東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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「BL?百合?」東方のカップリングについての話

東方女子オタク会議 ~ランコ(豚乙女)、紫咲ほたる(EastNewSound)、咲子(ワタシキサマ、少女理論観測所)~【後編】

東方の好きなキャラクターとカップリングトーク

――後編では、いよいよ東方のカップリングや同人誌について、みなさんに思う存分語っていただきたいと思います。まず、好きなキャラクターについてうかがえますか

ほたる:
 キャラ単体だったら、四季映姫と霊夢が好きですね。夢女子ではありますが、キャラクターと付き合いたいとか、キャラクターに認知して欲しいという感情はありません。私が一方的にそのキャラをめっちゃ好きで、向こうは私のことを全然知らないとか、あるいは知っていても私のことを1ミリも好きじゃないのが良いんですよ。だから霊夢に関しても四季映姫に対しても、そういう立ち位置が理想です。

 カップリングだと、最近アツいのは蓮メリ(宇佐見蓮子×マエリベリー・ハーン)。「二人でどこへでも行けそうなのにどこへも行けない」みたいな、閉じた世界がすごく好きで。一方で「もうそんな二人で良い」という面も実は持ってるところとかたまりませんね!

ランコ:
 私は単体だと魔理沙、妹紅、幽香、女苑が好きなんですよ。カップリングだとレイマリ(博麗霊夢×霧雨魔理沙)と、うーん……てるもこ(蓬莱山輝夜×藤原妹紅)があっての、けねもこ(上白沢慧音×藤原妹紅)が好きですね。私はあんまり閉じた世界が好きじゃなくて、「みんなの中にいるその2人」が好きです。あとはまゆけーき(杖刀偶磨弓×埴安神袿姫)とか、せいよし(青娥娘々×宮古芳香)とか、最近はさきやち(驪駒早鬼×吉弔八千慧)が好き。さきやちはBL。

咲子:
 そうですね、私は八雲紫の夢小説を書いていた女なので…。

ランコほたる
 わはははは!

咲子:
 だってみんな好きやろ!

ランコほたる
 好きだよ!

咲子:
 それまで夢小説が盛んなジャンルにしかいなかったので、東方は…もちろんジャンル的に男性が多いので当たり前なんですけど。夢小説がないことに絶望してしまって、もう自分で書くしかないかって。
 …なのできっかけはキャラとして好きというよりも、夢女として好きな感じだったんですよね。キャラクターとして好きなのは諏訪子。好きなカップリングだとゆかれいむにはなるんですけど、でもそこに恋愛感情はなくて。ゆかりは人間である霊夢をこっち側に落としたいだけなんですよ。人間じゃなくしたいだけ。でも人間じゃなくなったとたん、ゆかりは興味を失ってしまう。

ランコ:
 最高。

ほたる:
 解釈の一致がすごい。

咲子:
 だって妖怪だから。人間でなくなった瞬間興味がなくなってしまうけれど、でも人間じゃなくしたい。で、それに気づいている魔理沙。魔理沙は必死に人間であるよう引き止める…っていう関係が好きだから、それがカップリングか否かってなるとちょっとまた別なのかも。

 私は基本リバが好き、というか、母性がある方が受けなんですよ。

――母性がある方が受け。

咲子:
 というか、拙い方が攻めなんです。

――拙い方が攻め。

咲子:
 拙い攻めを受け入れてあげる、受けの度量のデカさ。

――なるほど、攻めの方が依存している。

咲子:
 そう。なので私はカップリングとしては、すわかなすわが好き。精神的には諏訪子の方が上だし、神奈子は派遣されても結局治められずに諏訪子の力を借りている人なので、若いんですよ精神が。対して、諏訪子は母なんです。いろいろなものを生み出してきて一番上で治めていた人なので、ずっしり構える感が違うというか。なので精神的には諏訪子の方が有利なんですけど、肉体的には受け。だから諏訪神奈諏訪だなって。

 

おすすめ同人誌を公開!東方におけるBLとGLを考察

――今日はランコさんとほたるさんがおすすめの同人誌を持ってきてくださったので、並べてみましょうか。

ランコさんご持参の同人誌
ほたるさんご持参の同人誌
咲子さんの同人誌。後日撮影したものをお送りいただきました。

ランコ:
 私今日の同人誌はね、地獄じゃないやつ持ってきたよ。

ほたる:
 どうしたの、地獄好きじゃん。

ランコ:
 「こういうものもございます」と。まだ地獄にいない人へのプレゼンのために。

咲子:
 私は…「これはちっと見せられないやつだな」と思って自重しちゃった…。

ランコ:
 おすすめはこれ、黒に黒印刷。やばくない!? 私結構作家買いをしちゃうので、そうすると選べなくて。しかもレイマリの作家ばっかりなんですけど。

咲子:
 高虎さんめっちゃいいよね。

ランコ:
 高虎さんはみんな好きだよね。高虎さんと人比良さんの「はなさくゆめ」もすごい好きなんだけど重いから持ってこられなくて。あ、これ一番新しい、2019年のやつですね。鬼形獣の。最近私、鬼形獣がやばくて、やばいのよ。

ほたる:
 語彙なし男じゃん。

――鬼形獣は誰が好きなんですか?

