リポート
2020/03/20

「君は、東方ロックが好きか?」2019.10.5開催、『TOUHOU ROCK FES』ライブレポート

2019.10.5開催『TOUHOU ROCK FES』ライブレポート

 昨年10月に行われた、東方ライブイベント「TOUHOU ROCK FES」。
 同名のコンピレーション・アルバムの制作がきっかけとなって開催されたこのライブ、実は出演サークルのいくつかが、3/21に「無観客無料ライブ配信」をすることを発表した、東方アレンジライブ「東方NEO POP STANDARD」への出演が決まっています。

この時期にこの場所でしかできない、最高のライブ配信をしたい! 3/21開催”無観客無料ライブ配信”「東方NEO POP STANDARD」

 

 そんな昨年開催された「TOUHOU ROCK FES」のライブレポートを、「東方音楽歴」のえふび~さんにご寄稿頂きました!
 3/21に行われるライブ配信に向けて、気持ちが高めてはいかがでしょうか。

 

 

君は「TOUHOU ROCK FES」を知っているか?

 

 

写真提供:十六夜にゃも

 

 君は「TOUHOU ROCK FES」を知っているか?

 “TOUHOU ROCK FES”とは、サークル「サンライズハイスクール」が中心となって制作された、東方ロックアレンジのコンピレーションアルバムだ。サンライズハイスクール主催、そう氏の「このサークルのフェスが見たい!」という純粋な気持ちに応えた、7つのサークルが集まって生まれたCDだ。

 2018年、秋季例大祭で頒布された際には、ロックファンからの注目と人気の高さで、売り切れてしまったショップもあった程。
 当然、僕もこのCDのことは、告知が出たときから楽しみだった。内容はその期待に恥じないクオリティで、手に入れてしばらくはヘビーローテーションが止まらなかった。

 僕はCDの完成度に満足しつつも、なにか一つ違和感があった。そうだ、ライブがない。2018年、CDの頒布時点では、まだこのコンピレーションに関係したライブの告知は行われていなかった。コイツらの最高のアルバムは聞かせてもらった。でもそれだけでは足りない、コイツらのライブ””みたい。そんな悶々とした思いを抱いていたことを覚えている。

 

 時が経ち、2019年7月9日。待ちに待った告知が発表された。
TOUHOU ROCK FES VOL.2の制作決定、そしてTOUHOU ROCK FESライブイベントの開催決定だ。「1年待ったぞ!」そんな声が各地から聞こえていた。

 

 このライブには、TOUHOU ROCK FES vol.1に参加しているサークル”サンライズハイスクール”,“はにーぽけっと”、”Spoo and Nick”に加えて”Cry Of The Soul”、”Hungry Tiger”の2サークルが参戦。さらに後者の2つはTOUHOU ROCK FES VOL.2への参加が決定しているという。まさにvol.1とvol.2をつなぐようなライブになっている。

 待望のライブ当日、高円寺 Club ROOTS!のフロアが東方ロックアレンジファンで埋められた。翌日には秋季例大祭が控えているがそんなことは意に介さない。今を全力で楽しむという”ロック”な熱気が開演前のフロアに満ちている。開演前に主催からこのライブが撮影・録画OKというアナウンスがあった。ハッシュタグ#トロフェス をつけてぜひみんなで盛り上げてくれと主催が煽ると早速とばかりにその姿を撮ってツイートしてみる。

 

 アナウンスから少しして1番手であるサークルがステージにスタンバイし照明が暗転すると酒盛りする手を止めフロアから盛り上がる声があがる。
 そう、いよいよ始まるのだ。CDじゃない、コンセプトアルバムじゃない、正真正銘の「TOUHOU ROCK FES」が。

 

さあ、東方ライブの時間だ -Spoo and Nick-

 1番手は”Spoo and Nick”。
 下手からba.大畠ゆうき、vo/gt.myu-、dr.Kenji Shimizu、gt.こ〜じ、とセットする。メンバーの衣装は黒を基調としたシックなスタイルに纏まっている。
その中でgt/voのmyu-だけが白いワンピースに身を包んでおりフロントマンであることを際立たせている。

