はたして、前六組のステージをつなぐ一曲目はなにか。一瞬の静寂のあと、鳴り響いたのは毎度おなじみ『リスペク風神』のイントロとゆっくり音声。

マスクをつければぁ～　声出しオッケー！

　ゆっくりのアナウンスに、フロアからも大歓声が返ってきます。さすがCOOL&CREATE、間の抜けたゆっくりボイスでもこれだけ盛り上げられるなんて……

　そして、熱気を湛えた会場に最後の演者たちが現れました。Dr.まこっちゃん、Key.狐夢想、DJ.まろん、Ba.ムー、Gt.テラ、そして、Vo.ビートまりお。今回のクークリはバンド形式！　アドリブのコール＆レスポンスも即座に対応可能な鉄壁の布陣に、期待が高まります。

この曲は地球一番の

東方風神録リスペクト曲だよ

ゆ　っ　く　り　楽　し　ん　で　い　っ　て　ね

　おなじみの導入からおなじみの一曲目『リスペク風神』。スクリーンにはでかでかとあのMVが映し出されています。そしてまりお氏の、風神録好き好き大好きラップステージが始まる！

ファーストステージ秋姉妹

でも弾幕ヌルくて飽きちまう

　次々と繰り出される言葉の弾幕に、フロアもペンライトと手を掲げ応えます。ライミングに合わせたキレのある動きが、凄まじい一体感を生んでいます！　会場が一瞬でクークリの世界に染まりました。

乙女心にフォーリンブラスト

実る頃にハーヴェスト

　奇しくも、石鹸屋のラスト『巡るHarvest』から受け継ぐ形となりました。熱い展開です。一曲目から最高潮になったステージは、とどまるところを知りません。

　手を振り上げてフロアを煽るKey.狐夢想氏、ステージを動き回るBa.ムー氏、音に身を任せてノリノリのDJ.まろん氏。メンバー全員が底抜けに楽しそうで、ダイナミックなパフォーマンスを魅せてくれます。これには私も参加せざるを得ません。だって風神録、私も大好きだから！

幻想郷に集まる人間が騒ぎ出す

＜東方風神録＞

　まりお氏がマイクを向ければ、フロアからは熱烈な＜東方風神録＞コール。そしてなぜかしれっと国歌鳥の詩を混ぜるKey.狐夢想氏に笑ってしまいました。

全く気付かないうちに国歌になるリスペク風神 pic.twitter.com/RGOvolvgUG

— まろん / MARON (@maron47) November 14, 2022

モーリヤ　モリヤ　モリヤ　風神

モーリヤ　モリヤでこう↑こう↓こう↑

　ふざけたおした高速弾フレーズに、フロアも身振り手振りで対応します。楽しい、とにかく楽しい。この集団でバカをやる感じがたまらなく好きだ！

文々。新聞よろしくねー

「明日の朝刊載ったゾ テメー‼」

歴然幻想ナンバーワン そう

リスペク風神イチバンだ

　最後を『文々。新聞』で締めたリスペク風神。そう、お次は彼女です。清く正しい射命丸です。

　二曲目は『最速最高シャッターガール』！　あやややや、リスペク風神で高まった東方熱に、速度まで加わっちゃいます！？　これは、本気でいかないと置いて行かれそうです。

最速！　最高！

最速！　最高！

　しかし、ここまで来た私たちには何も問題ありません。まさに今の気分は『最速！最高！』。観客からのコールもトップスピードを維持しています。まりお氏の煽りに合わせてみんなと叫ぶ『FLY HIGH！！』が最高に気持ちいい。

　そして後半で、Key.狐夢想氏の流麗なメロと、Gt.テラ氏によるバリバリのロックサウンドが前面に押し出されてきました。狐夢想屋×ゼッケン屋だ！少女ファインダー版の最速最高シャッターガールに寄せてきた！！

