
【連載】全国の大学東方サークルに話を聞いてみました! 慶應義塾大学の東方サークル「東方慶庵郷」にインタビュー!
慶應義塾大学の東方サークル「東方慶庵郷」にインタビュー!

「大学内で活動している、東方が好きな人たちが集まって活動する同好会」、通称「大学東方サークル」。
いま、日本各地で大学東方サークルが続々と増えており、その数はなんと25年2月時点で65ものサークルが確認されています【※】。
【※】東京都立大学の大学東方サークル「東方都立璋」調べ。詳しくはコチラ
先日放送された東方ステーションの番組内でも、大学東方サークルが取り上げられるなど、大きな盛り上がりを見せ始めています。
そんな大学東方サークルですが、学内での活動がメインということも相まって、外部の人間が彼らの活動を知る機会は非常に少なく、その実態はと言うとあまり明かされていないのが実状です。
いったい彼らは学内でどういった活動をしているのか? そもそも大学東方サークルとは何者なのか?
それらの疑問を解消するべく、全国の大学東方サークルを取材して話を聞いてきました!
聞き手・文・編集/土露団子
東急東横線の学園都市「日吉」
渋谷駅から急行で23分、横浜駅からは13分と、都心方面からも横浜方面からもアクセスが良好な学園都市「日吉」。
2008年には横浜市営地下鉄グリーンラインが開業したことで利用客は大幅に増加し、街の人口も徐々に増えている近年人気のエリアです。
東口を出て銀杏並木を抜けると、日吉キャンパスの学棟が見えてくるのですが、今回向かう先はその反対側。
「ひようら」と呼ばれる、日吉駅西口に放射状に広がる商店街を抜けた先の公民館「日吉地区センター」が、今回取材する慶應義塾大学の東方サークル「東方慶庵郷」の主な活動場所になります。
▲日吉駅周辺の地図。赤い丸で囲ってある所が、一枚目の写真「日吉地区センター」
早速、彼らに詳しく聞いてみました。
三田会ネットワークがここにも!? 慶應義塾大学の東方サークル「東方慶庵郷」
【主なインタビュー参加者】
セイ、tsuki、サファイヤ妖夢、ハイド、おぎぱとす(敬称略)
――それでは、まずは簡単にサークルの自己紹介からお願いします。
東方慶庵郷:
慶應義塾大学の大学東方サークル「東方慶庵郷(とうほうけいあんきょう)」と言います。現代表が13期なので、今年でサークル設立13年目になります。
――改名前の「慶應義塾大学東方研究会 秘封倶楽部」が、いまの大学東方サークルにおける先駆け的な存在でもあっただけに、非常に長い活動年数ですね。現在の部員数は何人くらいでしょうか?
東方慶庵郷:
約30人ほど所属していますが、そのうち「正会員」と呼ばれる学部生は概ね10人程度です。少し説明が長くなってしまいますが、当サークルは「正会員」以外にも、通信学部生や9期をはじめとする院生世代は「準会員」、卒業後のOBは「特別会員」という形で構成されています。数は非常に少ないですが、教授や教員もメンバーに含まれています。
――ということは、所属している年代は相当幅広いのでは?
東方慶庵郷:
そうですね。一番下は学部1年生、現役の一番上は博士課程の3年生が所属しています。他のサークルと比べて年齢層が厚いのが、当サークルの特徴です。
――非常に組織立って活動されていて驚きです。年齢差があると、上下関係が生まれることも少なくないかと思いますが、そのあたりはどうでしょうか?
東方慶庵郷:
いわゆる「長老」と呼ばれるOBがたくさんいますが、慶應大学の学風もあって上下関係は特にないです。逆にこちらが困ったことがあるとOBの人たちがすぐに手を差し出してくれるので、三田会【※】のようなとても心強い存在です。
【※】三田会と呼ばれる、慶應義塾大学卒業生の同窓会組織。
――まさに小さな三田会のようなネットワークですね。先輩たちとはよく遊んだりするのでしょうか?
東方慶庵郷:
院生の先輩の家に行くことはありますね。特に「妖々夢芸人」と呼ばれている先輩が、妖々夢のPhantasmクリアプレイを見せつけてくることがあります(笑)
――そういう愉快な先輩たちがいると楽しいですよね。さて、普段の活動はキャンパス内ではなく地区センターなのは、一体どういった理由からでしょうか?
東方慶庵郷:
非公認学生団体として活動しているので、学内の教室を借りることができないというのが一番の理由です。サークルによっては、空き教室を勝手に使っているケースもあるかと思いますが、うちの大学はその辺りが厳しく、見つかると思いっきり叱られます(笑)
――なるほど、そういった理由でキャンパス外で活動しているのですね。ちなみに三田キャンパス付近ではなく日吉キャンパス付近なのは、なぜですか?
