
東方アレンジの歴史を紡ぎ、未来へ繋がるライブ――『LostWord LIVE 2025』ライブレポート
『LostWord LIVE 2025』ライブレポート

東方Projectの音楽イベントとしては聖地とされる川崎CLUB CITTA’。今まで数々の伝説的なライブが開催されてきたこの地で、今日もまたひとつの歴史が刻まれようとしています。
ライブの名は『LostWord LIVE 2025』。東方Project公認二次創作スマートフォン向けRPG『東方LostWord(東方ロストワード)』の名を冠しています。サービス開始から5年の歴史をもち、たくさんのプレイヤーから愛されているゲームで、その証拠にフロアは超満員、1000を超える人で埋め尽くされていました。老若男女、幅広い世代からの支持を得ているようで、フロア後方には親子エリアと称してゆとりを持ったスペースが用意されています。オールスタンディングライブに慣れていない親子連れも多く、こうした気遣いはありがたいのではないでしょうか。
フロアに流れる『東方LostWord』のゲーム中BGMを聞きつつ開演を待ちます。入場してからライブが始まるまで、友だちとおしゃべりしながら待つもよし、ひとりでワクワクを燻らせつつ待つもよし。手に入れたばかりのライブグッズといっしょに、川崎CLUB CITTA’の象徴でもある天井の星型トラスを写真に撮ったりもして。皆、想い想いライブの始まりを待っています。この高揚感は、やはりなんとも言い難いものです。
会場が暗転し、昨年同様にMC.野田真理愛さんが登場。「東方」「ロスワライブ!!」のコール&レスポンスでライブが始まりました。
――文・えふび~
――編集・西河紅葉
Alstroemeria Records
河城にとり(Per.林檎酢さん)、博麗霊夢(Per/Vo.ayameさん)を従え、Vo.nomicoさんがステージイン。DJにはMasayoshi Minoshimaさんの姿が。
『東方LostWord』MV プロジェクト楽曲「世界一位」からライブがスタートし、書き下ろし楽曲「Membrane」へ。ゴリゴリのEDMサウンドはフロア全体を一気に縦ノリで満たし、魂魄妖夢のMVが印象的な楽曲「Disillusion」へと誘っていきます。
Vo.ayameさんに交代し、こちらも書き下ろし楽曲の「Selfish Behavior」へ。サビのリフレイン、キックの応酬でフロアを沸かせます。
歌唱をVo.綾倉盟さんに代わって、東風谷早苗(Per.KI紗さん)、霧雨魔理沙(Per.13さん)がステージイン。ダンサー陣が揃っての「That Full Moon Over the Haunted Ship」。続いて「SACRIFICE」が投下され、ハードコアの火で焼き尽くすと、最後の曲「Bad Apple!! feat.nomico」へ。みんなが大好きで、みんなが聴いてきた曲。たくさんの歴史が詰まった曲。そんな文脈を伝えるように、Alstroemeria Recordsはこの曲をフロアにぶつけます。
フロアもみんな揃って「「ロクデナシ」」とシンガロングで想いを返します。ああ、歴史は連綿と受け継がれていくのだろう、そう確信するパフォーマンスでステージを終えました。
セットリスト
世界一位
Membrane
Disillusion
Selfish Behavior
That Full Moon Over The Haunted Ship
SACRIFICE
Bad Apple!! feat. nomico
TUMENECO
一曲目「サヴァイブルー」ではVo.yukinaさんの澄んだ歌声とGt.tomoyaさんの熱いギターでTUMENECOの魅了を発揮し早くも会場を虜にします。
続く曲は「月纏い、憑幻え」。『東方LostWord』書き下ろし楽曲ですが、その原曲はなんと「かわいい悪魔 〜 Innocence」。東方旧作と称されるPC-98作品『東方幻想郷』の楽曲です。曲中では夢幻姉妹に蓮子とメリーをあわせた内容を盛り込むという離れ業をやってのけています。
そして、本日のスペシャルゲストボーカル、根本凪さんを迎えての「その手に触れるキセキまで」。MVプロジェクトの楽曲となる「信仰は儚き人間の為に」のアレンジです。とびきり爽やかなアレンジにフロアの熱もいっそう盛り上がります。
続く曲は「ヒトイキの証明」、なんと本日が初披露の楽曲です。『東方LostWord』に今後実装予定の曲とのことですが、まだどこにも公開されていない楽曲のドロップはライブ参加者への特別なサプライズとなりました。最後の曲は「星を廻せ月より速く」。TUMENECOが現を夢にしたあと、世に放った1曲は、今や秘封アレンジの代表曲の一つとなっています。厚みのある旋律に乗せたストーリー性の強い歌詞が歌いあげられ、誰しもが蓮子とメリーの関係に、行く末に、思いを馳せたことでしょう。
この曲のサビではタオルをみんなで回すのが定番。フロアでも皆それぞれタオルなどを回して、観客全体に一体感が生まれました。
セットリスト
サヴァイブルー
月纏い、憑幻え
その手に触れるキセキまで(Guest Vo.)