　石鹸屋からバトンを受け取ったCOOL&CREATEステージで、秀三氏とコラボする狐夢想氏＆石鹸屋が大好きなテラ氏が演奏している……なんと豪華なステージなのか。東方に魅了された人たちの“夢”がいっぱいに詰め込まれています！　ライブならではのアドリブパートに、フロアの盛り上がりも限界を突破します。

　そしてラストパートへ突入！　まりお氏の煽りに合わせて『FLY HIGH！』、間髪入れずに

最速！　最高！

最速！　最高！

のフロアから全力のレスポンス。彼らは二曲目でもう、CLUB CITTA’を完全に支配していました。

　その後のMCでは、怒涛のコール＆レスポンスタイムが始まります。

「こんばんは！」

＜こんばんは！＞

「ライブが初めての人だけで『こんばんは！』」

＜こんばんは！＞

　久しぶりの声出しライブの感触を確かめるように、いつもの挨拶をするまりお氏。そして元気に応えるフロア側。三年ぶりとは思えない確かな一体感が、そこにはありました。三年分の声を出せ！とでも言うかのように煽るまりお氏に、我々も熱くなります。

つなぐ、つながるーー？

 ＜東方ーー！！＞

インターネット

＜やめろ！やめろ！＞

インターネット

＜やめろ！やめろ！＞

ビートまりお

＜やせろ！やせろ！＞

　アドリブのコール&レスポンスにも、フロアのみんなは当然のようについてくる。心なしか『やせろ！やせろ！』に力が入っているようにも聞こえました。笑いすぎてお腹が痛い。

　ひとしきり声出しの感触を楽しんで、まりお氏はこう切り出しました。「テラ君やまろん君のように、いま来てる人も10年後にこのステージに来るかもしれない」。

　そう、この東方ライブイベントの聖地、川崎CLUB CITTA’でまばゆい夢の世界に魅せられているのは私たちです。会場のなかから『ここに立ちたい』という夢を叶える人が、“また”出てくるかもしれません。

　世代を超えて愛され続ける東方アレンジと、ファンたちの夢。それを叶えた実例を、私たちはいま目の前にしています。これは今日の最後のステージですが、ここで終わりじゃありません。東方Projectのファン活動は、次の活動へ“つながっていく”ことでしょう。

　そして、十年以上の時を経てもステージに立ち続けているCOOL＆CREATE。なぜ、どうしてかって？　彼らはずっと東方が好きで好きで、たまらなかったからです。ずっとずっとライブやアレンジを続けてきたからです。もはや生ける伝説かもしれません。でも確実なのは、伝説という記憶のなかだけの存在じゃないということ。そんな彼らの現在、今のCOOL&CREATEが、この次の展開から感じ取れました。

　序盤の鉄板曲から一転。お次は昨年発表の『マツヨイナイトバグ』です。PVが大スクリーンに映し出され、照明は緑になりました。観客側も緑のペンライトで合わせます。

　ダンマクカグラを意識したのか、ゲームで慣れたショートバージョンです。ゲーム内の譜面が脳内再生された人もいるのではないでしょうか？　私は思い出しちゃいました(ルナのフルコン絶対無理)。サービスは終了してしまいましたが、すでに復活リビルドの予定が立っています。

　今はゲームで遊べませんが、ライブでは楽しめます。ならば復活までのしばしの間、私たちでこの世界をつないでしまおうじゃありませんか、私たちで！　つなぐ、つながるナイトバグ！

バグれ！バグれ！

＜押せ押せ押せ押せ　押しまくれ！＞

もっと近くで

＜ムシムシムシムシ　虫ばっか！＞

　2週間前にPVが発表されただけあって、また話題になっている曲です。フロアもテンション爆上がりで、高速で畳み掛けるコールも熱を帯びていきます。さすが音ゲー曲、とんでもないスピード感でシンセとキックが鳴り響きます。ワンミスも許さない、と観客側も手を振り上げ、高速で反応します。一夜限りのダンマクカグラ、気持ちはオールブリリアント！　息も絶え絶えな私たちに、次の曲がつながります。

