東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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リポート
2024/08/29

『LostWord LIVE 2024』ライブレポート後半 スペシャルゲストとともに彩る特別な夜

『LostWord LIVE 2024』ライブレポート後半

 株式会社グッドスマイルカンパニーと株式会社NextNinjaの共同プロジェクトである、東方Project公認二次創作スマートフォン向けRPG『東方LostWord(東方ロストワード)』。

 今年4月には4周年を迎えた、博麗霊夢や霧雨魔理沙など『東方Project』おなじみのキャラクターが活躍するRPGです。

 そんな『東方ロストワード』を応援してくれる方への感謝を込めた音楽イベント“LostWord LIVE 2024”が東方音楽イベントではお馴染みの会場、川崎CLUB CITTA’にて6月22日に開催されました。

 ここまで大盛り上がりの『LostWord LIVE 2024』も折り返し。バンド色が濃くなるイベント後半、4組目のアクトに登場したのは石鹸屋です。

文/村上麗奈

 

石鹸屋、ディープなバンドサウンドで繰り広げた熱いステージ

 SEとともに登場した、十六夜咲夜の衣装に身を包んだ石鹼屋ボーカル・秀三は、登場するや否やステージ前方でフロアを覗くように座り込み、さっそくステージギリギリまで前に出て身を乗り出しながらオーディエンスとコミュニケーションを取り、気合たっぷりの様子。そんな石鹸屋が1曲目にセレクトしたのは「嫉妬はSHITチルノのパーフェクトさんすう教室」。どことなくビジュアル系を思わせるハスキーで気迫のあるボーカルとラウドなバンドサウンドが、これでもかと石鹸屋の個性を押し出していきます。

「東方LostWord」というスマホゲームのファン層の影響もあり10代の参加も多かったこの日。「思ったよりちびっこが多くて出演していいのか逡巡しております。逡巡っていうのは迷ってるってことだぜ、ちびっこたち」と秀三。

「小さい子たちは元気だと思うんだけど、君たちのお父さんお母さんの腰はそろそろ限界だと思います。多分年が近いから分かるんだ。そういう人は休んでください」と息つく間もなく盛り上がり続けるフロアに向けて、冗談交じりで思いやりの姿勢を見せる場面も。そんな小気味良いMCののちに披露したのはMVプロジェクトの楽曲「タタエロスト」。

 疾走感のあるサウンドにギターの音色が乗り、ラウドな重さと爽やかさをの両方を際立たせます。聴き馴染みのあるイントロが秀三のギターによって奏でられると、「東方萃夢想 ~saigetu~」へ。ビブラートとともに奏でられる存在感のあるボーカルで、ドラマティックな楽曲をじっくりと聴かせました。

 続いて披露されたのは、今回のロスワライブのビジュアルにも使われている霧雨魔理沙用に書きおこされた楽曲「Ms.Spark」。ゲーム内でもライブ2日前に実装されたばかりの新曲のライブ演奏によりフロアを盛り上げます。

 さらに、オーディエンスを思い切り煽りながら演奏した「ってゐ!」でフロアは大合唱。内山博登による低音を這うベース、hellnianのパワフルなドラム、小林ヒロトによる空気を切り裂くようなギターが会場を盛り上げ、密度の高いフロアのボルテージもぐんぐんと上がっていきます。

 そんな熱狂の中放たれたラストチューンは「さっきゅんライト」。勢いのある演奏と、もみくちゃになるフロアが熱くぶつかり合い、彼らが捌けたあとも、熱いステージに感化されたフロアからはしばらく「石鹼屋!」コールが飛び交っていました。

 

岸田教団&THE明星ロケッツ、オーディエンスを巻き込むパフォーマンスで子どもに夢を見せる

 5組目のアクトに登場したのは岸田教団&THE明星ロケッツ。

 タイトルコールののち、1曲目に披露したのは「ネクロファンタジア」。フロアは一斉に拳を上げ、ときに儚く、ときにパワーが満ち溢れるichigoのボーカルが更に会場の熱量を上げます。

「今日は中学生以下の人たちが多いんだよね。我々は君たちが生まれる前からこれをやっております。頑張ってるので、今後新しい世代として応援してください」と岸田。「無理せず好きなように楽しんで、分からなかったら周りの大人たちの真似をして楽しんで帰ってください」とichigoが話すと「超々キューカンバー」へ。

 原曲を思わせるメロディに乗せ、高音までパワフルに響かせ歌い上げる姿は圧巻。はやぴ~、てっちゃんのギター陣、岸田も飛び跳ねながら楽しげに演奏し、フロアと呼応しながら高揚感を高めていきます。叫ぶようなイントロのギターから「緋色のダンス」に続くと、ichigoや岸田は飛び跳ねながら煽り、熱量のある演奏を展開。間髪入れずに「無重力sinker」へ、拳やタオルを思い思いに回した「Desire Drive」に続き、熱量は右肩上がりです。

 ここでMVプロジェクトの楽曲「月と十六夜」を披露。

 岸田教団のメンバーのみでの披露は、こういった機会でしか聴けないライブならではのレアバージョン。岸田教団の個性たっぷりに歌い上げ、観客を魅了しました。

 半ば彼らのステージ恒例ともなっている、激しい楽曲からは一転した和やかなMCののち、「こんな大人でもかっこよく音楽できるって思わせてやるよ!」とのichigoの言葉から「明星ロケット」へ。

