東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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インタビュー
2019/11/14

「私だけじゃできないです。手伝ってもらえる方がいないとできないイベントなので」今年開催が出来た理由ー東方紅楼夢主催、島村純平氏インタビュー

東方紅楼夢主催、島村純平氏インタビュー

 

 

 2019年10月13日。東方同人誌即売会「東方紅楼夢」は、台風19号の影響により、開催時間を送らせて開催するという決定をした。

 「東方紅楼夢」は、毎年関西で開かれる、大規模な東方オンリー同人誌即売会の一つ。参加者も多く、開催の決断にはかなりの苦労が合ったのは間違いない。

 東方我楽多叢誌では、「東方紅楼夢」を主催する東方紅楼夢実行委員会代表の島村純平氏にインタビューを敢行。開催決定の決断から、そもそもの紅楼夢の成り立ち、未来のイベント主催を夢見る若者たちへのメッセージまで、様々なことにお答え頂いた。

開催に踏み切れた理由

ーーこの度は紅楼夢の開催、並びに台風による運営調整大変お疲れさまでした。開会時間を遅くするというのは英断だったと思います。開催に際して、どのような判断や連絡調整等を行われたのでしょうか?

島村氏:

  実際に決定したのは9日(水)の夜です。サークルさんにはメールで、一般参加者向けにはTwitterとサイトで、お知らせしました。スタッフ間では、月曜日の時点で「ちょっとやばそうだよね」と話をしていましたが、少し様子を見て「水曜日に会議をして決めましょう」という感じでした。

 

島村氏:

  紅楼夢は、企業が運営しているのではなく個人が集まって趣味でやっている団体です。なので、私含めてスタッフ全員昼間には仕事がありまして……。こういった即時的な対応をするのは難しいのですが、限られた時間の中でみんなで会議をして決めました、じゃあ何ができるか、というところから始まっています。

 

ーーそもそも当日の朝、会場へ行くのはそこまで問題はなかったのでしょうか?

島村氏:

 大阪は電車も止まらなかったので、移動はできました。ただ、土曜日中は新幹線も止まっていましたし、飛行機も大体止まっていたので。関西圏以外の方はほとんど参加できなかったかもしれません。

 自分も今は関東に住んでいるので、土曜日に帰るのは厳しいと気付き、会社に無茶を言って金曜日に「すいません、午後休ください」と言って大阪へ帰りました。スタッフも何人か関東なので、みんな結構ギリギリで来てもらった感じですね。開催時間を遅らせた理由としては、当日の朝は新幹線が動くだろう、という見込みがあったからです。それから、元々、アフターイベントをやる予定だったので、後ろの時間に多少余裕があり助かりました。

 

ーー実際の当日の会場の雰囲気はいかがでしたか?

島村氏:

 飛行機は止まっていて、新幹線は動いてはいるものの在来線が止まってしまって新幹線が出発する駅までたどり着けないという方もいたようです。来られないサークルさんいましたしたが、減ったという印象は無かったですね。

 もちろん実数としては減っていますが、例年通り盛り上がっていたと思います。関東の方が参加できなかった所に、入れ替わりで関西の新しい参加者、特に若い子達が来てくれました。結果、例年通りというところで、本当によかったかなと。

 

 

ーー若い人が増えたという話からなのですが、現在の参加者の年齢層はどのような感じでしょうか?

島村氏:

 会場を見ていても、本当に若い子が増えたなと思います。今回は事前の問い合わせで「子どもを連れて行きたいんですが…」というご相談を多くいただきました。これまではあまりそういった問い合わせはなかったです。

 これまで同人イベントに来る「若い子」のイメージは、高校生や大学生だったのですが、今は小学生や中学生になりましたね。

 

紅楼夢のはじまり

 

ーーここからは「東方紅楼夢」についてお伺いできればと思います。そもそも、どのような経緯で立ち上がったのでしょうか?

島村氏:

 元々、私は大阪で同人サークルをやっていたんですけど、その時、地元でやっている同人即売会があまりなかったんです。たしか2004年くらいで、一番イベントが少なかったときです。オールジャンルはあったけど、オンリージャンルのイベントがそもそもなくて。東京では、結構いろんなイベントをやってる方いらっしゃいますけど、大阪はそこまで多くなかったんです。

 それならイベントやろうよ、とりあえず即売会をできる場所を増やそうよって周りに声をかけていって。でも、いきなりオールジャンルでイベントをやっても人は来ないよね、と。それならオンリーをやろうと。ちょうど大学の先輩と話していたときに「東方いいよね!」という話になって、「紅楼夢」というイベントが動き出しました。

 そんな経緯で、とりあえず1回目だし、オンリーイベントなので、そこまでスペースいらないだろうと思って、市の小さな施設を借りたら、まぁ足りなかったと(苦笑)。

ーーちなみに、最初の募集スペース数は?

島村氏:

 30ですね。募集し始めたら足りなくて、結局最終的には150サークルが参加しました。

ーー5倍ですか!

島村氏:

 はい。結局スペースが足りなくなってしまったので新大阪センイシティーをなんとか借りました。たしか、1回目はサークル応募の落選も出していますね。

ーー150サークルで収まりきらなかったんですね。

島村氏:

 入りきらなかったですし、一般参加者もギリギリな感じでした。入れ替え制にするか悩みましたね。ギュウギュウ詰めになってしまって、空調とかもなかなか効かなくて、窓を開けるまでは部屋の中にモヤが出ていたという逸話もあります。雲が発生したとか、床がみんなの汗で滑ってひどかったとか………。あの頃はよく言われてましたね。

 

ーー東方のオンリーイベントは、ほぼ毎週日本の何処かで開催されている程に増えています。その中で、「紅楼夢」というイベントの特色はどういったところにありますか?

