「新宿ロフトでライブやるの!?」沢山の出演者、ぎっちぎちの会場、自分から一般列に並ぶ神主(!?)… 最初のFloweringNightは「プレ・ニコニコ動画」だった

「FloweringNight」座談会【第2回】

「新宿ロフトでライブやるの!? ロフトだよ、ロフトなんだよ!?」

――初回の「FloweringNight2006」について語ってもらいたいと思います。そもそも会場を押さえたり、機材準備をしたのがhellnianさんだったとお聞きしたのですが。

hellnian:
 いや、会場はどぶさんですよね。

どぶウサギ:
 会場の押さえは自分が担当です。

hellnian:
 いろいろと機材周りを相談しに行くときは俺が全部同席してました。

――それまで、どぶさんはライブイベントなどを主催したことはあったのでしょうか?

どぶウサギ:
 オリジナルで小っちゃな、30人ぐらいの規模のイベントはやっていました。

hellnian:
 でも、その知識で、次に借りるハコ【※】ではないよね(笑)。

【※】FloweringNight2006が行われた新宿LOFTの公称収容人数は、オールスタンディングで約500人。

どぶウサギ:
 知識っていうか、やりゃーたぶんできるし、分かんなかったら会場の担当さんに聞けばいいと思ってやってました。

hellnian:
 どぶさんは平気だと思ってるんですけど、そこの温度差は結構あったというのは覚えてますよ。俺はバンドをやってた人間だから、「LOFTでライブやるの!?」って。「LOFTだよ!?」っていうのを何度も何度もどぶさんに言ってたと思う。「LOFTなんだよ!?」って。

どぶウサギ:
 場所には全然こだわりはなかったから。でも、hellnianが言ったんだよ。「LOFTがいい」って。

hellnian:
 そうだっけ?

どぶウサギ:
 違ったっけ?

hellnian:
 俺、ハコに関しては何も言ってないよ。後でハコがここになったと聞かされたはず…。

どぶウサギ:
 本当に?

hellnian:
 でも、場所の候補は出したかも。

どぶウサギ:
 自分はハコのことは全然知らなかったから、FloweringNightで初めて新宿LOFTっていうものを知ったんだよ。たしかやってみたいライブハウスをいくつか挙げてもらって、集客何人ぐらいならこの規模っていうアドバイスをhellnianさんからもらった。

hellnian:
 でも、当時は来る人数の検討が全然ついてなかったから、どこだったらできるんだろうって手探りだった。あと、参加者はいろんな地域から来るから、アクセス的にどこがいいのかなって。

――いきなりLOFTの規模でやるというのがすごいなと思いました。

どぶウサギ:
 新宿LOFTの規模は500だけど、500まで入れたらきつきつだったよね?

hellnian:
 きっつきつだね。LOFTで500入れると、入るけど見れなくなっちゃう。

どぶウサギ:
 快適にできるのは350ぐらいかな。当時、100人〜200人集まればいいかなって思っていたから、それならキャパ的に余裕があって快適かなって思ったんですよ。予算内でもあったので、それでロフトに決めたんです。みんな酒を飲みながら、ああ、やってるよみたいな感じでやろう……というはずだったんですけど。

hellnian:
 確かに、ロフトで100〜200人だったらまばらになって見やすくて、前だけはちょっと盛り上がって、見たいときに入れ替わってって感じでできるね。
 でも、ふたを開けたら、ぎっちぎちっていうね(笑)。

――想定を遥かに超えましたね。

hellnian:
 当時は、ロフトが完全に埋まるというほどの熱量ではなかったような気がする。だから、半分ぐらい入ってくれればくらいのつもりでした。

どぶウサギ:
 赤字にならなきゃいいや、ぐらいのね。

――その前には、第2回例大祭でのすごい行列があったわけじゃないですか。そういった様子を見ていながらも、ライブイベントにはそこまで人が来ないだろうと感じていた?

どぶウサギ:
 その当時、東方にライブという文化がなかったですからね。何もないところにいきなりポーンと現れて、”満員御礼になりました!”って、普通に考えたらありえないことですから。

hellnian:
 基本的にはひきこもり的な文化でしたからね。あんまり表に出てこないというか。ましてやライブハウスなんか怖いイメージがある所に、来ると思わないじゃないですか(笑)。

どぶウサギ:
 怖いお兄さんがいるし、新宿だしね(笑)。

hellnian:
 コマ劇【※】の横なんか、ホストさんがいっぱいいるような店ばっかりだよ。歌舞伎町のど真ん中。本当にみんなよく来たなあって思う。

※新宿コマ劇場:東京都新宿区歌舞伎町に、2008年12月31日まで存在した劇場。現在は跡地が「新宿東宝ビル」になっている。

コラム「一般列に神主がいる! 誰もが参加できた打ち上げ」

コラム「紙で作った、手作りのチケット」

プレ・ニコニコ動画だったかもしれない「DREAM COLLABORATION」

FloweringNight2006DVDの裏ジャケット。当時の出演者陣が記載されている。
FloweringNight2006の出演者ラインナップ。公式サイト(InternetArchives)より抜粋。

――こちらが2006の出場者ラインナップですね。会場もですが、出演者側も最初からものすごい参加人数じゃないですか。

hellnian:
 ものすごい人数になったのは、DREAM COLLABORATIONのおかげですね。

どぶウサギ:
 段違いに多かった。

「DREAM COLLABORATION」の出演者リスト。公式サイト(InternetArchives)より抜粋。

――(みんなでDVDの映像を見ながら)このパート、舞台の後ろに人いっぱいいますね(笑)。そもそも「DREAM COLLABORATION」の出演者はどのように集まったんですか?

