リポート
2020/10/23

「“非日常”を取り戻せ!!」東方Projectアレンジ配信ライブ『Grazy Crazy!!』ライブレポート ―― 後半戦

『Grazy Crazy!!』ライブレポート ―― 後半戦

 7月4日に無観客生放送ライブ配信という形で開催された『FloweringNight 2020』。その興奮冷めやらぬ間に、この配信ライブは開催された。

 『Grazy Crazy!!』。7月23日に開催された、東方Projectアレンジサークルによる配信ライブだ。

 現地のライブに行きたい。行きたい。行きたい。ずっとないものねだりをしていた。配信ライブなんて……そう思っていた。けれど、いざ観てみると、体がこの音と世界を欲していたと痛感した。サビとともに広がる照明、ヴォーカルの息遣い、視聴者のコメント……画面の向こう側の世界だとしても、CD音源だけでは感じられない“熱”が確かにそこにあったのだ。

 主催はフラワリでお馴染み、石鹸屋のドラマー・hellnian。東方アレンジフリークスならみんな知ってるであろう大規模ライブから、矢継ぎ早に開催されたライブに心が躍った。楽しみなライブがあるって、なんて幸せなことなんだろう。

<『Grazy Crazy!!』ライブレポート ―― 前半戦はコチラ>

 

画面越しにも伝播する熱と圧。インターネットを通じてあなたの食卓へ ―― 味玉定食

 三番手の味玉定食。激しいロックサウンドとは裏腹に渋いヴォーカルと切ない歌詞に深い味わいがある。

 初手は「re-birth」(魔法少女達の百年祭)。フランドールが姉への想いを綴るロックナンバーだ。何も飾らない、真っ直ぐな音色にコメント欄も「きた!」と沸き立つ。

「瞳に映る どこまでも紅」

 紅く絞られた照明の下、このフレーズはずるい。いつの間にかグッと手を握り締めてドリンクを飲むのも忘れていた。

 激しい音の濁流に気圧されていたら「圧」「パワー」などのコメントが流れてきて思わず笑ってしまった。そう、私たちはひとりで聴いてるんじゃないんだ。みんなと一緒にこの世界に参加してるんだ。

 熱を帯びてきたころに2曲目、「無意味無意識」(ハルトマンの妖怪少女)。

 サビ前特有の焦らしパートに合わせて左右に切り替えられる視点、サビとともに入る照明と正面のカットイン。曲調に合わせたカメラワークに痺れた。配信ならではの演出だ。

「心を 繋ぎたい 繋ぎたい 繋いで」

 ラストの叫びも相変わらずパワフルで、画面越しだというのにフレーズの一つひとつに言霊が宿っていた。ロックだぜ。

 そして3曲目「Sinking Minamitsu Girl」(幽霊客船の時空を越えた旅)は夏を思わせる選曲。軽快なギターリフに力強くも流麗なサビがフロアの熱気を逃がさない。おかしい。配信のはずなのにこっちも熱くなってきた。

 間髪入れずに「風の道」(春色小径 ~ Colorful Path)で、一気にテンポアップ。終始明るく騒がしいメロディに自然と体が揺れてしまう。去年の例大祭に出た新曲だったので聴けるとは思っていなかった。驚きとともに画面に食いついてしまう。刹那主義と諸行無常の香りが漂うこの曲を聴いていると時の流れが実感できる。東方アレンジのライブシーンは今この瞬間も変化し、進み続けているんだ。

 続くは「いふ」(夜空のユーフォーロマンス)。封獣ぬえ視点で緩急のあるアレンジだ。静かなイントロからどんどんテンポアップしていく構成に息をつく暇も与えられない。

「正体不明が夜を叫ぶ 忘れるなかれと」

「空高く舞い上がり 赤と青が混ざった」

 激しい赤青の光線に鳴り響くギター、大サビにはただただ圧倒された。

 「月が見た千年の追憶」(千年幻想郷 ~ History of the Moon)では視聴者の語彙が消失。怒涛のラブコールにこの曲の愛され具合が分かる。

「渋谷REXからインターネットを通じてあなたの食卓へ」 「味玉定食です」

 Vo.味付け玉子のMC。これぞライブの醍醐味。視聴していた私の食卓(部屋)にもしかと届いた。この「月が見た千年の追憶」は『Grazy Crazy!!』でしか視聴できないこの場限りのものだ。CD音源だけでは感じられない、また別の魅力がある。

