――話をTWCに戻して、これからのTWCについてお伺いします。まず、先日発売された東方獣王園についてです。花映塚と同じ対戦ゲームになりますが、TWCは獣王園をどのように扱っていく予定ですか？

岩魚 (絶)：
　現状では、まだ決めかねています……。僕ら運営もやり込んではいますが、TWCで開催できるかを判断するほど理解は進んでいません。

　TWCという大会で開催するにあたって、配信をみんなで楽しんでもらえるのかな、っていうところが重要になります。今の時点だとわかりやすく強いキャラが顕著になってますけど、研究が進んで深みのあるゲームとなっていくかもしれません。そうした点も含めて、今は判断が難しい状況ですね。

――（インタビュー時点では）発売されて一週間とかですからね。さすがに現時点でゲームについて掘り下げきれないと。

岩魚 (絶)：
　ちやりが強すぎてちやりゲーミングみたいにはなってますけど。一応まだわからないということで。

――ゲームシステムという意味合いではどうでしょうか？　大会でトーナメントを組んで、試合を配信で流すという方式は可能だと考えていますか？

岩魚 (絶)：
　通信のラグがあるので、どうしてもエリア別になってしまうかもしれません。そうした形式であれば、できなくはないゲーム性だとは思いますね。花映塚もそうですけど、TWCは日本だけじゃなくて、海外の人とか世界中の人が参加する大会ですから、通信の問題がどうしても……。花映塚だとエクストラのスコアアタックが採用されているので、ストーリーモードの通しプレイで何か面白いルールができたら採用されるかもしれないですね。

――スコアがないのが難点でしょうか。

海神：
　あとリプレイがないのも良くないんですよね。

SOC：
　獣王園というゲーム自体でいうと、対戦でちゃんと新しいゲームが出てくれたのは嬉しいです。対戦ってやっぱり盛り上がる要素です。キャラ性能は置いといて、対戦環境がもっと整備されていけば、より面白いのかな。

――東方ステーション主催の獣王園最強決定戦は大変な盛り上がりでした。

岩魚 (絶)：
　そもそも東方ステーションの主催する大会があるっていうのが原作勢として嬉しい。

SOC：
　またこういった大会を開かれる、といった予定はありますか？

――それについてはまだなんとも……

SOC：
　獣王園の輪を広げていこうという意味では、継続的に大会を開くような取り組みが必要だと思っています。花映塚もかつてすごい人気だったんですけど、時間がたつにつれて人がどんどん減っていっちゃって……。プレイヤーが継続してゲームに参加したいと思えるような工夫が必要だと感じます。

　大舞台に立ってみたい思いは、ゲーマーの原動力のひとつになると考えています。それがTWCでもいいんですけど、また別の取り組みとして「東方版獣道【※】」のようなイベントがあると面白いかもしれません。それこそ自分達でやりたいですね。

※ 獣道
プロ格闘ゲーマー・ウメハラ氏が立ち上げた、特定のプレイヤーとその挑戦者が戦う対戦企画。ルールは双方の合意の上で作成、賞金も基本無し。「強さを追い求め続けた獣たちの　譲れない意地と意地のぶつかり合い」という趣旨で行われる、いわゆる各ゲーマー同士の格付けマッチ。

岩魚 (絶)：
　前も言ってたね。やりたいって。オフラインで。

SOC：
　オフラインは難しいかな……

海神：
　獣王園大会に話を戻しますが、知り合いじゃない人もいっぱい参加していて、こんなに東方やってる人いるんだなって驚きました。

岩魚 (絶)：
　私も予選に参加していたんですが、多くのプレイヤーが来ていたのは驚きました。本戦に出る人が4人決まって、本戦進出者の確か雪だんごさんを紹介する時に、進行の方が「あのTWCにも出たことがある」という感じの紹介をされていて……。進行の方にTWCを取り上げてもらえるとは思っていなくて「え？」と耳を疑いました。それを聞いた周りの人も「え？うぉー」みたいな反応をしていて。非公式ながら最高峰の世界大会として、TWCという大会がすごい知れ渡ってる、というのを実感できて感動しました。

SOC：
　大会の知名度はあがっているんですけど、リアルタイムで見てる人の数自体はあんまり変わっていないですね。そこをそもそも増やしたいのか、必要ないのかという議論自体まだできていないんですけど……そこをもし増やそうとなると、形式をまた考え直さないといけないだろうな、とは考えています。

 

――続いてこれからのTWCについて。まず、来年度以降に目指していきたい運営の在り方についてお伺いしたいと思います。

海神：
　一週間に一度の運営会議は今も続けていて、今はまだとりあえず今年の反省をして、それをどうするかっていうのを、来年に向けて会議しているところです。まだ具体的に来年どうしようかっていう心構えはまだできてないんですけど。

