東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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「“待たせたな、石鹸屋だ!”――予定にないアンコール、神主喜ばすアルコール。感情揺さぶる石鹸屋が2日間のフィナーレに捧げたもの【12】」超東方LIVEステージ2022 石鹸屋 ライブレポート

超東方LIVEステージ2022 石鹸屋 ライブレポート

 超ボリュームで東方愛を濃縮しまくった、この奇跡の2日間。

 超東方LIVEスタージの大トリは…………?

「待たせたな石鹸屋だ!!!!!」

 そう、待ちに待った石鹸屋だ!

 メンバー入場のBGMが鳴ってから、それからの記憶があまりに眩しく楽しくて、本当に一瞬だった!

 そんな僕らにいきなり襲いかかったのは「さっきゅんライト」のイントロ。出音の一発目で、会場のヴォルテージが爆上がりする。

 

“瀟洒!瀟洒!瀟洒!瀟洒!”

 

 フロアのみんなは、発声ができないはずなのに。

 この曲の掛け声が熱気の中に聞こえてくる!

 

文:チケ蔵・西河紅葉
撮影:るぅく

フロアにトドメを刺す必殺のセットリスト――待たせたな、石鹸屋だ!!

 Gt.&Vo.秀三氏は、美しく音の波を乗りこなしながらファンを魅了する。

 Gt.小林ヒロト氏の仁王立ちでかき鳴らすサウンドは実に頼もしく、しかしながらときおり見せてくれる笑顔の爽やかさがたまらない。

 Ba.内山博登氏はイカつい顔でぐわんぐわんと頭を振りつつ、誰よりも楽しそうにベースを弾き鳴らしている。

 そして、Dr.hellnian氏は力強く、命を削るようにドラムを叩く。今日という一瞬を観客の心に刻むように。

 ……そう、これが石鹸屋だ。

 あ、ここで余談なんだけど、ちょっと秀三氏がえっちな話して良い? とにかくえっちなのよ。ライブ前のMCで、ZUNさんも伴さんも是空さんも秀三氏の脚のライン話ししてたし。変態女装仮面といじられていたし、いやこれ褒め言葉ですよね。

 今回の衣装は赤いショート丈のタイトニットワンピース。秀三氏のすらっとしたボディーにムチっとフィットしたボディラインがとてもえっち。えっちすぎる!

 本人曰く「東方も若いファンが増えたので、早々に性癖を破壊していこうと思って。みんなあさっての方向に進んで欲しい」とのこと。あと、この衣装は「乳首がかゆい」らしい。

 ……MCを越えて二曲目は「ミシャグジ・エンパイア」!

 いやもう、ここからの怒涛の畳み掛けがすさまじいのだ。ああもう、本当にゴライアス気持ちいい!

 フロア全員がマジ洩矢っ子になった。毎回洩矢っ子になってる気がする。いやー、洩矢っ子には何度なってもいいですからね。

 超楽しくなってしまったあとの、「東方妖々夢 ~the maximum moving about~」。

 これもまた鉄板曲。最高やん!我々を一ミリも休ませる気がない!!

 この曲はライブだと、イントロのドラムがいつもより刻みに刻まれて加速していく。これが聞けるのもライブだけの特権、それが狂おしいほど好き!

 バンドメンバーのテンションがさらに高まる。Gt.小林氏とBa.内山氏の2人のヘッドバンキングも最高にCOOLだ。時折、バンドメンバー三人がドラムセットに“喧嘩を売りに行く”のも愛らしい。hellnian氏と一緒にこのステージを全力で楽しんでいる。

 そんなhellnian氏は、最後のアップテンポになるラストのサビ前の畳み掛けでの歯を食いしばっていたのが印象的だった。氏のドラムは、この荒々しさと楽しそうさがいいんだ。首を振るたびに弾ける汗が生きている。

 そのあとに来たのは、「ってゐ!」!

 石鹸屋の破壊力と破天荒さを一番感じる曲。いやいや死んじゃう、こんなセットリスト死んじゃうよ。いっか、全員死んじゃおっか!

