東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

     東方我楽多叢誌(とうほうがらくたそうし)は、世界有数の「同人」たちがあふれる東方Projectについて発信するメディアです。原作者であるZUNさんをはじめとした、作家たち、作品たち、そしてそれらをとりまく文化の姿そのものを取り上げ、世界に向けて誇らしく発信することで、東方Projectのみならず「同人文化」そのものをさらに刺激する媒体を目指し、創刊いたします。

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コラム
2020/02/18

神社へのフィールドワークから判った、“存在しない偶像” 『神社巡りからみた埴安神』

東方発表会より、発表で使用されたスライドを掲載

 東方の二次創作は同人誌や音楽アレンジだけではありません。
 原作のキャラクターや設定を元に、「考察」を深める、という楽しみ方もあります。
 原作だけではなく、二次創作や東方に纏わる様々な情報を元に、新たな観点や解釈を導き出したりすることもあります。

 「東方発表会」は、東方に関する考察発表、関連する巡礼先の紹介、おすすめ同人作品の紹介、好きなキャラの推薦・詳説、自分自身の東方二次に纏わる創作論まで………
東方にまつわる内容であれば、なんでも発表OKの、東方プレゼンイベントです。

 第7回東方発表会 開催概要 ー https://twipla.jp/events/402279

 

 先日行われた「第7回東方発表会」で発表された内容の幾つかを、登壇者の方に許可を取りまして、東方我楽多叢誌で使用されたスライドを掲載させて頂きます。

 

主催者のあおこめさんより

 「このたびは、このような形で発表を取り上げて頂き、非常に光栄です。2020年1月に実施された第7回東方発表会では、合計11の発表があり、非常に盛り上がりました。掲載される発表はその一部ですが、それを見て会の空気を感じていただければ幸いです。
 東方発表会は毎年1月・7月の開催を予定しています。次回も7月開催で調整中ですので、ご興味ございましたらぜひご参加をご検討ください。」

  あおこめさんのツイッター @blue_comment
  発表会告知用アカウント @cyan_comment

  第7回東方発表会のツイートまとめ ー Togatter 
   https://togetter.com/li/1460405

  
 今回は、こばしゅさんの「神社巡りからみた埴安神」です。

 

 

 

神社巡りからみた埴安神

 

※発表内容は、登壇者自身の調査による研究内容であり、個人の見解になります。さまざま存在する東方の解釈の一つとしてお楽しみください。
 

 

 

 こばしゅと申します。アイコンから分かる通りの文ちゃん勢、花映塚新参です。東方や天狗の巡礼本を出しています。

 

埴安神めぐり

 埴安神袿姫さん。元ネタは名字の通り「埴安神」です。

 

 埴安神は、日本神話上の神です。古事記と日本書紀で違いがあります(名前表記、男神女神か女神のみか、等)。日本各地で祀られています。

 

 そこで、2019年8月の袿姫さん登場以降、各地の神社を巡りました。最初に巡った神社は夏コミ東方デーの4日後でした。

 

 ここまでにこれだけ巡った中で気づいたことや特徴をご紹介するのが今回のプレゼンです。

 

埴安神の特徴ー祀られ方と名前がバラバラ

 特徴その1です。単独で祀られている神社、他の神と祀られている神社があります。

 

 単独で祀られている組、例えば灰寶神社(愛知・豊田)は、土器の生産が活発だった土地、土生田神社(新潟・田上)は瓦の生産が活発だった土地です。

 

 特徴その2です。古事記と日本書紀で表記が違うので、こうなりますね。

 

 ネーミングについて。ZUNさんの命名が「埴安姫xx」という形でないことは、このページをまとめていて気が付きました。

 

埴安神の特徴ー埴安神ベルトと存在しない偶像

 特徴その3、特殊性ある点です。
 「埴安神社」だけでなく「地禄神社」も、埴安神を祀っていました。これらの神社を地下鉄とシェアサイクルを駆使して5時間ほどで巡ってきましたが、この地図の中に更に4~5社あります。

 

 更に「田神社」を加えるとこれだけの数となり、ベルト状になっていました。この件についての論文を見つけました。

 

 論文の要約になります。埴安神信仰分布や甕棺分布はこのページに書いてあるリンク先の論文に載っています。この論文は検索でもヒットできます。

論文リンクー「北部九州の宗像神と関連神を祭る神社の解析 ―宗像神信仰の研究 (2)― 」
https://munahaku.jp/wp-content/themes/munahaku/img/kiyou/vol08b/pdf/2016_kiyo_no2_01.pdf

 

 特徴その4です。
 隠岐奈さんには摩多羅神図があり、神奈子さんには、注連縄や御柱という分かりやすいものがあります。そういうものが無いところからの袿姫さんのデザイン、凄い。

 

 まとめのページです。引き続き埴安神神社巡りを続けます。このうち滋賀の神社は既に先日参拝しています。

 

 

※発表内容は、登壇者自身の調査による研究内容であり、個人の見解になります。さまざま存在する東方の解釈の一つとしてお楽しみください。

神社へのフィールドワークから判った、“存在しない偶像” 『神社巡りからみた埴安神』 おわり