ゲーム評
2020/03/11

東方二次創作ゲームレビュー#05 いま紐解かれる異聞・東方永夜抄!リグルの活躍を描く2Dアクションゲーム「Wriggle Story」

アンタマニドのゲームレビュー

 皆さん、こんにちは! このコーナーでは同人ゲームばっかりプレイしている筆者が、数ある「東方の二次創作ゲーム」の中から、特にオススメする選りすぐりの一作をご案内させて頂きます。

 

 第5回は、東方紅楼夢15で初登場を果たした新生サークル「GlowGloat」がお届けする、すべてのリグル好きに捧げる究極のリグルファンゲーム『Wriggle Story』を紹介します!

 

 

 

虫の力とキックで戦う、リグルの弾幕アクションゲーム!

 『Wriggle Story』というタイトルからも分かる通り、本作は東方永夜抄の1ボス「リグル・ナイトバグ」にスポットを当てたゲームです。リグルをはじめとする登場キャラクターは全て、かわいらしいドット絵で表現されており、全体的に懐かしみのある雰囲気となっています。

 ジャンルはいわゆるステージクリア型の横スクロールアクションで、原作シューティングのように弾幕を放ってくるザコ妖精や妖怪を倒しながら道中を進み、最奥に待ち受けるボスに弾幕勝負で勝利をすればステージクリアとなります。

 

 リグルの基本操作は、横スクロールアクションの定石である左右移動やジャンプのほか、幻想少女らしく「飛行」を行うことが可能です。実はイガイと「ちゃんと飛べるところも再現している東方二次創作アクション」というのは結構珍しいんですよね!

 飛行状態に切り替えることによって、さながらシューティングゲームのように空中をふわふわと漂い、上下左右に自由に動かせるようになります。しかも飛行中は、自身の当たり判定の可視化・移動速度の低下に加えて、判定が少し小さくなるという特徴を持っています。敵が激しい弾幕を放ってきたら、すかさず飛行モードに切り替えて回避に専念……ちょうど、原作の低速移動のように使っていける感じですね。

 ただし、飛行中は画面右下のゲージを徐々に消耗していき、ゲージが無くなると強制的に歩行モードに切り替わってしまいます。このため、常に飛行状態を維持しつづけることはできません。とは言っても、ひとたび地面に足をつければすぐにゲージが回復しますので、小まめな切り替えを行っていればリスクは殆どありません! 足場のないところで飛行する時だけは注意が必要ですが……

 

 また、リグルの攻撃方法は「ショット」と「キック」の2種類が用意されています。

 ショットはリグルが連れているオプション=虫に依存しており、どの虫を連れているかによって性能や挙動が大きく変化します。虫は、ハエ、チョウ、ハチ、カブトムシの全四種類。例えばチョウならヒラヒラと舞うかのような波打つ弾幕を、ハチなら鋭い針を連想させるような貫通弾を撃てるようになる等、いかにも虫の妖怪らしい多彩な攻撃を見せてくれます!

 ステージ道中に置かれている虫かごに攻撃を加えると、いずれかの虫がランダムで出現しますので、それを回収することでショットの変更も可能です。また、ショットは敵を倒して手に入るPアイテムの回収に合わせて、攻撃範囲や弾数がどんどんパワーアップしていきます。自分に合った扱いやすいショットを選んで、じっくりと育てていきましょう。

 

 そして「キック」と言えば、リグルの代名詞とも言える必殺技! 地上で放てばスライディングを、空中で放てば斜め下に急降下しながらのキックを敵にお見舞いします。命中すると反動で少し後方に跳ね上がるので、その状態から更に追加で入力すれば、連続キックを浴びせる事もできちゃいます!

 但し無敵が付いているワケではないので、弾幕が飛び交うボス戦などでは逆に被弾の元となる等、使いどころはなかなかに難しい技です。しかし、リグルと言ったらやっぱりコレ! ……という根強いイメージもありますので、できれば積極的に使っていきたいですよネ。モチロン、放つ際には叫び声も忘れずに……必殺、リグルキィィィィィック!!

 

 敵からダメージを受けた場合は、ライフをひとつ消費して自動的に霊撃が発生し、周囲の敵にダメージを与えたり、敵弾を消したりすることができます。ライフが全てなくなると残機をひとつ失い、セーブポイントまで戻ってやり直しです。

 残機を全部失えばゲームオーバーですが、コンティニューは何度でも行うことができるので、あまり気にする必要はありません。また、難所を超えた直後やボス戦前など、大事な場面では必ずセーブポイントが用意されています。アクションが苦手な方でもじっくり時間をかけて挑戦すれば、きっとエンディングまで到達することができるハズですよ!

 

 

安直なタイトル?いえいえ、ちゃんと意味があるんです!

 一見すると本作のタイトルは、あまりにもそのまんま過ぎるというか、もうちょっと捻りが欲しいなー……なんて感じてしまうかもしれません。でも、実はこんな直球なタイトルこそ、本作にはピッタリなんです。その理由を説明するために、今度はストーリーについて触れて参りましょう。

 

 本作は、原作の「東方永夜抄」と同じ時間軸で進行していきます。

 明けない夜の異変のなかで、活発に動き出す妖怪たち。リグルもそんな妖怪の一匹で、夜の森を進む紅白の巫女にちょっかいをかけますが──

 

 「ちょっとちょっとちょっと。私を無視するとはいい度胸だわ。それなりの覚悟が出来てるんでしょうね!」

 「洒落かしら?」

 

 どこかで見たことのある掛け合い、そして始まる霊夢との弾幕勝負。しかし善戦するも、最後には霊夢が放った夢想封印で視界が光に包まれます──もうお分かりですよね? そう、これは東方永夜抄Stage1のシーンをそのまま再現したものなんです!

