
【連載】全国の大学東方サークルに話を聞いてみました! 和歌山大学の東方サークル「夢想史紀行」にインタビュー!
和歌山大学の東方サークル「夢想史紀行」にインタビュー!

「“東方”が好きな“大学”生たちが学内で集まって活動する“同好会”」、通称「大学東方サークル」。
いま、日本各地で大学東方サークルが続々と増えており、その数は25年2月時点でなんと65サークルにものぼります【※】。

同月に放送された東方ステーションの番組内でも、大学東方サークルが取り上げられるなど、大きな盛り上がりを見せ始めています。
そんな大学東方サークルですが、学内での活動がメインということもあり、外部の人間が彼らの活動を知る機会は非常に少なく、その実態はというとあまり明かされていないのが実状です。
いったい彼らは学内でどのような活動をしているのか? そもそも大学東方サークルとは何者なのか?
それらの疑問を解消するべく、全国の大学東方サークルを取材して話を聞いてきました!
【前回の記事はコチラ→【連載】全国の大学東方サークルに話を聞いてみました! 名古屋大学の東方サークル「N.U.Owen」にインタビュー!】
聞き手・文・写真・編集/土露団子
本州最南端の大学公認東方サークル「夢想史紀行」
【主なインタビュー参加者】
左:マーベラス(経済学部3年/財務)、右:ぜんのり(システム工学部3年/代表)※敬称略、役職はインタビュー当時
――それでは、簡単にサークルの自己紹介からお願いします。
夢想史紀行:
和歌山大学の東方サークル「夢想史紀行(むそうしきこう)」です。部室はありませんが、公認サークルとして活動しています。
――公認の大学東方サークルとのことですが、顧問の先生と一緒に活動することはあるのでしょうか?
夢想史紀行:
基本的にはないですね。そもそも活動自体に顧問が関わることはないので、公認サークルの中でも自由に活動することができます。強いて言えば、財務状況はしっかりと報告しなければいけないので、役職として「代表」と「副代表」の他に、「財務」が存在します。
――部員はいま、何人くらいいますか?
夢想史紀行:
4回生が1人、3回生が4人、2回生が0人で、1回生が5人、合計10人です(※24年インタビュー当時)。学部生のみで構成されているサークルですので、他の大学東方サークルと比べると小規模だと思います。
――文系、理系で言うと所属している部員の割合はいかがでしょうか?
夢想史紀行:
ちょうど半々くらいですね。和歌山大学は文系も理系も1つのキャンパスの中にあるので、異なる学部であっても同じ教室内で活動ができます。

――そういった意味では、先日取材させていただいた静岡大学の東方サークルのように、学部キャンパスごとにそれぞれ分かれて活動しなくて済むというのは大きいですね。
夢想史紀行:
そうですね。ただ、和歌山大学も静岡大学と負けず劣らずの田舎の山奥にキャンパスがある点は、一緒かもしれません。駅前もそうですし、大学までの通学路も特に何もないので(笑)
【補足コラム】和歌山大学ってどんなところにあるの?
なにもない。だからこそ作る
――たしかに、ここに来るまでの道中に、娯楽施設は見かけなかったですね。学外で活動することはあるのでしょうか?
夢想史紀行:
滅多にないですね。ここから繁華街に出るまで時間もお金もそれなりにかかってしまうので、活動時間はこの教室内で引きこもるように過ごしています(笑)

――活動時間は何時から何時くらいでしょうか?
夢想史紀行:
16時半から19時までの2時間半です。夏休みや春休みといった長期休暇の時は少し長くなって、お昼すぎから夕方くらいの4~5時間程度活動しています。
――活動頻度はどの程度でしょうか?
夢想史紀行:
週2~3で活動しています。もちろん、毎回全員が参加するわけではないですが、1週間あたりの活動回数は他と比べて多いほうかもしれません。
――そうですね、他の大学東方サークルは週1~2のペースで活動しているサークルが多い印象です。活動回数が多いのは、全員が同じキャンパスで集まりやすいからでしょうか?
夢想史紀行:
それもありますし、単純にここの教室に集まる以外、特に何もないからというのが正直なところです。大学を出たら、バイトに行くか家に帰るくらいしか選択肢がないので(苦笑)
――キャンパスの立地上、選択肢が限られていると致し方ない部分ですよね。この教室では、どういった活動をしていますか?
夢想史紀行:
他の大学東方サークルと同じですね。集まって雑談したり、ゲームして遊んだり、時々ホワイトボードに絵を描いてみたり……。ただ、1つだけ夢想史紀行が他のサークルと違うのは、ボードゲームで遊ぶだけではなく、自分たちの手でボードゲームを作る文化があることです。
――なぜ、ボードゲームを作る文化が生まれたのでしょうか?
夢想史紀行:
今の代の2つ前の代表がボードゲームが好きで、遊ぶだけではなく自身でもボードゲームを作る人だったんです。その先輩の影響もあって自分たちもボードゲームを作るようになって、春の例大祭で東方二次創作ボードゲームを頒布しました。

