東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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躍進するシューターたち。例大祭から、RiJまで――東方原作STGの国際大会「Touhou World Cup 2023」日本運営座談会 第4回

東方原作STGの国際大会「Touhou World Cup 2023」日本運営座談会 第4回

 2023年8月6日、東方原作STGの最高峰の国際大会である「Touhou World Cup 2023」が閉幕しました。

 2か月以上に渡って繰り広げられた、それぞれの作品を極めたトッププレイヤーたちによる弾幕の祭典。TWC日本支部代表の海神さん、世界で唯一の全作品全機体LNNルナティックノーミスノーボムシューターSOCさん、複数作品でスコアアタックを極めた岩魚さんに、これまでの3回はTWC2023で印象に残った試合について語っていただきました。

 第4回、第5回では、TWC2023で日本支部が新たに行った取り組みについて伺うとともに、TWCを含む東方原作コミュニティがどのような盛り上がりをみせているのか、そしてこれからの展望は? トッププレイヤーの見据える原作コミュニティの将来について、お伺いしていきます。

海神(わだつみ)

地霊殿LNN4機体と神LNNN 夏稼ぎ全2など/TWC2023運営代表でした/アイコン→@akarinomiya_a

Twitter: https://twitter.com/wadatsumi_312
https://twpf.jp/wadatsumi_312

SOC

Lunatic全作品全機体ノーミスノーボム・Touhou World Cup運営・RTA in Japan Summer 2023走者参加など東方原作STGを中心に活動。

Twitter: https://twitter.com/soc_saudade
YouTube: http://youtube.com/@soc_th06
Twitch: http://twitch.tv/soc_th06

岩魚(絶)(いわな ぜつ)

永夜抄スコアアタック総合世界一位/救済無しLNN9作品16機体とかやっています。リグルになりたい

Twitter: https://twitter.com/Iwana_Minoriko
https://twpf.jp/Iwana_Minoriko

編集:紡
聞き手・文:おみず

 

運営と選手と視聴者。いずれも欠かせない存在です

――続いて、運営について教えていただきたいと思います。まず、運営とはどういう存在で、どのような仕事をされているのでしょうか?

海神:
 TWC運営は、TWCという大会を、円滑にかつみんなが楽しめるように運営する組織になります。日本支部の仕事としては、大会本部の配信をミラーして日本語の実況解説をする日本ミラーをしたり、実況解説や選手の募集をしたり。他にも、毎試合ごとに解説スライドを作っていました。部門の見どころを紹介したり、選手へのインタビューを選手紹介に載せたり。他にも今年から導入したものとして、日本支部Twitterアカウント開設や、エンディング隠しの確認があります。Twitterでは先ほどの解説・選手紹介スライドを載せたり、告知したり。エンディング隠しは、事前に選手に提出してもらって、これは駄目だよとかこれはOKだよとか確認をしていました。他は……色々あるんですけど、ぱっと出てこないな。

SOC:
 あとはルール周りを整備して、ルールブックも作りましたね。ルールは2種類に分かれていて、まず全体に配るハンドブックがあります。選手の規範とかそういうものを、運営のほうでバーッと作っています。続いて各作品ごとの詳しいルールがあって、それは選手の方とやり取りして決めています。TWCスコアとかに関しても結構……

海神:
 そうですね、運営と選手が一緒にルールを作っている作品がかなり多かったかなと思います。

――ありがとうございます。今年の大会は、Twitterでのスライド告知に力を入れてるという印象を受けました。そのような告知を行うようになったきっかけはございますか?

海神:
 今年の大会では、「匿名意見フォーム」というものを作成して意見を募っていました。その中に、見どころ・選手紹介スライドがあったら分かりやすいな、というような面白い意見が何件もありまして。今年はとりあえずいろいろやってみようということで、意見フォームからさまざまな案を採用しましたね。ありがたいことに、スライド良かったよ、という好評が多かったので、これは来年以降も続けていきたいなと思っております。

SOC:
 去年までは運営側に結構体力がなくて、開催して運営するだけで疲れ切ってしまって。今年は新しく人が増えたこともあり、新たな取り組みを始めました。永夜抄LNB部門でも紹介した雪だんごさんとmofさんは今年から運営に参加した方なのですが、彼らがめちゃくちゃ熱意があったので。

海神:
 そうですね。とても助かりました。

SOC:
 何とか走り切れたという。新しい事も取り入れて運営することができた、という感じでしたね。彼らの熱意あって、今年から、運営の中で毎週ミーティングをしています。

岩魚 (絶):
 去年までは、TWCの期間中は運営をなんとか頑張って、終わることにはへとへとで、「……」って感じで解散する、みたいな運営になっていました。今年はミーティングの甲斐あって、運営の中にチーム感が生まれ、運営として大会をこれからも良くしていこう、という話で盛り上がっています。運営一同の励みになるので、ご意見ご要望はぜひ匿名意見フォームからお送りください!

