ノリ満載の法廷ダンスバトル「日陰サバイバン」

アンタマニドのゲームレビュー

 皆さん、こんにちは! このコーナーでは同人ゲームばっかりプレイしている筆者が、数ある「東方の二次創作ゲーム」の中から、特にオススメする選りすぐりの一作をご案内させて頂きます。

 

 第3回は、先日掲載された東方コミュニティ黎明期鼎談でもその名が挙がった超老舗サークル「みょふ〜会」より、東方二次創作?ゲーム『日陰サバイバン』を紹介します!

どこからツッコめばいいか分からない、ギャグ全振りの裁判アドベンチャー!

 2018年4月1日、ニコニコ動画にてとある動画が投稿されました。「やつが帰ってくる…」そう始まる動画には、神聖な法廷を舞台に画面狭しと転がり回る2.5頭身の東方キャラ達の姿が……。いきなり暴露される犯人、奇想天外な登場人物、そして華麗なダンス……ダンス?

 あっ、でもこれ4/1だからエイプリルフール動画なんですよね? そう思って動画を最後まで進めてみれば、締めにはこんな一言が。

 

「何言ってるのよ〜 もはやエイプリルフールというものは… 発表会の日なのよ!!!」

 

 初公開からこんな身も蓋もないトンデモなノリでスタートした「日陰サバイバン」は、裁判をテーマにしたアドベンチャーゲームです。逆転ナントカ……を彷彿とさせる何かがありますが、逆転要素は一切ありません! そもそも、コレは本当に裁判なんでしょうか……正直ちょっとよく分かりませんが、とりあえず今は深く考えないで話を進めましょう。

 ゲームの主役は、知識と日陰の少女パチュリー……のような紫色の謎の物体「パチェ」。この物語の真犯人です。ハイ! もうこの時点で話がおかしな方向に振り切れ始めていますが、今回の作品紹介はそういうモノだとご理解下さい! 事実、そうとしか紹介しようが無いですし……因みにサークル曰く「本作においてネタバレは存在しません」との事です。まあ最初っからバレちゃってますしね、犯人。

 自らが犯した罪を他人になすりつけるべく、弁護士となって法廷に立ち、裁判をしっちゃかめっちゃかにかき回すのがこのゲームの目的です。謎は一切解決しません!

 幻想郷で起きた殺人事件──被害者は亡霊・西行寺幽々子。何故か事件の容疑者となってしまった美鈴を特に助ける訳でもなく、傍聴席で見守る心強い味方・レミリアと咲夜のバックアップにより証拠品をでっちあげ、何の罪も無い容疑者を追い詰めていきます。右も左も分からないまま検事として連れて来られたアリスのツッコミをものともせず、ちょうど現場に居合わせて事件を目撃していた魔理沙をレアアイテムで買収し、あの手この手を駆使して事件の真相を闇に葬りましょう。とりあえずは「全待った」から!

 ……重ねて言いますが、今回の作品紹介は終始こういうノリですので、悪しからず。

 

裁判パートは意外としっかり……?いいえ、最後までネタたっぷりです!

 まずは証人の証言を聴き、それに対して尋問を行い、ムジュンした証言を見つけて証拠品をつきつけることで、話が進んでいく……という流れは元ネタとほぼ同じ。証言にムジュンが見当たらないときは、待ったをかけて証人をゆさぶることで、また新たな証言を引きずり出すこともできたりします。

 

 このように紹介すると「すごい! ちゃんと裁判ゲームっぽい事してる!」と感じてしまうかもしれませんが、本作ではあれこれ推理したりロジックを組み立てたりする必要は全くありません。だいたいのヒントは、トークの最中に露骨な形で表れていますので、基本的には示されたヒントの通りに証拠品をつきつけていくだけでストーリーが進みます。

 なぜその証拠品を使うのかが全然分からなくても大丈夫! ほとんどの場合、本当に何の脈絡もない証拠品によって、プレイヤーそっちのけで勝手に話が脱線していきますので。もとより脱線させるのが目的なので、意味を求める必要も無いですしね。

 もし間違った証拠品をつきつけた場合は、ペナルティと称して、弁護士バッジを模したゲージが一つ減ってしまいます。しかし、万が一ゲージを全部使い果たしてもゲームオーバーにはなりません! 傍聴席のレミリアがしれっとゲージを追加してくれて、誰にも気付かれないうちに全回復しているからです。安心設計ですね!