 

 さっそく1曲目「fam」がスタート。キュートでキャッチーなラストリモート/ハルトマンの妖怪少女アレンジに、早速フロア中からクラップが起きた。

 1曲目からクラップが起きる。これが、東方ライブイベントの良さだ。

 5組ものサークルが出演していて、当然みんなのお目当てのサークルもそれぞれ。でも、目の前の音楽が楽しいと感じたら盛り上がる、そしてなにより東方が好きなのだ。だからみんな一体となって盛り上がっている。
 この良さを、速攻で感じさせてくれるフロアになんだか嬉しくなってしまう。

 

 曲が終わると、そのまま続けて「Zest」へ。激しくハードコアに近いような曲調でギアを一気に上げる。ふとフロアを見ると一際楽しんでいるお客さんが。いや違う、このライブの主催だ。

 この後出番も控えていえるはずだが、そんなことは関係ないと言わんばかりに盛り上がっている。お客も演者も区別ない、そんなフロアが形成されていた。

 

 「楽しい。楽しい。どうしましょう」gt/voのmyu-が、ありのままの感情を表現する。「よくわかんないので次の曲いっちゃいましょー」と早速次の曲へ。

 加熱したフロアを落ち着かせるように「Never forget you」のバラード調の英詩曲を歌い切る。これまでの3曲はどれも曲調が異なっていて、”Spoo and Nick”の幅の広さを感じさせるセットだ。

 

 そして、myu-が「みなさん拳を握ってー高く掲げる準備を!」と早速煽ると、「It’s my road 」がスタート、イントロから激しいフィストバンギングがおこる。間奏にはGtがテクニカルなギターソロで会場を魅了した。

 「最後みなさんに祈りをこめて歌いたいと思います」と「Pray」がはじまる。
 重たくエモーショナルな曲調であるラストナンバーをVoは声を枯らして歌う。その姿は本当に祈っているようで、魂の叫びのようなものを僕は感じた。ロックの本懐だ。

 

ハプニングにも勇敢に立ち向かった獣 -Hungry Tiger-

 続いてのサークルは“Hungry Tiger”。Vo.にゃもは寅丸星、Vo.まにたそは火焔猫燐とどちらも獣の姿に身を包む。Hungry Tigerの名に偽りはないようだ。

 早速1曲目の「rewrite」がスタート。虎柄の毘沙門天アレンジのこの曲を寅丸星の姿で世界観ばっちりに歌い上げた。そしてKey.るしゃなによるメドレーが始まる。ボーカルの2人はステージから捌け、るしゃな1人でインスト楽曲を怒涛に演奏し会場を沸かせた。

 曲が終わるとVo.まにたそがステージイン。そして「Starlight Story」が始まる。廃獄ララバイと死体旅行とお燐の原曲のアレンジとなっており、こちらもVo.まにたその姿も相まって世界観を作られている。東方アレンジは曲単体だけでない総合的な世界観もまた魅力の一つだ。Hungry Tigerのステージはそれを僕たちに示してくれた。

写真提供:ろ〜ち@ScreamerZ代表  

 

 そんなHungry Tigerだが、実はVo.ショコラが急病により出演できなくなったハプニングがあった。今回のセットはVo.ショコラを軸に組んでいたそうで一時はHungry Tiger自体の出演をキャンセルするかを検討したそうだ。
 しかし、セットリストを1から作り直しHungry Tigerはこのステージに堂々と立ち、演奏した。不測の事態にも関わらずこの舞台に立つのにどれだけのパワーが必要なのだろうか。Hungry Tigerはそれを成し遂げたのだ。そのステージに懸ける思い、力強さに、僕はただただ圧倒されていた。

 

ハッピーとポップでメロメロに -はにーぽけっと-

 3サークル目は”はにーぽけっと”。東方アレンジとしては8年の活動歴のある彼らだが、そのポップでロックな曲は親しみやすく根強いファンも多い。この会場にも昨年度行われた”meli melo tour”のTシャツを来たファンがあちこちに居る。

