東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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インタビュー
2024/10/18

朝と夜、二人の比那名居天子 製作インタビュー

二人の比那名居天子 製作インタビュー

骨格検出によって動きを読み取り、まるで自身が弾幕を撃っているかのような体験ができるメディア作品『幻想郷システム』を製作しているチーム・EdelWorksPrjエーデルワークスプロジェクト

EdelWorksPrj
https://www.edelworksprj.jp/home

先日の記事では幻想郷システムの製作に関するインタビューを掲載した。

コスプレ表現が生み出す幻想郷の世界 幻想郷システム 五味氏・静丘氏インタビュー

幻想郷システム 五味氏・静丘氏インタビュー

記事内でも触れている通りEdelWorksPrjはコスプレ製作も手がけており、次なる新作は『二人の比那名居天子』とのこと。

比那名居天子といえば、極光(オーロラ)を表す装飾が特徴的なキャラクターである。それが二人というのは、はたしてどのようなアレンジとなるのか。

コスプレ写真展示イベント『コスナビ写真展Legacy2024』に出展されていたEdelWorksPrjの五味ごみ氏・静丘しずおか氏に、最新作品となる『二人の比那名居天子』について取材した。

聞き手/紡
写真/るぅく

 

朝と夜、二人の比那名居天子

――『コスナビ写真展Legacy2024』でお披露目となった比那名居天子ですが、緋想の剣やスカート周りの飾りなど、電飾と相性が良さそうですよね。今回の『二人の比那名居天子』はどのような経緯で製作することになったのでしょうか。

五味:
静丘が昔製作した電飾天子のリメイクをしたいと2年前ころから話していて、単純にリメイクするだけじゃつまらないということで、新しいテーマを考えることにしたんです。新しい電飾天子を作るにあたって、モデルのまりもさんとなすびさんによる二人の天子をどのように調和させるか、また、新しい技術をいかに製作に落とし込めるかを念頭に置きました。

――『コスナビ写真展Legacy2024』の開催前には撮影風景が公開されていましたね。

静丘:
『二人の比那名居天子』もチームを組んで製作しています。動画ではだいさん、写真ではニャガさんとご一緒しています。今回は総勢8名での製作ですね。

――なすびさん、まりもさんの天子はそれぞれ衣装のアレンジ具合が異なっていますよね。

五味:
まず土台となる世界観、キャラクターの設定を作った上でふたりに相談をして、それぞれ協調しあいながらも別々のアレンジ衣装を作ってもらいながら進めました。

――衣装のデザインはおふたりの意見も取り入れつつ、という形ですか?

五味:
衣装デザインについては、ほぼふたりが考えてくれました。

静丘:
デザインの方向性を皆で議論して、最終的に「朝と夜」をテーマにしようと決めてからは、衣装製作のベテランであるふたりにお願いすることにしました。

左:なすび氏 右:まりも氏 なすび氏が「朝」、まりも氏が「夜」をテーマとしたアレンジ衣装を製作している

――衣装のアレンジはもちろんですが、天子の特徴でもあるスカートの飾りも目を惹きます。

秋季例大祭新刊『二人の比那名居天子 写真集&メイキング』表紙。緋想の剣やスカートの飾りがオーロラのように輝いている

五味:
太陽と月を表した飾りのデザインはAIを使用しています。最初の構想では衣装のサンプリングをAIに出してもらおうとしたんですけど、それがなかなか難しくて、小さいデザインに絞って出してもらったのがこちらの飾りとなります。

近い将来、AIを使った同人製作は当たり前になっていくと思いますし、すでにそうなり始めています。私たちは技術サークルなので、だからこそAI技術を敬遠せずに受け入れていこうと今回の製作で実験的に取り入れてみました。

――月と太陽のデザインが、それぞれの衣装ともマッチしていますね。

五味:
天子の飾りは無線でリモコンと連動させて、光り方のパターンを変えることもできます。電飾の基板は衣装の裏地に縫い付けてもらっています。

緋想の剣も同じ仕組みです。たとえば剣の柄部分を操作すると……

光り方のパターンを変えることで、剣の接触部分が発光しているような演出が再現できる

このように剣と剣がぶつかったときのエフェクトがあるかのように、光り方を変えることができます。

機能を実装するときは「撮影でどのような画がほしいか」「どうなったらおもしろいか」を考えて作っています。

 

互いへのリスペクト

――なすびさん、まりもさんにもお聞きします。『二人の比那名居天子』の衣装は完成までどれほどの日数がかかりましたか。

なすび:
だいたい1ヶ月ですね。

まりも:
春の例大祭が終わってから型紙を起こして作り始めました。

――予想以上に短い期間で驚きました。衣装製作と聞くと半年はかかりそうなイメージでしたが……。今回の昼・夜をテーマとした比那名居天子の衣装のように、東方Projectの衣装製作には特有のアレンジ文化があります。こうした衣装アレンジで意識されていることはありますか。

なすび:
普段作る衣装でもアレンジはしていて、自分の中にあるキャラクターのイメージを損なわないようにと一本芯を立てて「このキャラがこういう服を着てたらこんな一面が目立つだろうな」と考えながら衣装を作っています。

まりも:
私はコスプレ写真を撮る上で、キャラクターが実写でいるイメージを持っています。キャラクターが実在していたら、こういうポーズでこの服を着ているかなといったイメージから着想を得ています。

五味:
今回の製作テーマのひとつが「調和」なので、ふたりのデザインを邪魔しないようにAIを結びつけることを意識しましたね。

衣装にどのような布を使っているのか、どのような形状なのかといった情報をAIに入力することで、デザインの衝突が起きないように心がけました。

――調和というワードが出ましたが、まさに大人数での製作には欠かせないものだと思います。実際、多くの人が関わる製作を取りまとめるのは困難ではないですか。

五味:
重要なのは、お互いが作品に対してどう向き合うか。これがしっかりしていれば大丈夫です。

最後までモチベーションを保たせるためにしっかりと世界観を共有したり、進捗を投げ合うといったことを大事にしていけば上手くいきますね。

静丘:
互いへのリスペクトがあれば、チームでの製作は前に進んでいけるものだと思います。

――チーム製作を長く続けてきたEdelWorksPrjだからこそ、リスペクトの重要性を理解しているということですね。それでは最後に『二人の比那名居天子』の告知をお願いします。

静丘:
秋季例大祭にて、新刊写真集『二人の比那名居天子 写真集&メイキング』『少女幻装記録 -比那名居天子 朝 / 夜-』の2冊を頒布します。

対比・調和をテーマに構想した、まりもさん、なすびさんによる比那名居天子のアレンジ衣装が収録された写真集となっています。当日は是非スペースまでお越しください。

 

出展情報

2024年10月20日 第十一回博麗神社秋季例大祭

作品:
『二人の比那名居天子 写真集&メイキング』
『少女幻装記録 -比那名居天子 朝 / 夜-』

サークル:EdelWorksPrj

スペース:か-24ab

朝と夜、二人の比那名居天子 製作インタビュー おわり