東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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リポート
2025/04/23

過ぎ去る時間は須臾のごとく、燃えたぎる宴がそこにあった――西日本最大級の東方音楽フェス『BREAK EMOTION』ライブレポート

『BREAK EMOTION 2024』ライブレポート

 皆さんはじめまして。Sariと申します。普段は東方の即売会や、音楽イベントによく行っています。好きな原曲は「永遠の巫女」、最近の曲だと「夢幻能 〜 Taboo Marionette」です。

 さて、今回は東方紅楼夢の前日に開催された大規模な東方クラブイベント「BREAK EMOTION 2024 -Touhou Music Fes.- 」(以下、ぶれえも)に初参加してきました。

 2023年に引き続き2回目の開催となる本イベントですが、今回自分は初参加ということで期待もあり、非常にワクワクしていました。

 そんな現地の様子をクラブイベントに行ったことがない方にもお伝えしやすいように、クラブイベント自体についても触れつつレポートしていきたいと思います。

文/Sari
写真/由太(ゆうた)
編集/土露団子・西河紅葉

 

東方のクラブイベントって?

 まず初めにクラブイベントについて一言で表すと、とにかく「参加者が自由に音を楽しめる場所」だということです。

 基本的にクラブイベントは、バンドなどのライブにくらべて開催時間が長いものが多いのですが、実は途中から参加するのも全然OKなイベントなんです。

 もちろんイベントスタートから入場してずっと楽しんでもいいし、休憩したくなった場合はバーカウンター(ドリンクが売っている場所)に向かってもいいし、かかっている曲を肴に他の方々とお話をしてもいい。とにかく自分のペースで音を楽しむことが出来るのがクラブイベントの魅力です。

 さらに、東方アレンジオンリーのクラブイベントでは他にはない魅力があります。それは「知らないアレンジだけど知ってる(原曲の)メロディーが流れている」ということです。なので、知らない曲でも盛り上がりのポイントがわかったりして、東方が好きであれば好きであるほど楽しめます。

 自分の好きな曲や好きな原曲のアレンジが、音響環境が最高の場所で大音量で流れてくるところを想像してみてください。間違いなくアガりますし、皆その快感を求めてクラブに来ているといっても過言ではないです。

 また、単にクラブ、と聞くと電子音楽や4つ打ちの音楽ばかりが流れていると思うかもしれませんが、東方のクラブはもっと自由です。

 たとえばロックやメタルばかりが流れるイベントがあったり、ユーロビートに合わせて皆で振り付けを踊ったりするイベントなどがあります。

 東方アレンジ自体が長年続いている二次創作ということもあり、音楽ジャンルも豊富です。だからこそ特定のジャンルを流したいDJさんや、特定のジャンルのイベントを開催したいと思う方も多いのだと思います。

 東方クラブイベントの概要や楽しみ方についてもっと詳しく知りたい方は、ぶれえもの主催の一人であるTracyさんが書いているこちらの記事を是非チェックみてください。現在、全国で行われている東方クラブイベントもいくつか紹介しています。

東方クラブイベントのあそびかた ~新しい音、仲間との出会いの場所~

東方クラブイベントはこわくない

 

終始熱かった現地の様子

 今回の「ぶれえも」の会場は、3Fが「ライブフロア」、5Fが「ラウンジフロア」と二つの場所に分かれています。ライブフロアでは、音楽サークルによるライブやパフォーマンス中心、一方、ラウンジフロアではDJ陣によるDJプレイを中心に同時並行で行われていました。

 まずライブフロアの様子から語っていきましょう。

 ライブフロアは、なんとイベント開始1時間もしないうちに、人で埋め尽くされていました。EastNewSoundのライブが始まった頃には、フロアの熱気は最高潮。もちろん時間によって人の移り変わりはあったものの、終始人だかりが出来ていました。

▲EastNewSound

 なんせ合計16サークルによる7時間半のぶっ続けのLIVEとDJパフォーマンスがこれから行われるわけですから、参加する人もかなり気合が入っている様子。

 私が感動したのは、様々な世代の東方音楽サークルが同じ舞台に立っているということです。

 さまざまな世代のサークルが同じイベントでパフォーマンスを行う機会って、最近ではなかなかありません。

 世代間を超えたオールスターな舞台は、見ている参加者も当然ワクワクしますし、出演する側も「憧れの方と同じ舞台に立つ」という夢が叶えられるわけですから、感無量ですよね。

