東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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リポート
2021/05/11

午後からの入場でも例大祭は楽しかった!英語圏ファンによる第十八回博麗神社例大祭レポート

第十八回博麗神社例大祭イベントレポート

 3月21日に静岡ツインメッセで開催された第十八回博麗神社例大祭。
 昨年見送りになった例大祭の1年越しの開催、また、ZUN氏の『東方虹龍洞』体験版頒布もあり、多くの来場者で賑わいを見せました。段階入場方式の採用など、感染症対策も講じた中での大規模即売会の無事開催ということもあり、今後の同人誌即売会への展望が見える結果ともなりました。

 そんな博麗神社例大祭のレポートが、英語版東方我楽多叢誌チームのHosizoraさんより届きました。日本留学者の彼から見た日本の即売会の様子、その熱意あるレポートをお届けします。

午後からの入場でも例大祭は楽しかった!

※本記事は英語版東方我楽多叢誌の日本語翻訳記事となります。翻訳に際しては、原文の文意を可能な限り残した上で編集を行っております。

 3月21日、第十八回博麗神社例大祭が行われました。開催地は2008年から使われている東京ビッグサイトではなく、静岡のツインメッセでした。

 本来、第十七回博麗神社例大祭が2020年に静岡で行われる予定でした。その際、東京オリンピックの影響でコミックマーケット98が8月ではなく5月に行われる予定だったため、ふたつのイベントが重ならないように例大祭の開催地と開催日が変更されました。

 しかし、昨年はどちらのイベントも中止となってしまいました。そうして、今年は例大祭が改めて静岡で開催されることとなりました。

 今までは東京都内での開催だった例大祭が静岡での開催となったため、東京都民の私にとってはいろいろと考える必要がありました。たとえば交通手段や宿泊についてです。それらについて考えあぐねていたこともあり、イベントの準備で思った通りにいかないこともありました。しかしながら、そうしたことも含めてのガイドを書くことができました。それでは、始めましょう!

 まず、感染症下の中で行われた博麗神社例大祭の規模について触れます。例年に比べてひとつ違うところは参加者の人数です。
 今年は1013のサークルが参加していました。これは2019年の例大祭より3倍ほど少ない数字です。ほぼ第五回博麗神社例大祭と同数程度のサークル数ですね。地霊殿と緋想天のちょうど前のころです。

 続いて、密を避けるために時間帯別の入場方式が採用されていたことです。
 これは、5ヶ月前の第七回秋季例大祭とも違う入場システムでした。秋季例大祭のときは、一般参加者は入場時間によって前後のグループに分けられ、さらに集合時間によって分けられていました。前半に入場したグループが帰り、後半のグループが入場するシステムで、全グループの会場内に滞在できる時間はほぼ同じでした。
 しかし、今回のチケットは入場時間によって4つのグループに分けられ、さらに別々の集合時間に分けられていました。しかし、入れ替え制ではなかったため、グループによって会場内に滞在時間が異なったのです。

 もちろん、誰もがZUNさんの新作『東方虹龍洞』の体験版を手に入れようとしていたので、入場時間の早いチケットはすぐ完売してしまいました。私はここで乗り遅れてしまい、14時入場のチケットしか手に入れることができませんでした。

 結果として、私は体験版を手にすることはできませんでした。もちろん、ZUNさんの新作を手にするのは嬉しいことです。しかし、その一方で早い時間からイベントの列に並ばずに参加できることは負担が少なく済みました。段階入場方式ですが、どうしても各入場時間の前は混み合っている印象でした。

 リストバンドをもらうために並んだ行列の様子はこのような感じでした。

 大雨でずぶ濡れになりながらいよいよ入場の時間です。閉会まで2時間しかありません。

 兎にも角にも買い物です。静岡での開催、かつ情勢もあってか、新作を出しているサークルは心なしかいつもより少ない印象でした。しかし、森羅万象とCOOL&CREATEによる素敵なアルバムや、幽閉サテライトにIRON ATTACK!といった注目サークルが参加している姿を見ることができました。