――すいません、まだ終わったばっかりですもんね。改めて、運営お疲れ様でした。

海神：
　今年のTWC2023について、自分は去年の12月ぐらいから動いてまして。来年もできるだけ余裕を持って動きたいと考えています。今、東方原作がとても盛り上がっていると思うので、その熱が冷めないようなTWCにしていきたいなと思っております。

SOC：
　来年以降の運営については、前にも話に出したmofさん、雪だんごさんから、今後の展望を頂いております。

mofさんからのメッセージ

　TWCという大会を、東方原作を普段からプレイする人は勿論、あまり馴染みが無い人にも興味を持ってもらえるような大会にしたいと考えています。Extra、Lunaticといった難易度で展開される弾幕の美しさ、それを綺麗に避けて魅せるプレイヤー。この2つの調和の美しさをぜひ多くの人に感じてもらいたいです。

　また、視聴者含め、TWCをプレイヤーの交流の場にもしていきたいです。この大会には学生から大人まで、さまざまな世代の方が参加されています。そういった世代の離れた人達と交流する機会というのは中々無いので、それをできるような場にしていきたいです。

　願わくは、東方原作を新たに遊ぶ人のきっかけになるような、より東方原作コミュニティ全体を盛り上げていくような大会にしたい、と考えています。TWCでは、2021年に出た虹龍洞から、去年20周年を迎えた紅魔郷まで、実に幅広い作品が楽しめます。来年以降は獣王園もあるかもしれませんね。そういったさまざまな作品の試合を見て、そういえばこのナンバリング結局クリアできてないなぁとか、しばらく触ってなかったけどまたやってみたくなったなとか、そういうことを感じてほしい。それをきっかけにして、東方原作を遊んでくれる人が増えたのなら、東方Projectが好きな一人のファンとしては正に本望です。

 

雪だんごさんからのメッセージ

　私はTWCという大会を、東方原作を愛する全ての人が楽しめるような大会にしたい、と考えています。楽しみ方は人それぞれ、十人十色で良いということが大事です。

　例えば、出場プレイヤーの方なら、練習で自己ベスト更新を狙ったり、本番での緊張と戦ったりして、己の腕を磨いて他人と競って楽しむとか。実況解説の方なら、事前に必要な情報をたくさん集めて、配信の実況で、部門や選手の魅力的なプレイを伝えることを楽しむとか。視聴者の方なら、一人、あるいは誰かと一緒に視聴して、興奮や感動をコメント欄やSNSで共有するのを楽しむとか。試合前の各選手らの盛り上がりに胸を躍らせるなんてのも良いですね。

　そういう風に、TWCをただ単純に「ゲーム配信」だけのコンテンツにするのではなく、選手、運営、視聴者、それぞれが好きなように盛り上がるような大会にしたい。そして、東方原作コミュニティのお祭りとして、皆で盛り上げていけたらいいなと考えています。

海神：
　おふたりとも、運営の中核を担っていくと宣言していましたね。将来のTWC像もしっかりとしていて、頼もしい限りです。

――最後になりますが、TWC2024は開催される、ということでよろしいでしょうか？

一同：
　そうですね。

海神：
　来年もまた熱い試合をお送りするので、ぜひ期待して待っててください。

――ありがとうございます。大きな盛り上がりを見せている原作コミュニティですが、シューターたちのコミュニティをもっと盛り上げようという努力あってこそ、ということを改めて実感することができました。本日はお集まりいただきありがとうございました！

　TWC2023というイベントについて、トッププレイヤーの方からさまざまなことをお聞きすることができました。選手たちの切磋琢磨によって、今年の戦いはこれまでより一段とハイレベルなものになりました。対戦相手として戦っていても、東方原作が好きで、TWCを盛り上げようとする姿勢は同じでしょう。ときに競いときに讃えあう、そんなプレイヤーどうしの交流も垣間見えたのではないか、と思います。

　また、東方原作コミュニティの動きについても、改めてお伺いしました。TWCという大会の広まりもあって、今原作は大きく注目を集めています。この勢いを絶やさずに、もっとみんなで楽しんでいきたい。シューターたちの、そんな熱い思いがひしひしと感じられました。

　原作に魅了されたトッププレイヤーがいる限り、これからもTWCという大会は続いていくことでしょう。来年も、初めての方から原作好きの方まで、みんなが楽しめる大会になると思います。来年の大会に想いを馳せて、ぜひ東方原作のexeファイルを起動してみてはいかがでしょうか？

That's a wrap on #TWC2023. An unforgettable year with an insane ending, with a new World Record set on ISC No-Item All Scenes, and a fantastic performance from the players in the Bingo match!

Thank you to all staff, all commentators, all artists…and you! See you next dream! pic.twitter.com/i7RSNXFigQ

— Touhou World Cup (@touhouworldcup) August 6, 2023