ヒトイキの証明
星を廻せ月より速く
岸田教団&THE明星ロケッツ
3サークル目は岸田教団&THE明星ロケッツ。ステージ左側からBa.岸田さん、Dr.みっちゃんさん、Vo.ichigoさん、Gt.はやぴーさんがスタンバイし「明日ハレの日、ケの昨日」からスタート。
休みなく「Ghost Orchestra」「超々キューカンバー」と、岸田教団&THE明星ロケッツとして最新の東方アレンジアルバムからの連続攻撃で、フロアは一気にロックフェスの熱気へ。身体が自然に動き、声が自然に上がります。
MV プロジェクト楽曲「月と十六夜」をichigoさんver.でお届けし、MCへ。MCでは、我々が居るこの会場でかつて開催された、東方ライブイベント“Flowering Night”の話題に。川崎CLUB CITTA’が東方ライブの聖地として呼ばれるようになった、伝説的なライブの思い出を振り返ります。
岸田教団&THE明星ロケッツのきっかけはまさしく“Flowering Night”であり、2007年のライブ参加がサークルの始まりとのこと。その頃のMCをなぞるように曲紹介の口上が述べられ「夢は時空を越えて」がプレイされます。“Flowering Night 2007”でも演奏された曲で、まさしく時空を超えて現在と過去を繋いでみせました。最後の一曲、「明星ロケット」もまた、始まりの曲のひとつ。そんな歴史を知っている人も知らない人も混じって、岸田教団の熱すぎるロックに熱狂し出番を終えました。
セットリスト
明日ハレの日、ケの昨日
Ghost Orchestra
超々キューカンバー
月と十六夜
夢は時空を越えて
明星ロケット
玲瓏のHydrangea
長い歴史を持つサークルが岸田教団&THE明星ロケッツなら、玲瓏のHydrangeaはまさしく”最新”のサークルと言えるかもしれません。本ライブの出演サークルのなかではもっとも結成が新しく、「Hydra」から現在の名義に変更したのはおよそ1年半前のこと。しかしながら、その実力と人気は本物で、技巧派ロックアレンジを引っ提げ、ライブ活動や配信など精力的に活動を行っています。
Vo.一咲美葵さん、Gt.いさおさん、Ba.日高真夢さん、Key.佐倉優美さん、Dr.あみたさんがステージへスタンバイし、挨拶代わりの「栄華之夢」でライブスタート。続けて「幽雅に見惚れて」と、『東方LostWord』書き下ろし楽曲を連続して繰り出していきます。
そしてMCで呼び込まれるゲストボーカルは、なんと中島愛さん。お待ちかねの登場にフロアからも歓声が上がります。声援に応えながらも、さっそくMVプロジェクト楽曲「ラブレター」を披露。「風神少女」アレンジの甘酸っぱいラブソングは、中島愛さんの歌声によってさらに心を打つ楽曲となっています。
次に披露された「十六夜、刻を止めて」は打って変わってアップテンポなギターロック。玲瓏のHydrangeaのアレンジの幅を感じることができました。
最後の曲は、「幻想的夢花火」。玲瓏のHydrangeaの代表曲です。おなじみの「神々が恋した幻想郷」のメロディに観客もノリノリ。ラストのサビではまさしく花火のように、フロアみんなで大ジャンプし出番を終えました。
セットリスト
栄華乃夢
幽雅に見惚れて
ラブレター(Guest Vo.)
