ゲーム評
2019/10/23
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東方二次創作ゲームレビュー#01 闇を纏って道を拓け!ルーミアが主役の2Dアクションゲーム『Cont Last』

【月1更新】ゲームレビュー

 皆さん、初めまして! このコーナーでは同人ゲームばっかりプレイしている筆者が、数ある「東方の二次創作ゲーム」の中から、特にオススメする選りすぐりの一作をご案内させて頂きます。

 記念すべき第1回は、驚異的な開発スピードと幻想的なアートワークが特徴のゲームサークル「rack pinion」より、コミックマーケット96でリリースされた最新作『Cont Last』を紹介します!

 

黒を塗りつぶし、白を浮かび上がらせる”ヤミマトイ”アクション!

 

 

 『Cont Last』は、東方紅魔郷の1ボス・宵闇の妖怪「ルーミア」が主役の、2Dアクションゲームです。モノクロに包まれた世界の中でただ一人、ジャンプと”ヤミマトイ”を駆使して、全ステージの踏破を目指します。

 まずゲームを起動して最初に目にするタイトル画面には、真っ白な背景に黒字で書かれた「Cont Last」の文字。そして黒いモヤモヤとした集合体を上下に動かすと、その中に「START」「OPTION」といったメニュー項目が浮かんでいます。

 まずは「START」、続いて「NEW GAME」を選んでゲームを開始してみましょう。
 すると突然、画面の四隅から真っ黒な闇が広がり、再び闇が晴れたときには最初のステージに移動しています。そう、これら“黒”と“白”の表現こそが、本作のメインテーマなんです!

 

 

 ステージ内もやっぱり色味が無く、床も背景も全てグレーがかったモノクロ一色の世界が広がっています。遠く背景に見えるステンドグラス状の窓からは白い光が差し込んでいて、ここは何かの施設の内部なんでしょうか?柱や木々、草花のようなものも見えますが、やはり全てがモノクロで、一切の色彩が無い寂しい世界。ただ一つ、ルーミアだけにはちゃんと色彩が備わっていて、その存在感を引き立たたせています。

 他に変わったところと言えば、ときどき闇のように真っ黒な色をした床があるのと、黒い点線で囲われた何もない空間……これは一体ナンでしょう?

 

 ルーミアが取れる行動=プレイヤーが行うべき操作は、左右移動とジャンプ、そして”ヤミマトイ”の3つのみ。ジャンプは地上で1回、空中でも1回まで追加で行う事ができ、最大2段ジャンプが可能です。そして最後の”ヤミマトイ”が、本作における最も重要なアクション要素となっています。

 ヤミマトイは、ルーミアの「闇を操る程度の能力」を本作のゲーム要素に落とし込んだもので、使用するとルーミアを中心として周囲が真っ黒な深い闇に覆われます。まさに”ヤミ”を”マトイ”しルーミア、というワケですね!

 

 闇をまとった状態では、周囲が真っ暗に染まり、当然背景は何も見えなくなります。グレーの床や壁はそのまま見えますが、何やら目立っていた真っ黒な床は……なんと同じ黒同士、同化し合って見えなくなってしまいました! 一応、黒い床があった筈の場所は白い点線で囲われていて、どういう形状だったかは分かるようになっています。ですが近づいてみると、まるで最初からそこに何も無かったかのように通り抜けが可能となっています!

 そしてもうひとつ、黒い点線で囲われた何もない空間は、闇の中では真っ白な物体として浮かび上がります。例えばジャンプした先に黒い点線があった場合、闇をまとっていればそこに白い足場が浮かび、着地する事ができるようになります。黒いものは同じ色で塗りつぶして存在を消し、逆に白を目に見える形にする……この能力を要所要所でうまく切り替えることが、ステージ攻略のカギとなります!

 

トゲ、奈落、吊り天井……容赦のないトラップの数々!

 各ステージには、数々のトラップが仕掛けられています。刺さると痛そうなトゲが床一面に敷き詰められていて、その上を動く足場が往復していたり。そもそも床が無く、狭い足場をジャンプで乗り継がなければいけなかったり。それらを無事に乗り越えて気分よく進んでいたら、今度は突然天井が降ってきて潰されてしまったり……えげつない!