海神:
 匿名意見フォームから意見を採用して、いろいろなことを改善しています。たぶんみんなの声があればもっと良くなると思いますんで。是非ぜひ、お願いします。

SOC:
 優しく、お願いします。

海神:
 辛辣な言葉があると泣きたくなっちゃうけどね(笑)

――最近入られた二人がすごい熱意ある方とのことでした。運営の皆さんは、やはり原作が大好きで、原作をやりこまれているんでしょうか?

一同:
 そうですね。

SOC:
 加えるとすれば、新しく来た人は大会を熱心に見てた方たちだったんです。運営を外側から見つつ、大会がめちゃくちゃ好きでやる気があった、という方たちでした。そこは運営の方針を大きく変えたのかな、という気はしますね。

――TWCはコアなファンが多いっていうイメージがあります。運営側からは、視聴者層はどのように見えているのでしょうか?

岩魚 (絶):
 最上位レベルのプレイなので、どうしても視聴に知識が求められてしまいます。特にスコアタですが、何を目標にして、今どんなことをしているのか。これは稼ぎプレイをやってない人だと分かりにくいです。それもあって、視聴者層のメインはやっぱり、最上位レベルのプレーを理解できるような、原作ガチ勢の人が多いのかなっていうような印象を受けますね。

 でも今年に入って、ライト層とかでもどんどん見てくれる人が増えてるなっていうのは感じます。

――新しく入ってきてくださっている、あまり原作に詳しくないよっていう方向けの取り組みはございますか?

海神:
 先ほども話しましたが、部門ごとの解説スライドの作成は、いろいろな人に楽しんでもらうためのものになります。特にスコアアタックなどは、稼ぎ方が分かんないって人がかなりいると思うんですけど、そういう方にも分かるように各作品ごとの稼ぎ方スライドを作成しています。作品について分からなくても、スライド見ながら選手たちのプレイを見ていただければ分かりやすくなっているんじゃないかな。

 

イベントでも注目される東方原作。ゲーマーの最高の舞台です

――ありがとうございます。話をガラッと変えて、原作コミュニティそのものの動きについてもお聞きしたいです。東方のイベントでは、先日行われた獣王園の最強決定戦や、例大祭の東方コロシアムなどで原作にスポットが当たっていますね。そのあたりも踏まえて最近の動きを教えていただきたいです。

岩魚 (絶):
 例大祭での東方コロシアムは結構昔から、少なくとも8年前からありました。昔に比べて、原作コミュニティの認知度は上がっているように感じますね。なにがきっかけかはちょっと分からないですが……東方コロシアムのようなイベントで実際にプレイしているところを見て、スゲーって思ってくれるような方が、徐々に東方コミュニティの中でも広がっているのを実感しています。特に今年は、普段原作メインに触ってない人からも「TWC観戦したよ」って声が届いていて。イベントの数はそこまで多くはなってないかもしれないですけど、原作の認知度が上がったことで、そういったイベントがより目立つようになってきていると思います。

 あとは、『RTA in Japan(以下:RiJ)』に代表されるように、アクティブに東方以外のイベントに参加してる人がいて。それそのものが珍しいことなので、原作勢も注目するし、原作勢以外の人の目にも触れる機会になっています。その人たちの活躍で原作勢の動きが大きくなってる印象も受けます。

――『RTA in Japan Winter 2022』の弾幕アマノジャクの並走はインパクトの大きなものでした。

岩魚 (絶):
 SOCさんがRiJで風神録スコアタを走ることにしたのも、そういうような先駆者がいらっしゃったからです。なので、先駆者の方、SOCさんに続く人は今後も現れると思います。そうすれば、TWC、ひいては原作コミュニティの認知度もより増えるでしょう。そういった方の活躍は、原作をやったことのある人が復帰したり、新たにやってみようとする人が増えたりするきっかけになると思います。原作プレーヤーの活動範囲とかっていうのは、より活発になっていくんじゃないかな。自分とか海神さんも、同じ原作プレイヤーとして、SOCさんに続いていければ良いなって思います(笑)

RiJでのSOCさんのプレイ。1発勝負の中、華麗な避けに会場は大盛り上がりでした

海神:
 RiJの風神録スコアタ……よくあそこまでいきましたよね。

――一発勝負という中で、凄まじいプレイでした。RiJでの様子についてもお聞かせ願いますか?