 そんな舞台上で緊張しつつも、「自分のサークルが一番盛り上げてやろう」「自分たちのアレンジでオーディエンスを惹きつけてやろう」とする、若手サークルたちの熱意をダイレクトに感じました。

 個人的に印象深かったのが、今回初参加となる若手HIPHOPアレンジサークル「UNKNOWN BEATS」のライブです。

▲UNKNOWN BEATS

 HIPHOPアレンジ自体が珍しいこともあってか、最初は「どう盛り上がればいいんだろう……?」と思っていた観客達も、徐々に彼らの演技や世界観に魅了され、そしてその熱意に酔いしれ、初見のサークルだったとしても最後には虜になってた方も多く見受けられました。

 他にも、魅力的なHands upアレンジで会場のボルテージを一気にぶち上げてくれた「jealouSPECT」 や唯一無二のライブとDJの混合型パフォーマンスでライブ好きもクラブ好きも盛り上げていた「Dimension’s Gate & しゃむ’z PatchWorks」、多彩なアレンジを快速で繋ぎ、終始カッコいいDJを見せた「極SPEED’z」、電波とハードコアのマシマシで余りあるほどの「個性」を見せつけた「Dドライブ」など、ここでは書き足りないほど各々のサークルが東方アレンジを通して、思い思いに自分のやりたいことを表現している様子が伝わってきました。

 往年のベテランサークルから、結成して一年程のルーキーまで、全力でパフォーマンスに興じている、この光景そのものが素晴らしい。まさしく「ぶれえも」のライブフロアでしか味わえない貴重な体験でした。

▲荒御霊

 続いてラウンジフロアについてです。

 ラウンジフロアではDJブースと野外の屋上が繋がっていて、通気性も高く居心地の良い空間になっています。近くにはプールもあったりして、非常に涼しげな環境でした。天気も晴れていたためか、すごく居心地がよかったです。

▲会場内の階段
▲バーカウンター

 DJブースのすぐ近くにはバーカウンターがあり、すぐに飲み物を手に取れるのが地味にありがたかったですね。

 そこにいた参加者は、お酒を飲みながら談笑してる人やDJプレイを楽しむ人など、とにかく自由な空間が広がっていました。

 コスプレしている方々も多くいらっしゃったので、東方のイベントの雰囲気をより強く感じることが出来ました。やっぱりコスプレの方々がいるだけでかなりイベントが映えますね。

 また、各サークルのCD物販も沢山用意されており、流れてきたアレンジで「この曲良いな!」と思ったものがあれば、すぐに円盤を入手することもできました。

▲CD物販の様子
▲気軽に交流をすることができる

 もちろんこちらも熱くオーディエンスを沸かせているDJさんも沢山おられました。

 例えばガネメさんのDJパートでは、自サークルのアレンジだけではなく、他サークルさんの東方アレンジも織り交ぜたハイスピードなアレンジの演目が展開されていました。

 YaGさんのターンでは、稗田阿求のコスプレをしながら旧作曲(幺樂団の歴史)をメインに繋いでいくなど、ナラティブを感じさせるようなDJプレイも見られました。

 とにかく演者さんとの距離感が近く、演者もオーディエンスも各々自由に楽しんだり盛り上がったりしている様子は、まさしく「東方勢のオフ会」のような空気感でした。

 

▲沸き立つフロア

 私自身このイベントで初めてお会いする方も多くいたのですが、少しお話を交えてすぐに打ち解けることが出来ました。好きな音楽が流れてきたら踊り出す人がいたり、皆でメロディーを口ずさんだりと、一体感を感じることも沢山出来ましたね。

