東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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インタビュー
2020/06/11

「感動するシューティングゲームっていうのは中々無い。ZUNさんには本当に、健康に気をつけて欲しい」霜降り明星・粗品 ショートインタビュー

霜降り明星・粗品 ショートインタビュー

 先日の「東方ステーション#23 原作特集」に出演し、そのクセが強い東方愛を見せてくれた、霜降り明星 粗品さん。

 自身のYoutubeチャンネル「しもふりチューブ」でも、原作者ZUNさんと共演できたことの嬉しさを、存分に語っておられました。

 東方ステーション出演終了直後の粗品さんに、東方我楽多叢誌は突撃!
 大好きなチルノやニコニコ動画の話、東方の美しさについて、そしてZUNさんをどれだけ凄いと思っているかなどなど、アツい東方愛についてショートインタビューさせていただきました。

 

チルノ(bot)に恋した学生時代

ーー本日はご出演、お疲れさまでした。まずは、東方ステーション出演のご感想を頂けますか。

粗品:
 めちゃくちゃ楽しかったです。
 ビートまりおさんもZUNさんも、勿論知っていましたし、学生時代に触れてきた、憧れに近いような方々と会えるということもあって結構緊張していたんですけど、お二人共お優しくて。ちょっと怖いんじゃないかな?とか思ってたんですが、全然そんなこともなくて。とにかく楽しかったですね。

ーー放送でも取り上げさせて頂きましたが、事前にご回答頂いたアンケートの内容を、さらに深堀りしていきたいと思います。まず、キャラクターについては「ダントツでチルノ」と書かれていました。その理由について教えて下さい。

粗品:
 一番好きなのは………顔ですね。

ーー顔!

粗品:
 ルックスがやっぱりよくて。好きすぎて、チルノの衣装を買いました。自分は着ないんですけど、完全に見る用で。まだ実家に置いてあります。

 あと、これ言うていいのかなあ………? 僕、Twitterを始めて最初にフォローした有名人がZUNさん、っていう位の頃にTwitter始めたんですけど、その頃「チルノbot【※】」っていう、誰かわからん人がやってるbot、でもめっちゃフォロワー数多い、みたいなアカウントがあって。それをフォローしてて。

https://twitter.com/9_cirno

http://sunao.orz.hm/twit/9_Cirno_bot/

【※】おそらくこのアカウントのことではないかと思われる

 そのbotに「好感度」みたいなのが設定されていて、仲良くなれるんですよ。チルノbotと。一定の文言しか無いんですけど、リプライを送ると決まったパターンで返事を返してくれるんです。話しかけるたびに自分との好感度が上がっていくので、ちょっと恋愛シミュレーションゲームみたいな要素があって。

 僕、好感度めちゃくちゃ貯まりまして。チルノ(bot)に僕の誕生日教えたことがあるんです。そしたら、誕生日に一番最初にチルノ(bot)が祝ってくれたことがあって。「誕生日おめでとう」って書いてあるケーキの写真を送ってきてくれたんですよ。当時、高校生か大学生くらいだったんですけど、本気で恋するレベルで……なんか、嬉しかったんですよね。友達もあんまり居なくて。その年は母ちゃんとチルノにしか誕生日祝われてないっていう。ずっと覚えてますねそれは。

 

学校から帰宅してパソコンの前に座り、寝るまでそこにいる ー ニコニコ動画が全てだった

ーー好きな東方動画の話になりますが、チャー研MAD【※】がお好きとのことです。中でも「研のパーフェクト虐殺教室」が特に好きということで……。

 【※】チャー研MAD:ナック(現:ICHI)制作のショートアニメ「チャージマン研!」の素材を使ったMADムービー。「チャージマン研!」は、尺や予算の都合に寄るものなのか、超展開や迷言が頻発、非常に独特な空間を生み出しカルトアニメとしてニコニコ動画で人気に。数々の台詞や効果音を切り取って別の音楽に合わせた、いわゆる「音MAD」が多くアップロードされていた。