 

 「先日のライブにてキーボードがぬけました♪」と衝撃的な開幕アナウンスから、驚く間もなく1曲目「ユメツボミ」。パンキッシュな「一対の神獣」アレンジに、フロアはいきなりテンションとテンポを上げて応える。さらに2019秋季例大祭での新曲である「堕ちていく僕の空」を披露。ロック色の強い曲調で会場をさらに熱くさせた。

 

 キーボードが脱退したらしいはにーぽけっとだが、ステージにはしっかりとキーボードがスタンバイしてある。なんのためだろうと不思議に思っていたがすべてがわかった.「ゲストをお迎えしましょう!スーパーキーボードマシーン!」とVo.あきが呼び込むと黒い覆面姿のスーパーキーボードマシーンと名乗る男がキーボードの位置につく。

 

 あっけにとられる間も無く、「愛に飢えた虎の歌」へ。ここからはキーボードを加えた5人編成だ。熱量を上げてそのまま「デジャヴな悪魔」を蠱惑的に歌うと続いて「水色テレパシー」。最近のはにぽけライブのキラーチューンとなっているこの曲はピアノのテンポがとても気持ちいい。
 はにぽけの曲は、聴いていると、どんどん楽しく、ハッピーになっていく。でも、その感情は決して1つというわけでなくて、はにぽけの曲調のように様々な色がついている。ハッピーにもいろいろな形がある。それを教えてくれるようで、はにーぽけっとが大好きなんだ。

 

 曲が終わり、MCではVo.あきが「はにーぽけっと、次の曲で最後です!」と言うと会場全体で「え~~いま来たばっかり~~!!」と大合唱。これは、はにーぽけっとのライブではおなじみの儀式だ。儀式を済ませたあと12月1日に開催されるワンマンライブの告知をする。キーボードが抜けたとは一体どういうことなのか、あのスーパーキーボードマシーンとは誰だったのか.その答えを知るにはワンマンライブに行くしかなさそうだ。

 「落馬するなよ!高速メリーゴーランド」とラストの曲が始まる。はにぽけを代表するこの曲はライブ定番曲として人気が高い。フロアは息をあわせてクラップ、シンガロング、そしてタオルを回して盛り上がった。

 

クラブ×ロックは最先端の証 -Cry Of The Soul-

 4サークル目はCry Of The Soul。

 Vo.すーさん、DJ.N/Rがライトアップされると客席から歓声があがる。普段はトランスやユーロビートを主戦場としている彼らだが、今日はロックセットを携えての登場だ。

 さっそく1曲目である「法界に響く追想」がスタート。シンセロック調の曲に合わせてフロアの拳が上がる。曲が終わろうとするとDJ.N/Rのミックスによってノンストップで次の曲「UNKNOWN’s Tea Time」へ。クラブミュージックとライブが融合したようなパフォーマンスに自分の体も思わず動く。

写真提供:ろ〜ち@ScreamerZ代表

 

 4年の活動歴を持つ彼らのパフォーマンスは、周りの諸先輩サークルに引けを取らない。
 ライブハウスでは聞き馴染みの無い彼らだが、実は即売会のアフターイベントやクラブパーティーのライブアクトなどに多数出演しており、研鑽を積み続けている。ロックナンバーをノンストップで続けていくこの形も、そんな経験に裏打ちされたものなのであろう。

 「明日頒布される新譜の2曲を演りたいと思います」と「Fall of Soul」をアクト。間奏ではエアギターのパフォーマンスで盛り上げる。そしてDJさながらのミックスによりノンストップで「風のフレーム」。Vo.すーさん、DJ,N/Rがガンガン煽り、会場の熱量を冷まさず曲が連打されていく。ノリの良いロックナンバーに合わせてフロアの腕があがる。最後の曲となる「星々の廻る先へ」では「タオルを、腕を、頭を回せ!!」と叫び会場全体で一体となって回す。

 

 

