東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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「グルーヴはパワーだ!天才集団・東京アクティブNEETsが奏でる爆音ジャズで僕らは“掌の上に”【11】」超東方LIVEステージ2022 東京アクティブNEETs ライブレポート

超東方LIVEステージ2022 東京アクティブNEETs ライブレポート

 結論を先に言っておきたい。

 2日間にわたる『超東方LIVEステージ2022』。そのフィナーレに向け、巧みにオーディエンスのグルーヴ感を高めていく天才集団――それが東京アクティブNEETsという存在なのだ。

 『超東方LIVEステージ2022』も残すところ、あと2サークル。

 もう終わってしまうのか、いやいやまだこれからだ……。会話こそないものの、観客達の雰囲気は二階席からも三者三様であることを感じられた。そんな会場に降り立った、東京アクティブNEETs。

 幽々子様の衣装に身を包んだヒロコマン氏(トランペット)がまず目に入るが……驚きのなか、打ち込まれたシンバルとともに奏でられ始めたのが「童祭 ~ Innocent Treasures」だ。

 そうだ、このイベントはお祭りなんだ!……と会場の誰もが再確認したはず。この時点で我々は、東京アクティブNEETsの掌の上にいたのだ。

 

文:るぅく
撮影:紡

グルーヴはパワーだぜ!

 そこから始まるのは、まさにお祭り状態、怒涛の“爆音”ジャズメドレー。

 もはやNEETsの十八番とも言える「紅星ミゼラブル」(亡き王女の為のセプテットアレンジ)、「U.N.オーエンは彼女なのか?」、そして「幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life」が会場を嵐のように吹き荒れ、そこから「恋色マスタースパーク」の走り抜けていくようなアレンジに移り、フロアのグルーヴ感が否応なしに高まっていくのを感じる。

 フロアの誰しもが身体を動かさずにはいられない。このニート集団、誰にも止められねぇな?と思ったらいつの間にか自分たちも並走していた。

 そう、グルーヴはパワーだぜ!

 マスパときたら次は「少女綺想曲 ~ Dream Battle」、ですよね。

 ここのテナーサックス(山石本氏)とトランペット(ヒロコマン氏)の息がぴっっっったりなのがめちゃくちゃ良かった……と思っていたら原曲のピアノソロを紅維流星氏にぶちこまれ、これをライヴで演奏できる人がいるのか……とこれまた呆然としてしまう。

 そんな驚きさえも置いてけぼりにして、天才集団は観客達を引き連れてひた走っていく。

 「ネイティブフェイス」のアレンジでは、ドラムス(ショボン氏)・パーカッション(あつし氏)が奏でる滝のような音たちに耳を洗われたかと思えば、「偶像に世界を委ねて ~Idoratrize World」アレンジではテナーサックスが主導となり、フロアを一気にエモい方向に持っていく。ここまで来るとオーディエンスは彼らのなすがままだ。

 「クレイジーバックダンサーズ」の原曲の不気味さすら、彼らの手にかかると「なんか、気持ちいい」ものに変わっている。そんなメドレーのラストを飾るのは、「感情の摩天楼 ~ Cosmic Mind」アレンジ。一気にオーディエンスをまさに興奮の摩天楼に導いた、これが爆音ジャズの力か。

 ここでMC、「16曲のうちもう15曲をやってしまいました!」との宣言に、いつの間に15曲を……?と会場から笑いが起こる。他のサークルさんせいぜい5〜6曲ですが!?

 加えて、GWの例大祭で上海アリス幻樂団の隣スペースであることもちゃっかり宣伝しちゃうあたり……このニート集団、あざとい。

 そして超ゲストである、いとうかなこさんが登場!フロアの熱量はさらに高まることに。

 もちろん東京アクティブNEETsとの共演といえば、東方ロストワードMV Project曲「刻の境界」!

 原曲は、「幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life」。

 つまり幽々子様の曲なわけです。だからヒロコマン氏が幽々子様のコスプレをしていたのか……ここにきて一杯食わされました。

 こちらのアレンジ、YouTubeにも上がってるのでぜひ聴いてもらいたいのですが、軽快なラテンジャズをベースとしています。ボス曲といえばシリアスな展開が多いのですが、東京アクティブNEETsの手にかかればこんなにも軽妙になり、なんだか楽しいものになってしまう!

 いとうかなこさんの伸びる歌声と完璧なマリアージュは私たち観客を魅了し、お祭り状態に仕立て上げていく。全曲を奏で終えた時の観客席の一体感、エネルギーはもはや目に見えているレベル。

 東京アクティブNEETsとは、なんという策士だろう。

 演奏が終わり、コメントを求められたZUNさん。

 その興奮冷めやらぬ表情は、原作者ですらこの天才集団の魔の手にかかったということを如実に物語っていた。

 

セットリスト

1.東方爆音ジャズメドレー

2.刻の境界

「グルーヴはパワーだ!天才集団・東京アクティブNEETsが奏でる爆音ジャズで僕らは“掌の上に”【11】」超東方LIVEステージ2022 東京アクティブNEETs ライブレポート おわり