コラム
2021/05/18

心綺楼の“人間の里”“神霊廟”ステージに元ネタがあるって知ってた?――東葉旅人の聖地巡礼手引き

東葉旅人の聖地巡礼手引き【小金井・古川・坂戸】

 東方我楽多叢誌をご覧のみなさん、こんにちは。東方の聖地巡礼を主な活動としている東葉旅人です。

 今回の記事では黄昏フロンティアの作品をテーマにして、東京都と埼玉県の聖地巡礼スポットを紹介します。

 現在は新型コロナウイルスの影響により外出が厳しい情勢ですが、落ち着いた後の聖地巡礼計画の参考にしていただければ幸いです。記事の内容や営業時間などはコロナ禍における感染拡大防止対策中の情報に基づき記載しているため、収束後に訪れる時とは違う可能性があります。ご注意ください。

 

人間の里ステージ背景の元ネタ

 『東方心綺楼』『東方深秘録』『東方憑依華』で眺めることができる人間の里。このステージの右側で観戦している慧音の後方には、どことなく現代的な建物があります。これは「江戸東京たてもの園」に実在する建物がモデルになっていると思われます。

 画像の左から3番目にある建物が、元ネタと思われる「花市生花店」です。

 元々は1927年に東京都千代田区神田で建てられたものですが、現在は「江戸東京たてもの園」東ゾーンに移築されています。

 本来は3階建てなのですが、江戸時代の街並みが色濃く残る人間の里に合わせてか、幻想郷では2階建てとなっています。公式作品の漫画を読む限り、幻想入りした書物を通して外の世界を知ることはできているようなので、人間の里には他にもこういった洋風な建物があるのかもしれません。

 ゲームでは外観のみですが、「江戸東京たてもの園」に行けば1階の店舗部分までは立ち入ることができます。幻想入りした感覚を擬似的に味わえるので是非訪れてみてほしいです。
※江戸東京たてもの園は緊急事態宣言の期間中のため5月31日まで臨時休園しています。

公式サイトには「360度パノラマビュー」、普段は非公開となっている2階や3階を含めた光景が眺められます。

復元建造物の紹介 | 江戸東京たてもの園

 「花市生花店」のような建物は看板建築と呼ばれ、木造の建物正面部分を銅板などで装飾しています。このミニチュア画像のように建てられた当初は銅板が光り輝いているので、人間の里でも一際目立っていたのかもしれません。

 「江戸東京たてもの園」では「花市生花店」のような洋風建築以外にも、江戸時代や明治時代などの和風建築が数多く復元されています。実際に畳の上を歩ける建物もあり、人間の里を訪れた気分になれますので、コロナ禍が落ち着いた頃に楽しんでみてはいかがでしょうか。

住所・アクセス

江戸東京たてもの園
東京都小金井市桜町3-7-1

開館時間 9:30~17:30(10月~3月は16:30)
入園は閉園時刻の30分前まで
定休日  月曜
入園料  400円

最寄り駅:
武蔵小金井駅(JR中央線) 
北口より約2km 徒歩25分程度

花小金井駅(西武新宿線)
南口より約2km 徒歩25分程度

 

大ナマズの元ネタ

 『東方非想天則』美鈴ストーリーで最後に登場する「太歳星君の影の一つ」こと「大ナマズ」。

 なんともネタ臭があふれるキャラクターですが、この外見の元となったものが埼玉県吉川市にあります。

 2009年9月に放送された『萎えラジ』(※1)によると、「大ナマズ」は武蔵野線吉川駅南口に設置されている「なまずモニュメント」の影響を受けているようです。

(※1)
同人サークル・D.N.A.Softwaresが配信するネットラジオ。

 全長5メートル近くある身体は金胎漆塗り金箔仕上げで輝いており、難関スペルでおなじみの金閣寺と同じ技法が用いられています。同一の存在かは不明ですが、『東方憑依華』で天子(夢の世界)のスペルカードとして登場しているナマズも同じく金色の姿をしています。

 美鈴ストーリーのテーマとも言える「太歳星君」ですが、道教の神様として祀られている存在です。そのため日本国内では難しいですが、ある程度大きな道教寺院を訪れると参拝することができます。筆者が台湾に行った時も、台北などの寺院で祀られているのが確認できました。

 話をナマズに戻します。吉川市は「なまずモニュメント」があることからもわかるように「なまずの里」を掲げています。マンホールの蓋などにナマズが描かれ、吉川駅近くの温泉施設前にはナマズ足湯が設置されているなど、ナマズまみれの場所です。

 吉川駅前(北口)で営業している「ラッピーランド」では、ナマズをモチーフにした様々なお菓子やグッズが販売されています。毎日10時から17時まで営業しているので、ナマズ土産が欲しい場合はここに行けば間違いないと思われます。ここを含めた吉川市内の店舗・施設では「まちなか水族館」という形式で水槽が設置され、ナマズの姿を目にすることもできます。

 「なまずの里」だけあって、ナマズをメインにしたコース料理を提供している店も複数あり、それ以外にも単品で提供している店は少なくないです。『東方緋想天』天子EDで語られていた宴会の鯰料理を食べてみたいという人にもおすすめです。吉川駅北口方面に多く、遠い店でも徒歩15分程度の距離です。