筋肉でぶちかませ!! -サンライズハイスクール-

 最後のサークルはサンライズハイスクール。

 Drこうちょーが「ライブ後だれも話しかけにきてくれない」と悩みをこぼす。それは白塗りの顔にセーラー服だからではと思うものの、Gtこうきは「君にはね、筋肉が足りないんだよ。」と、コンビニ袋から出てきたのは、ダンベル。

 

 

 そして始まるのは、「お願いマッスル」。メロディに合わせこうちょーはアームカールをし、こうきはポージングをする。あまりにもカオスな導入からVo.そうが「みなさん筋肉は仕上がってますか!」「今日はうちのライブでいっしょにビルドアップしようぜ!」とフロアを煽りライブイン。

 

 1曲目「メリーナイトメア」から「手を回せ!」「足を曲げろ!」と激しくフロアの筋肉をいじめていく。みんなの筋肉をいい感じに温めたところで「YLiA」。間奏ではGt.こうきの肉体美あるソロでキメた。

 曲が終わったあとのMCでは秋季例大祭にて頒布されるサンライズハイスクールも参加しているコンピレーション「ROCKIN’ON TOUHOU VOL.8」の告知が行われる。そして次の曲はそのコンピレーションに収録されている「dead,dead,dance」だ。

 

画像提供:ろ〜ち@ScreamerZ代表

 

 Vo.そうの手振りに合わせてダンスした後はフロア全体で「wow wow wow」とシンガロング。会場のグルーヴが一つになっていく。「陽気な歌の後は体育会系な曲いくよ」と「鬼灯二咲ウ」が休みなくアクトされる。途中歌詞が飛ぶハプニングがあるも会場全体のヘッドバンキングでカバー。やっぱりライブはフロアも一緒に作るものなのだ。重たいギターリフが特徴のサビでVo.そうが「かかってこい!!」と煽ると会場は今日一番の折りたたみで応戦。

 曲後のMCでは来場した人、出演したサークル、さらに急病により出演ができなかったHungry TigerのVo.ショコラに向けて「本当にありがとうございます」と礼をする。そして「今日は僕が好きなサークルだけを集めました。フロアで1番楽しんでたのは俺だから!」と今日のライブに対しての嬉しさを爆発させた。さらにVol2の春に向けての制作とVol2に合わせたライブの意欲を示すとフロアは待ち望むように盛り上がった。

 

 最後に、サンライズハイスクールが「東方NEO POP STANDARD」に出演することが発表された。さらに、Hungry Tigerとはにーぽけっとも、このライブに出演することを明かしていく。700人規模のライブハウスで行われるこのライブは間違いなく、サンライズハイスクールだけでなく、TOUHOU ROCK FESにとっても大きなステップになると感じたのは僕だけだろうか。

 

 「最後の曲はフェスらしくみんなで踊ろうじゃないか!」と「SUMMER GAME 」が始まる。Vo.そうが、ジュリ扇でフロアを煽ると、みんなもエアジュリ扇を振って踊る。ギターソロでは上裸のGtこうきがポージングを決める。ステージもフロアもぐちゃぐちゃになって今日一番の盛り上がりを見せた。


 最後の曲が終わり、この後行われる物販を告知してライブは終演。知らないサークルに出会えるこういった対バン形式のライブでは終演後の物販も魅力の一つだ。なにせ今かっこいいと思った曲がすぐに手に入るのだから。

 

 

 

 終演後、ここが地元で、通りがけにおもしろそうだからふらっと入ってみたという方と、お話することができた。
 その方が話していた「東方のことはまったく知らないけどいいライブだった」という言葉が、すごく心に残っている。

 今回のライブは、東方が好きな奴にはたまらない内容だったが、実際はその先を行っていた。東方が好きな奴も東方を知らない奴にも全員ぶっ刺さり、みんなまとめて盛り上がった。

 このライブにはそんな幻想郷の宴じみた空気を感じた。そんな空気感こそ、東方ロックの一つの要素なのかもしれない。

 

 TOUHOU ROCK FES、最高にロックで最高に東方なライブだった。

 

 

「君は、東方ロックが好きか?」2019.10.5開催、『TOUHOU ROCK FES』ライブレポート おわり