どぶウサギ:
 これは「あぷえぬすた~と!」というネットラジオをやっている、すし~さんという方が、ラジオの中でカラオケみたいな感じのことをやっていて、そこでいろんな方を集めていたんです。
 自分たちは、歌うための音楽を提供していて。このパートのクレジットに名前は入ってるんですけど、自分は実際舞台には出てないんです。多分、ステージで流れたムービーの人とかも、舞台に立っていないけどクレジットにはのってっます。

――当時、すでにインターネットで歌い手的な活動があったわけですね。でも、絵描きさんとかの名前もありますね。

hellnian:
 (サークル「happyflametime」の)春夏アキトは普通に漫画家ですね。

――みんなインターネットで、ムービーに合わせて歌ったりとかしてた時期では、まだないですよね?

どぶウサギ:
 ムービーはないですね。まだニコニコ動画がなかったような時代なので。

――(DVDを見ながら)このステージの後ろで動画が沢山流れているのは、このイベント用に作成したもの?

どぶウサギ:
 そうです。当時はFlashの時代ですからね。

――つまり、Flash文化と東方とインターネット歌文化が集まったのが、この「DREAM COLLABORATION」なんですね。すごい!

hellnian:
 しかも歌ボーカルアレンジじゃなくて、既存の東方楽曲アレンジに歌詞を書いて乗っけて、それを歌うだったもんね。

どぶウサギ:
 『風神青年』とかだっけ。

hellnian:
 原曲に合わせて書いた詞を、既存のアレンジの曲だったり、普通に原曲に合わせて歌ってただけだから、そりゃ歌いづらいだろうなっていう。

――原曲で歌うのは相当大変ですよね。

hellnian:
 アレンジャーはみんな、ボーカルアレンジにするためにみんないろんな工夫してるから、原曲そのまんまやったら大惨事になるよね。

――この「DREAM COLLABORATION」パートだけ、なんだか異質ですごい面白いんですよね。新宿LOFTでカラオケをやってるっていうのが面白くて。

どぶウサギ:
 なんだか場末の酒場みたいな感じで(笑)。でも、参加した方はみんな楽しかったって言ってくれました。

hellnian:
 楽しかったですね。

――インターネットの文化と、東方Projectの文化がクロスオーバーした瞬間だった訳ですよね。ニコニコ以前、プレ・ニコニコ動画と言ってもいいかもしれません。IOSYSさんよりも前の、東方のムービーの文脈という。

hellnian:
 どっちかというとMADムービーの血脈だよね。MAD時代の空気を醸してる。

どぶウサギ:
 そうだね。

 

大車輪、働きすぎのhellnian

「闇鍋」の出演者リスト。公式サイト(InternetArchives)より抜粋。

どぶウサギ:
 それは(サークル「Azure&Sans」の)鯛の小骨さんが結成したバンドですね。

hellnian:
 急きょやるということで。

――このメンツは、みなさん鯛の小骨さんの知り合い?

hellnian:
 全員リアル友達だったのかな?

どぶウサギ:
 Caspiさんとかは僕の知り合いでもあるかな。

hellnian:
 おかしな話なんですけど、確かもともとはCaspiさんがドラムのはずだったんですよ。でも、本人が急に「ベースがやりたい」って。「え、ドラマーでは?」みたいな(笑)。だから俺が呼ばれたんですよ。ドラマーがドラムたたかないから。

――そうなんですね(笑)。

hellnian:
 俺のパートは元々、COOL&CREATEで演奏してほしい、っていう話だったんですよ。それを受けて「分かりました、できれば俺らも出させてください」って言って、石鹸屋も出してもらって。その後で仲良くなった(サークル「狐夢想屋」の)狐夢想から「絶対にKMO(恋色マジックオーケストラ、YMOのパロディ)をやりたいから、是非手伝ってくれ。一緒に出よう」って言われていて。あいつ確か、どぶさんにも相当掛け合ってたと思うんですよ。
 それで三つ掛け持ちするってなったところに、ボネ(鯛の小骨)くんから、うちでもドラムたたけないかって。

その他、5サークル分の出演者リスト。hellnianさんの名前が2箇所、バックバンドとしての石鹸屋が1箇所ある。公式サイト(InternetArchives)より抜粋。

――その結果、2006の出演者欄にやたらhellnianさんの名前があると。大車輪の活躍ですね。バンドマンだったhellnianさんとしては、そんな状況で、お客さんも満員、場所も初めてやる規模の新宿ロフト、ということですごい経験だったんじゃないんですか?

hellnian:
 それまでの人生で、3桁以上のお客さんの前でやったのは、これが初めてでした。
 音楽やってる人たちは、最初なんか対バン相手がせいぜいお客さんで、自分のお客さんが1人いりゃ御の字みたいな。ずっとそんなライブばっかりだったから、ステージから客席を見たときに「人多っ!! 嘘っ!?」みたいな(笑)。

コラム「男性ボーカルは売れなかった時代」

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