東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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インタビュー
2023/01/13

声を出せるライブの喜び――『博麗神社うた祭2022 in 東京』サークルインタビュー

『博麗神社うた祭2022 in 東京』サークルインタビュー

 2022年11月、川崎CLUB CITTA’にて開催された『博麗神社うた祭2022 in 東京』。実に3年ぶりの開催となったうた祭は、マスク着用の上で観客の声出しが可能になったライブでもある。

 ライブにおいて声出しができるようになったのは観客、演者ともに大きな喜びとなったことは間違いない。

「ライブの日常」が戻りつつあることを証明してくれたうた祭で、演者はどのような実感を得たのだろうか。ライブ終了間際に、各演者の生の声を集めた。

 また、各演者のライブレポートについては下記よりご覧ください。

博麗神社うた祭2022 in 東京 ライブレポート

聞き手/東方我楽多叢誌 編集部

 

イノライ

――出演アーティスト7組の先陣、大変お疲れさまでした。会場のボルテージを高める、開幕に相応しいライブでした。今回、ステージに立たれた感想としてはいかがだったでしょうか。

イノライ:
 うた祭に出演者として参加するのは夢でした。前回のうた祭では一般参加でしたが、それが今回ではステージに立って、皆さんに曲を聴いてもらえたことが嬉しいです。

――ステージを観ていた側からステージに立つ側になり、しかも第一陣を切る。とても素敵ですね。今なおコロナ禍が続いておりますが、今回のうた祭ではマスク着用という条件下において声出しが可能となりました。少しずつ本来のライブに戻りつつあるかと思いますが、感触としてはいかがでしたか。

イノライ:
 ようやく、という実感があります。少しずつ緩和が進んで、最終的にはマスク無しでも声が出せる日が戻ってきてほしいですね。とはいえ、今日のライブでも皆さんの盛り上がりは伝わってきました。
いざライブが始まると「ああ、この感覚。戻ってきたんだな」と。

――かつてのライブの空気が戻りつつありますね。それでは、本日のライブを聴きに来られたファンの皆さまへ一言お願いいたします。

イノライ:
 こんなご時世ではありますが、足を運んでいただいて本当にありがとうございます。繰り返しになりますが、うた祭に出るのが夢だったので、ステージから皆さんの顔が見えて嬉しかったです。今日のライブを通して、僕たちの楽曲がたくさんの人に届いていたらと思います。

 

森羅万象

――ステージに立たれた感想としてはいかがだったでしょうか。

森羅万象:
 久しぶりの声出しのライブで、”観客の熱”を近くに感じました。MC中のレスポンスが声で返ってくるのが逆に新鮮でしたね。やはり声で反応が返ってくるのはうれしいです。

 声出しできるようになったからこそ、たとえばジャンプのときに皆さんの盛り上がりがより強く感じられました。

――観客の皆さんのリアクションも盛り上がっていましたね。久々のうた祭は、参加してみてどうでしたか。

森羅万象:
 最高でした。演奏に入る前のアタック映像からテンション上がりました。CLUB CITTA’って会場広いじゃないですか、だからステージを走り回りたい衝動があったんですけど、そこは体力をコントロールして乗り切りました(笑)

 うた祭のキャッチコピーでもある「つなぐ!つながる!東方!」ができたのも良かったですね。

――まさにキャッチコピーを体現したステージでしたね。それでは、本日のライブを聴きに来られたファンの皆さまへ一言お願いいたします。

森羅万象:
「待っていてくれて、ありがとう」と言いたいです。ライブを開催できなかった期間が長かったからこそ、初めてライブに参加する人も多かったんじゃないかと思うんですね。だからこそ「ライブは楽しいから、これからも遊びに来てね」という気持ちを伝えたいです。

 

Alstroemeria Records

――ステージに立たれた感想としてはいかがだったでしょうか。

Alstroemeria Records:
 たくさんの人が来てくれて良かったです。みんなの表情も輝いていましたね。みんなが盛り上げてくれるから、とてもやりやすい環境でした。

――東方のライブでこの規模の入場者数は久々ですよね。今回、3年ぶりとなるうた祭はいかがでしたか。

Alstroemeria Records:
 人が集まってるとテンションが上がりますね。みんなからのリアクションで一番分かりやすいのは、やっぱり声なので。声出しの有無はテンションに直結します。