 もちろん原作ストーリーであれば、リグルの出番はここで終了です。ですが、敗北してもなお諦めきれないリグルが、もしも霊夢の後を追いかけていたら……本作はそんなIF展開をもとに作られた、永夜異変の裏側で起きた小さな異変の物語です。

 

 霊夢の足跡をそのまま追って来ているので、その先で出会うキャラクターもまた、永夜抄でお馴染みの人妖ばかり。リグルと同様に霊夢に退治されたミスティアだったり、ちょうど霊夢によって倒され、空から墜落してくる慧音、そして竹林で霊夢に挑み、やはり敗北した直後の魔理沙……こうして、裏では今まさに永夜抄が始まっていると分かる形で、なおかつ永夜抄本編に直接影響を与えること無くストーリーが進展していきます。そして最後には、霊夢や魔理沙ですら知り得なかった危機に、リグルが挑む──!

 

 リグルの視点で送る永夜異変。表立って異変解決に乗り出す霊夢たちとは異なり、リグルの人知れずの活躍が描かれた異聞・東方永夜抄。なるほど、コレは確かに『Wriggle Story』というタイトルが最もふさわしい作品と言えましょう。文字通り、本作は東方永夜抄を舞台にした「リグルの物語」ということなんです。

 

 ちなみに、本作の主な登場人物は上記のとおり東方永夜抄のキャラクターが中心ですが、それ以外にも多数のキャラクターがゲスト参戦しています。チュートリアルに近い最初のステージで戦うエタニティラルバをはじめ、夜闇に紛れてふらふらしているルーミアやルナチャイルド、妖怪の隠れ里で元気に騒ぐ響子やプリズムリバー三姉妹、そして夜の人里に紛れ込む赤蛮奇にキスメ等々……シリーズの前後を問わず、たくさんの幻想少女たちと出会えるのもまた「リグルの物語」ならではのこと。

 語られていない永夜異変の裏側で、もしかしたらこんな妖怪たちのやりとりが、本当にあったのかもしれませんね。

 

全ては”愛”が生み出した、独特すぎるこだわりの演出!

 本作のスゴイところは、ゲームを盛り上げる数々の演出のなかで「ゲーム内容に直接影響しない、やたら気合の入った演出」を多数盛り込んでいるところです。

 たとえばステージギミックとか、各ボスキャラの攻撃方法とか、ゲームの主だった要素に直接関係する演出にこだわるのは、ごくごく自然なことだと思います。しかし本作は、ある種の「お遊び」とも言えるような要素にすら、オンリーワンの演出を惜しげもなく盛り込んでいます。しかも、そのこだわりようがまたハンパない!

 

 例えば、とあるステージの道中にたった一か所だけ、地底の人気者・黒谷ヤマメの隠れショップが仕込まれています。そこでは、僅かなPアイテムを対価にオプションの虫を購入することができるのですが、妖怪の隠れ里などにあるショップとは全く異なるUIで表現されているんです。しかも、システム上特に何も売るアイテムなど用意されていないのに「売る」のコマンドがあったり、「話す」のコマンドで店主のヤマメと会話を楽しむことができたり……と、なぜかここだけ全くの別ゲーをプレイしているかのような雰囲気が広がっています!

 ちなみにこのシーン、「Undertale」というゲームをプレイしたことのある人でしたら、思わずニヤリとしてしまうかもしれませんね。

 

 また、魔理沙とのバトルでは、永夜抄再現と言わんばかりに魔理沙が光符「アースライトレイ」を放つシーンがあります。この時、突然画面右側からにょきっとタイトルロゴ入りのフレームが現れて、ちょうど縦長の原作シューティングのような画面構成に早変わりするという、ナゾの演出があります(※ゲームシステムは全く変わっていません!)

 その後一定時間が過ぎて攻撃が止むと、まるで何事も無かったかのようにフレームも退場し、もとどおりの画面に……「一体何だったんだ今のは!?」と、これには筆者も思わずツッコまずには居られませんでした……

 

 こうした型にはまらない斬新な演出で、プレイヤーに新鮮な驚きとプレイ体験を与えてくれるのが『Wriggle Story』の大きな魅力です。しかしそれを生み出す動力源となっているのは、やはりリスペクトする作品に対しての愛、そして何よりも、リグルに対する深い深い愛の成せるワザでしょう。

 東方永夜抄の影の主人公はリグルだった! ──と高らかに宣言するかのような目一杯の愛に満ち溢れたこの作品、リグル好きの人にはもちろん、リグルをまだあまり知らないという人にも是非プレイして頂きたいです。きっと「リグル・ナイトバグ」というキャラクターが持つ、新たな魅力を知るきっかけになるでしょうから……!

 

 

 

作品情報

「Wriggle Story」

【サークル】
GlowGloat

【作者twitter】
https://twitter.com/C0rPoD0jLdQpfh6

 

【委託・頒布情報】

 ダウンロード版

   Booth(クリックで開きます)