 音楽サークルの買い物はまだまだ続きます。壁サークルだけではなく、島中にもすごい曲を出すサークルは多数あります。ゆっくりとホールを見て回るのもいいかと思います。音楽サークルは、イベントへ行く前に新譜情報を調べておくとより時間を節約できますよ。

 日本の即売会に馴染みがない人は知らないかもしれませんが、グッズを出しているサークルも多いです。バッジ、カレンダー、アクリルスタンド、鍵ホルダーなどなど、その種類も豊富です。

 たとえば、私は秘封倶楽部の美しいカレンダーとかっこかわいい旅行用日記を手に入れました。旅行用日記を作ったサークルでは、ほかに木造のコースターなども頒布していました。こうしたグッズの頒布情報を事前に調べるのは難しいので、当日に現地で気に入ったものを見かけたら買うのがおすすめです。

 次は同人誌です。東方世界の魂そのものです(著者の意見です)。同人漫画、小説や画集などは音楽とは別のホールで頒布されていました。それでは、日本語が読める方でしたら、同人誌を見に行ってみてください。スペースの間を歩いて回ったり、サンプルを読んだり、作者の想像力に驚いたりすることには残りわずかの時間を吸い取りますね。

 作者の皆さんはとても友好的で優しくて、質問に答えていただいたり、自分の作った作品について話してくれたりしました。作者の方からは時々目を丸くされて「日本語が読めるんですか」と聞かれます。日本に住んでいる外国人の日常みたいなものですね。

 日本語が読めると知ったら、作者の方は喜んでくれました。やはり、例大祭は人と人の繋がりを作るのに最もいい場所だと思います。今回はサークルの方々とお話しさせていただき、簡単なインタビューを取りました。

 まずは、秘封倶楽部のノートパッドを作ったサークル・Travel-Planning of Takuhisaの話を聞かせていただきました。
 主催のTakuhisaさんは2年前からグッズを作り始めたそうです。去年は木造のコースターを、今年は旅日記を作りました。Takuhisaさんに好きなキャラクターについて聞いたら、現在は庭渡久侘歌の大ファンだと言っていただきました。

 もう一つの出会いは、まさに運命的なものでした。サークル・すずだんごで大好きな妖夢ちゃんの短編小説を買い、その著者の土露団子さんと少し話しました。

 彼曰く、小説を書き始めたのは友達が小説を書いて欲しいと言ってきたからで、2015年6月に初めて書いたそうです。
 そして今回は、その友達かつ一番のファンがサークルスペースにいて、作品の頒布を手伝っていました。「好きなキャラクターは誰ですか?」という質問には、最初の推しは伊吹萃香でしたが、秘封倶楽部のことを知ってからは、あのふたりに心を奪われていったそうです。秘封倶楽部教徒である私もこのふたりをどれくらい愛しているかと話したくてしょうがなかったです。

 その後、土露さんは秘封倶楽部のファンだけではなく、私の母国のロシアの大ファンだということを知りました。感染症が広まる前、毎年ロシアへ旅行していたと言っていました。ロシア語で少し話してお互いの発音を褒め合い、連絡先を交換しました。
 静岡では買い物だけではなく、新しい友達も作ることができました。
ちょっとベタな友情の話で終わりましたが、それもまたいいと思います。

 最後に、今回の例大祭で買ったCDの中で一番のお気に入りが、森羅万象とCOOL&CREATEのコラボアルバム『愛を取り戻せ!! 東方』に収録されている「アイヲカタッテドウジンアイ」という曲です。これはまさに例大祭のことを表している曲だと感じました。同人への愛と、人と人の繋がり。

 それがこのまま変わらないものだと信じたいです。

午後からの入場でも例大祭は楽しかった!英語圏ファンによる第十八回博麗神社例大祭レポート おわり