開け市場　開け市場

打ち上がれ天弓のオトハナビ

　そこには、祭に咲く大輪の花火が広がっていました。

　四曲目は『天弓天華オトハナビ』。歌い出しの瞬間、『待ってました』と言わんばかりに歓声が上がりました。今までで一番反応速度が早い。

　それもそのはず、『天弓天華オトハナビ』はコロナ禍で同人イベントが窮地に立たされた際、その鬱屈とした空気を払拭する為に、もう一度市場が開くことを願って書き上げられた曲です。それが今、声出しができる状態で歌われるというのは、この曲そのものの存在意義の証明にほかなりません。

『ハイ！　ハイ！　ハイ！　ハイ！』まりお氏が煽らずとも、間奏で掛け声が生まれます。

怒られちゃっても　叱られちゃっても

＜やっちまった！やっちまった！＞

＜酔え！酔え！酔え！酔え！＞

　息ぴったりなコール＆レスポンスで答えるフロア。文字通り“お祭り騒ぎ”です。楽しい、楽しすぎる！　『全て無（かみ）に　全て無（かみ）に帰そう！』の合唱も完璧。

左右のシンクロ率100%で草 #うた祭 pic.twitter.com/A7ZK9EjTpE

— ムー（クークリのベースの人） (@mwwtorianne) November 13, 2022

　そして迎えた大サビ。間奏のテラ氏のギターを経て……飛んだぁぁぁぁ！　まろん氏が、ムー氏が、テラ氏がサビで大ジャンプ！　これにはフロアの熱量も大爆発。ハイテンションで一気に走り抜けます。

なにがあっても　どこへいっても

虹は続いていく　東方

不屈の“にじ“創作の精神を証明して、続くは最後のMCタイム。

みんな東方好きかぁ！

＜うおおおお！↑↑＞

ZUNさん今日いる？　いなーい！

＜ああああああ↓↓＞

　ビートまりお氏のMCが面白いのは当然事実ですが、観客側も今日が久しぶりのコール・アンド・レスポンスとは思えない反応速度。自然な感情から声が出ちゃいます。もう、声が出せなかったころなんて思い出せません。

リグル好きな人～

＜はーーい(挙手)＞

幽々子さま好きな人～

＜はーーい(挙手)＞

フランちゃん好きな人～

＜はーーい(挙手)＞

　フロアのみんなに推しキャラを訊いていくまりお氏。まるで友達と東方キャラについて語り合うときのような距離感です。何がすごいって、この人数を端から端まで、一瞬で友達みたいな距離感に引き寄せてしまうこと。

『霊夢が好きだ！』『魔理沙が好きだ！』そんな空気から、ぽつりぽつりと観客席から生まれた声は、収拾不可能とも思える推し叫び合戦になってしまいました。カップリングから曲名まで、東方Projectへの愛が止まらない。そして続けて問う、

ZUNさん好きな人～

＜ハーイ(満場一致異論無し)＞

　それはそう。急に全員が揃って手を上げてて笑っちゃいました。この最上のMCコントロールが、この数年間ずっと見れなかったんですよ。世界は間違いなく損失していた。笑って笑って泣けてきました。

　そして、皆が愛して止まないZUNさんへ。五曲目は『Thank you 感謝』。

あふれる予感を両手に　始まる僕だけの歌

愛だとか恋だとか　そんなんじゃないよね　

　狐夢想氏の静かなキーボードのメロと、そっと寄り添うような、まりお氏の歌声が会場いっぱいに満たされました。この流れから『Thank you 感謝』を持ってくるのは、反則でしょう。

素敵なゲームをありがとう

素晴らしい神様に感謝

これからもいつまでも

大事にしていこう

　MCタイムであれだけ推しを叫んだあとなんです。あの会場にいた一人ひとりに、思い思いの『ありがとう』が無いわけありません。ちなみに私の“ありがとう”は妖々夢のアリスです。