島村氏:

 紅楼夢の場合は、逆に特色は出していないんですよ。

 私は高1からサークルとイベントスタッフをやっていまして。もう19年前ですね。当時、即売会の中で行うライブみたいなものはなかったので、東方Projectのファンたちの交流って、同人誌即売会だけだったんです。私がやりたいのは、そういったファンの交流ができる即売会を継続することなんです。

 ライブやゲーム展示みたいなものが、もちろん一般参加者の方が好まれるのは承知しています。でも、即売会のメインってサークルと一般参加者の方の交流だよね、という考え方がありまして。だから特別なことはせずに、サークルさんと一般参加者の方が喋りやすいイベントにしていきたいです。

 

ーー大規模なオフ会のような、交流が重要なイベントになっているんですね。
  先ほど、スタッフを始められたときのお話があったので、島村さんについても少しお伺いします。東方Projectを知ったきっかけは?

島村氏:

 一番最初にやったのは紅魔郷の体験版でした。高校のコンピューター研究部のPCに入っていて、偶然触ったのがきっかけです。そこまでシューティングは得意じゃないので、うまくは出来なかったんですけど、「これは面白い!」となって、その後、同人誌を買うようになりました。

ーー東方で一番好きな二次創作作品を教えていただいてもいいでしょうか?

島村氏:

 サクッと出てきたのが、「ACID CLUB EAST」のnagareさんの作品です。あの頃の記憶が染み付いていますね。もちろん今の作品も読ませていただいてはいますが、初期の頃の思い出が強いというか……皆が濃かったというか。

これからイベントを始めたいひとへ

ーー2004年頃に「紅楼夢」を主催したということは、同人サークルやイベントスタッフはその前くらいから経験していたのでしょうか?

島村氏:

 主催自体は2004年で、大学1年生の頃でしたね。サークルとイベントスタッフは高1からやっていました。

 中学の頃から同人即売会には行っていたので、まずサークルで参加してみたい、同人誌を描いてみたいと。高校1年生から描き始めました。ちょうど同じころに、イベントスタッフもやってみたいなと思って、当時やっていたオールジャンルイベントに飛び込んだ感じですね。

ーーどれも知り合いに教えてもらったわけではなく、自分で見つけて入っていたんですね。

島村氏:

 全部、事故だと思います(笑)。同人誌を知ったのも偶然というか……(笑)。実家がインテックス大阪の近くなんですよ。「なんかでかいのやってるぞ」と思って行ってみたらマンガっぽいのがあるぞと。

 

ーー今の若い子たちも、イベントに出るだけじゃなくて、自分もイベントを開催したい!と思う子も出てくると思うんですけど、そういう子たちへのアドバイスはありますか?

島村氏:

 一般参加者としても、サークルとしても、スタッフとしても、それぞれの立場で何回かイベントを参加するといいんじゃないかなと思います。私の場合はサークルもやっていたので、その視点や考え方がありますし、それが難しくても、一般の来場の方の視点というのはもちろん必要です。

 スタッフをできればやっておいた方がいいのは、結局のところ、この世界は義理人情が多いので(笑)。
 友人を作って、一緒の方向を向ける人を集めてから始めたほうが、目的もブレません。スタッフの知り合いを増やして、相談できる人がたくさんできれば、いろんな人に手伝ってもらえるというのもあります。

 一人で抱え込むのではなく、良い意味でいろんな人を巻き込むのが大事だなと思います。

 あとは……お金は準備したほうがいいですよ、ってことぐらいでしょうか(笑)。イベントの規模と、自分が出せる費用をしっかりと計算しましょうね、という。

ーー「紅楼夢」を主催していて、仲間が増えてよかったと思うことはありましたか?

島村氏:

 むしろ、私だけじゃできないです。仲間というか、本当に手伝ってもらえる方がいないとできないイベントですから。皆、仕事が終わった後の忙しい所に、頑張って手伝ってもらっていたりするので、すごく助かっています。

 

ーー最後に、今年の「紅楼夢」の来場者と、まだ「紅楼夢」に来られていない東方ファンへ、それぞれメッセージをお願いします。

島村氏:

 今年は開催に関して様々なご意見をいただきました。そんな中、開催時間を遅らせることで開催を決定しました。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 紅楼夢は、皆で作るイベントだと思っています。私が音頭を取っているものの、今回は特に、スタッフの皆が居なければ開催できなかったですし、サークルさんや一般参加者の方がいなければ、イベントとして成り立たなかったです。

 本当に来ていただいて嬉しかったです。それぞれ無理を通して来られた方々も多くいらっしゃったかと思いますが、本当にありがとうございましたという気持ちでいっぱいです。 

 まだ紅楼夢に来られていない方、それも関西に住んでおられない方に関しては、「関西に観光がてら来てください」というのはいつもお話しています。連休に遊びに行ける感じで、いつも日程を組もうと思っています。ぜひ観光がてら毎回遊びに来ていただければと思います。今後も、皆と交流できるイベントであり続けます。皆と会える同窓会的イベントにしたいと思っていますので、

 ぜひ楽しんでください。

「私だけじゃできないです。手伝ってもらえる方がいないとできないイベントなので」今年開催が出来た理由ー東方紅楼夢主催、島村純平氏インタビュー おわり

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