東方慶庵郷:
三田キャンパスには4学部の3~4年生が通いますが、日吉キャンパスには7学部の1~2年生が通うので、結果的にこの付近に落ち着きました。日吉でしたら、隣の矢上キャンパスに通う理工学部生も来ることができますし、学園都市なだけあって一通りお店も揃ってますしね。
――なるほど、そういった意味でも日吉が最も適していたんですね。
東方慶庵郷:
仰る通りです。ただ、それゆえにデメリットもありまして、大体のものが日吉で全て完結してしまうせいで、つい内輪に寄ってしまいがちで、他大学の東方サークルとの交流も希薄になりがちですね(苦笑)
東方祀爭録シリーズを全て所有する、恐らく唯一の大学東方サークル
――メインは公民館を借りての活動が多いかと思いますが、普段どのような活動をされているのでしょうか?
東方慶庵郷:
東方の原作をプレイしたり、同じノートPCでダンカグをプレイしたり、買ってきた同人誌を読んだり、時々お絵描きをすることもありますが、一番はやはり東方祀爭録【※】ですね。先代から代々引き継がれているので、現在絶版状態になってしまっている祀爭録シリーズを6作品、全てコンプリートしています。恐らく、大学東方サークル内でも唯一だと勝手に思っています。
【※】「東方祀爭録」とは「ドミニオン」というカードゲームと、東方Projectのキャラやモチーフとを組み合わせた、デッキ構築型カードゲーム。詳しくはコチラ
――確かに、東方祀爭録を全コンプしている大学東方サークルは初めて見ました。他にも、こういったカードゲームを多数所有しているのでしょうか?
東方慶庵郷:
いえ、サークルとして代々引き継ぎながら所有しているのはこの東方祀爭録くらいで、それ以外のカードゲームもあるにはありますが、基本的には各個人の所有物のため、数としてはそう多くありません。非公認サークルで部室やロッカーといったものがないので、代表含め部員が自宅で預かることができる範囲が限られている以上、仕方がない部分でもあります。
――数が多いと管理するのも一苦労ですものね。ちなみに課外活動のようなものはあるのでしょうか?
東方慶庵郷:
1~2ヶ月に1回くらいの頻度で、休日活動でカラオケやゲーセン、ダーツなどで遊んだりします。とは言っても、これらの大半は日吉エリアになっちゃうんですけれど(笑) 一応、日帰りで日光や諏訪へ旅行しに出かけたことはありますし、今年はZUNさんの故郷でもある信州へ行く予定です。
――聖地巡礼もされるのですね。イベント参加はされているのでしょうか?
東方慶庵郷:
はい、例大祭にはサークル参加して部誌を頒布しています。ただ、部員全員が強制参加ではなく、創作に興味がある部員のみが参加する形を採っています。あとは三田祭と呼ばれる、慶應義塾大学の学祭にも毎年参加しています。
▲歴代の東方慶庵郷の部誌
――学祭ではどのような出し物をされているのでしょうか?
東方慶庵郷:
「東方喫茶」と称して、東方の原作をプレイできる試遊コーナーや、自由に絵を描くことができるスケブなどを用意しました。
三田祭準備完了!
4日間よろしくお願いします!!! pic.twitter.com/6o5PNB64WF— 東方慶庵郷@例大祭さ47b (@Keio_k_an) November 19, 2022
▲東方喫茶時に使用したスケブ。当時の様子を窺い知れる貴重な資料だ
――反響はどうでしたか?
東方慶庵郷:
当時は3年ぶりの三田祭復活ということで、予想以上に多くの人達が遊びに来てくれたのが印象的でした。他大学の大学東方サークルも遊びに来てくれたのも嬉しかったですね。
――今後こういったことをしてみたい、といった展望はありますか?
東方慶庵郷:
日程の調整や場所の調整をすると決まって日吉に固まりがちなので、今後は別の企画などを打ち出していきたいと考えています。
――最後に一言あれば、宜しくお願いいたします。
東方慶庵郷:
慶應大生であればどなたでも歓迎いたします。入会希望、交流希望、質問などありましたら東方慶庵郷のXまでお気軽にDMを送ってください。お待ちしています!
インタビューを終えて
サークル基本情報
サークル名:東方慶庵郷(大学非公認サークル)
代表(※インタビュー当時):セイ
サークルX:@Keio_k_an
新歓用X:@Keio_k_an_2023
主な活動場所:慶應義塾大学 日吉キャンパス付近
その他:
・自称東方祀爭録シリーズをすべてコンプリートしている唯一の大学東方サークル
【連載】全国の大学東方サークルに話を聞いてみました! 慶應義塾大学の東方サークル「東方慶庵郷」にインタビュー! おわり