住所・アクセス

なまずモニュメント
埼玉県吉川市木売2

最寄り駅:
吉川駅(武蔵野線) 
南口より約40m 徒歩1分程度

 

神霊廟ステージ背景の元ネタ

 『東方心綺楼』『東方深秘録』『東方憑依華』で登場しているステージの神霊廟。この背景の建物は、埼玉県坂戸市にある「聖天宮」という道教のお宮がモデルとなっています。

 画像を比較すると一目瞭然で、幻想郷(正確には仙界)に入り込んだ気分になれる場所です。台湾から宮大工を呼び、15年かけて建てられただけあって、日本でありながら本格的な道教空間となっています。コスプレの聖地としても有名で、内外ともに意匠が凝らされている場所なので東方キャラクターの格好もとても似合います。

 外観だけではなく、内部にも背景の元ネタかもしれない箇所があります。前殿内部の中央にある赤い柱が、『東方紺珠伝』4面の舞台である「月の都」の赤い柱として使われている可能性があります。そのまま使用すると柱の太さに違いがありますが、切り取りをして縦方向に引き延ばすと、外から差し込む明かりによる光沢が原作と似通った状態になります。

 「聖天宮」と同じような柱は中華様式の建物などで良く使われているため、そこまで珍しいものではありません。ただ、出入口や窓から差し込む明かりの影響まで考慮すると、それぞれ固有の外見となります。神霊廟ステージの背景に対して原作者のZUN氏による指定があったかは不明ですが、過去の東方作品で使用されていることを考えると、『東方紺珠伝』でも採用された可能性はあるかもしれません。

 正式名称は「五千頭の龍が昇る聖天宮」とあるように、敷地内は龍を象ったものが数多くあります。中庭の奥には珠を持った五爪龍の彫刻があり、永江衣玖のスペルカードを想起させます。幻想郷でも最高位の存在である龍神の力を借りているだけあって、珠符「五爪龍の珠」は『ダブルスポイラー』『The Grimoire of Usami』で皆から高い評価を得ています。

 龍神ほどの力があるかはわかりませんが、「聖天宮」にいる龍たちも同種族において最高位の証である五本爪の持ち主です。ここで参拝をすれば、弾幕ごっこ向上の御利益があるかもしれません。

 五爪龍の背後には、東方らしさを感じる陰陽と八卦の図が底にある香炉が設置されています。本殿前であるこの付近で参拝することになりますが、道教の作法は慣れ親しんだ神社仏閣とは違うため、多くの日本人からすると複雑に感じてしまうかもしれません。そんな時のために、説明をしてくれる案内役の人が控えてくれています。せっかくの機会なので、道教式の参拝をしてみてはいかがでしょうか。

 中庭の左側にある休憩室には、台湾土産が購入できる自動販売機が並んでいます。台湾で売られている飲料はもちろん、蓮子湯(蓮の実おしるこ)などの甘味が入った缶詰や東方美人茶などの台湾茶葉もあり、飲食面でもちょっとした海外旅行気分になります。

 ちなみに休憩室や中庭を挟んだ反対側から楼閣に登ることができます。幻想郷の少女たちと同じ目線の高さに行けますので、「聖天宮」を訪れた際にはそちらもおすすめです。

住所・アクセス

聖天宮
埼玉県坂戸市塚越51-1

拝観時間 10:00~16:00
16:00までに入れば16:30まで拝観可能
定休日  なし
入園料  500円

最寄り駅:
川越駅(JR埼京線・川越線 東武東上線)
東口6番のバス乗り場から「若02」に乗車
最寄りのバス停である「戸宮交差点前」まで30~40分
行きと帰りでは巡行ルートの違いにより所要時間に差がある
バス停より約530m 徒歩7分程度

若葉駅(東武東上線) 
東口より約2.4km 徒歩30分程度
東口1番のバス乗り場から「若02」に乗車
最寄りのバス停である「戸宮交差点前」まで4分

 

おまけ

 東方の聖地巡礼において、定番中の定番である諏訪。関東方面から諏訪に向かう際に、特急列車や高速バスの出発点である新宿駅を利用する人も多いのではないでしょうか。そんな新宿駅の南口から徒歩7分程度の場所に「Books Kinokuniya Tokyo」というお店があります。この洋書に特化した紀伊國屋書店では、英語版『東方鈴奈庵』が販売されています。

Books Kinokuniya Tokyo 洋書専門店 | 紀伊國屋書店

 英語のため難しいと思うかもしれませんが、日本語版で内容を知っていれば、判読眼がなくても案外すらすらと読む事ができます。また、日本語版にはない追加要素として用語解説のページがあり、登場人物の元ネタ要素なども説明されています。「好きこそものの上手なれ」ということわざがあるように、英語の勉強にも向いていますので、日英の鈴奈庵を手元に揃えてみてはいかがでしょうか。

 

 

あとがき

 本記事をご覧いただきありがとうございました!

 次回の記事では千葉県と茨城県にある聖地巡礼スポットを紹介する予定です。記事を通してまたお会いできることを楽しみにしています。

心綺楼の“人間の里”“神霊廟”ステージに元ネタがあるって知ってた?――東葉旅人の聖地巡礼手引き おわり