東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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インタビュー
2022/02/10

ARで地域とキャラクターを結ぶ――えいでん×東方Project企画『文々。新聞叡電版』を立ち上げた合同会社ARK PROJECT プロデューサー・鈴木 良征インタビュー

合同会社ARK PROJECT プロデューサー・鈴木 良征インタビュー

 2022年2月5日より、京都市の鉄道会社・叡山電鉄株式会社による、東方Project(以下:東方)を題材とした企画『文々。新聞叡電版』が実施となった。

 ”えいでん”の愛称で親しまれている叡山電車。

 その路線である、出町柳から八瀬・鞍馬方面にかけての各地域に東方キャラクターの大型POPが設置されており、それらを巡るスタンプラリー企画が『文々。新聞叡電版』のメインコンテンツとなっている。

 加えて、ラッピング車両の運行や京都市内の宿泊施設との連携など、叡山電車の旅が満喫できる企画である。また、スタンプラリーをコンプリートすると、展示している大型アクリルスタンディの購入抽選会に参加ができる。

🄫上海アリス幻樂団
叡山電鉄株式会社より引用

 こちらの『文々。新聞叡電版』だが、その最たる特徴は、AR技術を活用したスタンプラリーにある。専用のアプリを用いてPOPに近づくとAR映像が表示される仕組みとなっており、京都の街に浮かび上がる東方キャラクターたちの姿を見ることができる。

 それぞれのキャラクターも、各POPの設置地域と何かしらの関連性を感じさせるものとなっており、実に”理解わかっている”選出だ。

🄫上海アリス幻樂団
叡山電鉄株式会社より引用

 この企画を手掛けたのは、合同会社ARK PROJECTにてプロデューサーを務める鈴木 良征氏。

 どのような経緯から、『文々。新聞叡電版』を企画、実施するに至ったのか。そして、ARを活かした魅力とはどこにあるのか。お話を伺った。

合同会社ARK PROJECT

コンテンツ企画の提案・サポート、および、版権業務やイベント企画の考案を行い、デジタル技術で地域創生に力をいれる合同会社。

AR事業として、『ナンデモAR』の開発などを行う。

 

最初に文ちゃんを主軸にするのは決めていました

――まず始めに、ARK PROJECTという会社についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

鈴木 良征(以下:鈴木):
 会社のメインは企画・運営業務としていますが、基本的には「なんでも屋」です。私がデザイナーや開発者だったこともあり、できることはなんでもやるようにはしてます。

 AR事業では『ナンデモAR』の開発などを行っております。

――現在実施されております『文々。新聞叡電版』ですが、この企画の立ち上げにはどのような経緯があったのでしょうか。

鈴木:
 もともと、叡山電車の豊田社長と私は面識があって、京都国際マンガ・アニメフェアで知り合ったんです。ARK PROJECTでは別件でARの開発を行っており、その展示のために出展していたんですね。そのときに、豊田社長がARに興味を持っていただいて、「いつかARで企画をやりたいですね」というお話を、2年ほど前にさせていただきました。

 そしてこの度、観光庁による既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業を活用する形で、独自のARを展開して、地域の活性化につながるような取り組みをやってみませんかと、ご提案をさせていただきました。それがきっかけで、今までやったことがないことをやってみたいとお返事をいただいて、企画を練り始めたのが最初の地点ですね。

――鈴木さんからのご提案だったのですね。今回、題材が東方Projectである理由についてもお聞かせいただけますでしょうか。

鈴木:
 京都という土地は、歴史の深い町であるだけに、そこに関連性のないコンテンツを結びつけるのが難しくもあります。

 京都が好き、歴史文化が好きといった方にも受け入れてもらえる題材で、かつ、アニメや漫画といった多方面のユーザー層を取り入れる必要もある。この条件を両立できる作品は何かと考えたときに、最終的に東方しかなかったんですね。

――東方なら京都に所縁のあるキャラクターも多く、またユーザー層も厚いということですね。『文々。新聞叡電版』は、キャラクターの選出がその地域に関連したものとなっており、この点はユーザーからの反応も多く見受けられました。ある意味、沿線付近という”縛り”もある中で、キャラクターを選ぶのは大変だったのではないでしょうか。

鈴木:
 まず、最初に文ちゃんを主軸にするのは決めていました。天狗に所縁のある鞍馬に文ちゃんを設置しようと。逆に、残りの9キャラは企画立ち上げの段階では決まっていませんでした。

 少なくとも、叡山電車と東方Projectの親和性を考えたときに、「文ちゃんは確実にいける。文ちゃんをフラッグシップとして立てましょう」となりました。

――『文々。新聞叡電版』のページでも、トップの画像は射命丸が飾っていますね。

鈴木:
 叡山電車でも鞍馬駅は有名なスポットなので、そこは重要なポイントでした。ほかのキャラクターについても、地域に関連性のあるキャラクターで統一する形を採らせていただきました。

 事前の取材で、叡山電鉄のスタッフの方々にもご案内いただいて各駅を周りました。各スポットの歴史や由来などを聞かせていただいて、それらの情報を取りまとめて、そこから近しい要素を持つキャラクターを探し出しました。

🄫上海アリス幻樂団
叡山電鉄株式会社より引用

 

ARが、キャラクターが、イベントへのモチベーションを高めてくれる

――選出されたキャラクターを見ていますと、先ほど仰られていた「地域に関連性のあるキャラクターで統一する」という点が一貫しており、コンテンツへの深い理解が伝わってきます。今回の企画を実施して、叡山電車の社内からの反応などはいかがでしたか。