――Alstroemeria Recordsの楽曲だと、ライブでの『Bad Apple!! feat. nomico』は声出しによるレスポンスが印象的ですよね。

Alstroemeria Records:
 声出し可能じゃなければできなかったですね(笑) みんな合いの手を入れてくれてよかった。

――ライブだからこその一体感がありました。それでは、本日のライブを聴きに来られたファンの皆さまへ一言お願いいたします。

Alstroemeria Records:
 今日のうた祭をきっかけに、今まで知らなかったサークルも知ってほしい。そこで新しく興味を持ってもらえたら、次のライブはもっと楽しくなると思います。楽しいライブを、またやりましょう。

 ライブに来てくれたことで生のダンスミュージックや生の歌声に触れて、また足を運んでくれたら嬉しいですね。

 

少女理論観測所

――ステージに立たれた感想としてはいかがだったでしょうか。

少女理論観測所:
 まず、なによりも楽しかったです。演奏としてはトラブルもあったので、そこは悔しかったですね。欲を言えば一切のトラブルもなく終えたかったです。ライブが楽しかったからこそ、悔しい気持ちもまた大きいです。

 それでも、良いステージができたとは思います。

――少女理論観測所としては2018年のうた祭以降、実に4年ぶりの出演となりましたが、久々のうた祭はいかがでしたか。

少女理論観測所:
 うた祭は、東方のライブイベントの中でも観客の「より楽しむぞ」という前のめりな姿勢が感じられるイベントですね。コロナ禍の期間で、ライブでの声の出し方を忘れていてもおかしくないのに、みんなが盛り上がっている姿を見て、これがうた祭の温かさだなと思いました。本当に、声を出せる環境で良かったです。

――声出しによるレスポンスがあるというのは、やはり演奏する側にとっても影響がありますか。

少女理論観測所:
 大いにあります。僕らが演奏を投げかけて、それに対して何かが返ってこないのは、やはり寂しいじゃないですか。手拍子だけじゃない、声によるレスポンスは有り難いです。

――観客からのレスポンスがいかに重要なのかが伝わりました。それでは、本日のライブを聴きに来られたファンの皆さまへ一言お願いいたします。

少女理論観測所:
 小さいころからライブを観ていて今日ここに出演者として来た人間としては、僕たちの活動を通じて東方のロックアレンジをやりたい、好きだなって人が増えてほしいですね。「君がやるんだぞ、頼むぞ」って言いたい(笑)

 ライブについては悔しさの残るステージでもあったので、またリベンジするから観にきてほしいです。

 

幽閉サテライト

――ステージに立たれた感想としてはいかがだったでしょうか。

幽閉サテライト:
 この時世の中で、コール&レスポンスができることが幸せでした。『色は匂へど散りぬるを』で合いの手を入れてくれたり、タイミングを合わせてジャンプしてくれたり、そうした一体感が嬉しかったですね。

――他の演者様も仰っていましたが、やはり声にレスポンスがあるのは大事なポイントになるんですね。

幽閉サテライト:
 そうですね。先ほど例にあげた『色は匂へど散りぬるを』の歌詞にある「ばかり」の部分で、みんなの声が返ってくると僕らのテンションも上がります。押した分だけ返ってくる、と言いますか。手拍子だともう一歩足りないと思っていたのが、声出しだとより大きな熱量としてこちらに返ってきますね。

――声出しのレスポンスだからこそ伝わる熱量があるということですね。うた祭としては3年ぶりの開催となりますが、イベントの感想はいかがでしたか。

幽閉サテライト:
 面白い、楽しい、嬉しい、有り難い、これらの言葉をすべてひっくるめたものになります。東方風に表現するなら、「歌の幻想郷」に来ることができてうれしいという感じです。

 会場が新宿ReNYからCLUB CITTA’に移ったことでイベントの空気も変わるのかなと思っていたけど、うた祭の空気感はそのままで懐かしくなりました。

――うた祭ならではの空気が引き継がれていたわけですね。それでは、本日のライブを聴きに来られたファンの皆さまへ一言お願いいたします。

幽閉サテライト:
 感謝の一言です。来てくれた皆さん、スタッフの皆さんに「どうもありがとうございます」と。またよろしくお願いいたします。

 うた祭の「つなぐ!つながる!東方!」ができたように思います。

 