　エモーショナルなメロディーとフレーズで、すっかりしっとりしたフロア。静かに、音の流れに身を任せるように、観客は左右に手を振っていました。テラ氏のギターが、追い打ちとばかりに泣かせにかかってくる！

『ZUNさん、原作をつくってくれてありがとう！』最後の最後でまりお氏が叫びました。その瞬間、堰を切ったように、わぁっと歓声が上がりました。ありがとう。東方Project！

　ひとしきりの感謝を伝えて、ステージは最後の曲に突入します。六曲目は……『Help me, ERINNNNNN!!』！

　クークリといえばこれ！もうお約束ですね？　前奏段階からもうテンションがおかしくなった私たちは『ハイ！ハイ！ハイ！ハイ！』と、延々と掛け声を叫んでいました。

　焦らしに焦らして、煽るまりお氏。フロアもさらに声を張り上げます。そして……

ああ、どうしよう　高く振り上げたこの腕

(　ﾟ∀ﾟ)o彡゜えーりん！えーりん！

　やっぱこれだね、(　ﾟ∀ﾟ)o彡゜えーりん！えーりん！

　一糸乱れぬ手の動きに、今日一番の一体感を覚えました。スピーカーの爆音にも負けない『えーりん！えーりん！』が会場全体に響き渡ります。

　そして、ライブ版恒例のメンバー紹介とコール＆レスポンスタイム。それぞれのパートで楽器を掻き鳴らすシーンが、最高に格好良いのです。スティックをクルクル回転させながらロールするDr.まこっちゃんに、大きな声援が飛びます。Key.狐夢想氏の『毛深くて！もふもふで！ﾄｯﾃﾓｶﾜｲｲｶｹﾞﾛｳﾁｬﾝ！！』自己主張が激しくて笑いが止まらない。

＼ﾄｯﾃﾓｶﾜｲｲｶｹﾞﾛｳﾁｬﾝ!!!／#うた祭 pic.twitter.com/gdDWbYRdLY

— 狐夢想🦊新譜CD&DLメロン委託 (@komso) November 13, 2022

　コール＆レスポンスタイムはまだまだ続きます。

インターネットがやめらんないえーりん pic.twitter.com/HD8xZxaGwW

— まろん / MARON (@maron47) November 14, 2022

霊夢　霊夢

＜霊夢　霊夢＞

博麗霊夢！

＜博麗霊夢！＞

インターネットが

＜やめられない＞

インターネット

＜やめろ！やめろ！＞

　今回新たに追加されたコール＆レスポンス、『インターネットやめろ！』がクークリメンバーに刺さりすぎて死ぬほど笑えます。

ライブ楽しかった！東方最高！！！#うた祭 pic.twitter.com/jp1VLKvjXw

— ビートまりお💓 (@beatmario) November 12, 2022

(　ﾟ∀ﾟ)o彡゜えーりん！えーりん！

(　ﾟ∀ﾟ)o彡゜えーりん！えーりん！

(　ﾟ∀ﾟ)o彡゜えーりん！えーりん！

(　ﾟ∀ﾟ)o彡゜えーりん！えーりん！

　みんなで騒ぎ、ともに東方でつながった。素晴らしい宴に相席できたことにThank you 感謝！　……ですが、楽しい時間もこれで最後。「全部出し切れ！」と、フロアも過熱していきます。

　最後のフレーズを叫んだまりお氏は観客にマイクを向けました。こちらの番だ！

＜＜＜＜えーりん！　助けてえーりん！＞＞＞＞

＜＜＜＜Fooooooooo！＞＞＞＞

　そして、歓声が鳴り止まない会場に、締めに決めゼリフを投げて締めてくれました。

つなぐーーつながるー？

＜＜＜＜＜＜東方ーー！！＞＞＞＞＞＞

　博麗神社うた祭り2022、これにて閉幕です！楽しかった！　最後に物販に寄って……

 