海神:
 TWCとRiJ、どっちが緊張しました?

SOC:
 そりゃRiJでしょ(笑) 本当に辛くって。

――RiJはTWCとは違って、会場で実際にワンコインでプレイする、という形ですよね。会場での緊張感はまた格別なものかと思います。

SOC:
 緊張のあまり、もう観客とか視聴者とかも意識できないぐらいになっちゃってて。本当に自分の世界に入って集中してプレイするみたいな感じでした。みんなが見てるからとかじゃなくて、このプレイは本当に決めなきゃいけない、そういう思いのほうが強かったです。

 そもそもRTA in Japanという枠でスコアタやるのどうなんだろうな、とか。自分のプレイで30分使っちゃうのも大丈夫だったのかな、楽しんでもらえたかな、とか。そういったところですごい不安を感じていました。それでも、自分のプレイを見せたいっていうよりは、東方風神録というゲームを見せたいって気持ちが強かったんで、なんとか走りきることができました。終わった後に、昔東方をやってた人が感化されてまた原作に触れてくれたりとか、RiJでの風神録の絵を描いてる人がいたりとか、そういった反響を聞きました。そういった影響を残せたのはすごい良かったな、って思いましたね。

――風神録スコアタの解説として岩魚さんが参加されていたということで、現地での雰囲気について教えていただきたいです。

岩魚 (絶):
 僕もRiJの会場に入ったのは初めてだったんですけど、すごい一体感があって。風が吹いてきてるような感じ。

SOC:
 オンラインは会場では全く確認できてなかったんで、逆にオンラインって……盛り上がってた?

海神:
 すごい盛り上がってましたよ。

SOC:
 良かった。

岩魚 (絶):
 アーカイブ見たけど、すごかった。めっちゃありがたくって。

海神:
 コメントこんなに早いんだって思った。

SOC:
 スローモード入っててあの速さなんで。会場の雰囲気でいうと、一体感はありましたし、見てくれてる人は確実にいる、という感じでしたね。

岩魚 (絶):
 避ける度にリアクションしてくれたり、拍手してくれたり。流刑人形とか、ああいうところで「あぶね」って。凄い避けでは「うぉー」ってなって。繋がってたね、心で。

――こういうイベントでの注目も、またいつか東方を賑わせてくれる力になってくれると非常に嬉しいですね。

SOC:
 思い出すきっかけになってくれれば。今更もう東方を知らないって人は少ないと思うんで。

海神:
 またやってみようみたいな。

SOC:
 実際にまたやってみようって思ってくれる人がいたので嬉しいですね。

――若年層への影響も気になりますね。東方って下のウケが良いみたいな……

岩魚 (絶):
 年齢層は10代から20代前半が多いと思います。小学生のファンの人も沢山いるから。SOCさんみたいになるぞっていう人はいたんじゃないかな。

SOC:
 それこそ、天空璋LNBルナティックノーボムのKPにゃんこさんは、すごい若い方なんですね。そういう方が出てきてくれて嬉しいです。なかなかやっぱスマホ全盛の時代なんで、プレー環境がっていう話は壁としてあるのかな。

岩魚 (絶):
 東方自体はスペックもいらないから遊びやすくはあるけど、今だとどれくらい小中学生の人がスチームとかCDとかからインストールしてやっているのか分からない。その辺りがハードルになるかも。Switchとかのゲームと比べるとアクセスしにくいと思うんですけど。でも、間違いなく始めようとするきっかけにはなったな、と思いますね。

SOC:
 自分の場合だと、確かやり込み始めたきっかけが、配信で地霊殿ルナティックのスコアアタックを見たことでした。今のトップ層って配信をきっかけに原作やり始めた方が多くて。誰々のプレーを見て「すごい」って感動して、やってみたいって遊び始めて。そういうきっかけを作る上でプレーヤーができることって限られているので、きっかけ作りになれたのなら良かったです。

――改めて東方ってすごいジャンルですね。昔の人もいて、新しい人もどんどん入ってくるというジャンルですから。

 

 本日はここまで。次回は、今年出た東方新作「東方獣王園」について伺うとともに、これからのTWCの展望についてお聞きします。

躍進するシューターたち。例大祭から、RiJまで――東方原作STGの国際大会「Touhou World Cup 2023」日本運営座談会 第4回 おわり