東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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コラム
2021/09/22

東方ふもふもが海外で人気になった理由

東方ふもふもが海外で人気になった理由

 皆さんは「Fumo」を知っていますか?

 海外の東方ファンコミュニティやTwitterをのぞくと、必ずある東方キャラをデフォルメした姿、Fumo。

 日本製のぬいぐるみシリーズから派生して今や単独の”memeミーム”化してしまっているこのキャラクターについて、東方我楽多叢誌の海外特派員チームが詳しく教えてくれました。

 

ミーム化するふもふも

 ふもふも、通称ふもは日本のGift社が製造、発売している高品質のぬいぐるみシリーズで、元東方サークルであるANGELTYPEによって製作されました。

 ふもふもは、そのゆるゆるな外見と可愛さから、多くの東方ファンから支持を得ており、特に海外では絶大な人気を誇っています。

 現在、ふもふもはGiftのオンラインショップ、もしくは例大祭などのイベントで購入することができます。これまでは、日本でしか手に入れられなかったふもふもたちが、なぜ海外で絶大な人気を集めるようになったのでしょうか。このような現象が起きた背景について、海外と日本の両コミュニティを経験した筆者が語りたいと思います。

 海外でのふもふも人気は、大きく3つの要素に分かれます。「ミームとしてのふも」、「コミュニティでの共有」、そして「ふもが自作可能であること」が、海外のふも人気における重要な要素である考えています。

 はじめに、ミーム(meme)について。ミームとは、いわゆるネットで作られた「ネタ」が拡散されたものです。ニコニコ動画でのネタなども、海外勢にとっては東方ミームの一例です。

 ネタにしたものはTwitterやReddit、ソーシャルメディアサイトなどに広がり、より多くのユーザーに伝達されていきます。ふもふもの写真、ふもふもと一緒に何かを撮影した動画など、誰でも簡単に投稿できる手軽さから、それらを公開する人が増えています。

 ふもふもという概念を知らなくても、自分が面白いと思う場面と、それに応じた動画や書き込みによって笑えるネタを作ることができます。

 あるいは、ほかの人の作品などを見て、それをミーム化する方法もあります。ネタさえ分かれば楽しめることもあり、それらが新たなユーザーへと拡散していきます。やがて、そこから新たなネタが生まれ、ネットに循環し、忘れられ、そしてまた新たな「ネタ」として生まれ変わります。そのため、ふもふものミームはさまざまな場で見る機会が多くなります。

 ほかの例ですと、ミーム化した東方海外作品、scary08(※1)さんによる「Become Fumo」があります。自身やほかのプレイヤーたちがふもふもになって交流したり、さまざまなもので遊んだり、釣りができたりする3Dアバターゲームです。

 ふもふもの可愛さや、ゲーム内でできる面白いダンスなど、ユーザーたちは自分やほかのプレイヤーの写真や動画を使用して、ミームを作り拡散していきました。これにより、多くのユーザーがこのゲームだけではなく、ふもふも自体をも知るきっかけとなりました。

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※1)scary08
Become Fumoの製作者。ふもふもたちになるゲームをRobloxで配信している。

 また、ふもふものことを語る交流の場があることが、海外ファンの人気へとつながった理由のひとつです。東方ふもふも専用のDiscordサーバーでは、ふもふもについて語り、写真や動画を投稿したり見たりすることでファンが交流しています。ふもふもに対しての好きをそのまま見せるコミュニティは、ファンたちにとって心地よい空間なのです。

 特に「ぬい撮り」などの文化については、それを共有する場があれば、それらを見たい、もしくは自分も写真を撮りたいと思うようになります。ほかにも、ふもふもの歴史についての動画を作っている方たちもいます。そして、それについて話せることで、コミュニティとのつながりをより築くことができます。

 ネットでの交流以外に、イベントなどオフ会で楽しむファンたちもいます。予定を立て、パーティールームや貸し部屋などで遊んだり、ふもふもや東方のことを語ったり、自作ふもふもの製作技術交換など、ネットとは違うような環境での楽しみ方も面白いです。

 少数の海外勢が日本に来たとき、日本のふもふもファンたちとの交流が非常に楽しかったと好評でした。言葉は通じなくても、ふもふもに対しての共通点があるから分かり合え、交流することができていました。現在はコロナ禍の影響もあり、海外勢にとって観光は非常に困難なものになっていますが、ネット配信などで交流する様子なども見受けられます。このような場に参加したい方、海外のふもふもファンたちと関わりたい、あるいはふもふもについて語りたいと思った方は、ふもふも用のDiscordなどに入ることをお勧めします。

 最後に、自作ふもふもを製作することについてです。自作に興味を持ち、ふもふもたちと関わるようになる製作者もいます。元のキャラクターのデザインを変更したり、二次創作のデザインを取り入れるなど、ふもふもを自分好みに作れる点は、自作製作者にとって魅力ともいえます。先ほど触れたふもふもサーバーでは、自作製作者が集まり、技術共有など、初めて製作する方たちを助け合うところも見られます。

 なお、製造元のGiftより、ふもふもに関する最新のアナウンスが発表されました。ふもふもの自作は、あくまで個人で楽しむものとして心がけましょう。

 ミーム、共有できるコミュニティ、そして自作ふもふもを作ること、これにより海外勢がふもふもたちを知り、正規に購入したり話したりするようになりました。最終的には、ふもふもが好きという共通する思いがあったからこそ、ふもふものミームは海外へと広がったと思います。

東方ふもふもが海外で人気になった理由 おわり