特集
2019/11/29
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初のビッグサイト開催、最悪の天候、待機する1万人…地獄の第5回開催を超えて、更に拡大し続ける例大祭

鈴木龍道氏、JYUNYA氏、ビートまりお氏による「博麗神社例大祭」初期、東方コミュニティ黎明期鼎談「第4回」

「地獄」の西ホール、第5回

JYUNYA:
 すげえ雨降ったの何回目でしたっけ。あれが一番ヤバかった。あれはいろんな意味でヤバかった。

龍道:
 その話は長いんだ……。

ビートまりお:
 俺、雨の列のことあんまり覚えてなくて。

龍道:
 マジで!?

ビートまりお:
 記憶にないんだよね、なんか。

JYUNYA:
 俺も実は記憶薄くて。単純に環境がヤバかったのを覚えている。だから、人そんないたかな? っていうのも含めて。

龍道:
 実は、1万、2万人平気で居て。

ーーうわっ。

龍道:
 ただ、カタログ持ってない人に関してはビッグサイトの、正面から行く大階段あるじゃん。あそこでもう、「カタログ持ってない人はダメです」って。そもそも列が雨で、近隣から文句きて「早く中に人入れて!」って言われても、中グッチャグッチャで入れらんないしで、ずっとすったもんだやってて。

JYUNYA:
 すごい揉めたのは覚えてる。確か一般参加の人がめっちゃ怒ってた。

龍道:
 当日の参加者からのご意見ももいつもだったら一件二件だったから真摯に対応できていたけど。

ビートまりお:
 あ、五回目の、ビッグサイトに移って初めての回で雨降ったんだ。

JYUNYA:
 すごかった、マジで。入れなかった人もいたんだよ。

ーー入場者3万人規模で、入れなかった人もいたと……。

龍道:
 確か、14時か15時ぐらいにフリー入場に出来たんだけど、その時も参加者の方に本当に助けられて。フリー入場になったら入れるかも?って言う、雨の中並んでも会場内に入れないかもしれない列を作って、そこに3~400人の方にが並んでたんだ。しかも、雨の中に外で。結局その方達も入れられたんだけど。この時もまだじゃんけん大会、アフターイベントを本来やる予定だった。

ーー私も当時第5回参加していて。結局アフターイベントなかったんですよね。やるか、やらないかわからないみたいな空気が会場に流れていました。

龍道:
 最終的に、もう安全を確保できないからやめようってなって。

ビートまりお:
 3万人がアフターイベント来ちゃったらやばいよね。

龍道:
 実際そのとき、1万人近くが会場に残っていたはず。

ーー三分の一が帰ってないってヤバいですね!

龍道:
 全然無理でしたね。当時、みんな最後まで残ってた。

ーーじゃあ、スタッフはもう本当に、阿鼻叫喚というかヘトヘトというか。

龍道:
 ヘトヘトですよね、もう。みんな外も会場内も人がパンパンになっちゃって。普段だったらこんな事絶対にやらなくて、列って外とかに出すんですけど。それすらも足りなくて。入り口から出して、みたいな。

ーーこれが西の4ホールの時ですね。それぞれ、スタッフの人数はどれくらいだったんですか?

龍道:
 第1回は多分、30~40人。Fateを合わせて。で、2回目が、50~60じゃないかな。サンシャインで80いないぐらいかな。4回目も同じ。5回目からは100を超えて、一応、最盛期の7とか8は400。

ビートまりお:
 すっげえな。

JYUNYA:
 急に増えた。

ーー400人!?

JYUNYA:
 「やべえ、やべえ」ってなったんだろうね。五回目のときに。

龍道:
 そうですね。

JYUNYA:
 五回目辺りは世間的にも東方のすごい最盛期だった。2009年、2010年は。同人ソフトの人たちもすごい多かったから。

ーーニコニコから東方のファンになった方たちも入ってきて。

JYUNYA:
 ニコニコができて2年ぐらいですから。凄まじかった。

龍道:
 ビッグサイトになった瞬間、今までの会場で必要のなかったものが一気に増えて、例えば警備員を雇わなければいけないとか。会場側からの要請ですね。それ以外にも出さなきゃいけない書類とかは周りのスタッフの方がずっと支えてくださっていたんですけど、まぁめんどくさかった……。

JYUNYA:
 消防の書類とか必要じゃなかった?

龍道:
 いつもよりもめんどくさい書類が多かった。単純に書く量が増えるんだよね。

ビートまりお:
 それはもう、ビッグサイトを使ったことのあるスタッフに教えてもらったみたいな感じ?

龍道:
 ですね。オンリースタッフとか。その当時代行でやってくださった方にお願いして。あとは単純に、怖かったっていう記憶しかないですね。お金のかかり方が尋常じゃなくて、「人来なくて失敗したらどうしよう。俺、個人だしな」って。でも最後は「まぁ、いっか」みたいな感じで。

ーー僕から見たら「次ができるのかが怖い」みたいな感じなのかなと思っていたんですけど、今思うとそうですよね。おかしい数字ですよね(笑)。

加速し続ける「熱狂」

ビートまりお:
 今の例大祭がホール四つぶんぐらい、2,000スペースぐらいだっけか。

龍道:
まだ3,000あるんじゃない?

ーー第六回でスペース3,000ぐらいですよね。

龍道:
 そうですね、確か。ニコニコ大百科の例大祭のページが一番正確なので。これが多分、世界で一番よくできてる(笑)。

ニコニコ大百科 博麗神社例大祭https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%8D%9A%E9%BA%97%E7%A5%9E%E7%A4%BE%E4%BE%8B%E5%A4%A7%E7%A5%AD

JYUNYA:
 すごい。5,000なんてことあったんだ。

ーー第五回と六回の差がすごいですね。これは何があったんですか?