 気付けば、自分の部屋がライブハウスになっていた。見慣れた世界から別世界に飛ばされたような気さえする。そんな魔力がこの配信にはあった。

 そして追い打ちのように「映る月、ガラス玉の中で ~酔月歌」(砕月 / 東方萃夢想)の演奏が始まった。これでもかというほどに哀愁漂うギターの音色が“フロア(部屋)の私たち”の心を鷲掴みにする。前曲から一連の流れにコメントも一気に加速していく。

 ラストはみんな大好きとっておきのバラード……というのは嘘でいつもの「Do you make me feel so bad?」(U.N.オーエンは彼女なのか?)。「re-birth」から始まって同じフランドール視点の曲で終わるのは狙ってやったのだろうか。

 締めに相応しい激しさで最後まで熱いサウンドを届けてくれた彼らは熱狂する視聴者の気持ちを持っていったまま颯爽とステージをあとにした。

セットリスト 味玉定食

1.re-birth
2.無意味無意識
3.Sinking Minamitsu Girl
4.風の道
5.いふ
6.月が見た千年の追憶
7.映る月、ガラス玉の中で ~酔月歌
8.Do you make me feel so bad?

 

変幻自在!フロアを支配するライブアクト。非日常へ招待します ―― 少女理論観測所

 トリは少女理論観測所。いつもの後光を載せたVo.咲子が「Kara‐kasa goes on」(万年置き傘にご注意を)でフロアを熱くする。

 一度聴いたらクセになる独特のギターにハイテンポの歌声が一気に場の雰囲気を変えた。待ってましたとばかりにしょじょろんファンもコメント欄でアップを始める。お馴染み緑のサイリウムを準備していた人もいたようだ(私も含めて)。

 そのまま2曲目「月華流麗」(竹取飛翔 ~ Lunatic Princess)。すさまじい速さで明滅するカラフルな照明と飛び跳ねるバンドメンバーたちにつられて体が動いてしまった。速い。とにかく速い。動画を観てるだけなのに良い意味で疲れる。

「みんなを非日常に招待したい」
「冷静に観るな!!」

 MCタイム中に出たテラの至言。前3バンドを視聴してきたので言わんとしていることが良くわかった。視聴者も感じていたはずだ。退屈だった日常が『Grazy Crazy!!』によって非日常に塗り替えられたことを

 「お酒を飲むでもいい。部屋を暗くするでもいい。何か一歩踏み出すだけでみんなの部屋が非日常になる」と続けるテラに「乾杯!」とコメントも呼応する。あっという間にフロアがつながった。『Grazy Crazy!!』、東方お馴染みの「グレイズ」に「Crazy」……今宵は東方アレンジに狂え!冷静じゃなくなれ!イベントそのものに訴えかけられているような気さえする。

 続いてVo.うきねにバトンを繋ぎ、3曲目の「神様の言う通り」(信仰は儚き人間の為に)。先ほどとは打って変わり落ち着いた大人の雰囲気を醸し出す歌い出しだ。視聴者たちもお酒を手にこの音楽に酔いしれる。

 再びギアを上げ始め「魔法少女theory」(魔法少女達の百年祭)。崩したギターを載せたリズミカルなメロ、そしてサビに入った途端飛び跳ねるギターのテラ。悠長にドリンクなんか飲んでられない!音を浴びながら首を振っていた。

 そしてほぼノータイムで繋ぐ「黒猫のダンスホール」(死体旅行 ~ Be of good cheer!)。一瞬でVo.咲子に入れ替わりダンサブルなアレンジを繰り出してきた。こうも畳みかけられるとこちらもテンションが上がる。足まで勝手に動いてきた。

Gt.テラの大ジャンプ(4バンド中最高高度?)