 原曲の雰囲気を残しつつ、キャッチーなアレンジで聴きやすいロックに昇華するという、彼らの音楽の魅力が存分に発揮された楽曲でステージとフロアが一体となり盛り上がったあとには、全員でジャンプしてステージを締めくくりました。

 

豚乙女が作り出す、大槻ケンヂとZUNさんも揃ったスペシャルな一夜

 この日のイベント6組目のアクト、トリを務めるのは豚乙女。ロスワライブの為にバンドセットでの演奏が準備され、サポートメンバーとして登場したザック(Dr)、小林ヒロト(Gt)に続き、コンプ(Ba)、ランコの姉(自由)、そしてランコ(Vo)が登場し、短い挨拶に応えるように歓声が飛ぶと、ライブは「ソリッド」でスタート。ポンポンを持って踊るランコの姉、低音を響かせるコンプ、パワフルな歌声のランコ。心躍る歌詞とサウンドが晴れやかに彩り、明るくエモーショナルな世界を作り上げます。

 ランコの姉が光る布をまといながら踊るのをきっかけに、原曲「天空のグリニッジ」を思わせるイントロが壮大に響く「幻想のサテライト」へ。和風なイントロから「待チ人は来ズ。」に続くと、抒情的な歌声とダイナミックなリズムによってそれまでの空気から一変、どこか切ないメロディが会場を包み込みます。落ちサビでランコがフロアにマイクを向けると大合唱が起こり、一体感のある景色が広がりました。

 ここで、MVプロジェクトの楽曲「白銀の風」をランコによるボーカルで披露。

 元々パワフルなランコの歌声が、勢いのあるこの曲をさらに後押しするかのように彩り、ロックな歌いまわしによって会場を盛り上げます。疾走感がありつつもドラムとベースのヘヴィなサウンドがバランスを取っており、適度な重さが心地よい一曲でした。

 続く「響縁」ではエッジの効いたベースに乗るドラムのビートがシンプルながら迫力を出しており、ランコによる高低する原曲のメロディを際立たせる。キャッチーで親しみやすさがあるロックサウンドをたっぷりと聴かせ、ボルテージを上昇させていきました。

「次もMVプロジェクトの曲を」と告知すると、フロアからは大歓声が上がり、ゲストボーカル・大槻ケンヂが筋肉少女帯の特攻服をまとい登場。これに合わせ豚乙女のメンバーも特攻服をまとい、ステージの中央には大槻ケンヂ、更にはZUNさんもステージ上に呼び込むという、この日だからこそ実現したスペシャルな面々の響縁が実現されました。

 大槻ケンヂのタイトルコールから披露したのは、もちろんMVプロジェクト楽曲「追想の愛」。

 大槻ケンヂが煽るとフロアは一斉に湧き上がり、ダイナミックな演奏とパワーに満ち溢れた歌声で会場も一層熱量を帯びていきます。そんな中、大槻ケンヂとZUNさんが拳をぶつけ合う様に乾杯するシーンは熱いものがありました。

「1988年にデビューして36年経ちまして、まだやってます。よろしくお願いします!10月にツアー、初日がここ、CULB CITTA’です!」と今回のライブとの意外な繋がりを交えて挨拶をした大槻ケンヂは最後に「盛り上がっていって!」と会場を鼓舞し、余韻を色濃く残して捌けていきました。

 そんなステージを経て、「これからもこういったライブができるように、ロストワードをよろしくお願いします」と話したランコ。最後の曲は「囲い無き世は一期の月影」です。ランコはステージ上を駆け回りながら〈満月の夜には〉を〈川崎の夜には〉と歌詞を変えて歌い、オーディエンスも力いっぱいに拳を掲げ、右肩上がりの高揚感の中ステージは幕を閉じました。

 アンコールの声に導かれて再び登場したコンプは「いつだってあると思うな、アンコール」と冗談を交えつつも、「今からアンコールをいたします!」と宣言。メンバーとZUNさんが再びステージ上に揃うと、「この曲をやらずには終われないと思います」とゲストボーカルとしていとうかなこを呼びよせ、東方LostWordのテーマ曲である「ロストワードクロニカル」を披露。伸びやかないとうかなこの声、パワフルな演奏とともに、ビール片手にランコの姉の小道具を拝借し踊るZUNさん。まさにアンコールにふさわしい、賑やかなステージです。サビではいとうかなことランコが声を重ね、楽曲のパワーに拍車をかけました。

最後の最後までたっぷりと盛り上がった本公演。東方Projectというひとつの文化、そして東方Projectから生まれたひとつのゲームタイトル「東方LostWord」が生み出した幅広い世代を巻き込む熱狂は、凄まじいものでした。

 

LostWord LIVE 2024の無料配信に関するお知らせ

LostWord LIVE 2024の無料配信は、ゲーム内から先行公開を行います。

ゲーム内のホーム画面より、専用のボタンから動画を見に行くことができ、各サークル毎、6つの動画として順次公開予定です。
※一般公開は、後日公式Xなどで告知予定となります。

公式X
https://twitter.com/Touhou_LW

公式YouTubeチャンネル

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