十六夜、刻を止めて
幻想的夢花火
石鹸屋
「LIVE PHANTOM」のメロディとともにDr.hellnianさん、Ba.内山博登さん、Gt.小林ヒロトさん、Gt/Vo.秀三さんがステージイン。Gt/Vo.秀三さんのお召し物はパンツスタイルの十六夜咲夜風。今日もフロアのチルドレン達をメロメロにさせていきます。
「待たせたな!石鹸屋だ!」と叫び、1曲目は「ってゐ! ~えいえんてゐver~」。のっけから石鹸屋の十八番でフロアを揺さぶります。この曲では「かごめ、かごめ」と、童謡の歌詞のようなシンガロングをするのが定番ですが、老若男女が集う今日も果たして上手くいくでしょうか。石鹸屋がどうだと言わんばかりに演奏をミュートにすると、フロアはそんな挑発に倍返しのシンガロングで応え、会場中に声が響き渡りました。
その後も「巡るHarvest」、『東方LostWord』書き下ろし楽曲「Ms.Spark」と、石鹸屋らしい熱いロックを連打しフロアを休ませません。
MVプロジェクトの楽曲、ネイティブフェイスアレンジの「タタエロスト」はタイム感キレキレのドラムに重たいギターが映えるロックナンバーで、フロアの熱はどんどん加速。そんなフロアをMCではGt/Vo.秀三さんがいつもの調子でさらに煽っていきます。そうしてフロアの熱気が臨界に達した瞬間に放たれる「東方妖々夢 ~the maximum moving about~」。
そう、これが石鹸屋なんだと再確認させられる、全てを圧倒するパフォーマンス、熱量。東方ロックの元祖は決して色褪せることなく輝き続けていました。
セットリスト
LIVE PHANTOM(登場SE)
ってゐ!〜えいえんてゐver〜
巡るHarvest
Ms.Spark
タタエロスト
東方妖々夢 ~the maximum moving about~
豚乙女
『LostWord LIVE 2025』のトリをつとめるのは豚乙女。Ba.コンプさん、Vo.ランコさん、Pa.ランコの姉さんがステージイン。普段の豚乙女は3ピース構成ですが、本日はさらにGt.小林ヒロトさん、Dr.ZACKさんを加えたフルバンド編成での披露。LostWord LIVEならではの特別な編成に、ファンも興奮を隠せません。
「響縁」で、さっそくフルバンドのグルーヴが響きます。Dr.ZACKさんの重くハードなビートに合わせるように、Ba.コンプさんの演奏もこころなしか普段よりハードになっているよう。「儚きもの人間」はもともと激しいロックナンバーですが、今日はさらに激しさを増していました。HR/HMと言わんばかりの音圧に対して、フロアはヘッドバンギングで応戦。みんなの首はさながら飛頭蛮になりました。
「ソリッド」、MV プロジェクト楽曲「ドキワク❆レボリューション」とアップテンポな曲が続き、「幻想のサテライト」でも勢いは収まりません。フロアの縦ノリを先導するように、豚乙女はさらに疾走していきます。
豚乙女のメンバーがライブの楽しさを爆発させ、会場の盛り上がりもいよいよクライマックスに。
最後の曲「オカルティックドリーマー」では、このLostWord LIVE 2025の盛り上がりを象徴するような大団円で締めくくりました。
セットリスト
響縁
儚きもの人間
ソリッド
ドキワク❆レボリューション
幻想のサテライト
オカルティックドリーマー
そしてアンコール
………
……
…
まだ、まだ終わりじゃない! あの曲がまだ残っています。
そう、みんなが待ち望んでいる曲、「ロストワードクロニカル」です!
Gt.秀三さんとスペシャルゲストボーカルのいとうかなこさんを呼び込み、この日だけの特別な編成へ。
さらに、神主ことZUNさんまでステージに現れ、今日というお祭りの締めくくりを彩りました。
東方LostWordの象徴とも言える曲「ロストワードクロニカル」。東方LostWordが産声を上げた5年前のその時から、多くのファンに愛されてきた曲(このライブで再生数1000万突破企画も発表されました)。
この曲を筆頭に『東方LostWord』には魅力的な楽曲が沢山あります。書き下ろし楽曲も多く、それは今日のライブを振り返ってみても一目瞭然でしょう。
『東方LostWord』の音楽への力の入れ具合は、もしかしたらRPGゲームとしては異質かもしれなません。それでもなお、東方という世界に音楽は不可欠であるという、このゲームの哲学を筆者は感じました。
そういった想いが析出したライブが『LostWord LIVE 2025』でした。東方ライブの聖地・川崎CLUB CITTA’にて、想いのこもったライブがZUNさんの前で開催された。これは『東方LostWord』のみならず、東方アレンジというものの歴史を紡ぎ、さらに未来へ繋がるライブとなる。私はそう確信しました。
アンコール
ロストワードクロニカル
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今回のライブ全編が、『東方LostWord』のゲーム内より限定で先行公開されています。
視聴は『東方LostWord』
のホーム画面に表示されている専用ボタンから可能。 8月15日10:59までの期間限定となっているので、
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また、同内容のライブ映像を8月16日16:00から全世界同時ウォッチパーティー開催!
8月16日(土)16:00~(2時間47分)
公式YouTubeチャンネルにてロスワライブ をみんなで楽しもう
https://youtube.com/@touhoulostword 全世界同時ウォッチパーティーの視聴URLは後日、Xやお知らせにて告知されます。
東方アレンジの歴史を紡ぎ、未来へ繋がるライブ――『LostWord LIVE 2025』ライブレポート おわり