ランコ:
 袿姫様です。まゆけーきは業が深すぎて、とても良いと思います。ねちょねちょしている。

一同:
 (笑)。

ランコ:
 ただ私、本来あんまりそういうのにハマらないんですよ。東方の中でも「やっぱりこれはBLだよね!」ってカップリングばかり好きで。レイマリとかてるもことか。「百合です!」みたいなのはそれまでハマらなかった。

ほたる:
 東方、BLカプ多いからね。

――東方の中でのBL、百合、その他もろもろ、ジャンルの区別をどうとらえているか、ぜひうかがいたいです。

ほたる:
 傍からみたらボーイズがいないからBLじゃないんですよね。でも私が育ってきた文脈だとBLに見えるからBLと呼んでいる……という説明しか今のところできなくて。他にどう説明したら良いか全然わからないんですよ。

ランコ:
 わかる。レイマリはBLだって身近な所では言われてるけど、やっぱり類は友を呼ぶので。実際は違うけど、そう言ってる人たちが周りに集まってしまってるだけかもしれない。

ほたる:
 でも「レイマリはBL」をどうやって人に説明しようって考えたときに、ざっくり、週刊少年ジャンプの漫画の主人公にいそうだから。だから両方とも少年ですということで、それでBLだって押し切れ……ないかなあ……。

咲子:
 私もまずBLに向き合おうと思って。

ほたる:
 そこから入るの!?

咲子:
 自分の中のBLの概念をまずは決めないと、「これだからBLです」と言えないなと思って。家のBLを商業から同人誌まで読み漁ったんですけど、わけが分からなくなってしまって。だって、BLなのに「これは百合」とかあるから。

ランコほたる
 あるあるあるある! めっちゃある!

ランコ:
 同じ文脈同士なら理解できるんだけどね。

咲子:
 私が至った結論は、結局パッションなんですよ。人間味があふれてしまったらBLだなって。GLは密やかというか、二人だけの世界を表に出さない。二人だけの秘めた世界観でいると、GLに近い。百合はもっとポワポワしてる。

ランコ:
 だから、秘封ってめっちゃGLじゃない? BLではない、ねちょねちょしてる。

咲子:
 あれはレズ。

ほたる:
 すごい好き!

咲子:
 私あんまり百合好きじゃないなって思ってたの、最初。バンドマン界隈は百合好きが多いから、TLで「この百合がいい」みたいなツイート見てもよくわからんなぁという感じだったんですけど、最近「あ、恩着せがましい女が嫌いなんだな」と気付いて。
 あくまで自分のエゴなのに、「私はあなたのためにやってる!」って押し通して綺麗事にまとめてくる感じが、あんまり好きじゃない。でもなぜか巨大感情のBLのレズとかは好きなの(笑)。

ほたる:
 わかるわかる(笑)。

ランコ:
 「巨大感情と巨大感情のぶつかり合いがBL」はちょっとわかる。レイマリとかわかりやすくそうだもんな。

ほたる:
 私がただ単に好きなカップリングの系統なんですけど、付き合っているとか関係性に明確な名前が必要じゃなくて、ただ隣りにいる状態を見ていたい。空気としてね。だから私が好きなのがBLなのか百合なのか何もわからなくて。もうわかんないな、というところに辿り着いちゃった。

ランコ:
 やっぱてるもことかわかりやすいよね、お互いが重なり合うって。あれは本当に巨大感情で、BL。逆にえーてる(八意永琳×蓬莱山輝夜)とかめっちゃ百合じゃない? だから多分、クソデカ感情にも種類がある。

ほたる:
 それぞれ湿度があるからね。

ランコ:
 そう、百合には湿度が大事!

咲子:
 レイマリBL説はめちゃめちゃ考えていて。レイマリだけだとBLだと思うけど、私ユカレイマリが好きなんですよ。すると一気にレズになるじゃん。

ほたる:
 ちょっとわかったぞ?(笑)。紫を入れるとちょっと湿度が上がるな! 湿度が上がって彩度が下がる!