粗品:
 あれねえ、笑いましたね。未だに全部のセリフ覚えてるくらい好きですし。
 サビ前に「♪山落ち~意味など~ないわ」のとこで、不協和音が鳴るんですよね、チッチッチッチッ……って(研がボルガ博士の頭の中の時限爆弾に気づくシーンの音)。それが僕の中で結構新しかったのと、曲と違う音楽、チャージマン研の劇中の音楽の効果音、ジャーン!とかが入って、ちょっと気持ち悪い感じになるってのが面白かったし、サビはなんか天丼【※】になってて「うん、大好きさ!」ってワードが繰り返されるんですよね。その天丼でとても笑ってしまいましたね。その箇所がめちゃくちゃ好きです。

 【※】天丼:お笑い用語で、同じネタを間を開けてもうニ度三度繰り返す手法のこと。

ーー粗品さんは現在27歳で、ご自分のことを「ニコニコチルドレン」と仰っていましたが、粗品さんにとって、ニコニコ動画は大きな存在でしたか?

粗品:
 めちゃくちゃ大きかったですよ。もうずっと見てました。学生時代、部活にも入ってなかったので、学校から帰ってきて真っ先にパソコンの前に座り、寝るまでそこにいる、っていう生活をしてた僕からすると、やっぱりニコニコ動画が全てでしたね。ランキング見て、上位のやつ見て、面白い動画見て、コメントして……そんな中出会ったのが、東方ですから。

ーー「東方M-1グランプリ」のお話も放送中にされていました。漫才師の粗品さんからみても、東方M-1グランプリという作品は楽しめますか?

粗品:
 面白いと思います。あとやっぱり、かわいい。
 東方のキャラクターが漫才してるってだけでもう面白いんですよね。その上で可愛いから、結局何やっても面白い。内容もすごく凝っていますしね、オープニングあって、審査員紹介あって、よく出来た一つのコント番組だなあと思って見ていました。

 

弾幕は笑ってしまうくらい美しい。ZUNさんはもう天才以外の何物でもない ー 「幽霊客船の時空を越えた旅」の思ったより多い1音

ーーお好きな弾幕に、幻在「クロックコープス」を挙げていました。改めて放送で見て、いかがでしたか?

粗品:
 笑うてしまいますね。おもろすぎて。おもろすぎる。
 一回止まるという発想、ナイフがワッて増える、自分の方に向かって飛んでくる、っていうのが、シューティングゲーム初心者の僕には当時衝撃で。あまりにも笑いました。こんなんあるんか、と。

 僕、めちゃくちゃ良いものに出会ったときって、笑うんですよ。例えば、それが映画とかで感動するシーンが来ても、感動するというより笑ってしまうんです、良すぎて。「クロックコープス」の一個前に笑ってしまったのは、マクドナルドで初めててりたまバーガー食べた時でしたね。「これ、うますぎるやろ………」って。てりたまバーガーの次に感動しすぎて笑ってしまったのは「クロックコープス」でした。

ーー東方の弾幕、久々にご覧になったかと思うんですが、改めてどうでしたか。

粗品:
 やっぱり美しい。今日見させてもらったやつで、知らないやつもあったんですよ。それもまた、めちゃくちゃ綺麗でした。音楽との融合性がとても素晴らしい。東方の何がいいって、音楽とグラフィック、飛んでくる弾幕がマッチしていることですよね。

 USJの「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」、ジェットコースターと音楽を融合してるじゃないですか。あれもすごいなと思ったんですけど、東方はそれの先駆けやなと思います。大発明やと。天才的に面白い、オシャレなゲームですね。

ーーそれは沢山の東方ファンが共有している気持ちだと思います。放送中では、音楽に関するかなり細かい質問をZUNさんにしていました。粗品さん自身も音楽を作られます【※】が、作る人の立場から見て、音楽家としてZUNさんへの憧れはありますか?