龍道:
 東館に変えて、一気にもう「来れるだろ!」って思ってたら「まだ足りねえか……」って。

ーー単にキャパが広くなって、キャパ通りに人が来たと。

龍道:
 そういう意味では、安全だったなと。

ーー確か、4・5・6にスペースを置いて、3は何もないスペースがありましたよね。

ビートまりお:
 一般参加者の待機列?

龍道:
 そうそう。

JYUNYA:
 Pixivが何か展示していたりとかやっていなかったでしたっけ。

龍道:
 あったけどいつだったっけな。

JYUNYA:
 もっと後か。なんか企業が色々ブース使ってたりしたなって。

龍道:
 俺の頃は企業とかあまりやってなかった。

JYUNYA:
 そういうのは秋にやってましたね。

龍道:
 でも秋も二回しかやってないし。

ーー例大祭SP※ですね。

龍道:
 で、第八回が一番最大で4,780。

JYUNYA:
 出た。頭おかしいね、これ。

ビートまりお:
 最大ってこと?

ーースペース数はそうですね。でも、人的には。

ビートまりお:
 2011年のやつか!

龍道:
 4,780、これでもサークルさんを落としているんだよね。

ーー抽選が発生しなかったのはいつからですか?

龍道:
 一回目は抽選にしてない……はず、いやしてるか? 二回目から八回目は全て抽選にしているはずですね。

ーーその頃、何割ぐらい落としたかって覚えてたりします?

龍道:
三割ぐらい?

ーーそんなに!?

JYUNYA:
 龍道時代は八回目まで?

龍道:
 八回の後、八回の年のSP2※。だから、イベントは合計十回分かな。

【※】博麗神社例大祭SP。2010年9月19日に東京ビッグサイトで開催された。翌年の2011年に博麗神社例大祭SP2が開催、全2回開催された。
上海アリス幻樂団が不参加、即売会以外のステージ企画等に力が入っているなど、現在の秋季例大祭に繋がる立ち位置のイベントだった。

ビートまりお:
 ちょうど一番、ゴタゴタしていた時期だね。

龍道:
 わかんない、難しいこと。本当に難しいこと分からない。

ビートまりお:
 俺もあんまり知らないんだけど、いろんな人が、いろんな事を求めて動いていた時期で。

龍道:
 そのこと俺全然知らなかった。

JYUNYA:
 作ることしか考えてなかった。

ビートまりお:
 俺も知らないけど、いっぱいいたみたい。そういうのが。

ーー知らない三人が集まっている……。

【コラム】“そういう”ニコニコの時代

「ニコニコ動画」という流れ

JYUNYA:
 例大祭が盛り上がっていくと同時に、例大祭に行っていない世代がニコニコから入ってきて。そして例大祭に来るっていう人が増えて。

ーーシンクロニシティはありますね。

JYUNYA:
 あるある。相当ある。

ビートまりお:
 転載されることで注目されて人が来るから。当時、俺やどぶさんとかもそうだったけど、「転載されてもしょうがないか」っていうノリだった。DVDも「転載されてるけどどうする?消す?」って言われたんだけど、「消すのも面倒だし、ほっとこう」って言って。頒布してお金とっている以上は、誰かがアップしているのを認めるわけにはいかないから、それはもう黙認だよね。

龍道:
 それで宣伝になって次のCDを買うっていう。

ビートまりお:
 そうそう。当時、Winny【※】
でめちゃくちゃ落とされたので。

【※】Winny。元東京大学大学院情報理工学系研究科助手の金子勇氏(故人)によって制作されたP2Pファイル共有ソフト。現在のブロックチェーン技術にも応用される先進技術が使われていたが、利用者のウィルス感染による情報流出事件、海賊版ダウンロードが問題視され、開発者が逮捕される事態になった(判決は無罪)。

JYUNYA:
 懐かしい、そんなソフトあったな!

ビートまりお:
 「Winnyで落としました」みたいなの来ちゃうんだよね。メッセージで。

JYUNYA:
 時代だね、いろんな意味で。

ビートまりお:
 俺は「そっか、じゃあ次は買ってくれよな!」って思ってた。あんまり目くじら立てるつもりもなかったし、しょうがないやって。それで知られて次に繋がるなら。

ーー第一回ぐらいの頃から、熱がずっと下がらない、下がらないっていう感覚だったんですか?

龍道:
 うん。

ーーその熱の中で、ニコニコ動画で更に人がいっぱい入ってきたわけじゃないですか。みなさんの感覚的にはどうだったんですか? もっと若い子が入ってきて、「嫌だな」みたいな感覚は。

ビートまりお:
 全然なかったですね。

龍道:
 もっと来いというか。

ビートまりお:
 何も考える余裕なかったんですよね。それこそ、作るのでいっぱいいっぱいで。

JYUNYA:
 そうだね。本当にその通り。いつの間にか時間経ってたって感じが。

ビートまりお:
 今だったら、界隈のためになんちゃら、みたいな、語り出したりするけどさ。この頃はそんなのなかったよね。

JYUNYA:
 作る、イベントある、買ってくれる、褒められる、次も作る。

ーーすごい、綺麗なループが出来ていた。

JYUNYA:
 それだけでしかなかったよね。

ビートまりお:
 それがめちゃくちゃ楽しかったから。

JYUNYA:
 だから、そういう意味では細かいこと、最初しか覚えてない。さっき、第五回の雨降ってたときのこと覚えてなかったけど、
あの頃はただ作るのが必死で楽しくて本当に覚えてない時期だから。

(第5回へつづく)

初のビッグサイト開催、最悪の天候、待機する1万人…地獄の第5回開催を超えて、更に拡大し続ける例大祭 おわり