 少女理論観測所(愛称:しょじょろん)は変幻自在のバンドだ。激しいロックがきたかと思えばしっとり系のバラード、果てはノリのいいテクノポップ風の音まで出してくる。予測不能のステージに私たちは心地よく振り回されるしかないのだ。

 最後のMCに入るころにはバンドメンバー全員息が上がっていた。フロアのみんな(視聴者)もノリにノッて疲れた様子。「ラスト3曲」、テラが煽る。

「リアタイで観てるみんなついてこれますか!」
「アーカイブで観てるみんなついてこれますか!」
「会場のみんな ついてこれますか!」

 息も絶え絶えのテラ。しかしその煽りには確かな力があった。コメント欄から歓声が上がる。どこからともなくみんなの声が聞こえてきそうな勢いである。

 そして始まる「CRAZY半霊STYLE」(東方妖々夢 ~ Ancient Temple)。あれおっかしいな? どこかの泡立たないバンドで聴いたギターフレーズに観客もこの反応。主催へのリスペクトが感じられるシーンだ。そしてコール&レスポンス。会場は「なーなーなーななーななーなーなー!」の叫びで埋め尽くされた。

 テラの熱い弾き語りからマイクは再びうきねの元へ。歌うはバラード「私の青い薔薇」(フラワリングナイト)。ゆっくりと重みのある歌声と伴奏、そして青い光に埋め尽くされるステージに幻惑される。

 最後の1曲は「AKANESASUOONI」(輝く針の小人族 ~ Little Princess)咲子の手の動きに合わせて「ノシノシ」などの手を振るAAも流れてくる。

 自然と笑みがこぼれて手も動き、「楽しい。終わってほしくない」シンプルにそんな気持ちが湧いてきた。

 ふと見れば、ステージのメンバーもみんな笑顔だった。私たちは紛れもなくライブ参加者でフロアを共有していたのだ。

 「楽しい」「良かった」陳腐な言葉かもしれないけれど、それに尽きる。配信という形になってしまっても私たちを虜にしてやまない世界がそこにはあったんだ。

セットリスト 少女理論観測所

1.Kara‐kasa goes on
2.月華流麗
3.神様の言う通り
4.魔法少女theory
5.黒猫のダンスホール
6.CRAZY半霊STYLE
7.私の青い薔薇
8.AKANESASUOONI

 

『Grazy Crazy!!』出演サークルも参加! 10月24日(土) 17:00開催 配信ライブ『第九次百鬼戦争』

『第九次百鬼戦争』
10月24日(土)
開場17:00/開幕17:30
配信チケット¥2500

出演
モジャン棒
少年ヴィヴィッド
少女理論観測所
Kurage seek room

※イベントの都合上、本番開始前より配信ページの準備があります。
※音飛びや映像の乱れが発生する可能性があるため、安定した通信環境でのご視聴をお願いいたします。
※チケットをご購入の方は、配信終了後も≪10月26日 23:00まで≫アーカイブ(録画)をご視聴いただけます。

 

<チケット販売ページ>
https://ssl.twitcasting.tv/tanakajunjiro/shopcart/27691

 

参加サークルPR
◇モジャン棒 アキバホビー取り扱いページ
https://shop.akbh.jp/collections/vendors?q=%e3%83%a2%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83%b3%e6%a3%92

◇少年ヴィヴィッド アキバホビー取り扱いページ
https://shop.akbh.jp/collections/vendors?q=%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%89

◇少女理論観測所 BOOTH取り扱いページ
https://girlslogic.booth.pm/

◇ Kurage seek room アキバホビー取り扱いページ
https://shop.akbh.jp/collections/vendors?q=Kurage%20seek%20room

「“非日常”を取り戻せ!!」東方Projectアレンジ配信ライブ『Grazy Crazy!!』ライブレポート ―― 後半戦 おわり