 また、流れてきた曲に対して「この曲いいよね!大好き!」と共感する機会があったり、またその曲に関連した東方キャラの話や原作の話で花を咲かすことができました。

 好きな原曲のメロディーが来た瞬間に盛り上がったり、東方関連の話で盛り上がったりして、皆「東方」が好きな人達ばかりがここに集っているのだと何度も感じました。

 ライブフロアとラウンジフロア、どちらにも良い点があり、どちらがお気に入りかは人によって分かれるかもしれません。

 これら二つの空間を自由に移動し、楽しむことが出来るのは大規模クラブイベントの醍醐味ですね。

 

須臾のごとく終わった宴

 昼から夜にかけての長時間のイベントでしたが、本当にあっという間でした。ライブフロア、ラウンジフロアという全く異なる雰囲気の場所を自由気ままに行き来できることで最後まで飽きることなく楽しめました。

 皆が自分のやりたいことを表現し、演じ、創り上げ、自由に楽しむ場所。

 そう考えると、ここはもはや紅楼夢の前夜祭であり、即売会の0日目といっても差し支えないのかもしれません。

 東方アレンジが好きな方は勿論、「東方」を通してのコミュニティや仲間を求めている方には非常にオススメのイベントです。

「東方」というあらゆる者たちを受け入れてくれる環境と「クラブイベント」という非日常で自由な空間、それらがうまく調和し、演者も参加者も皆が記憶に残る程盛り上がれるイベント「BREAK EMOTION」、時間も忘れ去るほど初めから最後までずっと楽しいイベントでした。

▲ライブ中の様子
▲記念撮影

 

フォトレポ

▲荒御霊
▲EastNewSound
▲CrazyBeats
▲CrazyBeats
▲Dドライブ
▲Dドライブ
▲給食頭蛮
▲給食頭蛮
▲Dimension’s Gate + しゃむ’z Patch Works
▲Dimension’s Gate + しゃむ’z Patch Works
▲Dimension’s Gate + しゃむ’z Patch Works
▲極SPEED’z
▲極SPEED’z
▲UNKNOWN BEATS
▲IOSYS
▲Myui Playing
▲jealouSPECT
▲jealouSPECT
▲Amateras Records
▲Amateras Records
▲Amateras Records
▲Rolling Contact
▲Rolling Contact
▲ZYTOKINE
▲ZYTOKINE
▲Alstroemeria Records
▲Alstroemeria Records

 

2025年5月4日(日)、東方音楽フェス「TOHO DANCE NATION -2025-」復活!!

https://amateras-records.net/tdn/

東方ダンスミュージックシーンを牽引する音楽フェスが2025年、堂々復活!!
twitterハッシュタグ : #toho_dn

メインフロアでは総勢14サークルによる渾身のDJ/ライブセットを披露!
ラウンジフロアは全国の東方クラブイベントを活躍中の10名のDJが集結!

幻想の宴、重厚なる音楽の前夜祭が今、ここに—。

◯開催日時 : 2025年5月4日(日) 12:30開場 / 13:00開演 (20時終演予定)

◯会場 : CIRCUS TOKYO (JR渋谷駅新南口徒歩3分)
https://circus-tokyo.jp/

◯入場料 : 3,000円(別途1ドリンク)

◯主催 : Amateras Records

◯協力 : BREAK EMOTION/湯巡り幻想郷/幻想楽宴祭/nagomix渋谷

◯イラスト : ぎヴちょこ (難民ふぇすてぃばる)

○出演者
・メインフロア出演サークル
Alstroemeria Records
Amateras Records
DiGiTAL WiNG
Dimension’s Gate
Dドライブ
EastNewSound
IOSYS
Myui Playing
Rolling Contact
ZYTOKINE
音召缶
給食頭蛮
極SPEED’z
魂音泉

・ラウンジフロア出演DJ
壱崎影喜(東方柳都麦酒)
ガネメ
GOM-TAO (jealouSPECT)
NIX (Enforce Records)
haLRu (ex-音盤夜行)
HIRO (東方萃楽宴)
Mi-Yan (STEP!)
YaG (東方わぁい!)
ルピナスシスターズ[sai.ko +りんご]

 

過ぎ去る時間は須臾のごとく、燃えたぎる宴がそこにあった――西日本最大級の東方音楽フェス『BREAK EMOTION』ライブレポート おわり