 

 そもそも証言の内容も、おおよそマトモじゃないモノばかり! 突如老後の不安について語り出す魔理沙に、事件についてはテキトーに済ませて新聞の宣伝をし出す射命丸文。弁護士も証人も、果ては傍聴人や裁判長までもがやりたい放題、脱線し放題の混沌裁判で、真面目にゲームと向き合おうとすれば頭を抱える事必至です!

 

 というワケで、本作は謎解きや推理に挑むモノではなく、畳み掛けるようなギャグ展開で笑いを楽しむエンタメ作品となっています。随所に盛り込まれたネタは古今東西……というよりは、ちょっと──いえ、かなり懐かしめのモノが多めで、反応できたらおそらく年代がバレてしまうようなディープすぎるネタも……。

 東方のネタに限らず、アニメやマンガ、懐かしのゲーム等々、「そこまでネタにしちゃって大丈夫!?」とプレイする側がハラハラしてしまうほど直球でカオスなネタ地獄は、もはや悪ノリの極致と言ったところ。全てに反応するのはなかなか至難だと思いますが、通じるネタを見つけた時は「あー知ってる知ってる、懐かしい〜!」と盛り上がれること間違いなし!

 恐ろしいのは、このふざけた勢いが最初から最後まで、一切の中だるみ無く続いていくことなんですよね……。一気に話を進めようとすると、息つく間も無いギャグ展開に笑いが止まらず、過呼吸を起こしちゃうかもしれません。適度に休憩を取りながらプレイするのがオススメですよ(※筆者は過呼吸になりました)

 

だから法廷ダンスバトルって何なのさ!?全身滑らかに動く圧巻のアニメーション!

 実際にゲームをプレイして最初に驚くポイントは、何といっても「キャラクターがぬるぬる動くこと」だと思います。それも、まばたきや口パクだけではありません。体全体を使った渾身のアニメーションで、ウィンドウが狭く感じるほど大げさに動き回ります! 特に、ゲーム開始早々に登場する、(何故か一人だけ頭身が異なる)咲夜さんのアニメーションは必見です。

 この無駄に気合いの入ったアニメーションは、本作のメイン舞台である裁判パートで真価を発揮。個性豊かな証人が踊り出せば、威厳ある裁判長も踊り出し、弁護士と検事に至っては発言のたびにドタバタと暴れ、神聖な法廷がさながらダンスフロアの如く賑やかに……これぞ、「法廷ダンスバトル」の真骨頂! 現実では絶対にマネをしないで下さい!

 パチェが机を叩く……もとい机に身体を叩きつけるモーションも、一話ごとに複数のバリエーションが用意されており、プレイヤーを決して飽きさせないのがまたニクイところです。

 このほかにも、「異議あり!」「待った!」の掛け声に合わせて発せられる謎ボイスや、カメラが動くときに一瞬だけ写り込むサブリミナル飯テロなど、何かと無駄に挿入された笑いを取るためだけの機能が、無駄に豪華な仕様となっています。

 このようなゲーム演出の細部の細部にまで笑いを追求する背景には、「とにかく面白おかしくゲームを楽しみたい」「難しいことは何も考えずにプレイしたい」といった声に応えようという想いがあるのかもしれません。何の知識も準備も要らず、ただただ頭をからっぽにして、思いっきり笑えるエンターテインメント……それがこの『日陰サバイバン』というゲーム作品が産み出す生粋の“面白さ”なのではないでしょうか。

 懐ネタ、メタネタ、ブラックジョーク……この世のありとあらゆるギャグ要素をこれでもかと詰め込み、プレイヤーに怒涛の笑いと困惑と疲労感をもたらす、平成最後の問題作。「あの頃の同人ゲーム」を知る世代にとっては懐かしさを、そして若い世代にとっては新鮮な馬鹿馬鹿しさを、きっとこの作品が届けてくれることでしょう!

 

作品情報

「日陰サバイバン」

【サークル】
みょふ〜会
http://hoppeman.sakura.ne.jp

【ゲーム公式サイト】
http://hoppeman.sakura.ne.jp/patye/hikage.html

【作者twitter】
https://twitter.com/myohukai

【一言コメント】
こんなゲームでごめんなさい、でもゼノギアスが好きな人ほどこのゲームを遊んでほしいんです!

【イベント参加情報】
今のところありません。

【委託・頒布情報】

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メロンブックスDL(クリックで飛びます)