 お馴染みのレスポンスはもちろん、ビールを楽しむZUNさんたちのいるゲスト席に向かう。何故かゲスト席にはビートまりお氏やテラ氏の姿も。みんな全力で叫んでいて、本当に楽しそうだ。これができるのもライブならでは。

 一方、フロアだって黙っちゃいない(声は出せないけど)。秀三氏が煽りながら向けるマイクに、口から思わず言葉が溢れそうになる。

 石鹸屋はいつだって、どんなライブが一番楽しいのかをあらためて気づかせてくれる。その姿勢にカッコよさを感じる。痺れる、憧れるのだ。だからみんな石鹸屋が大好きだ。

 「ってゐ!」が終わり、そのまま突入したのは「東方萃夢想 ~saigetu~」。

 灼熱になった川崎の空気を一瞬で張り詰めさせる。

「東方妖々夢 ~the maximum moving about~」→「ってゐ!」→「東方萃夢想 ~saigetu~」

 このコンボよ。イントロを聴いた時ざわりとした、このまま最後までやり切る気だ……この与えられた時間で石鹸屋を全て出し切るという強い決意を感じる!

 やはりこの曲でしめるのか・・・もうこれは死ぬしかない!!!いや死ねる!!!!

 色とりどりのライトがメンバー4人を照らし出す、神々しさも感じるステージ演出があまりに良すぎる。今まで以上にhellnian氏のドラムに力が! 感情が! 強く込められていくのがわかる。

 ギターが響き渡るアウトロの静けさに、息を飲む人、強く手を高く掲げる人、ジッと演者を見つめる人……それぞれがそれぞれにこの曲を噛み締めている瞬間は、感慨深いものがあった。みな、深く深く石鹸屋の世界に沈んでいる。

 この会場に響く力強い一音一音。それが今日という素晴らしい日に、さらに深く深く刻み込まれていった。

 ここでライブが絶頂のまま終わってメンバーが立ち去ろうとする中……アンコールできないの?の声が。

 そして、予定になかったアンコールアクトが始まる! 本当に予定になかったらしい。

 この急遽さ、唐突さこそが「ライブ」ってことなんだよな。そこにスパッと対応できてしまうのも、石鹸屋が今までいくつものステージを踏んできたライブ巧者の中の巧者であるということ。

 そんな予定になかったアンコールに選ばれたのは、「巡るHarvest」。さあ叫べ!

 

 Harvest!Harvest!ライラーララー!!

 突然ながらも選ばれたこの曲は、この場にふさわしい縁起の良い曲だ。

 Harvest!Harvest!ライラーララー!!

 

 秋の豊かな実りを祝うこの歌が、まさに秀三氏がMCで言っていた「昨日から今日のトリの我々までつなぎ、この超東方LIVEステージをそのあとにも続いていくライブにしたい」というメッセージとリンクする。

 Harvest!Harvest!ライラーララー!!

 このライブのその先の、東方Project全体のさらなる大きな実り――これからやってくる豊穣の秋に、そんな秋が訪れて欲しいという石鹸屋からの願いが、胸の奥底にあったんじゃないだろうか。

 

“秋を迎える喜びを 共に分かち合おう”
秋に穂垂れる喜びを あなたに捧げよう

 Harvest!Harvest!ライラーララー!!

 Harvest!Harvest!ライラーララー!!

 Harvest!Harvest!ライラーララー!!

 Harvest!Harvest!ライラーララー!!

 

 そう、これが、これこそが、石鹸屋だ!!!!!

 2日間の大収穫、大豊作の超東方LIVEステージは、こうして大盛況のうちに幕を降ろした。

 生放送終了後のステージMCでビールを飲みながらZUNさんは、「ライブは生きてる。本当にこのライブはよかった。ここに来れた人は、このことを数年後も誇りに思えるんじゃないかな」と述べていた。

 あなた神主に捧げるHarvest。あなた神主が撒いた種は、今こんなに芽吹いて、実って、穂を垂れていますよ。

 

セットリスト

1.さっきゅんライト

2.ミシャグジ・エンパイア

3.東方妖々夢 ~the maximum moving about~

4.ってゐ! ~えいえんてゐVer~

5.東方萃夢想~saigetu~

6.巡るHarvest

「“待たせたな、石鹸屋だ!”――予定にないアンコール、神主喜ばすアルコール。感情揺さぶる石鹸屋が2日間のフィナーレに捧げたもの【12】」超東方LIVEステージ2022 石鹸屋 ライブレポート おわり