▲遊び方ガイド動画(YouTube より引用)
――部誌を頒布する大学東方サークルは多く見られますが、ボードゲームを頒布する大学東方サークルは非常に珍しいですね。制作する上で、苦労した部分はどういったところがありますか?
夢想史紀行:
一番はやはりお金面ですね。公認サークルと言えども、大学から補助があるわけではないので、部員たちでお金を出し合ったりして作りました。
――逆に、一番嬉しかったのはどういったところでしょうか?
夢想史紀行:
自分たちの作った作品が、他の大学東方サークルでもたくさん遊んでもらえたことですね。素直に、作って良かったと思いました(笑)
――こういったボードゲームを作り上げるには、お金面もそうですし、完成に漕ぎ着けるだけのモチベーションも必要だったと思います。制作のモチベーションは、どういったところから生み出されていたのでしょうか?
夢想史紀行:
繰り返しになってしまいますが、この大学の周りは本当に何もなくって(笑)。この場所でやれることが限られている反面、だからこそ自分たちにしかできないこともあるんじゃないかと思ったんです。ただ、自分たちはZUNさんのようにゲームは作れないし、他のサークルさんのように音楽をアレンジしたり、漫画を描くこともできない。じゃあ自分たちなら何ができるかなって考えたとき、ボードゲームなら作れるぞって。ボードゲームなら普段の活動で色んなものを遊んでいるからそれなりに知識はあるし、部員の人数的にもちょうどみんなで遊びながらトライアンドエラーを繰り返せばいけそうだし、何より困ったら聞くことができる人が先輩にいたのが大きかったですね。

――ある意味で、和歌山大学の立地が生み出した産物でもあるわけですね。
夢想史紀行:
そうですね。もし和歌山大学が大阪や東京といった、他の大学東方サークルと交流しやすい場所にあったとしたら、ボードゲームを作らず遊びに出かけていたかもしれません(笑)
【補足コラム】なんで和歌山大学に入ろうって思ったの?
これからの夢想史紀行

――今後、夢想史紀行としてやっていきたいことはありますか?
夢想史紀行:
そうですね、これまで他大学との交流は個人レベル程度でしたので、今後はもう少しサークルとして他大学との交流ができたらと思います。あとは来年の例大祭でも、東方の二次創作ボードゲームを頒布できたらと思っています。
――どういったボードゲームか、伺っても良いですか?
夢想史紀行:
それはちょっと内緒です(笑)。それと、ボードゲームを頒布することは夢想史紀行として活動するうえで、「絶対にやらなきゃいけないこと」ではないんです。これから続く後輩たちが伸び伸びと、自分たちがやりたいことを表現したり、実現していくことの方が大事なので。無理せず、マイペースに活動を続けて、この東方の世界を思う存分楽しんで欲しいです。
――あくまで、これからの代が主体であると。
夢想史紀行:
仰るとおりです。我々年長者は、彼らがこれからも東方という世界を楽しめるような、そういった場をこの和歌山大学に残していければと思っています。
――最後にひとこと、読者に向けてお願いします。
夢想史紀行:
こんな感じで、東方好きの仲間たちが教室に集まって活動しています。和歌山大学に通っている東方好きがこの記事を読んでいましたら、サークルXのDMやリプライでご連絡ください。また、毎年11月には学祭に参加してテントを立てて出店しています。こちらは一般の方でも参加できますので、ぜひ遊びに来てください! 周りにはびっくりするくらい何もないですけれど!(笑)
サークル基本情報
サークル名:夢想史紀行(和歌山大学公認東方サークル)
代表(※インタビュー当時):ぜんのり
サークルX:@wadai_th
連絡先:[email protected]
主な活動場所:和歌山大学
【連載】全国の大学東方サークルに話を聞いてみました! 和歌山大学の東方サークル「夢想史紀行」にインタビュー! おわり