東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

詳しく読む

「観客のペンライトと奏でる、色とりどりの一体感。仮面の下に隠しきれない、幽閉サテライトのライブへの情熱はここに【9】」超東方LIVEステージ2022 幽閉サテライト ライブレポート

超東方LIVEステージ2022 幽閉サテライト ライブレポート

 2日目も中盤に差し掛かる頃、青い照明を纏う中登場したのは幽閉サテライト。まずは誰もが知っている、「色は匂へど散りぬるを」からスタート。

 何度も聴いたあのイントロの中、色とりどりの光の花畑が広がる。

「色は匂へど」と印象的なサビが歌い上げられ、バンド隊の演奏がスタートすると同時にMarcia(Vo.)が「みなさんこんばんは幽閉サテライトです!今日は盛り上がっていきましょう!」と観客を煽っていった。

 

文:涼
撮影:るぅく

久々に有観客でライブできたこと、嬉しく思います

 一番サビ前の「心躍らせるばかり」からの「ばかり」の返しはペンライトで。

 この場面、配信ではMarciaの画から全体の引きの画になったのだが、この引きの画で見えるペンライト、これはお客さんが現地にいないとできない画である。そのあとサビに入った瞬間一瞬だけ抜かれたギターの画と一緒に脳裏に刻み付けられてしまった。

 大サビ前の少しためてからの大ジャンプは、昔からの定石。声が出せない代わりに使うのはペンライトと我々の身体。慣れている定番曲だからこそできる一体感。ライブは浴びるモノでなくては。

 バンド隊はお馴染み、ikuo(Gt.)とキャッツ(Ba.)、そして魔王(Dr.)。

 Marciaもそうだったが、1曲目から盛り上げるぞ!という気持ちと同時に、ライブならではの重厚なギターソロでは、初手曲にも関わらず、ラスト曲定番になりつつあるikuoとMarciaが背中合わせになる画があったことから、幽閉側もライブを楽しんでいるように感じた。

 続く2曲目は、ふんわりとした白い光でMarciaが照らされてから始まる「明日散る運命なら」。

 ライブでしか聴けないイントロが流れると、会場のペンライトが鍵山色(緑)に染まる。バンド隊の演奏スタートと同時に青色の照明に移り変わり、盛り上がる準備はできているかと問いかけているようだった。Marciaが「風にくらり、まわり揺れてる」で手と身体を全体的に揺らして可憐な曲を表現しており、曲の雰囲気に会場が飲み込まれる。

 配信では、大サビ前の「護るつもりが護られていたね」でこぶしを握ってから、ikuoへのスイッチングが見ものであった。大サビで盛り上がってからの、「明日、この恋心は儚く散る」で静かな終わりを告げる。観客たちがペンライトを持った手を伸ばしたままの姿が印象的で、あっという間に2曲が会場中に儚く散った。

 盛り上がった後のMCで、Marciaがご挨拶。配信ライブで何度も「有観客ライブをやりたい!」とよく話していた幽閉サテライト。「久々に有観客でライブできたこと、嬉しく思います。短い時間ですが楽しんでください!」と、このライブに胸を躍らせていることを話していた。

 「続いてこの曲、聴いてください。『孤独月』」告げ、3曲目が始まる。

 舞台はフランの幽閉された部屋のように少し暗く青いが、観客の手にはフランドールの赤い光。真っ赤な絨毯が広がる。最後まで観客の手を左右に振るウェーブが続き、Marciaも答えるように手を振っていた。

 配信ではところどころ、フェードイン・アウトでのスイッチングが行われており、バラード曲特有の激しい曲ではできない切り替えの表現を楽しむことができた。

 曲が終わり、「ありがとうございます」とおもむろに後ろをむき、マイクスタンドを手に取るMarcia。その隣にはファンにはお馴染み、ジャスタウェイ(Marcia所有のギター)。

 もしかして……、という考えが頭をよぎる。『ギター、弾くのか?』と。そんなまだ決まったわけでもない想像をする中、「残すところあと2曲になりました!」と言われる。ここで「えー!」というお決まり文句を発することもできない我々の代わりに反応してくれたのは、ZUNさんだった。

 そんなちょっとしたサプライズがあった中、Marciaはギターを手に取った。先ほどまでのあの考えは杞憂に終わらなかった。

 4曲目「君色サブリミナル」。ストローク専門店だと話していたMarciaはジャスタウェイをじゃかじゃかとかき鳴らす。ikuoとのツインギターは、いつもと違うギターアレンジを奏でる。しかし、この曲は低音だって負けていない。

 Aメロではライブだからこそ直に響く凄まじい低音の嵐、Bメロで観客の盛り上がりと一緒に飛び跳ねるパフォーマンスするキャッツのベース、他の曲と比べて手数が多く激しい魔王のドラム。激しい曲だからこそ、心ゆくまで浴びていきたい。その思いを持った観客たちは、過剰摂取を心ゆくままにできたのではないのだろうか。

 ラストナンバーは、お馴染み「月に叢雲華に風」!

 この曲のサビではペンライトに加えタオルも回っていた。今まさに、フロアは最高潮を超え、限界突破の熱気を帯び、ほかの曲以上の一体感を生み出した。地霊殿EXカラーに染まったペンライトの動きはAメロ、Bメロ、サビとすべて変わっていた。

 1番サビ終わりの「幽閉サテライト最後の曲なんで、最後まで盛り上がっていきましょう!」という煽りで、フロアの空気は最高潮へ。共鳴するように間奏ではキャッツが飛び跳ねる。

 2番からは再びギターが聴こえるようになり、深みが増していく。

 バンドサウンドならでは、何回でも聴きたいギターソロの次は、落ちサビ前のベースの早弾き。度肝をいつも抜かれる。

 タオルとペンライトをたくさん振り回した後は、すんなり終わるわけではない。最後は「みんなまだまだ最後まで盛り上がっていきましょう!」といつものかき回しで飛んでフィニッシュ。最後まで演奏側も観客側も笑顔で楽しんでいた。

「ありがとうございました!幽閉サテライトでした!」

 安定のセトリでフロアを温め直して素顔を隠した集団は去って行った。

 幽閉サテライトは可変していく。何色の曲でも、自分達という跡をつけながら表現することができる。このことを再認知できたライブだった。

 

セットリスト

1.色は匂へど散りぬるを

2.明日散る運命なら

3.孤独月

4.君色サブリミナル

5.月に叢雲華に風

「観客のペンライトと奏でる、色とりどりの一体感。仮面の下に隠しきれない、幽閉サテライトのライブへの情熱はここに【9】」超東方LIVEステージ2022 幽閉サテライト ライブレポート おわり