石鹸屋

――ステージに立たれた感想としてはいかがだったでしょうか。

石鹸屋:
 あれだけのお客さんがCLUB CITTA’に集まって、声出しもできて、「この日常が欲しかったんだな」という気持ちです。

――石鹸屋の楽曲は、観客からのレスポンスが重要な部分も多いと思います。今までのコロナ期間は合いの手を入れようとしても、どうしても手拍子までになっていましたが、久々の声出し可能なライブというのは、実感としてどうでしたか。

石鹸屋:
 コロナ期間中も、声出し無しでのライブ自体は何度かやっていたんですけど、改めて声出し有りのステージに立つと「ああ、やっとだな」とはなりますね。またいつかのライブの風景が戻ってくると思うと、感慨深いです。

――久々のうた祭はどうでしたか。

石鹸屋:
 なによりも、反応が若々しい。初めて石鹸屋を観る人、そもそも初めてライブに来る人が多いんだなという印象でした。コロナ期間中に、そうした若い世代の入れ替わりがあったのかもしれないですね。

――ライブイベントの参加者にも新陳代謝が起きていますね。それでは、本日のライブを聴きに来られたファンの皆さまへ一言お願いいたします。

石鹸屋:
 コロナでライブイベントが下火になっていたところに、若い子たちが入ってきたことで東方の熱が再燃したように思います。会場全体の勢いからも、それが感じ取れたんじゃないかな。

 東方が盛り上がっている初期のころに『FloweringNight』があったように、東方にはライブのシーンが根付いているイメージがずっとあるんですよ。今回のうた祭で、ライブが楽しめる場所であることを知ってくれたら嬉しい。東方は原作のゲームも音楽も二次創作も、なんでも楽しい。その「楽しい」の一角にライブもあってほしいですね。

 

COOL&CREATE

――本日はライブの大トリということで、大変お疲れさまでした。今回のステージはいかがでしたか。

COOL&CREATE:
 やはり声出し有りは違いますね。初めての人が多いと慣れないかなと思ったら、むしろ3年間溜め込んだ「声を出したい」欲が発散された気がします。

 COOL&CREATEの曲は声出しを前提に作っている物が多いので、声出しができないときのライブは正直やりづらい気持ちもあったんですけど、今回はフルパフォーマンスで楽しめたのが良かった。やっとこの世界が戻ってきたなという感想です。

――COOL&CREATEは特に、そうしたパフォーマンスが重要ですよね。声出し有りのライブは、ステージから反応を受けてみてどうでしたか。

COOL&CREATE:
 熱気と湿気が変わりますね。そこがエネルギーだと思うので、僕らもテンションが上がります。ステージの前に出て煽ったりすると喜んで返してくれるから、「もっとやっちゃおう」って気持ちになりますね。

 今回は有観客で初めて演奏する曲が多くて、配信ライブとはやり方がまったく違いました。ライブに来てくれたみんなも合いの手が完璧で、この3年間、モニターの前で予習してきてくれたのが伝わりました。仕上がってましたね(笑)

 他の出演サークルもすごい良かった。石鹸屋もフロアで聴きたかったけど……。

――出番の直前だと難しいですよね。

COOL&CREATE:
 今後は前半の出番がいいですね(笑)

 最初にやっちゃえば残り楽しめちゃうんで(笑)

――久々のうた祭はどうでしたか。

COOL&CREATE:
 久しぶりのフルバンド編成での有観客ライブだったのですが、やはり熱量がすごかったですね。

 会場に来てくれた人が500人くらいじゃないですか。YouTube配信とかだと「同接500」みたいに数字として見がちですが、500人ってすごい人数ですからね。有観客ライブだと、そこにいる一人ひとりが熱を持って来てくれたことが伝わりますね。

――それでは最後に、本日のライブを聴きに来られたファンの皆さまへ一言お願いいたします。

COOL&CREATE:
 インターネットもいいですけど、現場もとても楽しいですよ。

 東方の音楽ライブの現場にみんなが行くようになってくれれば、それを受けてライブも増えるだろうし。今回、ステージからお子さん連れの方も見えたんですけど、今後はそういった若い子たちもライブに来てほしいですね。

声を出せるライブの喜び――『博麗神社うた祭2022 in 東京』サークルインタビュー おわり