ランコ:
 湿度が上がって彩度が下がる(笑)

ほたる:
 私は彩度が下がっているほうが好きだなあ。私マジで心中と呪いが好きで。どこにも行けない二人みたいなのがすごく好きなので、最近秘封を履修していて。秘封書いてる人はいわゆる夢が詰まったような、箱庭を描く人が多い印象なんですよ。今日持ってきた同人誌は心中じゃないんだけど、いいの。死んでいく側が生きている側に呪いを残していくのが好きなの。

咲子:
 わかる!(即レス)

ほたる:
 最期に残す言葉は、どのベクトルでも結局呪いになっちゃうの、それがいいんだよなぁ!?

 

「いつまで経ってもにわかな感覚」「気になったポイントから掘り下げていけばいい」

――本当にカロリーを消費する座談会で良いですね(笑)。それでは最後に、東方のおすすめポイントとか、これからハマりたい人はまず何から手をつければいいか、などお聞かせください。

咲子:
 いますぐ始めるならアプリとかソシャゲとかが、ざっくり確認しやすいのかなとは思います。在宅で、お金がかからない状態で、見てわかりやすい。

ランコ:
 最近はSteamでも原作ができたりするし、漫画なら「東方茨歌仙」とか「東方鈴奈庵」とか、他にもお店で売ってる雑誌にも公式が載っていたりするので、出会いやすくはなってますよね。それこそニコ動でもいいし。

ほたる:
 私、いつまで経ってもにわかな感覚がしていて。別に自分が何か詳しいわけでも誰かと競ってるわけでもないのですが、それがきっと(これからハマりたい人が)「どこから入っていいかわからない」という状態につながってるんじゃないかな。

ランコ:
 わかる。なんというか、東方が気になってるんだったら、気になったきっかけがあると思うんですよ。「キャラクターがかわいい」とか。それなら、そこから見てみるといいんじゃないかなと。正解があるわけじゃないから。

ほたる:
 ビジュアル面が気になるなら、まずはGoogle画像検索でもいいぐらいだよね。好きなように摂取して良いと思います。

咲子:
 最終的にはやっぱり「原作、貸すよ!」ってなるけど(笑)。

ランコ:
 それがいい(笑)。掘り下げたかったら掘り下げればいいし、掘り下げなくてもいい。

咲子:
 一回やったのは、見せたい同人誌あるからちょっとwikiで履修してくれん?って(笑)。で、ここの関係性だけチェックしといてって。

一同:
 (笑)

 

 それぞれの「オタク」の入り口から、ボーカリストとしての「東方アレンジを歌う時」の想い、東方のカップリングへの巨大感情まで、終始和やかな雰囲気で楽しく語って頂きました。

 男性の視点やコミュニティから語られることの多い「東方」というジャンルですが、通ってきたオタクジャンルや環境が違う女性からの視点で観た「東方」も、大変興味深いものだったかと思います。

 中々リアルの場では集まり合うのが難しい昨今ですが、オンラインで集まりやすくなった今、改めて「東方っていいよね」なんて話に花を咲かせてみるのも、良いのではないでしょうか。

 

告知

EastNewSound

新譜『全病曲』

EastNewSoundがこれまでに制作した病み曲シリーズのベスト盤
「Rot in hell!! 2020ver REMIX」を新規収録
8/15 各委託店舗・BOOTHにて頒布開始

 

メロンブックス「秋葉原超同人祭 第2回」参加
日程:
8/15~16 
会場:
メロンブックス秋葉原イベントスペース5F、エア秋葉原超同人祭イベントページ
詳細:
https://www.melonbooks.co.jp/feature/detail.php?feature_id=1941#container

 

EastNewSound BOOTHにて新譜・旧譜・BOOTH限定グッズを頒布中
https://eastnewsound.booth.pm/

 

豚乙女

東方名華祭14にてVo.ランコによる
自サークル楽曲イメソンSS集新刊「ゆめのはなし」頒布

イベント後に豚乙女BOOTHにて委託頒布予定
https://butaotome.booth.pm

少女理論観測所

少女理論観測所の月に1度のYouTube配信ライブ「しょじょろん放送部」
8月の放送は8/22(土) 15:00〜16:00

Youtubeチャンネル:
https://www.youtube.com/channel/UCPUXHwE9A5TwKGoapFcUzEg

 

少女理論観測所 BOOTHにて新譜・旧譜・グッズを頒布中
https://girlslogic.booth.pm/

 

ワタシキサマ

「異食獣」

各ショップにて委託頒布中
https://watashikisama01.tumblr.com/

 

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