東方的原風景、遠野の地でイベントを「東方紅楼夢実行委員会」「遠野市観光協会」インタビュー
「東方紅楼夢実行委員会」「遠野市観光協会」インタビュー
こんにちは。ライターの紡です。前回のイベントレポートでは『東方紅楼夢19.5 遠野物語/夢の世紀 魅知の旅 再訪』そして遠野観光の模様をお伝えしました。
今回は「東方紅楼夢実行委員会」の島村さん、久樹さん、篠原さん、そして遠野市の「遠野市観光協会」職員・柳田さんにお話を伺いました。
聞き手/紡
「東方紅楼夢実行委員会」インタビュー
東方紅楼夢20周年の節目に
―東方紅楼夢20周年、そして10年ぶりとなる『東方紅楼夢19.5 遠野物語/夢の世紀 魅知の旅 再訪』開催おめでとうございます。
島村:
ありがとうございます。企画自体は1年半前から考えていたんですよね。20周年を迎える節目に無事開催することができました。
―遠野駅の入口にイベントのパネルがあったり、駅前の観光案内所「旅の蔵遠野」でも冊子を置かれるなど大々的に告知されてましたよね。
島村:
私たちからはパネルをお渡しして、後は遠野市観光協会さんにお任せしました。冊子の設置なども含め、積極的に盛り上げていただいて感謝しています。
―併催の秘封倶楽部オンリーイベント『夢の世紀 魅知の旅 再訪』は『七夕坂夢幻能』頒布直後ということもあって、ちょうどいいタイミングになりましたね。
篠原:
「仕込んだんじゃない?」って言われそうです(笑)
久樹:
まさかでしたね。2軒目ラジオでZUNさんが夏コミに申し込まなかった話を聞いて、もしかしたら……? という想いもありましたけど、青天の霹靂ですね。
何よりも、(このイベントに)七夕坂の委託開始が間に合って良かったです(笑)
編注:
『七夕坂夢幻能』の店舗委託開始日は5月31日。『東方紅楼夢/夢の世紀 魅知の旅 再訪』開催前日に店舗委託が始まった。
―遠野に向かう途中で買ったという声も多く見られました。
10年後の未来には
―会場限定のグッズにはビールや日本酒といったお酒もありましたよね。
島村:
遠野醸造という醸造所のタップルーム(ビール専門のバー。醸造所が自社製のビールを提供する場所を指す)で飲んでいたときに、上閉伊酒造のビールを作ってる人と知り合って、そこで「ビール出したいんですよね」と話したら「うちで作れるよ」と言ってくださって。そのときの縁で、こうしてお酒の提供が叶いました。
―最後に聞いておきたいんですけど、10周年、20周年と来たら次回は……2034年でしょうか。
篠原:
前回終わったときも次をやるなんて考えてなかったよね。
島村:
「やっと終わった!」しか言ってなかったね(笑)
久樹:
「前回参加できなかったのでぜひ来たかった」という声は一般参加者・サークル参加者の両方からいただきました。もし次回があるなら、さらに新しい世代が加わるかもしれないですね。
篠原:
皆さんの要望が強ければ開催されるかもしれません。
島村:
ご期待せずに10年後をお待ちください。
「遠野市観光協会」柳田氏インタビュー
遠野と東方の繋がり
―本日開催された『東方紅楼夢19.5 遠野物語/夢の世紀 魅知の旅 再訪』は多くの参加者で賑わいを見せました。会場の盛り上がりはもちろんですが、遠野駅の出口にパネルが設置されていたり、駅前の観光案内所「旅の蔵遠野」では掲示物に加えて東方の原曲がBGMとして流れています。
まさかここまでイベントに対して積極的とは、と正直驚いています。「旅の蔵遠野」の建物内には、イベントのキービジュアル以外にも展示されているイラストがありますよね。
柳田:
このイラストは有志の方が描いてくださったものになります。職員の知り合いの知り合い、といった具合に縁が繋がりました。
―「橙」「にとり」とそれぞれ遠野に所縁のあるキャラクターなのもいいですよね。
柳田:
建物内でかけさせていただいている楽曲についても有志の方がCDを寄贈してくださり、思い切っていこうと踏み切りました。
こうして応援してくださった方々のご協力もあり、観光協会として皆さんをお出迎えできたと思います。
―イベント会場では「カッパ捕獲許可証」やビール、日本酒も大好評でしたね。
柳田:
前回に引き続き、会場物販でもコラボさせていただきました。
柳田:
いずれも非常に好評をいただき、カッパ捕獲許可証は30分ほどで完売したと聞きました。
遠野という土地の魅力
―通常、こうしたイベントは1〜2年のスパンで定期的に開催されることがほとんどですが、今回のイベントは10年ぶりという極めて特殊なケースでの開催となりました。柳田さんは当時のことをご存知ですか?
柳田:
私は10年前も観光協会の職員として対応していましたので、当時のことも覚えています。今回、10年ぶりに開催のお話をいただいて「あのときの!」と懐かしい気持ちになりました。
そうしてイベント開催のお話をいただき、観光協会として何ができるだろうかと模索する上で困ったことがありまして。そもそも東方Projectについての知識がほとんどない状態でのスタートなんです。
―河童やデンデラ野、迷い家など、遠野に由来する「元ネタ」の豊富さという意味でも遠野と東方の関連性は濃いものですが、そうした前提知識がないと一見どのような繋がりがあるのか分からないですよね。
柳田:
東方Projectという一種のブランドがあることは存じ上げていますが、そこにどういったファンの方がいらっしゃるのか、遠野と東方にどのような繋がりがあるのか。これを把握することが重要な課題でした。
そんな中、東方の聖地巡礼でご観光にいらした方とお話する機会がありまして、そこで「東方の元ネタとして、遠野の地名や伝承が含まれている」と聞いて、遠野と東方の繋がりが見えてきました。
2回目となる今回の開催で我々も勉強させてもらいました。もし10年後の開催があるのなら、いらしていただいた方が笑顔で喜んでいただけるようにお出迎えしたいですね。
―最後に、イベントに限らず遠野に訪れる方へ向けた、遠野の魅力とは何でしょうか。
柳田:
遠野は「ここを一か所見ればOK」という観光ではなく、神社仏閣巡りや遠野物語について調べる、語り部さんに会いに行くといったように多角的な面から、ご自身の興味に沿った観光を推奨しています。
遠野の歴史や伝承に興味を持たれたら「遠野市立博物館」にいらしてください。こちらは民俗学を中心に展示している珍しい博物館で、神話の時代から現代の遠野に至るまでの流れを知ることができます。
妖怪伝承が数多く残る遠野は、東方ともシナジーが強い土地だと思います。東方を通じて遠野に興味を持たれたら、ぜひ観光に訪れてください。そして遠野を好きになってくれることが、観光協会として何よりの喜びです。
東方的原風景、遠野の地でイベントを「東方紅楼夢実行委員会」「遠野市観光協会」インタビュー おわり