鈴木:
 東方を知らない社員の方からは、企画実施後の反響に驚いたとの声を、毎日のように伺っております。

 正直なところ、私にとっても想定外の参加者数となりまして、当初用意していた頒布物は企画開始から3日目でほぼなくなっていました。

 スタンプラリーに参加していただいたユーザーの皆さまからも、多くのご感想をいただいております。「すべて周るのは大変だったけど、楽しかった」、「東方を知っていて、好きな方が作られた企画だと感じた」と仰っていただけて、非常に嬉しい反応でしたね。

――日程の都合などで参加できなかったユーザーからは「次回もやってほしい」との声もあります。今後も継続のご予定などはございますか。

鈴木:
 ユーザーの皆さまからも、「第二・第三弾と続けてほしい」といった声をいただいており、今後の継続についても考えていければと思います。

――京都以外でも、たとえば奈良方面に由来のある豊聡耳神子や驪駒早鬼、摩多羅隠岐奈などに焦点を当てた企画を望む声なども見受けられました。東方に限らず、キャラクターとARを組み合わせた事業の展望などはございますか。

鈴木:
 アニメや漫画といったコンテンツを用いて、地域の活性化になるような事業をやっていきたいと考えております。現在もほかの案件が動いておりまして、引き続きAR事業は続けていきたいとは思っています。

 ARを用いることのメリットのひとつに、コロナ禍における接触リスクを回避できる効果があります。実物のスタンプを押すわけではないので、接触自体が起きないんですね。

 また、ARによって表示される映像には、動きや音声といった情報も組み込めます。好きなキャラクターが動きを伴って、その観光地域についての説明であったり、スタンプラリーの応援をしてくれるといった体験が可能になっています。これは、イベント参加に対するモチベーションを非常に高くしてくれると思うんですね。

 たとえば今回のスタンプラリーですと、もしすべてのスポットが駅のみだったら、そこまで周るのは難しくなかったはずです。しかし実際には、駅からある程度歩かなければいけないスポットもあるんです。全10か所のうち、狸谷山不動院、貴船神社、妙満寺といった社寺仏閣の3か所は、駅から離れた地点となっているんです。

 そこに行かないとスタンプは押せないのですが、これが意外とすんなり行けない場所だったりします。200段以上の階段を登らなければいけなかったりするんですね。もちろん大変ではありますが、だからこそ、その先にキャラクターが待っていることがモチベーションにつながります。ご参加いただいた方からも「階段がきつかったけど、楽しかった」という声をいただくことができました。

 これこそが、キャラクターとしての、ARとしての強みなのではないかと思います。

――従来のイベントにはない付加価値を得られることが強みになるんですね。それこそ、たとえばぬえが好きなユーザーが、京都の風景に浮かび上がるぬえに会えるのは嬉しいでしょうね。

鈴木:
 ちなみに余談ですが、ぬえも設置場所である狸谷山不動院に所縁があるんですよ。

――ぬえというと、京都では鵺塚のイメージしかありませんでした。

鈴木:
 もともと、ぬえの概念が、夜中に姿が見えないけれど、得体のしれない動物の鳴き声が聴こえるといった怪異を指すものですが、狸谷山不動院では現在でも、夕方になるとどこからともなく謎の鳴き声が響き渡るそうですよ。

――まさに鵺伝承ですね。こういった意外な発見があるのも、スタンプラリーの醍醐味のひとつですね。

 今回お話を聞かせていただいて、今後も企画を継続していきたいという言葉を聞けたことは非常に嬉しく思います。本日はありがとうございました。

鈴木:
 スタンプラリーは現地に行ってみて、初めて分かることもあると思います。

『文々。新聞叡電版』は2月20日まで開催していますので、ぜひ京都へいらしてください。

 

『文々。新聞叡電版』イベント概要

イベント:えいでん×東方Project企画『文々。新聞叡電版』
主催:叡山電鉄株式会社
協力:京都観光旅館連盟
企画・計画:合同会社ARK PROJECT

えいでんAR:https://eiden-ar.jp

ラッピング車両運行期間:2022年2月5日(土)~2月23日(水・祝)※予定

ARスタンプラリー実施期間:2022年2月5日(土)~2月20日(日)
大型アクリルスタンディ購入抽選会(オンライン発表):2022年2月23日(水・祝)
ARスタンプラリー参加方法:
「えいでんAR」特設サイトからダウンロードしたアプリを起動して大型スタンディPOPに近づくと、画面にARが表示されます。
ARが表示されると、ARに対応したスタンプがアプリ内のスタンプ画面に押されます。

スタンプポイント(大型スタンディPOP設置個所):
出町柳駅/一乗寺駅/修学院駅/宝ケ池駅
八瀬比叡山口駅/貴船口駅/鞍馬駅
狸谷山不動院/妙満寺/貴船神社

ノベルティ交換の手順:
スタンプを集めた方は、ノベルティのアクリルキーホルダーと交換が可能です。
アクリルキーホルダーは大型スタンディPOPデザインの10種類があり、スタンプひとつごとにガチャガチャを1回引くことができます。
なお、スタンプ10か所をコンプリートされてからノベルティ交換をされる方には、アクリルキーホルダー10種類にシークレット1種類が加わったアクリルキーホルダーフルセットをご用意しています。
※10種類のアクリルキーホルダーがなくなり次第終了となります。

ノベルティ交換場所: 出町柳駅コンコース特設会場
ノベルティ交換時間:実施期間中の毎日11:00~17:00

ARで地域とキャラクターを結ぶ――えいでん×東方Project企画『文々。新聞叡電版』を立ち上げた合同会社ARK PROJECT プロデューサー・鈴木 良征インタビュー おわり