…

……

…………

……ほんとうに？

もう帰っちゃいますか？

コンティニュ～？

あと１回

↑

いいえ

はい

↓

演者祈祷中……

 

『まだ足りない！！』そんな感情を叩きつけるように、アンコールの叫びが響き渡りました。もうみんな残機ゼロの満身創痍です。喉を痛めて、声がおかしくなってる人も居たことでしょう。ですが、それでもまだ足りない。私たちを満たしてくれる、あの音が足りない！！

　パワフルなサウンドで華々しいスタートを飾ったイノライに、キュートな幻想世界を創りだした森羅万象。チッタを巨大なフェス会場に仕立てたAlstroemeria Recordsと、夢を叶えてついには憧れの存在ヒーローとなった少女理論観測所。皆の心を掴んで離さない幽閉サテライトや、その実りをともに分かち合った石鹸屋。そして、東方愛を語り合ったCOOL＆CREATE。

　みんなが私たちのアンコールに応えてくれました。そして、このお祭りの最後の歌は、『廻れ幻想フェスティバル』。

巡る新しい世界へと

廻れ　幻想フェスティバル

　歌い出しが始まった瞬間、クラブチッタを明るい光が包みました。この会場にいるすべての人が、黄色い感情を振りまいているのです。ステージ側に手を伸ばし、“好き”を全力で表現する人、思いっきり手を叩いて飛び跳ねている人、たまらず歓声を上げている人……「楽しかったよ！ありがとう！」それぞれがステージへ向けて、感謝を目いっぱい注ぎます。

新しい未来芽吹く　繋がる幻想

賑やかな祭りのその先へ

　サビで、演者たちの大合唱が始まりました！　全7サークルによる大サビ、壮観です。

今騒げ　神も人も明日を忘れて

さぁ、みんな奏でよう

手　　を　　叩　　け

　合図とともに、みんなが、少女綺想曲のサビメロディーで「Ri-Ri-Rise on!(ﾀﾝ.ﾀﾝ.ﾀﾝﾀﾀﾝ)」と手を叩きました。続くフレーズは「立ち上がれ！」「未来を創れ！」

　ここにきてようやく、この歌が今年の博麗神社うた祭のために作られた意味がわかりました。これは『うた祭』の完全復活を告げる狼煙だったんだ。そして、新たな世代と東方アレンジを楽しむ、夢を叶えるというライブシーンにおいて、これ以上ない歌なんだと。

Ri-Ri-Rise on!

立ち上がれ！

Ri-Ri-Rise on!

未来を創れ！

　祭が終わる。今度こそ本当にこれで終わり。

　フロア全員がみんなして、最後の力を振り絞ろうとしている。だってほら、ハイハイ！の掛け声が尋常じゃない。ステージもこれに応えて、いや負けじと、全力で歌っている！

　より一層高まった歓声がクラブチッタを震わせました。声の振動が体の表面をビリビリと撫でてくる。明るい音も腹の底から響いてきて、体が芯から熱くなってきます！

ひとりの声は

みんなの歌へ

　年に一度の大宴会。廻れ幻想、つなげ東方フェスティバル！　博麗神社うた祭2022、たくさんの夢と幻想を届けてくれて、ありがとう。この宴は、来年のうた祭2023Next Dreamへと、つながっていくのです。

　まだこの場所に来れていない人がいる。新しい宴がまだ始まってない人がいる。東方ファンみんなとの再会のときが待ち遠しい。次もまた、騒がしいあの仲間たちに、会いに行こう！

セットリスト

１.リスペク風神
２.最速最高シャッターガール
３.マツヨイナイトバグ
４.天弓天華オトハナビ
５.Thank you 感謝！
6.Help me, ERINNNNNN!!

アンコール

廻れ幻想フェスティバル