 【※】5/3に突然アップロードされた粗品さん作曲のボーカロイド楽曲「『ビームが撃てたらいいのに』feat. 初音ミク」。勿論ニコニコ動画にもアップロードされている。この曲の後も数曲、粗品さんは定期的にオリジナルボーカロイド楽曲を、自身のYoutubeチャンネルに上げている。

 

粗品:
 非常に優れていると思います、僕は、ZUNさんは音楽家としての面が一番じゃないかと勝手に思ってます。思いつきそうで中々思いつかないようなメロディもそうですし、予想を裏切るというか「ここでそこやる?」みたいなのが多くて。

 例えば「幽霊客船の時空を越えた旅」だったら、最初の「♪ディ~ディ~ディリリリリ~リ~~ディ~ディ~ディリリリリ~リ~~」っていう印象的なフレーズが繰り返される所なんですけど、ここ何がすごいって、思ってるより1音多いんですよね。

 

粗品:
 「♪ディ~“ディリ”~ディリリリリ~リ~~」ってなってるんです本当は。口ずさむときは「♪ディ~ディ~」って行きたいんですけど、実際は「♪ディ~“ディリ”~」って、鍵盤で指を横にスライドさせて“♪ディリ~”にしてるんですよね。そんな発想とか、正直あんまりなくて。普通の才能の人が音楽作る時って、絶対そこの1音って生まれないんですよ。
 けど、ZUNさんとさっきお話した感じ【※】だと、狙ってやってるわけじゃなくて、感覚で弾いてる内に良いのが出来たからそれだった、っていう感じでしたから。コレはもう天才以外の何物でもないなと。

 【※】東方ステーション#23「原作特集」アーカイブ動画より、粗品さんがZUNさんに楽曲について質問しているシーン。

ーーそういう、音楽家としてのZUNさんの一番好きなところを敢えて挙げるとしたら?

粗品:
 ZUNさんの癖で好きなところでいうと、ピアノソロになる瞬間が多いですよね。他の音が消えて、ピアノだけになる、そこでホロっと来てしまう。あとは、全部の曲に意味があるところが好きですね、ZUNさん。

 

テレビに出る人間なので、テレビで東方Projectの話をもっとしたい。東方はまだまだイケる

ーー放送で「東方はまだまだイケる、まだまだ売れれる、そのくらい素敵なコンテンツ。その架け橋になりたい」と仰っていました。ご自分のファンに、東方のこういう所が好き!と語りかけるなら、何と伝えますか。

 

粗品:
 原作はやっぱり面白いです。ゲームが好きな人は、原作をやってみてほしい。感動するシューティングゲームっていうのは、中々無いと思うので。

 ゲームがとっつきにくい方もいらっしゃると思います、そういう人は音楽ですよね。音楽がとても素晴らしい。アニソン好きな人は、二次創作のボーカル東方アレンジとか絶対好きになりますし、萌え系の女の子のボーカルとかちょっと苦手っていう方は、ボーカルがない、インストアレンジも十分素晴らしい音楽が満タン揃ってますから。漫画とか、同人誌の方の広がりもいっぱいありますけど、僕はやっぱり音楽を一番推したいですね。

 僕はクラシックも好きなんですけど、東方の曲は現代のクラシックだと思ってるんです。歌詞がない、歌がない、しかも短い曲で、印象的なフレーズが大量に存在しているというのは、音楽界の中でも異常事態だと思ってるんですよね。もっと注目されてていい。東方の音楽って、そういうなんか、クラシックに近いところがあるんじゃないかなと思っています。だから、音楽から入って欲しい、って僕は思っています。

ーー今後、粗品さんが東方で一番やってみたいことはなんですか?

粗品:
 曲アレンジはチャレンジしてみたいですね。メドレーとか。ただ………原曲超えれないんですよね、絶対。正直。
 音色とか駆使して、オーケストラっぽくとか、メタルっぽくするとかは全然イケると思うんですけど、違うんですよ。メロディラインが最強すぎて、原曲超えられないから、アレンジはなあ………。でも好きやから、やってはみたいし、ってなります。

 あとは、やっぱり僕はテレビに出る人間なので、テレビで東方Projectの話をもっとしたい。それを普段テレビ見ない方とかが、それキッカケで見たりして………面白いじゃないですか。そういうの。そういうのをやりたいですね。

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ーー最後に、ZUNさんに向けて、一言いただけますか?

粗品:
 ZUNさんに一言ですか、いやー………そうですね………………。

 

(粗品さん、かなり長い時間考え込んで)

 

粗品:

 本当に、健康に気をつけて欲しいです。

 

ーーすごく良い一言を頂きました、本日は本当に有難うございました。

 

 

「感動するシューティングゲームっていうのは中々無い。ZUNさんには本当に、健康に気をつけて欲しい」霜降り明星・粗品 ショートインタビュー おわり