 トゲにぶつかる、奈落に落ちる、壁や天井に挟まれる等でミスしてしまった場合、その瞬間にルーミアの姿が細かい闇の粒子となって消滅し、ステージ開始位置に戻って再びその姿を現します。つまり、ミスすればステージの最初からやり直し。ステージクリアーのためには一切のミスなくトラップを潜り抜ける必要があるってワケです。

 ヤミマトイを使わなければならないトラップも、数多く登場します。
 例えば、真っ黒なトゲが足元に広がっている場合、ヤミマトイでその存在を塗りつぶしてしまえば安全に進めます。でも、奈落を隔てた先の足場に、今度はトゲの形に縁どられた黒い点線が見えていたら……? そのままジャンプして床を踏めば、当然白いトゲが姿を現してミスに繋がっちゃいますよね。これを打破するためには、ジャンプ中に素早くヤミマトイを解除して、確実に足場に着地する必要があります。

 

 こんな感じで、通常の状態とヤミマトイ状態を、一瞬の判断で切り替えなければいけない場面が至るところで登場します。しかも、ヤミマトイ状態を維持していると画面左下のゲージが徐々に減っていき、ゲージが無くなった時点で強制的にヤミマトイが解除されちゃいます。もし白い足場に乗っている時にゲージが尽きれば、そのまま奈落へ真っ逆さま……。ゆっくり考えている余裕はありません!

 左右移動と2ボタンだけの簡単操作なのに、ついつい慌てて操作がおぼつかなくなり、うっかりミスを連発……なんてコトも。全体を通して、なかなか一筋縄ではいかない難易度となっていますよ!

 

“動かす楽しさ”を最大限に引き出す、洗練されたシンプルさ!

 本作のストーリー・バックグラウンドは一切が謎に包まれていて、ここがどこなのか、なぜルーミアがこんな危険極まりない場所にいるのか、ゲームをクリアーしても最後まで語られる事はありません。それどころか、ゲーム中に表示されているテキストは、序盤のステージ内に書かれた操作説明とチュートリアルぐらいのもの。なので本作は、表現の大部分をプレイヤーの想像に委ね、ほとんど言語に縛られること無く、純粋にアクション要素を楽しめる作品となってます。

 全てのステージをクリアすると、最後には祝福のメッセージとともに、全体を通してミスをした合計回数が表示されます。初めて本作をプレイした人であれば、ミス回数はおそらく3桁以上に到達しているんじゃないでしょうか? もし、初見プレイで2桁以内に収めることができたなら……あなたは相当アクションが得意な人ですね!

 幾多のミスを重ねて、ついにたどり着いたゴール地点。ようやくほっと一息……といきたいところですが、折角なのでもう一度、最初からゲームをプレイしてみましょう。きっと、最初は何度もミスをしたステージも、2回目ならばもっとスムーズにクリアーできるはず。そして再びゴールに辿り着く頃には、ミス回数も劇的に減っていることでしょう!

 

 純粋にアクション要素を楽しめるからこそ、一度のクリアーでは飽き足らず、二度、三度……と繰り返し挑戦したくなるのが、本作の大きな魅力です。それこそ、突き詰めればノーミスで全ステージを踏破することだって可能です(相応にハードルの高いチャレンジにはなりますが……)。性質上、RTAにも向いているかもしれませんね。

 もちろん、そういった極限プレイに挑戦することが全てではありません。ある程度余裕をもってプレイできるようになったら、物寂しくも美しいモノクロの風景を楽しんだり、ぱたぱたと走り、ぴょんぴょん跳びまわるルーミアの愛くるしい姿をじっくり堪能するのも良いでしょう! スタイリッシュにトラップを掻い潜り、軽快にスーパープレイをしている気分に浸ってみるのもまた、本作の楽しみ方のひとつです。

 

 

 とにかくシンプルに、アクション要素を洗練させて「ただ操作しているだけでも楽しい」と感じさせる、rack pinion渾身の最新作『Cont Last』。ルーミアという非常に馴染みやすいキャラクターも相まって、東方二次創作ゲーム最初の一歩としても強くオススメしたい珠玉の一作です!